【パリッコ】昼は牛かつカレー、夜は立ち飲み。どっちも1千円札でとことんハッピーになれる池袋「五坪。」

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すぐ行った、うますぎた、牛かつカレー

こんにちは、パリッコです。今回も調査という名の飲み歩き活動にいそしんでいきたいと思います。

先日、とある用事で妻と池袋へでかけ、さて用も済んだのでお昼でも食べるか、と街をうろうろしておりました。

 

「何食べようか?」

「最近『牛かつ』のお店ができて、すごい話題みたいだよ」

「あ、いいかも~」

 

なんて会話をしながら歩いていると、妻が道端にこんな看板を発見。

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ん、牛かつ!  ……カレー?

 

話していたお店からは少し距離があるし、そもそも「牛かつ“カレー”専門店」とあるから違うお店のようです。

こんな看板を見たのは初めてなので、比較的新しいお店なのかな? 話題が出た時点ですでに口は「牛かつモード」になっており、さらに僕の一番の好物である「カレー」まで合わさってしまっているという。こんな気になるお店、行ってみないわけにはいかないでしょう!

 

というわけで、

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すぐ行った

 

そしたら、

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うますぎた

 

そう、うますぎたんです! バカでっかい皿にたっぷりのサフランライスとカレーソース。これがヨーロピアン、つまり僕の大好きな「もったり系欧風カレー」で、味に深みがあって、甘味、辛味、酸味のバランスもバッチリ。生クリームと粉チーズがさらなるコクをプラスし、もう最高に大好きすぎるカレーだったんです!

 

経営者は話題店「カレーは飲み物」「壬生」のオーナー

そしてもちろん、気になるのはコイツの存在ですよね。

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牛かつ!

 

見ての通りのビッグサイズで、看板に「30秒アゲ」とあった通り、レアーな仕上がり。しかも肉はこだわりのサーロイン! 満を持して一切れ口へと運ぶと、香ばしい熱々の衣がサクッと割れた瞬間、とろけるように柔らか〜い肉から旨味がジュワッとあふれ出て、僕の知る限り最上級の幸福感が一気に押し寄せてきました!

 

う、うますぎる! 何度も言うけど、うますぎる~!

 

しかもこの牛かつ、カレーソースに付かないよう絶妙な位置に配置されてまして、別添えの、

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▲ワサビ醤油&特製ソース

 

でいただくこともできるんです! 肉本来のうまさをストレートに堪能したいならワサビ醤油。独自にブレンドされた特製ソースは、牛かつに付けてカレーのかかっていない部分のご飯と一緒に食べると進む進む!

さらに、こんな美味しい肉に対してだと背徳感すら感じてしまいますが、味の強いカレーソースにドボッとひたし、そのままご飯と一緒にかっこむと、ま~たまりません!

 

「こりゃ最強のカツカレーだ~!」「あ、でもワサビ醤油が一番好きかも……」「いやいや、ソースカツとご飯の相性も捨てがたい」なんて大騒ぎしながら(心の中で)、一心不乱に食べきってしまいました。

し、幸せだった……。こんな幸せが、上の写真を見返して数えて見た限りでも13切れ分も味わえるなんて……

 

しかもこの「ヨーロピアン牛かつカレー」、自家製のコールスローサラダも付いて、お値段なんと980円! そりゃ普段食べているランチから考えたら少々お高いですが、牛かつ単品、もしくはカレーのみの価格といわれても全然納得できるレベルの逸品ですよ。それが1,000円でお釣りまで返ってきてしまうなんて……

は~、久々にすさまじい満足感を味わえるお店と出会えました。ちなみに「ダブル牛かつカレー(1,290円)」「トリプル牛かつカレー(1,590円)」なんて悪魔的なメニューも存在し、僕はシングルで200%大満足しましたが、胃袋に自信のある方は挑戦してみてもいいでしょう。っていうか、ダブル、トリプル、輪をかけて安すぎますよね……

 

その後、半分中毒のようになってしまって何度か通い、店主の渡辺さんにお話をうかがううちに判明したことがあります。まず、こちらのお店は、同じく池袋の大評判店「カレーは飲み物」や、「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか」のキャッチコピーでおなじみの蕎麦店「壬生」などを経営するオーナーが、新しく2015年8月にオープンしたお店だということ。なるほど、こんなにもクオリティーが高く、かつリーズナブルなメニューを提供できる秘密はそこにあったんですね。

 

また、昼は上に書いた通りカレー屋さんですが、夜は1千円札たった1枚でハッピー「千ハピ」をコンセプトにした立ち飲み屋さんという、二毛作的お店でもあるそうなんです。

はい、ここでやっと連載の本題につながるわけですが、ランチでこんなに幸せになれるお店、夜だっていいに決まってるでしょう! そうです、これから潜入調査に行ってみようと、今回はそういうお話です。

 

IPAビールやオーガニックワイン、信州地酒などこだわりの品ぞろえ

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やって来ました。

 

あらためて、店名「五坪。」。

名前の通りカウンターのみの小さなお店です。

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▲昼とは違う大人の顔

 

場所は池袋東口。「美久仁小路」と並んで残る、昭和の香りを残す横丁「栄町通り」の入り口にあり、

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▲その一帯

 

がすでにめちゃくちゃ良い雰囲気なんですよね。飲みに向けての気分が高まります!

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「五坪。」の店内も昼間とは違う落ち着いた雰囲気。

 

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ずらりとそろう。

 

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珍しいビールに、

 

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オーナーの出身地、長野・信州のものを中心とした地酒。

 

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カウンターには燗付け機。

 

ろうそくで照らされた燗付け機にすずちろりが2つ。なんとも酒飲みの心を掴む光景です。昼間は大好物で胃袋をつかんでおいて、まったく、いくらなんでもつかみすぎ! って話ですよ。

 

メニューを見渡すと、珍しいIPAビール(インディア・ペール・エール・ビール。ペールエールという種類の中でも特に多くのホップを使った、強烈なパンチを持ったビール。メーカーによって様々な味のキャラクターを楽しめるのが特徴)、日本酒各種、オーガニックワインが少々といったラインナップ。

 

チューハイなんかを激安で出す立ち飲み屋さんとは違い、こだわりのお酒が適価で並んでいるという感じです。一方料理の方はものすごく安くて、「ポテトサラダ」「マカロニサラダ」などの100円を筆頭に、高くても350円までのおつまみメニューがたくさんそろっています。

 

お店のコンセプトが、1千円札でハッピー「せんハピ」とのことなのですが、つまり、良いお酒を1〜2杯、ゆっくりと味わって、美味しいつまみを数品。千円でベロベロの「せんベロ」とは違い、ほろりと酔って、ちょっと心がハッピーになるような、そんなお店というわけですね。

 

長野県の郷土料理「おたぐり」とは

僕はまず、初めて見る「志賀高原IPA」からいただくことに。S550円)、M800円)、L1,000円)と各サイズがありますが、小心者の悲しい性、いや、様子見で、Mサイズを。

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氷水でグラスを良く冷やし、

 

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むしろビール本体の味を邪魔するという泡を丁寧に取り除く、 

という、一杯のビールに対する情熱がひしひしと伝わってくる工程を経て、

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到着!

 

グラスを鼻の近くに持っていくと、ものすごくフルーティーで華やかな香りに驚かされます。ところが口に含むと、香りの第一印象ほど甘酸っぱいわけではなくて、キリッとした苦味が心地良く、スッと後味が消えてゆくような大人の味。

これは一口一口、大事に味わいたいビールだなぁ……

 

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こんな気になるメニューも。

 

「蜂の子」「いなご」「おたぐり」は、オーナーの出身地である信州由来のものだそう。中から、

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▲おたぐり(200円

 

を。そもそも「おたぐり」って何だ? って話ですよね。僕は知らなかったので店員さんに聞いてみたんですが、長野県の郷土料理で、馬の腸の煮込みだそう。「蜂の子」や「いなご」は育った文化の違いからか少々抵抗があったんですが、これは大変興味深いです!

というわけで頂いてみると、こっくりと甘辛く味の染みた馬のモツは、よく煮込みに使われる豚モツなどとも通じる食感なんですが、全く臭みがなく、味が濃厚でうまいです。すっきりとしたビールと対照的で、よく合う!

 

日本酒ファンにはうれしい純米酒の飲み比べセットも

さて、ここまでで使ったお金が1,000円。ゆっくり味わい、少し酔って小腹も満たされたところで、完全に「千ハピ」の意味を実感しました。

普段ならこれで帰っても良いわけですが、初めて来たこともあり、今日は貪欲に、もうちょっといろいろ味わってみたいと思います。

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小皿に有り金を投入!

 

そして、

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▲ポテトサラダ(100円)

 

うわ、これまた丁寧だな~。まったりと絶妙な味付けで、ゴロゴロ形の残ったジャガイモからしっかりと素材の風味を感じます。この値段、すごいな……

 

お酒は、

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▲米酒の飲み比べセット(750円)

 

をお願いしましょう。飲んだことのないお酒も多かったので、こういうセットがあるのはうれしいですね。奥から「居谷里」「大信州」「真澄」。

 

「居谷里」はすごく甘味があってワインのようでもあり、「真澄」はすっきりとフルーティー。「大信州」は、この中では一番どっしりと飲みごたえのある酒という印象で、僕はこれが特に気に入りました。

 

最初に頼んだビールとおたぐりを「1千ハピ」と考えると(勝手なルール)、2千ハピめはまだ850円しか使っておりません。というわけで、

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▲美味しいサラミ(200円)

 

を追加。合計で1,050円と、50円オーバーしてしまいましたが、

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まごうことなき「千ハピ」の図

 

これは幸せでしょう! ま〜たこのサラミのうまいこと! 普段スーパーで買ってつまみにしてるサラミとはまるで別物です。厚切りで食べ応えもあり、しっとりとしていて、生ハムのような熟成感というんでしょうか、味にものすごい深みを感じます。

 

オーナーが気に入ってイタリアから仕入れている、これまたこだわりのサラミなんだそうですが、他店ならとてもこんな価格でいただけるレベルのものではないような……

 

系列店から取り寄せてこさえた絶品つまみ「揚げそば」

はい! もう「2千ハピ」もしてしまって、すでに満腹に近いし、ほろ酔いも通り越し気味なんですが、今日は取材も兼ねているということもあり、もう少しだけ気になるものを味わっておきたいと思います。

 

先ほど、系列店にお蕎麦屋さんがあるという話をしました。実は僕、その「壬生」が大好きで、たまにお昼を食べに行っているお店なんですよね。特徴はガッシリとしたコシのありすぎる蕎麦なんですが、なんとここ、その壬生から、

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生蕎麦!

 

が届いて、それを

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揚げちゃう!

 

という、贅沢極まりない

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▲揚げ蕎麦(100円)

 

なんてメニューもあるんです! 正真正銘ここでしか食べられない、壬生ファンでさえ知る人は少ないかもしれない隠れた名品。カレー粉と塩で味付けられた蕎麦は、カリッと軽い食感で、これ以上ないおつまみです。

 

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▲メンチカツ(150円)

 

昼の牛かつがあれだけ絶品なんだから、揚げ物系も食べてみたくなってしまうのは当前のこと。これまた絶品で、けっきょくお酒が足りなくなり、飲み比べセットで気に入った「大信州」をグラスで追加し、まったく粋じゃない客となり果てて、とことんまで堪能しつくしてしまいましたとさ。

 

以上、昼も夜も本当におすすめな池袋の「五坪。」。これからも個人的に通わせてもらいたいと思います!

あ、ちなみにランチの「ヨーロピアン牛かつカレー」は、新しいお店ということもあって比較的待たずに食べられることが多いのですが、そのうちすごい行列店になってしまう予感がします。気になる方はお早めにどうぞ!

 

お店情報

五坪。

住所:東京都豊島区東池袋1-13-2
電話番号:非公開
営業時間:ランチ11:30~15:00、立飲み17:00〜22:00定休日:不定休

 

書いた人:パリッコ

パリッコ

DJ/トラックメイカー/漫画家/居酒屋ライター/他。FUNKY DANCE MUSIC LABEL「LBT」代表。酒好きが高じ、雑誌、Webなどの媒体で居酒屋に関する記事を多数執筆中。

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