初々しい新婚生活も、はや1カ月過ぎた。仕事から帰ってくると用意してある嫁の手料理があれほどうれしかったのに、今はまったく箸が進まない。
……なんで、なんで毎晩ツナマヨなんだ!!!!
米でも、麺でも、パンでも、全部にツナマヨぶっこんでくる。決してまずくはないけど、こう毎日だとツライものがある。フルタイムで働く彼女にあまり文句は言いたくないけど、気が付いたらツナマヨのループ……。
あれ? 僕、何かの修行中だったっけ?
そう思ってやんわりと尋ねてみると、「知らなかった? 私、世界で一番ツナマヨが大好きなの」と言うではないか。結婚してから料理を始めたし、料理自体も得意なわけではないんだろうなぁ。「明日から僕が作ろうか?」という提案に、「助かる~。でも、毎食ツナ缶は必須、マヨかチーズも一緒にお願いね」と嫁。
(突然に始まりましたが、もちろん完全妄想ストーリーでお届けする今回の「ツナ缶着回しコーデ術」。調味料も材料も手に入りやすいもので、5日間分のツナ缶とマヨネーズ or チーズを必ず使った一品を作ります)
こうして、嫁と夫のツナ缶週間が始まったのだった。
【月曜日】野菜のシャキシャキ感がサイコー「ツナマヨのサラダ奴」
夕飯を担当することになった初日。誰かに手料理なんて振舞ったこともないし、失敗の少なそうなレシピから作ってみよう。毎日のツナマヨの反動で、さっぱりした料理を食べたいということで、生野菜と豆腐で手軽な一皿を用意した。
〈材料〉(2人分)
- ツナ缶:1缶(油を切る/以下同)
- マヨネーズ:食事用スプーン2杯
- キュウリ、トマト、ネギなど好みの生野菜
- 絹豆腐:好きなだけ
- 黒コショウ:少々
▲野菜を細かく切ってボウルであえるだけ
キュウリ、トマト、ネギなど、好きな野菜を小さめにカットして、ツナとマヨネーズとあえて、絹豆腐にのっけるだけ。仕上げに黒コショウを振ると、味にメリハリがつく。
▲混ぜてのっけるだけで超簡単
▲シャキシャキ感が最高
ツナマヨだらけの生活から一転、久しぶりの生野菜の食感に涙が出そう……。
野菜のおかげでツナマヨもさっぱりとしていて、熱くて食欲がない日でも一人で豆腐一丁は食べられそうだ。肝心の嫁は、「サラダ感覚でヘルシーだけど、こってりしたツナマヨの感じが最高よね~」と、大好きなツナマヨ基準で感想を伝えてくれた。
【火曜日の朝】ツナマヨおにぎりは今日で卒業! 昨日の残りで冷やしだし茶漬け
自分はオフィスで食べていたから知らなかったけど、嫁は毎朝ツナマヨおにぎりを食べて出勤しているらしい。だから、今日は昨日の残りを使って、食欲のない朝でもサラッと食べられる一品を作ろう。
〈材料〉(2人分)
- 液体だし:レンゲに一杯
- 冷ご飯:茶碗に一つ
- 昨日の残り:好きなだけ
- 水:適量
- ワサビ:少々
▲お椀に液体だしを入れて好みの味の濃さになるまで水で割る
昨日のツナマヨサラダも入れるので、少し薄めでも大丈夫だ。だしができたら、冷蔵庫から出したまま冷ご飯を入れ、残り物のツナマヨサラダ、ワサビをトッピングして完成。
▲ワサビをトッピングして
▲意外だけどマヨネーズとカツオだしって相性いい!
あえて冷ご飯を使って、冷たいままで食べるのがポイント。こうすれば、ツナマヨサラダとも違和感なく食べられるのだ。嫁は「ん、んまっ」と、あっという間に完食。おそまつさま。
【火曜日の夜】簡単ウマい、ツナとなめ茸の釜玉チーズスパ
今朝の冷やしだし茶漬けに手応えを感じたので、今夜は少し頑張ったレシピにしてみようと思う。
〈材料〉(2人分)
- ツナ缶:1缶
- パスタ:2人分
- なめたけ:瓶半分
- スライスチーズ:2枚(熱で溶けやすいタイプ、粉チーズでもOK)
- 卵黄:2つ
- チューブのニンニク:4cmくらい
- 大葉:4枚
- 黒コショウ:少々
▲なめたけとツナの塩気だけで味を作る
パスタをゆでながら、ボウルにツナ缶、なめたけ、スライスチーズ、ニンニク、卵黄を入れて、混ぜ合わせておく。
▲おっとチーズを忘れるところだった
▲溶けやすいようになるべく細かく手でちぎっておく
▲ゆで上がったパスタをボウルに直接イン!
▲素早く混ぜ合わせたら皿に盛りつけ、黒コショウ、刻んだ大葉をトッピング
▲お好みで醤油やめんつゆを垂らしてもGOOD
「これはずるいよ…」とこぼす嫁。どうやらパスタを巻く手が止まらないらしい。それもそのはず、ツナと卵黄のまったり感に、チーズとニンニクの風味をガッツリ効かせたので、食欲MAX! なめたけと大葉の和風味もいい感じだ。今度はうどんやそうめんでも試してみたいなぁ。
【水曜日】三日坊主と言わせない! ラーメンスープでツナミルフィーユ鍋
今日は残業ですっかり遅くなってしまった。もちろん何を食べるかなど考えている余裕もなく、足早に家路に着くと、そこにはキッチンでお湯を沸かしている嫁が。
「おかえり。はやくも三日坊主になりそうだね~」といいながら、ヤカンの横にはインスタントラーメン。しかも、ご丁寧にトッピング用のツナマヨをすでに用意済み。
ムッとするのを抑えて、嫁をぎゃふんと言わせるべく、すでに沸かしたお湯と、ラーメンのスープでツナ料理を作ってやろうじゃないか。
〈材料〉(2人分)
- ツナ缶:1缶
- 白菜:6枚
- スライスチーズ:3枚
- みそラーメンのスープ
- 水:袋に書いてある分量の半分
- 七味唐辛子:お好みで
▲2枚の白菜にツナとチーズを挟む
▲5等分にカット
▲鍋に円形に敷き詰める
味付けは、みそラーメンのスープだけ。水を規定量の半分だけにしておけば、白菜から出る水分とでちょうど良くなるはずだ。最初はなるべく濃い目にしておいた方が嫁は喜んでくれるだろう。
スープが沸騰したら白菜が柔らかくなるまで、ふたをして5分ほどさっと煮る。
▲お好みで七味唐辛子を振って完成
▲チーズと白菜のだしがスープに溶けていい感じ
一口食べると、嫁が目をカッと見開き、「この食べ方いいね! 白菜はトロトロだし、チーズとツナのだしが溶け出てスープもマイルド! みそラーメンのスープってところがミソだね」とうっかりダジャレが出てしまうほど大絶賛。
どうやら濃い味好きの嫁のハートを射抜いたらしい。残ったスープで、〆のラーメンも食べて満腹だ。
【木曜日】チーズもマヨネーズも見当たらない! ツナのたぬき丼風でけんか勃発!?
三日坊主にはならん! と宣言したものの、毎晩の夕飯作りがこんなに大変だったなんて……。思わず、毎日手作りの弁当を持参している同僚に愚痴をこぼしてしまった。
「毎日弁当を作ってきて、すごいよな」と彼を褒めながら、夕飯のアイディアを聞いてみた。
すると、同僚が弁当箱の卵焼きを指して、「卵にマヨネーズを入れるとフワフワになる」と教えてくれたので、これをいかした料理を作ってみようと思う。
〈材料〉(2人分)
- ツナ缶:1缶
- 卵:2個
- タマネギ:半玉
- 天かす:好きなだけ
- めんつゆと水:1対4
- マヨネーズ:食事用スプーン2杯
- サラダ油:適量
- ご飯:1合
- ネギ:お好みで
▲まずフライパンにサラダ油をひき、スライスしたタマネギを炒める
▲しんなりしてきたらツナと天かすと水で割っためんつゆを入れる
▲マヨネーズと卵はあらかじめ混ぜ合わせておく
▲煮たったところに卵液を投入。半熟に仕上げるのがポイント
▲ご飯をよそった丼に盛り付けて完成。ネギはお好みで
嫁が食卓に座ったまま、何も言わずに下をうつむいている。「どうかした?」と言いかけると、「あなたはいつだってそう!」と激怒し、寝室に閉じこもってしまった。どうやら、マヨネーズとチーズが見当たらないので、僕が約束を破ったと思ったようだ。
ドア越しにすすり泣く声が聞こえるなか、「約束は破っていない。溶き卵の中にマヨネーズを使っているから食べてみて」と必死に説得。
▲しぶしぶ出てきた嫁が無言で一口
まぶたを閉じ、米を一粒一粒かみ締めるようにゆっくり咀嚼(そしゃく)している。何なんだ、この緊張感は。目の前の嫁がだんだん海原雄山に見えてきたぞ。
「……卵がなめらかで、マヨネーズの味はしないけど舌触りがなめらか。軽い食感ね」とこなれた食レポが飛び出したところで、無事仲直り。そろそろ彼女もツナマヨを卒業できるかもしれない。
【金曜日】ツナとチーズのガリバタ厚揚げで乾杯!
1週間の中で、金曜日は僕たちにとって特別。酒好きの嫁と一緒に晩酌をする日なのだ。仕事を早めに切り上げ、新生活のために用意していたのに、ツナマヨばかりで使っていなかったオーブントースターで、ビールに合う料理を作ってみよう。
〈材料〉(2人分)
- ツナ缶:1缶
- 厚揚げ:一丁
- スライスチーズ:1枚
- チューブタイプのにんにく:適量
- バター:適量
- ネギ、黒コショウ、醤油:お好みで
▲厚揚げにさいの目状に切り込みを入れる
▲切り込みにチューブのにんにく
▲ツナを入れ込む
▲バターとチーズをのせたらトースターで6~7分で完成
▲ネギと黒コショウはお好みでトッピング。簡単なのに超ビールが進む!
▲醤油を垂らすとなおよし
ビールと相性バツグンだと酒好きの嫁も喜んで食べてくれた。すると、「ツナってこんなにバリエーション豊富に食べられるのね。あなたって、すごいわ!」と感激しているではないか。
献立作りがいかに大変だったか身をもって知ったので、嫁にこれまで食事を用意してくれたことに感謝を伝えた(ツナマヨばかりだったけど)。すると彼女が目を輝かせながら、「明日からは私がご飯を用意するわ。まずはあなたみたいにツナ料理を極められるようになるね!」と張り切り、ビールを吹き出す僕。
まだまだツナ缶生活は続きそうなのであった……。
(いかがでしたでしょう。どれも手軽に簡単な材料でできるので、ぜひ試してみてください~)