【コーヒーを通っぽく表現する|ケニア編】酸の三段活用を覚えよう

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サードウェーブの隆盛で盛り上がっているコーヒー業界。

今年の3月、清澄白河にサードウェーブの旗手『ブルーボトル・コーヒー』の日本1号店がオープンしたときには大行列が出来て話題になりました。他人ごとのように書きましたが筆者もその中にいた一人。

 

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こちらがそのときの写真。

2時間待ちだの、2時間半待ちだのと騒がれていましたがウソです。
筆者は朝の11時半に行って、コーヒーが飲めたのが夕方の4時。

4時間半待ちでした!

コーヒー1杯に4時間ってアホか! という人もいるでしょうが、コーヒー好きにとってブルーボトルの上陸はお祭りみたいなもの。その場に居合わせること自体が嬉しいのですから、何時間待ってもいいのです!

さてヒートアップするコーヒーの世界ですが、一部のコーヒー好き以外はコーヒーの美味しさをきちんと理解していないのではないかと思わせる出来事に先日、遭遇しました。

たまたま、カメラマンの大槻クンとブルーボトルの青山店に入ったときのこと。

2人ともハンドドリップのケニアをチョイス。ケニアの豆と言えば定評があります。そしてブルーボトルだけあって、その中でもクオリティの高い豆。

さすがの味わいに納得しながら、大槻クンに感想を聞いてみたところ次のような言葉が返ってきました。

「んー、すっぱいっすね」

え! それだけ?
もう少しなんかないのか!?

 

これさえ読めばアナタもニワカコーヒー通!

コーヒーの味を「テロワール」と言います。直訳すると微気候。産地の独特の気候が特徴的な香味を生むということ。

もともとワインの用語を援用したものです。コーヒーの味の表現ーー官能表現と言いますーーも、ワインの世界に習う形で確立されつつあるところなんですね。

つまりまだ確立されたわけではないので、大槻クンがすっぱいのひとことで済ませてしまうのもいたしかたないとも言えます。

しかし、逆に言えば、ちょっと勉強するとコーヒーのテロワールについて、すぐに専門家っぽく語れるようになるということでもあります。

誰かとちょっと息抜きに入ったカフェで、コーヒーの味について通っぽく語ってカッコつけてみたいと思いませんか?

そんなアナタのためにコーヒーのテロワールを通っぽく語るための教室を開講いたします。

 

日頃の暮らしの中で使える、コーヒー通っぽいひとことフレーズをご教示。
これさえ覚えればアナタも今日からニワカコーヒー通!

さて、生徒としてこの方をお招きいたしました。
問題の大槻クンです。今回、写真も撮ってもらいました。
大槻クン、今日はよろしくお願いします。

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大槻「はあ、どうも……。(べつにコーヒー好きじゃねえし)」

そして今日、ご用意した豆はこちら。
これも問題のブルーボトルのケニアです。

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薄い茶色をしていて、かなりローストが浅いことがわかります。


左が別のビーンズショップで買った深いローストのケニア。ぜんぜん違いますね。

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今日はこれを、こちらの「CHEMEX(ケメックス)」でドリップしていきます。

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ケメックスはアメリカの科学者、ピーター・シュラボーム博士によって1941年に開発されたコーヒー・ドリッパー。実験室で漏斗とフラスコを使ってコーヒーを淹れていたことをヒントに考案されたそうです。

機能はもちろん、スタイリッシュなフォルムということもあって多くのサードウェーブ系のカフェでも採用されています。今日はペーパーフィルターを使いますが、カフェでは使い回しがきくメタルフィルターを使っている事も多いですね。

メタルフィルターの場合、ペーパーよりも目が粗いので微粉が入り、またペーパーと違ってコーヒーオイルが吸着されないため、まろやかでコクのあるテイストになります。

逆に、ケメックスの専用ペーパーフィルターは厚手でしっかりしているため、これを使うとスッキリとしたクリアなコーヒーになります。

さて、ここで通っぽいひとことフレーズ!

 

「ここは金属フィルターを使ってるからまろやかなテイストだね」

 

ハイ、大槻くんも一緒にーー。

Say, “ここは金属フィルターを使ってるからまろやかなテイストだね”

大槻「……」

大槻クン??

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おい! 猫と遊んでるんじゃない!

 

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大槻「ああ、ハイ、聞いてましたよ。えーと“金属アレルギーでうんたらかんたら……”」

人の話はちゃんと聞こうな……。

気を取り直して淹れていきますよ。
まずはヤカンで沸かしたお湯をドリップ用のポットに移して冷まします。
ついでにカップにもお湯を注いで温めておくと通っぽく見えますよ。
ご家庭でドリップする際にはやってみてください。

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何度くらいのお湯で淹れるのがいいかについては、90℃ちょっとから80℃ちょっとまで諸説あります。

低い温度で淹れたほうがいいというのは、あまり良くない豆を使った場合に雑味を出さない工夫と考えられます。

スペシャルティコーヒーと言われる良い豆を使う場合は高めの温度で構いません。そんなに神経質にならなくてもカンカンに沸いてる状態でなければ大丈夫。

コーヒーは温度によって味の感じ方が変わってきます。高めの温度で淹れたほうが、高い温度から低い温度へと冷めていく過程で味の変化が楽しめます。

温度による味の変化を意識すると、よりコーヒーの奥深さを楽しめますよ。

さて、ここで次の通っぽいひとことフレーズです!

 

「冷めてきたら、味の特徴が明確になってきたね」

 

さあ、大槻クンも一緒に!
Say, “冷めてきたら、味の特徴が明確になってきたね”。

大槻「……」

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だから、猫と遊んでないで話を聞けよ!

もう大槻クンはほっといて、どんどん淹れていきましょう。

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爽やかな香りが漂ってきました。

ケニアの香味の特徴は爽やかさです。

コーヒーの味には酸と苦みという2つの大きな要素があります。このうち苦みは焦げの味ですから、ローストを深くすれば濃くなります。ただし、しっかりした酸のない豆を深くローストすると酸が感じられなくなるので苦いだけのコーヒーになってしまうのです。

ケニアはしっかりした酸があるので、深いローストでは酸とコクのバランスが取れた奥深い味わいが楽しめます。

一方、今日のブルーボトルに代表されるサードウェーブ系ではごく浅いローストが多く、この場合はフレッシュな酸味が前面に出ます。

 

酸をどう表現するかがポイント!

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さて、そうこうしているうちに出来上がりです。

ローストが浅いため色も薄め。香りにも爽やな酸が感じられます。

さきほども言ったようにケニアの特色は、しっかりした酸。ですから、初めに大槻クンが言っていたすっぱいという感想も間違ってはいません。

ただ、酸にも爽やかな酸もあれば、後味の悪い嫌な酸もあります。コーヒーの官能表現の重要なポイントの一つが、いかに酸を表現するかということなのです。ただし、コーヒーの官能表現はまだ共通認識が完全に出来上がったわけではありません。

ワインのように「秋の森の中を歩いていく少女が踏んだ落ち葉のような香りーー」とかいうような文学的な表現をしてもただのハッタリだと思われます。

以前、日本のスペシャルティコーヒー界の第一人者の話を聞いたことがありますが、コーヒーの酸の表現は、以下のような段階を踏むとだいたい間違いがないそうです。

 

①爽やかな酸→②華やかな酸→③果実のような酸

 

③がもっとも良い酸で、コーヒーによって柑橘系の酸であったり、ベリー系であったり、リンゴだったりと様々な果実に喩えられます。

コーヒーを飲んで褒める時に言葉が思いつかなければ、とりあえず「爽やかな酸のある良いコーヒーですね」と言っておけば問題ないんだそうです。

さあ、また使える通っぽいフレーズが出てきましたね。

 

「爽やかな酸のある良いコーヒーですね」

 

さて大槻クン、以上の話を踏まえた上でコーヒーを飲んでみてください!

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大槻「うーん、言われてみるとフレッシュでジュースみたい! 美味しいっす」

おお、素晴らしい学習効果!

レモンのような柑橘系の酸のあるケニアは浅いローストだとフレッシュでフルーツジュースのように爽やかなんです。

サードウェーブのカフェはケニア以外の豆も浅いローストにすることが多く、フレッシュでクリアな味わいを大切にするため、口が悪い人は「コーヒー屋というよりジュース屋さん」なんて言います。ちなみにシアトル系のいわゆるセカンドウェーブのカフェはラテなどミルクを使ったメニューが多いため「牛乳屋さん」と揶揄されることがあります。

さて、最後の通っぽいひとことフレーズです。

 

「“サードウェーブはジュース屋さん、シアトル系は“牛乳屋さん”なんて言う人もいるけどね」

 

今日はたくさんの使える通っぽいフレーズを学びましたね。
皆さんもさっそくカフェで使ってみてください。

大槻「……」

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だから猫と遊んでんじゃねえよ!

 

書いた人:宇田川しい

宇田川しい

コーヒー・ライター。東京都出身。和光大学中退後、編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーランスに。元アル中で、断酒後、コーヒーにハマる。ゲイ・ライターとしてハフィントンポスト日本版でLGBT関連の記事を担当する。年齢非公表。

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