【検証】酢コショウ以外の「餃子のうまい食べ方」について教えてほしい

餃子って、タレの使い方や一緒に頼むメニューなど、人によって食べ方にいろいろな個性がありますよね。今回は、餃子の食べ方に一家言のある3人の町中華好きに、それぞれの好みをプレゼンしてもらいました。

エリア 浅草 (東京)

行列のできる名店「餃子の王さま」で餃子の食べ方を検証

町中華で晩酌をするのって、皆さんもお好きなのではないでしょうか。

で、そういう町中華飲みのときって、たいてい餃子を注文しちゃいますよね、なんて話を編集Mさんとしていたんです。すると、いきなり彼が自分流の餃子の食べ方について熱く語り始めたんですよ。

これ、ちょっと面白かったので、話だけではなく、実際に見せてもらおうということで、お店にやってきました。

こういう企画にぴったりのお店があるんですよ。

 

それが、こちら。

浅草にある「餃子の王さま」です。店構えがすてきでしょ。

店先に並べられている食品サンプルもいい感じです。それに、「手作り餃子」の赤いノボリがいいですね。

といってもここは餃子専門店ではなく、いろいろなメニューを提供している、いわゆる町中華のお店。名店が軒を連ねる浅草中央通りにあります。

 

迎えてくれた三代目の佐々木光秋さんです。

餃子の王さまは、もともとこの地で「餃子や」として1954(昭和29)年に創業。

あるとき、お店を登記しなくてはならなくなり、ちゃんと店名をつけようとしたときのこと、お客さんが「ここの餃子は、餃子の王さまだね」と思わず口にしたそうです。

初代は「これだ!」と思い、お客さんのそのセリフをそのまま店名にしたんだそうです。

では、三代目にさっそく餃子を焼いていただきましょう。

 

フライパンで焼いていくんですね。それにしても年季が入ったフライパンです。

「焼く」というよりは油で「揚げ焼き」にしているので、皮がキツネ色にカリッと仕上がります。

 

さて、今回は編集Mさん、ライターのわたくし下関マグロ、そしてカメラマンの平山さんの3人で、それぞれが普段やっている餃子の食べ方を披露することにしました。

もちろん餃子に合う料理やお酒も一緒に注文するルールです。

 

【今回のルール】

  • 自分流の「餃子のうまい食べ方」をプレゼンする
  • いつも一緒に頼む他のメニューとの組み合わせも紹介する
  • 餃子と一緒に頼むお酒も例示する

 

ところで、これを読んでいる皆さんもそれぞれ、自己流の餃子の食べ方があるのではないでしょうか。もしちょっと変わった食べ方をしている人がいたら、ぜひ教えてほしいですね。

というわけで、まずは編集Mさんの注文スタイルから。

 

【餃子のうまい食べ方①】6つの餃子を1つずつ「味変」しながら食べる

【Mさんの餃子晩酌組み合わせ】

  • 王さまの餃子 490円
  • 肉餃子 590円
  • ラーメン 680円
  • 瓶ビール(中瓶) 650円
  • (タレ)小皿にお酢
  • (タレ)小皿にラー油
  • 合計 2,410円

*価格はすべて税込み(以下同)

 

Mさんが町中華でよく注文するのは、餃子2人前に醤油ラーメン、瓶ビールという組み合わせだそうです。上の写真のセットです。けっこうボリューミーですね。

ちなみに餃子の王さまには焼餃子は2種類あって、写真上が「肉餃子」、写真下が「王さまの餃子」になります。

 

料理が来るまでにMさんは、お酢だけの小皿とラー油だけの小皿を用意していました。

それではMさん、いつもの餃子の食べ方を教えてください。

 

Mさん:まずは、ビールをひと口。お酒は生ビールのほうが好きなのですが、餃子を食べるときだけは瓶ビールを注文します。その都度、手酌を行うことで、食事にリズム感を出すためですね。

 

なるほど、なんだかわかったようなわからないような説明ですが、たしかにジョッキでビールを飲むよりも瓶からコップに注いで飲んでいくと、手数というかリズム感が生まれますね。

 

Mさん:そして、最初にラーメンから手をつけます。一気に麺を半分くらい食べます。この段階では、餃子には手をつけません。麺がのびるのは自分の中では絶対的なタブーなので、まずは麺からアタックすることを心がけています。
それと重要なポイントは、醤油ラーメンを注文すること。これが味噌や塩、とんこつだったりすると、この後の流れがうまく作れなくなってしまう……。

 

Mさん:私が餃子に取り組む際にイメージしているのは、1皿6つの餃子があるとして、それを野球でいう1番から6番までの打線として捉え、それぞれに役割を与えること。そして「それぞれ1つずつ味変しながら食べる」をルールとして自分に課しています!!!!

 

うーむ、なんだかいろいろと面倒くさい食べ方ですなあ(笑)。

ま、それはさておき、いよいよMさんが1つ目の餃子を食べます。

あらかじめ用意していたお酢だけの小皿に餃子をタッチします。

 

Mさん:このときに細心の注意を払いたいポイントがあります。餃子は、焼き目のある側ではなく、裏側のヒダのほうをタレに浸します。ヒダヒダの間によくお酢を絡め、さっぱりとした酸味だけで餃子をいただくので、1番バッターにはぴったりの味わいです。

 

ああ、なるほど。焼き目のパリパリ感を損なわないよう、焼き目側にタレをつけないわけですね。

 

Mさん:おお……これはうまい。肉餃子の具は、ほぼ肉だけで構成されていますね。なんといってもサクサクした皮目の舌触りが、食べていて楽しいです。

 

Mさんは餃子の王さまの餃子を食べるのは初めてだそう。ちなみに主力商品の「王さまの餃子」は野菜たっぷり、「肉餃子」のほうは肉がぎっしり入っています。

 

さて、2番バッターはラー油だけでいただくそうです。

餃子の王さまのラー油は自家製です。このラー油、見た目ほど辛味はなく、けっこう上品な味わいです。こちらもタレは焼き目側ではなく、ヒダ側にたっぷりつけていただくとのこと。

 

Mさん:こんな感じで、裏側のヒダ部分にタレをのせていただくイメージですね。うん、これも抜群にうまいです。このお店のラー油、優しい味わいでうま味を感じますね。

 

さて、3つ目は先ほどのお酢だけの皿にコショウを投入しました。

 

3つ目の餃子は、酢コショウのタレで食べるようですね。ここ数年、町中華でもこのタレで食べている人をよく見かけます。この食べ方、一般的になってからだいぶたっていますよね。というわけで、あらためて三代目に聞いてみました。

酢コショウのタレで餃子を食べる人、やっぱり多いですか?

光秋さん:いらっしゃいますけど、ウチではそんなに多くはないかなあ(笑)。ほとんどのお客さんは、酢醤油+ラー油のタレで食べてらっしゃいますね。

 

おや、そういえば、M氏はタレに醤油を使っていませんね。

 

Mさん:そうなんです、タレに醤油は使いません。その理由は、次の餃子の食べ方を見ていただければわかります。

 

餃子を醤油ラーメンのスープにドボン

では、4番バッターの餃子をどう食べるのでしょうか。

その前に、Mさんはラーメンを再び食べ始めました。

Mさん:やはり4番バッターですから、ここが自分にとってはハイライトです。まずこんな感じでラーメンの麺を一方に寄せまして、「醤油スープのプール」を作ります。そして、このプールに餃子を……。

 

なるほど、これでヒダのほうがスープに浸り、皮に醤油のうま味がまとわりつきますね。これは面白い食べ方です。

 

さらに5つ目の餃子は、側面に箸で小さな穴を開けます。

そして再び、餃子を醤油ラーメンのスープに浸しました。

 

その小さな穴から醤油ラーメンのスープがたっぷり餃子の中に入ったところでいただきます。なるほど、これはなかなか斬新ですね。

 

Mさん:餃子のタレに醤油を使わないのは、ラーメンのスープが醤油味だから。それとこの食べ方だと、口の中で小籠包みたいにスープがジュワッとあふれ出てくる。これがたまらなくうまいんですよ!!!!

 

そう熱弁しながら餃子を頬張るMさん。ま、本人が幸せそうなのでよしとしましょうか。

 

そして最後、6つ目の餃子です。ラストはラー油をつけた餃子をラーメンスープに浸してからいただくとのこと。こちらも側面に小さな穴を開けて、スープをその中に入れて食べるようですね。

 

これで餃子1人前6つを食べたわけですが、もう一巡、同じ要領でもう1皿の餃子を味変しながらローテーション的に食べていくそうです。

こういう人、いるんですね。びっくり。

でもラーメンスープに浸すのは、ちょっとマネしてみたくなりました。

 

【餃子のうまい食べ方②】タンメン+餃子+ビールで「タンギョウビー」

お次はあたくし、下関マグロの餃子の食べ方をプレゼンしましょう。

一番好きなのが「タンギョウビー」の組み合わせ。

下関マグロの餃子晩酌組み合わせ】

  • 王さまの餃子 490円
  • タンメン 780円
  • 生ビール・中 680円
  • (タレ)小皿にラー油とお酢、醤油は1〜2滴
  • 合計1,950円

 

タンメン、餃子、ビールという組み合わせ「タンギョウビー」は、僕の町中華飲みの定番といってもいいでしょう。ビールは気分次第で生でも瓶でもいいんです。この日はなんとなく生。

 

さて、餃子のタレですが、こんな感じ。

お酢はたっぷりめに。

 

さらにラー油も多めに入れて、醤油はほんの1滴か2滴だけ加えます。香りづけに少しだけ入れるイメージです。

実は僕、餃子を食べながら「タレを育てていく」というスタイルなんです。

 

それではいきましょう。まずは、生ビール。くーっ、たまらん。

で、まずは何もつけない餃子を食べます。私はたいてい、1つ目はそうしますね。特に初めて食べるお店では何もつけないで食べてみて、タレの配合を調整します。

さらにタンメンをすすりながら、餃子も食べ進めていきます。

 

餃子のタレを「育てる」プロセスが楽しい

餃子の王さまのタンメンは太麺。シャキシャキした野菜がおいしいんですよ。

 

餃子もこうして普通にいただきます。

 

こちらのお店のラー油は辛味がそれほど強くないので、たっぷりつけていただきましょう。こんな感じで、先に餃子を食べ終えてしまいます。

餃子を1皿食べ終える頃には、餃子の中の肉汁やら焼き目についた油やらと混ざり合って、いい具合にタレがなじんでいきます。

まさに「タレが育った」状態ですね。

 

そしてここからがハイライト。いよいよ、残った餃子のタレを、半分くらい食べ終わったタンメンにかけていただくのです。

ラー油+お酢+その他いろいろ入ったタレと、タンメンのあっさりしたスープとの相性は抜群。

お好みでこのタレを追加しながら、タンメンを食べ進めていくのです。

この食べ方は、僕が駆け出しのライターだった頃、ある町中華で先輩ライターから教わったもの。以来、タンギョウビーはこのようにいただいています。餃子に使ったタレを無駄にしないのって、ちょっとSDGsでしょ。

 

【餃子のうまい食べ方③】白髪ねぎを餃子にまとわせていただく

さて、最後はカメラマンの平山さんの食べ方です。

平山さんは、何度も餃子の王さまに来たことがあるそうで、結果的に行きついたのがこの食べ方だそう。

【平山さんの餃子晩酌組み合わせ】

  • 肉餃子 590円
  • スープ餃子 930円
  • ねぎ味噌 580円
  • 写っていませんが生ビール(中)680円
  • (タレ)小皿にラー油、お酢、醤油
  • 合計2,780円

 

それでは、お願いします。

まずは、肉餃子を普通に食べている平山さん。

平山さん:タレの配合はごく普通にラー油+お酢+醤油というものです。タレの比率は適当ですが、餃子の王さまの場合はラー油を多めにしていますね。

 

ところで、餃子の王さまでは4種類の餃子を提供しています。

王さまの餃子、肉餃子、湯餃子、スープ餃子です。ちょっと気になったので、三代目にそれぞれどのくらいの割合で注文があるのか、聞いてみました。

 

光秋さん:全体を10として、王さまの餃子が6、肉餃子が2、湯餃子が1、スープ餃子が1ですかね。あくまでもざっくりとした感覚ですが。

 

僕は全部いただきましたが、どれもおいしいですよね。

平山さん:ここのスープ餃子、中に入っている餃子は肉餃子なんです。焼餃子の肉餃子はパリッとした焼き目がおいしいんですが、スープ餃子の場合は皮がもちもちしてて、これもすごくおいしいんですね。

 

そして、ねぎ味噌がこちら。

平山さん:このお店に来たら必ず注文するのがねぎ味噌です。シャキシャキしていて、これだけでお酒が進むんですよね。

 

さて、ここで平山さんはタレを使わずに肉餃子をねぎにまみれさせて食べ始めました。よく見ると、味噌もちょっとつけていますよ。

僕もこの食べ方でいただきましたが、これはかなりうまい。味噌と肉餃子が非常にマッチしますね。

 

平山さん:最後に、シメ的なイメージでスープ餃子を食べます。あったかいものをラストに食べたいから、この組み合わせなんです。

 

なるほど、なるほど。まさに三者三様の餃子の食べ方でした。

あなたは、Mさんにしますか、それともマグロ、それともカメラマン平山さんのセットでしょうか。えっ、どれもいまいちですか。

皆さん、自分ならではの餃子の食べ方があれば、教えてください。

というわけで、ぜひぜひ餃子の王さまにも足を運んで、試してみてくださいね。

 

撮影:平山訓生

 

お店情報

餃子の王さま

住所:東京都台東区浅草1-30-8
電話番号:03-3841-2552
営業時間:月、水、木、金11:15~14:30、16:00~20:30 土、日11:15~20:00
定休日:火曜日

www.hotpepper.jp

書いた人:下関マグロ

下関マグロ

1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)、『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、に『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)など著書多数。

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