情報量高めな祇園の珍スポ「壹錢洋食」は昔ながらの味を守るうまい粉もん屋だった【京都】

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今回は美人がいっぱい登場しまっせ!

 

すっかり暖かく、というか暑くなりましたが、外出するのが楽しい季節になりましたね。まあ、わたしは花粉症という地獄の業火に連日鼻が焼かれてますけどね……。年中観光シーズンである京都は連日めちゃくちゃ人が多い。とくに祇園界隈は町家や石畳の路地、お寺やカフェなどが密集しているエリア。オッシャ〜な観光客の方々でごったがえしています。

 

今回はそんな祇園エリアの珍妙なお店をご紹介します。いやもう、ホント「珍」なスポットです。

 

「!?」が満載な祇園のアソコ 

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お店は四条大和大路の交差点の北東角にあります。

 

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四条通から大和大路の角を曲がってすぐ、こちらがご紹介するお店「壹錢洋食」です。人通りの多い通り沿いにあるので「見たことある!」って人も多いはず。

 

でも意外と、「気にはなってるけど、入ったことないワ~」って声も多いんですよね。外観からスゴいインパクトだけど、中はもっとスゴイんだぞ! できるだけ余すところなく店内の要素をピックアップしていきますが、まずは外の彼から。  

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お店の入り口にある珍妙なオブジェが。いろんなものが丸見えですけど大丈夫?

 

この男の子は、お店のマスコットキャラクター「壹錢喰太郎(いっせんくたろう)」くん。紀州犬にお尻を噛みつかれても、お土産の壹錢洋食を懸命に守っているけなげな男の子なのです。景観条例に厳しい京都ですが、彼の股間はセーフラインの内側にあるという謎……。

 

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犬に下着をくわえられて丸見えのプリケツをしばらく眺めたら店内へ。

 

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テイクアウトの待機場所になっているベンチには、看板娘のおねえさんが。白肌に大きな瞳が特徴の……マネキン!

こちらのお店には、店内のいたるテーブルにマネキンのおねえさんが常駐しているのです。

 

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おもわず見惚れてしまうこの美貌。なんか前に来た時より可愛くなってる気がする。

 

店員さんにたずねたところ、「ちょくちょく肌の汚れを落としたり塗装をやり直したりしているので、そのせいかもしれない」とのこと。そりゃあ看板娘だもの、スキンケアは怠りませんよね。 

 

店内は昭和レトロな「おもちゃ箱」

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昭和レトロな懐かしさと、ごちゃごちゃした感じがなんとも楽しい店内。おもちゃ箱を豪快にひっくり返したような賑やかさです。

 

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いました、いました。看板娘2号アンド奥に3号。全ての席にマネキンがいるわけではないので、やはりマネキン席は好評。この日もお客さんがマネキンたちとツーショットを撮るなど盛り上がりを見せていました。

 

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このマネキンたち、じつはそれぞれに名前があるんです。実際に来た時は胸にかかっている名札をご覧ください。

 

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お店の壁にはシュールな絵馬がギッシリ。クスっと笑える内容ばかりで、どれも見入ってしまいます。

 

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ほかにもガラスケースに入った精巧なジオラマや……、

 

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千両箱を抱えたえべっさんのような神様。その向こうには水が流れる小さな庭も。

 

怒濤のような情報量に、早くも頭がオーバーフロー気味。それにしてもどうしてこんなに店内がカオスなのかしら……。

 

私:お客さんを混乱の渦にぶっこむ店内ですが、これには何の理由が?

 

店員さん:品物が出てくるまでの時間を、楽しく過ごしてほしいという思いから、次第にものが増えていきました(笑)。少しアダルトな要素を入れているのは、お店が花街にあるので、そういった意味で洒落っ気を加えてみたんです。

 

たしかに万国共通でウケるネタだけに、評判は上々。外国人の観光客もいましたが、ヒャーヒャー笑っておられました。なるほど、このごちゃごちゃは趣向を凝らしたおもてなしだったというわけですね!

 

ハイカラ軽食「壹錢洋食」

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お店の謎も解けたので、店名にもなっている壹錢洋食をいただきましょう。

 

壹錢洋食とは、いわばお好み焼きの前身。大正から昭和初期にかけて、駄菓子屋のおばさんたちがダシ入の水で溶いた小麦粉を鉄板で焼いた生地に、刻みネギなどの具を乗せて焼いたものに、ソースをかけて提供していたおやつだったんだそう。価格はリーズナブルな一銭。当時はソースをかければみんな洋食! だったそうで、このハイカラな軽食に「壹錢洋食」なる名前がつけられて人々から愛されていたそう。

 

それがお好み焼きの発展にともなって一時は過去の食べ物に。しかし、安価で食べられるという手軽さ、なによりその味がなくなるのはもったいないと、初代社長が奮起。さらに、「どうせ食べるならもっとおいしいもんを!」と、新鮮な九条ネギや国産和牛などの厳選された食材を使うようになり、いまの形に落ち着いたんですって。

 

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▲グリーンティ 330円(税込)

 

まずは乾いたのどを潤しに、グリーンティをオーダー。あっさりと甘い飲み口のなかに、お茶の風味がふんわり。うーん、うまい。グリーンティとひやしあめは関西のキングオブドリンクやでぇ……。

 

お店のメニューはドリンクメニューがいくつかと、フードは潔く壹錢洋食のみ! ちなみにお水は店内にウォーターサーバーがあるので、自分で取りにいきましょう。

 

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壹錢洋食が焼きあがるまでの間、調理風景を見学することに。鉄板は通りに面する位置にあるので、誰でもその様子を見ることができます。

 

ダシで溶かれた小麦粉でつくった生地のうえに、かつおぶし、山盛りのネギ、卵、紅ショウガに天かす、味つけこんにゃくとちくわ、さらに国産和牛の薄切りをオン!

 

壹錢洋食の名前だけきくと「もしかして安っぽい……?」とあらぬ考えがよぎりそうですが、平成の世の壹錢洋食はなんとも具沢山でゴージャス! 8種類もの具材が使われているうえに、卵は2個も入っているんです。

 

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▲壹錢洋食 680円(税込)

 

席に戻って待つことしばし、やってきました壹錢洋食! 鼻孔をくすぐるソースの香りに、つぶれて押し出された卵黄……。匂いだけでなく視覚からも食欲をツツいてきます。ちなみに青のりではなく刻み海苔なのは、舞妓さんをはじめとする女性の歯に青のりがつくのを防ぐため。めっちゃ気ぃ使ってくれとるがな……。

 

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真ん中から箸をいれると、具材がギッシリ入っているのがうかがえます。わたしはこの細かく刻まれた味つけこんにゃくが大好き! 甘辛い風味とほどよい食感がアクセントになっています。

 

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なるべくいろんな具材を挟んで、ソースと卵黄をどっぷり絡めて〜パクリ。甘くてシャキシャキのネギ、味つけこんにゃくのプリプリした歯ごたえ、牛肉の肉々しさ……いろんな味が渾然一体となり、少し辛めのソースがその全てを包み込む! たまりません。これはたまりませんぞ。

 

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真ん中はもっちりした生地ですが、端っこはパリパリ。ふたつの食感が楽しめるところもイイ。

 

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はじめからソースがたっぷりかかってはいますが、もしも足りない場合は机の上のソースを使用しましょう。甘めと辛め、ふたつが常備されています。

 

壹錢洋食はお持ち帰りやお取り寄せも可能なので、全国でこの味を楽しむことができます。ただ、お取り寄せ用は安全のため、卵がしっかり加熱されているので、半熟のトロトロ卵とソースとのマリアージュを楽しみたいなら、ぜひお店での食事がおすすめ!

 

店舗情報

壹錢洋食

住所:京都京都市東山区祇園四条通縄手上ル祇園町北側238
電話番号:075-533-0001
営業時間:【月~土曜】11:00~翌3:00【日曜・祝日】10:30~22:00
定休日:なし

www.hotpepper.jp

※本記事は2016年5月の情報です。

 

書いた人:平山(通称:おかん)

平山(通称:おかん)

京都在住。編集者/ライター/たまにイラストレーター。大学時代のあだ名「おかん」がいまや通称に。阪神間の酒場をうろつくただの酒好き。酒場が好きすぎてたまに居酒屋やバルでバイトしてます。夢はスナックのママ。

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