話題の「みかんグラタン」を男の料理で作ってみたけど、これってプリンだよね?

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男はたぶん誰しもグラタンが好きなのだと思われる。俺も好きだ。

グラタン好きな男が嫌いだと言ったのは清水ミチコであったか。

 

なるほど確かにグラタンが好きであることを隠さないのは、ちょっとガキっぽく恥知らずな感じがする。嫌う女性がいるのもわかる。

しかし俺はグラタンが好きだ。今日もググってレシピを探したら、なんですか「みかんグラタン」というのは。みかんもグラタンも好きだし、味がまるきり予想できないので、これは作ってみるしかない。なにしろみかんグラタンを扱ってるお店は無いのだ。

無いものは自作する。それが男だ。これから男の料理を見せてやるから首洗って待っていろ。

 

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材料は、卵1個。 

 

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砂糖大さじ2。

 

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牛乳100cc。

 

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みかんは2個だが、シーズンオフのため缶詰で代用だ。

 

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まずは卵、砂糖、牛乳をボウルに入れる。

 

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手早く混ぜる。

 

あ、言うまでもないことだが、男のキッチンならばもちろん電動泡だて器で武装しているはずだな。

 

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ういーん。ヒャッハー!

 

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卵の白身が切れて、材料がしっかり混ざるまでかき混ぜる。百均で買った泡だて器は絶妙に「しなる」ので電ドラのトルクが多少高くても吸収してくれる。

 

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 泡だて器をドリルに付け替えて缶詰に挑む。

 

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俺の手にかかれば缶詰なんかあっという間だ。

 

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耐熱容器にみかんを入れる。おいしそうだが、つまみ食いってのは自制心の足りないヤツがすることだ。

 

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みかんを入れた耐熱容器に卵液を注ぐ。風呂っぽい。

 

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オーブントースターに入れて1200w、15分で焼きを入れる。火加減は大事である。今にして思えば、このときの俺には焼きを入れてやりたい。

 

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マグマの如く沸き立つみかんグラタン。みかんが熱せられたことで染み出してきたオレンジジュースが吹きこぼれそうである。オーブントースターはいままさに興奮の坩堝と化している。Oh! ニューヨーク!

 

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さっそく訂正だ。ニューヨークは「人種の坩堝」であった。

オーブントースターがチンっていったら濡れタオルの上に乗せ、ほったらかして粗熱をとる。

 

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諸君、見たまえ。いかにもグラタンらしい焦げ目。ここがおいしいのだ。そしていい感じに焼きの入ったみかん。こういう洋菓子、あるよね。

 

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男の料理は器にもこだわる。

 

かめはめ波、波動拳、無空波など、決定的な技の名前には「波」の字が多く使われる。状況を決定すべきこの皿の柄ももちろん波の字、「青海波」だ。

セーガイ波!

 

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……。

 

うまく型から抜けませんでした。

俺、もう腹斬って詫びるね。

 

しかしなんだこれは、卯の花か。

いや、レシピ通りだからこれがみかんグラタンなのだ。

火加減が強すぎたせいで「ス」(すき間)が入ってしまった。バカみたいな温度設定をした過去の自分を焼き尽くしたい。オーブントースターが灼熱ではないか。

 

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匂いは甘酸っぱい。ホットなみかんとプリンの匂い。

どれどれ、もぐりんちょ。

 

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あ、これはうまい。

東北の茶碗蒸しはやたら甘いのだけど、それっぽい。

グラタンならぬ東北風の茶碗蒸しではないか。

懐かしい。ママー。

 

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さらにバージョンアップした「みかんプリン」を開発してみる

「みかんグラタン」というレシピに触発されてこしらえたが、できたものはみかんプリンだった。

いやこれはこれでおいしいし、なにより男はプリンが好きだ。

しかも硬いプリンが好きだ。

 

最近のなめらかとかとろけるとか、そういうのは望んでないのだ。

卵が熱で固まった硬いプリンが好きなのだ。

 

ところで、実は我々は、このみかんグラタンレシピからとっくに極上のヒントを得ていたことに気づいているだろうか。

それはプリン用卵液の比率だ。

卵1

牛乳100cc

砂糖大さじ2

これ、有用なのでTumblrでQuartoするといいぞ。頼むぞ。

 

比率さえ分かればこっちのものである。

いろんな食べ物のレシピがあるけど、どれもこれも何人分で何グラムとか何ccとか書きやがって。

違うんだ。

材料の比率がわかれば人数の部分はこっちで計算するからさ、もっとシンプルで応用しやすいレシピにしてくれと、これ、男は常々イラ立っているところではないだろうか。

 

プリン卵液の比率は

卵1

牛乳100cc

砂糖大さじ2(12グラム)

これだ。

1・1・2。1・1・2。おお、聴こえる。『ウィー・ウィル・ロック・ユー』の「どんどんぱー」のリズムで1・1・2と聴こえてくる。

こうなればもう普通にプリンを作るのみ。

 

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カラメルの用意だ。

 

砂糖3グラムと水小さじ1をプリン容器に入れて

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様子を見ながらオーブントースターで焼く。

観察眼が問われるシークエンスだ。

茶色くなり始めたらオーブントースターから取り出し予熱でキメる。

カラメルは簡単に焦げるのでタイミングは重要だ。恋の駆け引きと同じさ。

 

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高熱の金属容器もラジオペンチでつかんで取り出す。刀鍛冶の気分。男の料理だからしかたない。

 

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男の料理はシンプルに進める。

計画段階からプランを練り、使う容器も少なく済ませて洗い物を減らす。

まずは牛乳100cc。

 

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そこに砂糖を12グラム。大さじってのがあいまいなのだ。砂糖は質量の絶対値でいって欲しい。砂糖大さじ2は12グラム。スティックシュガーだと計算も楽だ。ジス・イズ・ライフハック。TumblrでQuartoするならここもいいね。

 

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そして卵一個。

割れよ。

 

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この順番だと容器ひとつで済ませられる。イッツ・マイ・ライフハック。

 

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実はボウルよりもカップのほうが混ぜやすい。ボウルだと卵液が飛び散りそうになるのよね。

深みがある入れ物だとブインブイン混ぜても喫水線に余裕があるわけよ。

男の料理は理屈と合理性よ。

うはあ、回る。力を感じる。コリオリの力を感じる。

 

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白身もしっかり切れたし充分であろう。

下に落ちているのは材料がこぼれたのではない。

天使の分け前だ。

 

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キャラメリゼ済のプリン容器に卵液を注ぐ。パリパリとカラメルが割れる囁くような音が聴こえる。闇夜に雪が降るようなロマンチックな音さ。

 

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プリンは火加減が大事。今度は900度で11分焼く。

つまりプリンに加えられる熱は9900度だ。計算が合わない。

もうなんかぜんぜん違う。

 

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プリンの中からカラメルの汁が吹き出す。ブシューという音が聴こえる。

別府の地獄谷みたいですごくおっかない。泣きそうだ。

 

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焼きあがったプリンを釜から取り出す。

 

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ベイクドプリンの出来栄えを想像しながら粗熱をとり、

 

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冷蔵庫で冷やす。まるでプロの手際。

『おジャ魔女どれみ』見て、お菓子屋さんに憧れたことを思い出す。

 

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側面に焼きつきがあるのでバターナイフなどの鈍い刃物で周囲をぐるりんちょとしてから器にあける。

 

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やはりプリンに「ス」(すき間)が入ってしまった! 900度でも高いのか。

これ、誰か適切な温度と時間を教えてくれ! プリンおごるから!

 

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テイスティングだ。むむ、わりと理想のプリンである。

感動のあまり寝ぐせが巻き上がる。しかしちょっと足りない。なんだっけ。

 

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そこで危険ドラッグの一種であるバニラエッセンスを数滴加える。

危険ドラッグではない。

ダメ、ゼッタイ。

 

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これはうまい。巷じゃ、とろけたりなめらかなるプリンばかりだが、男が好きなのは甘い茶碗蒸しと区別がつかない、硬いプリンなのである。

欲しいものが無かったら自分で作る。DIYの精神である。

欲しいものが無ければ作ればいいのである。

ああ、お金が欲しい。

 

書いた人:鷲谷憲樹

鷲谷憲樹

フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。好きな立教OBは中島かずき。

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