池袋のもつ焼き屋「男体山」。いつも前を通り過ぎるだけだった赤提灯に思い切って入ってみた

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こんにちは、パリッコです。今回も調査という名の飲み歩き活動にいそしんでいきたいと思います。前回の調査中、メシ通スタッフM氏との会話の中でこんな話が出ました。

 

M氏「パリッコさんって、池袋が職場でしたよね? 池袋でイチオシの店ってどこですか?」

パリッコ「う〜ん、池袋ですか。好きなお店がありすぎて絞るのが難しいですね〜。ちなみにM氏はどこですか?」

M氏「僕はだんぜん、男体山ですね!」

パリッコ「あ〜、男体山。僕、毎日のようにお店の前は通るんですけど、まだ入ったことないんですよね〜(笑)」

M氏「……え?」

パリッコ「男体山、まだ行ったことなくて(笑)」

M氏「……なぜですか?」

パリッコ「いや、なんとなくですけど(笑)」

M氏「……」

パリッコ「……?(笑)」

M氏な、な、何を考えてるんですか!!!!!!!!!!

パリッコ「ヒィッ!?」

M氏男体山は池袋屈指の名店ですよ! 毎日のように店の前を通ってるんですよね!? いったい何年池袋で働いてるんですか!? そもそも僕だったら初出勤日に行きますけどね! そんなことで居酒屋好きを語る資格ってあるんですか!?

以降、M氏による熱い男体山の魅力解説が続くこと10数分……。

パリッコ「わ、わかりました。もうわかりましたから! 行きます! 近々必ず行きます!」

M氏「必ずですよ? いや、言葉だけじゃ信用できないな。そうだ、次回のこの連載で男体山についてレポートしてください。そうすれば信じられるので」

パリッコ「そんな宿題みたいな! ……まぁ全然嫌じゃないですけど」

M氏「じゃあ決まりですね!」

 

渋い1階カウンターを上ると、そこには居酒屋っぽい空間が

というわけで今回は、池袋のもつ焼き屋「男体山」さんへ伺うことになりました。僕に「行ってこい!」と言い放ったM氏も「やっぱり自分も行きたい」という理由でもちろん一緒に。お店は池袋東口、ビックカメラ本店裏のディープな一帯にあり、創業40年以上になる老舗です。

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先ほどの会話の通り、僕はもう何年もこの近くで働いており、毎日のように店の前は通っていました。実際、隣に写っている「かぶら屋」なんかは好きな店のひとつですし、逆側の並びにある「加賀屋」、その先に進んで「ドリンクスタンド小島」、角打ちの「笹屋」など、界隈にはよく行く飲み屋がたくさんあります。

では、なぜ男体山には入ったことがなかったか? これが自分でもわからないんですよね。昭和の香りの残る外観なんか僕の大好物ですし、もつ焼きにも目がありません。不思議だなぁと思うんですが、なんとなくモードが合わなかったというか、「今日はここにしてみよう」というタイミングがまだ来ていなかったというか。

みなさんの通勤、通学、お散歩ルートにも、そんな店ってありません? 一度意識してそういうところに入ってみると「なぜもっと早く来なかったんだろう!」と後悔することになるかもしれない、今回はそんなお話です。

 

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1階はご覧の通りカウンター席。常連さんとおぼしき先客のみなさまが、静かにもつ焼きと対峙しています。渋〜い雰囲気ですね。ここだけ見て「満席か」なんてあきらめてしまいそうになりますが、2階席もあるとのことなのでご安心を。

それではおじゃましましょう。

 

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入り口横にはいかにも新鮮そうなモツ串たち。

 

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小学校時代の友達の家を思い出す階段を上がると……

 

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2階に到着〜! 外観からは想像もつかないほど広々としており、近年リフォームされたのかとってもピカピカの空間です。中央に大テーブル、壁に沿ってテーブル数席、それから、小上がりの座敷も数席。1階の雰囲気とはうってかわり居酒屋っぽい空間になっていて、グループ客のみなさんがワイワイと飲んでいらっしゃいます。

 

では我々もさっそく。

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生ビール(550円)

 

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グイ〜っと。腑抜けたツラをさらしてすみません。

 

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壁には何やら歴史を感じさせる額入りの装飾品が。先代の頃に寄贈された“火消し”に関する何かだそうなんですが、ちょっと難しくて覚えられませんでした。肝心な部分がレポートできず面目ないっす……。

 

男体山、実はナンコツ天国だった

では、さっそくツマミの注文を。

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特製 男体山漬(380円)。

まずはこちら、常連さんが「づけ」と呼ぶ、男体山の名物のひとつ。先代のお母様から伝わる味だそうです。醤油ベースのさっぱりとした漬物というか、和え物に近い感じで、けっこう辛味がきいており、生に近いシャキシャキとした人参の歯ごたえがすごく爽やかですね。加えて、イカの旨味がしっかりと主張してくるのが嬉しく、これはつまみにも箸休めにもいいな〜。

 

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タン刺し(430円)

ボイルして冷やした豚の舌ですね。何でもうまくしてしまう禁断のタレこと、ゴマ油×塩で頂きます。サクッとした歯ごたえの後、じんわりと豚の旨味が広がり、お好みでネギ、おろしニンニクと合わせちゃった日には、そりゃあ最高に決まってます。

 

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もつ焼きは全て1本120円で、今日は初めてなので8種類全ていただいてみることにしました。手前から、レバー、ナンコツ、シロのタレ。どの串も大ぶりで、カラシが添えられているのが珍しいですね。旨味濃厚なレバー、食べ応えのあるシロも大変素晴らしいですが、個人的に一番気に入ったのがナンコツ! カリカリっと手応えのある食感のナンコツ部に加え、ジュワッと旨味が染み出す周囲の肉の部分もたっぷり残してあって絶品です。

タレ自体も美味しく、口に入れると濃いめの甘味が主張し、次にキレの良い醤油味を感じさせたあと、サッと消えてゆく絶妙なバランス。全然しつこくないのでどんどん食べられてしまいます。

 

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手前から、カシラ、タン、ハツ、こちらは塩で。味付けはお任せでお願いしたのですが、塩で食べると素材の新鮮さ、肉自体の味の濃さがよくわかりますね。それぞれ食感でも楽しませてくれる部位で、お皿が空になるのは一瞬でした。

 

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左から、コブクロ、ナンコツ、ガツ、こちらも塩。王道からこういった一癖ある系に移行していくのが楽しいです。そしてお気づきかもしれませんが、そう、先ほど気に入りすぎて塩も試したくなってしまい、思わずナンコツだけ2本目のオーダー! タレも良かったんですが、塩だと味の輪郭がさらにくっきりと感じられ、カリカリとした食感もより強力になり、タレと甲乙つけがたいうまさ!

 

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酎ハイ(355円)

飲み物をおかわり。炭酸薄め、焼酎濃いめのハードスタイルチューハイで、これは酔います! 串を一通りいただいてもうだいぶ満足ではあるんですが、もう少しおつまみを食べてみたいってことで、

 

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特製 もつ煮込み(380円)

味噌ベースで臭みゼロの「これぞモツ煮込み!」というお手本のような一品。もつ焼き屋の煮込みって、新鮮なモツを惜しみなく使ってくれるからうまいんですよね。

 

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味の染み込んだ野菜や豆腐もたまりません。

 

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鹿沼のこんにゃく刺し(380円)

今さらですが、店名である「男体山」は先代の出身地、栃木県日光市にある山。そんな繋がりからでしょう、栃木県鹿沼市の名物であるこんにゃくもいただくことができます。ぷりぷりと歯ごたえが良く味の濃いこんにゃくに、酸味を抑えた特製の酢みそを付けて。これまた良いつまみになります。

それから、メニューの中に“なんぽん”という名前を発見したのですが、これが何だかわからず、店員さんに聞いてみると「ナンコツをポン酢で和えたものです」とのこと。え!? ナンコツ! それを聞いたら頼まないわけにはいかないでしょう!

 

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特製 なんぽん(430円)

こちらは串ではなく小皿料理なんですね。香ばしく焼き上げたナンコツに、たっぷりのモミジおろし、ショウガ、小ネギ。それらをまとめて口へ放り込むと、うわ、さっきタレや塩で食べたのとは全然違う味わいで、これまたいいな〜!

というわけで、思わず制覇してしまった男体山のナンコツメニュー。タレ、塩、ポン酢、それぞれ美味しく、どれが一番だったかという答えは今のところ出ておりません。

ただひとつだけ言えるのは「男体山はナンコツ天国だった!」ということ。

 

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コーン茶割り(355円)

そのままトウモロコシの風味がしておもしろいコーン茶で焼酎を割ったもの。「変わったお茶割りを見つけるとつい頼みたくなる」これ、酒飲みあるあるですよね?

 

ちなみに、こちら男体山の現店長さんは、

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写真左のイケメン! ※右のピンボケしてるのは僕です

歴史ある店があっさりとなくなってしまうことも多い居酒屋業界において、若くして二代目として店を継ぎ、守っていってくれるなんて、なんて頼もしいんでしょうか! ますますこのお店のファンになりました。

以上、冒頭にも書きましたが、感想は「なぜもっと早く来なかったんだろう!」につきる、池袋の男体山。その魅力を知ってしまった今、毎日のように通っていた道が、僕には新たな輝きを放って見えます。あ〜ぁ、今日も寄っちゃおうかな〜!もしみなさんの近くもそんなお店があるのなら、思い切って扉を開いてみては?

 

お店情報

男体山

住所: 東京都豊島区東池袋1-41-14
電話番号:03-3982-1770
定休日:日曜日

 

書いた人:パリッコ

パリッコ

DJ/トラックメイカー/漫画家/居酒屋ライター/他。FUNKY DANCE MUSIC LABEL「LBT」代表。酒好きが高じ、雑誌、Webなどの媒体で居酒屋に関する記事を多数執筆中。

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