こんにちは、パリッコです。今回も調査という名の飲み歩き活動にいそしんでいきたいと思います。
突然ですが、動物の、猫。かわいいですよね? 彼らの自由気ままで人に媚びない、それでいて動きや表情に妙に人間らしさがあったりする独特の魅力って、他にないものですよね。それゆえ世に熱狂的な猫好きは多く、とはいえ住宅事情により気軽に飼えなかったりもする現代社会。そんな方は公園なんかで野良猫とたわむれるとか、猫カフェへ行ってその気持ちを満足させるくらいが選択肢になってくるかと思います。
だけど野良猫って妙に警戒心が強くて、一定以上の距離へ近づくとバッと身構えて、さらにもうちょっと近づくとタタターッとその距離分だけ向こうへ逃げちゃったりします。「何もしないっつーの!」っていうね。その動作がまた可愛かったりもするんですが。
また、猫カフェというものは、どうも女性客中心のイメージがあって、普段「カフェ」自体にすらあまり行かない、僕のような酒好き中年男性が気軽に入るのにはちょっと勇気がいります。
……が、同士のみなさまご安心ください! そんな方にぴったりすぎるお店が、西武池袋線の江古田駅近くにあるんです。夜になり、そろそろ酒が恋しくなってくる時間帯。加えて、今夜はなんだか猫成分も補給したくなってきた。そんな時は、よし、江古田へ行こう!
猫好きだけでなく、呑んべえにも嬉しい料金システム
ここがその「赤茄子」。
看板の手作り感が素朴で良いですね。
さっそくドアを開けると、
網!
「あ、ただの居酒屋でなく、何やら猫関係の店へやって来たんだな」と実感させられる瞬間です。
階段を2階へと上がり、いよいよ店内へ入ると……
カウンター席に酔いつぶれたお客さん! ではなく、猫ちゃんが!
はい癒やされた〜! 本日初癒やされゲットです。
というわけでここ「赤茄子」さんは、世にも珍しい、猫カフェならぬ「猫居酒屋」なんです。それだけ聞くと「システムがややこしいんじゃないの?」「高いんじゃないの?」なんて思われる方もいるかもしれません。
が、基本的には普通の居酒屋です。で、その中を店主さんの飼い猫5匹が自由きままに行き交っている、というだけ。
強いて言えばこれがシステム。
ちなみに、奥に寝ているのは5匹の中の1匹、ではなくぬいぐるみです。
時間帯と滞在時間により、最低で100円、最大で450円のチャージ料がかかるというわけですが、飲み屋であれば当然といった内容ですよね。加えて、猫ちゃんたちを無理やり抱っこしようとしたり嫌がることをする方、すでに泥酔している方などの入店は禁止だそう。つまりは常識の範囲内で楽しめばOKというわけです。
そして「赤茄子」を僕が素晴らしいと思っているもうひとつの理由が、居酒屋としてのポテンシャルが高い! という部分なんですよね。いくかわいい猫ちゃんたちがいるからって、それに甘えて他がいい加減だったりしたら悲しいじゃないですか。ところがここは全くそんなことない! っていうか、むしろすごく良い!
つまみは軽いものからご飯ものまでかなりの種類が揃ってるし、飲み放題プランが充実してるのもいいんですよね。金土以外限定で、生ビールは含まれないんですが、最安は50分960円! 普通に安すぎ。
今回僕と「メシ通」担当M氏がお願いしたのは、生ビールは一杯まで、その他のお酒メニューは飲み放題で、100分1,800円というオーソドックスなプラン。お得ですよね? 他にもニーズに合わせて細かくコースが設定されており、延長は15分150円で、その間もきっちり飲み放題というホスピタリティが泣かせます。「あと15分だけ猫ちゃんと触れ合いながら、もう一杯だけ飲みたい!」なんて時に便利ですよね。
いや、そんなこと、人生の中でそうそうあるもんじゃないですが、ここではあるんです。
▲おすすめの手書きメニューも充実
「砂肝とネギのゴマ焼き」が食べられる猫カフェがありますか?
そうこうしていると、最初に頼んだ
▲生ビールとお通し
ではなく、生ビールと「猫ちゃんが欲しがった時に自由にあげてよいエサ」がやってきました。うん、むしろお通しより嬉しい。
それでは今夜も乾杯! と、グイッと一口。
ぷはー、うまいー……ん?
自由気ままなニャンコ軍団に癒やされまくり!
何か視線を感じるような……
見られてた!
こちらの、僕が一口目のビールを飲む瞬間をじっと見守ってくださっていたのが、マコちゃん。
カウンター席で目を覚ましたのは、チーちゃん。
店内の寝床では、2匹がお休み中。
▲クリームチーズ&クルミ(400円)
おつまみもやってきました。メニュー名の通りですが、チビチビとつまむには最高の組み合わせ。
こちらアーちゃん。
もちろんお客さんも猫好きばかりで、みんなとっても幸せそう。「あ、今そっちに行きましたよ!」みたいな感じで、お客さんどうしの自然なコミュニケーションが多めなのも、このお店の特徴でしょうか。
アーちゃんが近くに来てくれた!
あまりこちらには興味なさそうですね……。
が、
もう、足だけでもかわいい!
名物メニュー、ニャポリタン&チーちゃんピザ
では、再びおつまみを。
▲牛バラ肉豆腐(500円)
僕、肉豆腐大好物なんですよ。猫も大好きなんですよ。つまりここ、天国なんですよ。
▲タビちゃん
この日は偶然、TVの取材も入っていて、店内で撮影が行われていました。こんな天国、そりゃあメディアもほっとかないですよね。
だけどタビちゃんは、
カメラはあんまり好きじゃないようで、
▲ニャポリタン(750円)
名物メニューその1。
これが見た目だけじゃなくて、しっかりうまいんです。いわゆる昔ながらのケチャップたっぷり喫茶店風ナポリタンで、茹で加減も「アルデンテなんて知るか!」といったゆるめなんですが、最も酒のつまみになるパスタ、いや、スパゲッティって、小洒落たものじゃなくて、やっぱりこれなんですよね。麺がちょっと平打ち気味なところは変わっていて、食感のおもしろさにつながっています。
▲緑茶ハイ
飲み放題なので、気兼ねなく頼みます。なんなんだ本当に、この最高さは!
▲チーちゃんピザ(700円)
名物メニューその2。これがまたちゃ〜んとうまいんです。ファニーな見た目に油断して食べると、たっぷりと乗ったナチュラル、カマンベール、ゴルゴンゾーラの3種のチーズの旨味が複雑に絡み合う超本格派!
食べる時にちょっとだけ勇気がいることさえ乗り越えられるなら、お店に来るたびに必ず頼みたい一品です。
ただし、さっきの「ニャポリタン」でもそうでしたが、“鼻のパーツ”としての意味合いが強い、一粒だけ乗った枝豆が、
切なさを演出しがち。
猫好きが高じて普通の飲み屋が「猫居酒屋」に
おっと、ちょっとトイレに立って戻ってきた隙に、我々の席で、
自由気ままに過ごす、
マコちゃんの姿が、
さてはかまってほしいんだな? よ〜しよし……
違うんかい!
どこを向いてもよい風景。
奥にいらっしゃるのがお店のマスター。
お話を伺うと、迫力ある見た目に反して(失礼!)すっごく優しい方で、
「肉豆腐の味大丈夫だった? 今日はちょっと甘すぎちゃった気がして」
と、きめ細やかな心遣いを見せてくれます。
どうしてこういうお店を始められたのかをお聞きすると、当初は普通の居酒屋だったのが、元々猫好きだったこともあり、お店で飼っちゃえば自分も嬉しいし、お客さんも喜んでくれるだろう、と思ったのがきっかけだったとか。
「猫ってさ、こうやってなでてやると、気持ち良さそうな顔するのがかわいいんだよね」
本当に気持ち良さそうだ。
寝ちゃった……。
はい、というわけで、猫好き、酒好きにとって天国のようなお店、「赤茄子」さんのご紹介でした。
は〜今日も大満足。マスター、ごちそうさまでした!
ノンちゃん「また来てね〜♪」
……おっとまずい。あまりに浮かれて、飼い主限定の「猫に人間語をしゃべらせる」をやってしまった。
お店情報
赤茄子
住所:東京都練馬区旭丘1‐77‐2 2F
電話番号:03-6915-3166
営業時間:18:00〜翌3:00
定休日:月曜日