
川崎にあるメーカー、かじのやの納豆を食べたことがあるかね。100点満点で120点つけられる納豆である。
たとえば1年365日ある中で、盆正月お誕生日を除いてまあだいたい350回納豆を食べるとしてだよ。毎回100点の納豆を食べるのと、120点の納豆を食べるのでは、1年で7,000点の差がつくことになる。年間7,000点って、つまり70回の「おいしい」を逃してることと同じことですよ。ですよね。
残念ながら納豆という食べ物は「おいしいから」という理由ではなかなか選ばれない。納豆って、スーパーでそのときに安いものを買う人が多いんじゃないかな。あまりにも当たり前のおかずであり、品質もおおむね横並びなので、どれを食べてもまあ納豆食べた感は得られちゃうもの。ましてや毎日のように食べる場合であれば、そりゃねえ、安いほうがいいわよねえ。
時計やスニーカーなどのブランドにこだわるように、納豆のブランドも気にするのがワンランク上の大人ってもの。もっと納豆を大事に、いやダイズにして欲しい。
そんな僕が「おいしいから」という理由で指名買いしている納豆ブランドが「かじのや」である。いろんなラインナップがある中でもとくに「からしも旨い! 小粒納豆」がお気に入りで、ひとくち食べるたびに「うまいなあ」と地の底から湧き出るような低音でうなるほどである。そんなお気に入りのブランドなのに、近所のスーパーで安定して在庫があるのが一店だけなのである。わけがわからない。どこでも売られるべき。なぜここまで売られてないのか、どうしてみんなかじのやの旨さを知らないのか。
カッとなったので、川崎の工場に併設されている直売店「豆の蔵」にカチコむことにしたのであった。

ここは小田急線の鶴川駅。新百合ヶ丘と町田の間にある。ここから南西方面に10〜15分くらい歩く。

橋が見えたら渡るぞ。

鶴見川を越える。

井戸などを横目に進んで。

この先に和光大学があるらしいので、時間帯によっては大学生のあとをついて行くと迷わずに行ける。道なりに進んでいくと目の前に急に現れるのがこの光景。

おおお、憧れのかじのやの工場。
煙突から立ち上るのは煙ではなく湯気。大豆を茹でたり蒸らしたりしてる湯気である。
ここから左フックの軌道で回りこむと見えてくるのが、この、この、

豆の蔵。
かじのや工場に直でつながる旗艦店である。

町に根ざしたまっとうな企業っぽい佇まいに信頼感マシマシである。この中に、あのおいしい納豆がどっさりあるかと思うと期待に胸がふくらむ。
ごめんくださーい、納豆くださいな!

おおおう……。こんなに……。

ごくり……。
これ、ご飯がすすむフレーバーなんだよな。

……じゅるり!
こんぶとかつおのダブル出汁なのか。

うわあああああああ!
ド定番の小粒!
麦の納豆は食べたことない。食べたい。すごい品揃えだ。

おいしそう、いま食べたい。ぜんぶ買いたい。うおおおおおお!
あっ!

ど、どうも。こんにちは。
株式会社カジノヤ、常務取締役の梶さんです。今日はよろしくお願いします。
「待ってましたよ」
やおら、単刀直入にうかがいますが、どうしてかじのやの納豆はおいしいのにウチの近所のスーパーではなかなか扱われてないのでしょうか。
「ひとえにうちの営業力の無さじゃないですかね、わっはっは!」
身も蓋もなさすぎですよ!
かじのやの納豆を間違いなく入手する販路としては、生協やパルシステム、生活クラブなどの食材宅配系のお店がおすすめとのこと。
もちろん店頭在庫があるスーパーも数多くあるにはあって、いまはイトーヨーカドーの木場店と溝の口店がおすすめだ。
クイーンズ伊勢丹や京王ストア、いなげやなどのスーパーにも入荷をしているらしい。というかお客さんの口コミで入荷するお店が増えていくんだそうだ。
「あるスーパーからの注文では、お客さんから『かじのやの納豆を買うために坂登って遠いスーパーまで行かないといけないんだよ』と言われたらしいです」
梶さんがこう言うように、お客さんの声で細かいサービスをする方針。
しそのり納豆や黒豆納豆、そして僕のフェイバリットである「からしも旨い!」など、納豆の種類が多いのもお客さんの声で開発を進めた結果だ。
「うちみたいな小さい会社のメリットは小回りがきくことですからね」
たしかに大きな工場で商品をひとつ増やすとなると大掛かりなシステム替えが必要ですものね。そうは言っても、ひとつひとつのクオリティの高さはいったいどうしたことですか。
「からしの場合は、辛すぎても辛くなくてもいけないので、分量などの調整は何度も繰り返しましたね。それに納豆ってタレやからしをパッケージに一緒に入れて発酵させるんです。だからわさびのように熱で味が変わるものをつけるのは、一般に難しいんですね」
なるほど。下のパネルでいうところの発酵熟成の部分ですね。40度で20時間の発酵。

「そうです。この中段左 ↓ の部分です」

からしやしそのりなどのオプションパーツの質の高さは、僕がマジでビビってるところではあるんですが、納豆そのもののボディの旨さもすごいです。
まず納豆がおいしい。これはなにかあるんですか。
「うちの特徴があるとしたら、国産の北海道大豆を使っていることと、蒸煮の時間を長くしていること、それに散布する納豆菌を少なめにしていることですね」
北海道大豆なのは理由があって、大豆は日本全国で採れるんだけど、北海道の大豆が最も納豆に向いているのだそう。九州の大豆は納豆の原料としてはたんぱく質が多すぎるらしく、豆腐には向いてるけど納豆はあまりおいしくならないんだって。

そして、大豆のふっくらさせる蒸煮の時間が長いのも旨さの秘訣。高い圧力をかけて蒸煮すれば短時間で済むけど、皮がむけたりして大豆が壊れることがあるからだ。同様に、使用する納豆菌が少ないと発酵時間が長くなるけど、そのぶん臭みや苦味がなくなる。
おいしい納豆をつくるために必要なポイントを押さえているわけだ。
国産北海道大豆使用、なんて売り文句はわりとたくさんあるし、納豆そのものの作り方だってそんな劇的な違いがあるはずもない。なのにこんなにおいしい納豆ができるのは謎だったのだけど、工程が丁寧なんだよね。これは納得。納豆だけに納得。
今回は納豆ダジャレをどれだけ入れられるかが勝負だと思っているぞ。

そして常務取締役・梶さんからのご厚意で大量の納豆をいただいちゃいました。ふぇぇ、こんなに食べられないよう。賞味期限になっちゃう。うれしい悲鳴が出ちゃう。
「冷凍保存するといいですよ。食べるときに自然解凍でオッケーです」
安心しました! 近所のスーパーでガンガン注文しますので、どこでも買えるようになってください、かじのやのおいしさを全国に思い知らせてください。
「ありがとうございます。でも一番になろうとか思っていないんです。いろんな納豆があって、その中で選択肢としてうちの納豆も選ばれればいい。そのほうが豊かじゃないですか」
梶さんは謙虚なことを言うが、自信がなければこの姿勢はとれない。
たまにスーパーで試食を出して、お客さんが「えっ?」となるリアクションがうれしいのだという。従来食べている納豆とぜんぜん違うから戸惑うのだ。わかる。納豆の味に明確な差が出るなんて思わないもんね、普通。
そして、梶さんの言葉で印象深かったのは、アレンジ納豆がたくさんあってどれもおいしいという話を振った時のものだった。
「いろんなアレンジは可能なんですけど、それがおいしい納豆である部分を守るのは難しい。日本の伝統食は難しいですよ」
目新しいバリエーションをつくるのは簡単だけど、それが納豆のアイデンティティを失っては意味が無いのである。アレンジ商品はあくまで納豆の中の一種であることを忘れてはいけないのね。
このへんふつうにいい話なので、ぜひTwitterでリツイートさせていただきたいと思っている。どんどんRTしてね!!!!

さあ、いただいてきた納豆でチームを組んだぞ。
フォーメーションは4−1−3−2。
スターティングメンバーを紹介していこう。

まずは4バック。かじのや初心者がネット購入するならこれがおすすめの4種パックだ。

左サイドから、「ひきわり」「小粒」「黒豆」「しそのり」。いずれもかじのやの代表作だ。

左上から反時計回りで、ひきわり、小粒、黒豆、しそのり。

ひきわりは上品な味わい。納豆巻きに向いていることからわかるように、焼き海苔と合わせて食べると猛烈なポテンシャルをあらわす。
小粒、しそのりはサイドハーフにもいるのでここでは割愛だ。

「黒豆納豆」は梶さんおすすめの食べ方があって、わさび醤油でイワすとおいしいとのこと。とくに酒のつまみに最適という。

意外な取り合わせに思えるわさび醤油だけど、黒豆のフレーバーが引き立ってうまいったらない。

左サイドハーフは「北海道小粒納豆」。
NATO弾で言えば9ミリパラベラム弾だ。普及型という意味でな!
受賞商品ということで、かじのやで最も売れているらしい。

大豆の旨さ、納豆ってこんなにおいしいんだと思える優等生でもある。ちょっと感動する。

チームの要(かなめ)、「しそのり納豆」。かじのやの代名詞でもある。

このしそのりたれが絶品なのである。白いご飯に乗っけた時にこの香りがぐいっと上がってくるのである。最も買いやすいのがコレかもしれない。

右サイドハーフは「大粒納豆」。
コンサバティブでオーセンティックな納豆には、筋金入りの納豆好きのファンが多いという。リーバイスで言えば501。品種改良による小粒大豆が出てくる前の元祖納豆の形をそのままに、かじのやクオリティのテイストで味わえる。

実際、大豆の味がしっかり楽しめる。最近はあまり食べることのない大粒大豆の納豆だけど、これはすごいぞ。大豆が甘いんだよね。

右のフォワードは「とろこぶ納豆」。タレにとろろ昆布と花かつおの出汁を使ったもの。いろんなメーカーがアミノ酸を強化したタレを出してくる中でかじのやの答えがこれ。

こんぶとかつお、イノシン酸とグルタミン酸の濃厚なダブル出汁を封入したタレが入っている。

このとろみがわかるかしら。うま味が納豆としっかり抱き合って、口の中でわ~ってなる。おいしすぎてボキャブラリーが減るほどだ。

左フォワードは「麦納豆」。大豆と大麦をブレンドしたもの。ハーフ選手ですな!

栄養的にミネラルと食物繊維が豊富な大麦使用で健康指向でもあるけど、通常の納豆とリズムが違う歯ごたえというか口当たりがおいしい。大麦がそのままの形で入ってるんですよ奥さん。

そして注目のスーパーサブ、「からしも旨い! 小粒納豆」が近所のスーパーから駆け込みで登場だ。
納豆のパックにはトッピングとしてからしが入ってるけれど、これを食べると、なぜ納豆とからしが合うのかをはっきりと知ることができる。からしがあることで納豆がしこたまおいしくなるのが実体験できる。

目からうろこが落ちるじゃないけど、寝ぼけてた舌の感覚が目覚める感じがする。
ぜんぜん違う。積極的に食べたくなる納豆なんて人生の中でありましたか。
みなさんにはぜひ近所のスーパーで客注かけて欲しい。口コミで言いふらすのもいい。かじのやの納豆がどこでも買えるようになるとなにより僕が助かるのだ。本件はそのための記事と言ってもいい。頼むぞ。
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