
誘蛾灯がごとく飲ん兵衛を集める深夜食堂
メシ通読者の皆さん、こんばんはー! ライターの川上です! 突然ですが、いま酔っていまーす!げへへ。
写真は出町柳の商店街。近くのお店で仕事の愚痴を言い合ってたら、見事、終電もとうに過ぎた時間になりました。これから歩いて北上しなければなりません。
京都市は左京区、とくに一乗寺付近に住む京都人ならば、この後大体が次のような会話になります。
A「あかん、早く帰って風呂入って寝んと。」
B「いやホンマに。でも頭ではわかっているんですけどね~。」
A「わかっているけど……」
A&B「〆に何か食べたい」
↓ ↓ ↓
A&B「高嶋に行くかー!!」
「高嶋」とは、一乗寺駅から徒歩5分にあるお食事処。一乗寺は関西屈指のラーメン激戦区として知られる地域ですが、高嶋ののれんには「うどん・そば」の文字がデカデカと書かれています。もうそろそろ、飲んだ後の〆でラーメンは厳しいものがあるのでね……(遠い目)。
左京区民は、もれなく飲んだあと高嶋のうどんが食べたくなるのです!「今日はまっすぐかえって寝る」と、どれだけ意気込んでも、この黄色い屋根を通るたびに足は左向け左。誘蛾灯よろしく吸い込まれて行く様はまさに“酔っぱらいホイホイ”。

▲1984年に一乗寺にオープン。それまでは北白川に店を構えていたそうです
〆のうどんってだけでも酒飲みはたまらないのですが、さらにもうひとつ、こちらのお店が“酔っぱらいホイホイ”である理由があります。それは何でしょう?
写真のお品書きが書いてある看板にご注目ください。

ん?

んん?

営業時間、PM7:00~AM4:00……
AM4:00!!! ナンダッテー!?!?
そう、なんと営業時間が朝の4時まで。その時間帯、もちろん周りのお店は閉まっていて真っ暗。にも関わらず、日が昇るギリギリまで、ここだけは煌々と明かりが灯されています。街をゾンビのように徘徊する「終電を逃してしまったがまだまだ帰りたくない」ダメ人間たちをあたたかく受け入れてくれる……そう、それが、我らが深夜のオアシス高嶋!
わたしは学生時代から一乗寺近辺に住んでいるのですが、大学生の頃、繁華街でしたたかに飲んだあと、タクシー代がもったいないからと、よく仲間とトボトボ鴨川を北上しました。で、高野の交差点付近まで来たところで(地元民しかわかんなくてスミマセン!)誰かが「高嶋行かへん?」と悪魔のささやき。速攻で全員が白旗あげて、高嶋で夜食を食べたものです。完全にタクシー乗り合わせてまっすぐ帰った方が安くついたはず……。
おっと、思い出話はさておき、早速店内に入りましょう。

こんばんはー。(扉ガラーッ)

店のなかはこんな感じ。飾りっけのないレトロな店内。なんだか懐かしい気持ちになりますね。
歩いてきたためお腹もぺこぺこ、よし食べますか! すみませ~ん、うどん定食ください。ちなみに、お水はセルフサービスなので、自分で取りに行きましょう。
深夜にガッツリ! 背徳感でウマさ倍増

▲うどん定食(コロッケ付)750円
5分ほど待ったところで、「はいよ、うどん定食おまたせ」とご主人が運んできてくれました。ふぉ~、これこれ。これだよ! 我々の身体が求めていたのは。

▲湯気でくもるメガネ
ふーふー、はふはふ……。夜風で冷えた身体に、あたたかいダシが染みわたります。
こちらお品書きの表面。見よ、このうどん・そばの種類の多さ。あま~いきつねにするか、具たくさんのしっぽくにするか。カレーってのもいいよな……。「これを食べる!」と決めて入店するものの、いざメニューを見てしまうと迷う優柔不断殺し。

しかし、高嶋のポテンシャルはうどんだけじゃないんです! 深夜営業にもかかわらず、メニューがめちゃめちゃ豊富。
ペラッと裏面。

チキンカツやトンカツ、さらにハンバーグやクリームコロッケなど洋食もズラリ。
いやー、お品書きを眺めているだけでお腹が空いてきますな。というわけで、お店で一番評判というカツ丼も頼んじゃいました。エヘへ♡(現在AM1:30)

いっただきまーす!

▲カツ丼 800円
カツはしっかり肉感があるのに油っこくなく、さっぱりとしたお出汁がじゅわ~っと染みて……。ふわふわの卵との相性は抜群。この時間でもペロリといけちゃいます。うんめぇ。一緒に提供されるお味噌汁とお新香が、よい小休止になって箸が止まりません。

思いっきりがっついたあとは満腹のお腹をなでつつ、テレビを見ながらホッとひと息。深夜のテレビ番組って、やけにくだらな面白くてずっと観てしまいますよね。ええわぁ~、この時間。ともすればウトウトしてしまいそうです……。
いかん、寝落ちしてしまう前に、高嶋最大の謎である「なぜ営業時間が朝4時までなのか」の答えを探るため、ご主人に突撃しましょう。
お客さん思い! 朝まで営業の理由とは
ご主人は約40年前に脱サラをして高嶋をオープンし、現在は奥様と二人三脚でお店を支えていらっしゃいます。「写真はあんまり好きちゃうなぁ」というご主人の代わりに、店内カウンターに鎮座する、たぬきのお写真でお送り致します。

▲ポンポコポン
──なぜ定食屋さんなのに、朝方まで開いているんですか?
お客さんの『もう少し長く店を開けてほしい』という要望に答えて、1時間ずつ営業時間を延ばしたら結局朝4時になってしまいました。昔はお昼に出前もしていたんだけどねぇ、朝方まで店を開ける代わりに、夜7時からの営業にしました。
──昼夜逆転生活を送っているわけですね……
そうやねぇ。最初は品もうどん、丼、定食のみやったけど、お客さんがお酒に合う一品もほしいと、どんどんメニューが増えていきました。

▲壁にかけられた一品メニューの数々。「とり唐」(300円)や「じゃこおろし」(300円)など、お酒のつまみにぴったりな料理ばかり
ご主人は普段からお酒を飲まないため、お酒を好きな人がどんな料理を合わせて食べたいのかわからず、「こんなんほしい」というリクエストに答えていったらしいです。ご主人飲まへんのにやさしすぎるやろ。神かよ。
実際、夜もさらに更けてくると、周辺の飲食店で働く方や、そのお客さんたちがビールを片手に談笑する姿が見受けられました。
「せやからお食事処やけど、夜中は居酒屋みたいにもなるね。他にも小さいお子さんがいる家族や学生さんなど、いろんなお客さんに来てもらっています。」
と、微笑みながら話してくれたご主人。ご主人のやさしさが、お店の営業時間にも、料理の味にもあらわれているんですね!
これからどんどん夜が長くなって、まだ寝たくないなぁ、まだ家に帰りたくないなぁ、という夜が増えてきます。そんな時はぜひ、高嶋においでやす。酔っぱらいの人も、人の温かさに触れたい人も、ぜんぶまーるく包み込むような心地良さがここにあります。
店舗情報
お食事処 高嶋
住所:京都府京都市左京区一乗寺赤ノ宮町22-1
電話番号:075-781-1514
営業時間:19:00~翌4:00
定休日:日曜日
※本記事は2015年9月の情報です。



