ここ数年話題の熟成肉はもはやグルメ通だけでなく、近所のおじさんも話題にするほど浸透してきた感があります。そこに新たに浮上したのが「熟成魚」。とにかく新鮮なほうがいい! とされてきた魚の世界ですが、実は魚も熟成させたほうが旨い! というのが、漁師達の間では常識だったとか。そんな海の男達が認める「熟成魚」が食べられる酒場「熟成魚場 福井県美浜町」が、日本橋にオープンしました。
でも、そもそも熟成魚って何なの?
美味しいものがいつでも買える場所といえば、やっぱりデパ地下ですが、東京の大手百貨店でも、熟成魚は売られているんでしょうか? 気になって仕方ないので、さっそく受付のお姉さんに問い合わせてみることに。まずは、老舗中の老舗の某デパートにアタックしました!
メシ通「あのー、熟成魚って売ってますか?」
某デパート「申し訳ございません、当店ではお取り扱いがないようです……」
この調子で、他のアパートにもアタックしてみましたが、いずれも熟成魚は取り扱いがないとのこと。熟成魚はまだまだ、手の届きにくい存在のようです。となるとますます、その味が気になります……!
しかも、今回紹介する「熟成魚場 福井県美浜町」日本橋本店の目玉は熟成魚だけではなかったのです!
美浜町は「熟成」と「発酵」の食文化を持ち、鯖の塩漬けを糠に漬けた「へしこ」や、塩蔵で熟成させた「塩熟ぶり」など、美浜町とコラボレーションしながら、ご当地のうまいものを紹介するお店なのです!
この「熟成魚場 福井県美浜町」をプロデュースしているのは、水道橋の大衆居酒屋「合掌」の代表でもある、合掌智宏氏。かつてこの「合掌」を訪れたことがあるのですが、焼き鳥1本50円というリーズナブルすぎる価格、その価格が信じられないような大満足のボリューム、そして隣の席のおじさんともつい仲良くなってしまうようなフレンドリーな雰囲気を併せ持つ、イイ店なんです。
今回フィーチャーされている美浜町は、その合掌さんの出身地。となれば、地元への思いも加わっているはず。熟成魚に、地元への情熱が加われば、美味しく楽しいご当地酒場になることは必定です!
もう待ちきれない! そのメニューをのぞいてみましょう!
まずは、へしこを使った「伝統へしこ刺し」690円。へしこは、単品だけでなくランチメニューでも楽しめます。
こちらは「ランチ越前もり蕎麦とへしこ飯」1,000円。
もちろん、魚介はこれだけじゃありません!
「美浜のさざえ刺し」 590円や
「ガサ海老唐揚げ」 690円。
お米がないと、食べた気がしない! という人にも嬉しい、「塩鰤土鍋飯」790円もたまりません!
ここまでで既にお気づきかと思いますが、どれも価格がリーズナブル! ディナータイムでも、5,000円あれば店を満喫しきれるという嬉しさ!
嬉しさついでに、福井の地酒も忘れずに!
そして、いよいよ本丸の、熟成魚の登場です!
まずは「本日の熟成刺し」 890円。熟成日数を掲げたプレートが、興味をかき立てます。ちなみに、熟成させることで美味しさが増す魚として、ブリ、マグロ、白身魚があるそうです。
そう聞けば、普通の熟成してないマグロとも比べてみたい!と思うところですが、ちゃんとそのためのメニューも用意されていました!
それが「熟成食べ比べ 美浜の刺身盛り」1人前1,000円 です!
熟成魚のほか、ブリやマグロ、〆鯖などが楽しめる、この一皿はマストです!
気になるそのお味の特長は、今までの刺身とは違う濃厚な旨味と、むっちりとした舌触り。脂の旨味や甘味が舌に絡み付くような味わいは、これまでの美味しい魚のイメージを覆すほど。見ての通り、7日間熟成、14日間熟成など、今までの常識からすると「そんなに日の経ったものを食べても大丈夫なの?」と思うほどじっくりと寝かせてあるのです。
今までにも熟成魚を出す店はあったものの、銀座の和食店など、価格帯が高めの店が多い中、一人でも入りやすい雰囲気のお店の参入は嬉しい限り。これからは、熟成魚が熟成肉以上のブームを巻き起こすかもしれません!
お店情報
住所:東京都中央区日本橋2丁目7番-1 東京日本橋タワーB1F
電話:03-3527-9696
営業時間:昼11:00~15:00 (L.O.14:30)
夜 16:00~23:30/(L.O.22:30)
定休日:無休(ビル休館日のみ不定休)
書いた人:増山かおり
1984年、青森県七戸町生まれ。東京都江東区で育ち、早稲田大学第一文学部卒業後、百貨店勤務を経てフリーライターに。『散歩の達人』(交通新聞社)、『LDK』(晋遊舎)、『New Roses Web』(産経デジタル)などで執筆。著書に『JR中央線あるある』(TOブックス)、『高円寺エトアール物語~天狗ガールズ』(HOT WIRE GROOP)。