和菓子には何かが足りない。そうだ、オジサンをくわえよう【別視点ガイド】

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日暮里のお菓子屋さん「江戸うさぎ」の店長さんから1通のメールが届いた。

以前ブログで紹介したこともあって顔なじみだ。

 

「ご無沙汰しております。新作和菓子を作ったのですがネーミングに苦慮しております」

メールの内容はそんな感じ。意見をもらえないかとのこと。

 

力になれるなら、意見ぐらい。

名前を考えてみようと添付の写真を開く。

 

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なんだ、これは……。

 

 

 

こんな和菓子、見たことない。

黄色い球体のうえでノコギリを持つ小さいオジサン。

この食べ物にどんな名前を付けたらいいんだ。たしかに見当もつかない。

 

ひとまずお店にうかがって、こいつがいったいなんなのか、聞いてみることにした。

 

和菓子の概念が変わる「妖怪★いちご大福」

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▲妖怪★いちご大福(260円)

 

新商品の前に、まずは定番商品から紹介しよう。

 

つぶらな瞳、もちもちのお肌、ぴょろっと飛びだしたイチゴ……。

このキャラクターは「妖怪★いちご大福」。

谷中霊園からやってきたイチゴ好きの妖怪という設定だ。

 

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コンビニのレジ横で100円の大福が売っている時代。

人通りの少ないお店にわざわざ足を運んでもらうには、面白いものを作らなければという発想だ。

当初、社内では「気持ちわるいよ!」と反対意見が多数だった。

 

しかし、いざ発売してみると「かわいい」「元気になる」と評判を呼び、1日 200~300個売れる定番商品になった。

 

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オリンピック会期中、日本選手が金メダルを取るたびに、頭に金箔をつけていた。

かわいいビジュアルがウリなので、「ヒゲ剃り」と称して大福についたイチゴの毛はつまようじで取っている。

カワイイは作れるじゃあないが、美のメンテナンスに抜かりがないアイドル大福なのだ。

 

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▲ロウ見本(1,080円)

 

東京メトロのCMにも登場した「妖怪★いちご大福」。

月に1個売れるかどうかのロウ見本も、CM効果で20個売れた日もある。

  

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▲話しをうかがった横尾さん(「江戸うさぎ」店長)

 

会議室には、石原さとみさんが「妖怪★いちご大福」を片手にほほ笑むCMポスターが貼られていた。

「石原さんをバックに打ち合わせすると、みんなそっちばかり見て話しが進まないので……」と店長の横尾さんは座る場所を調整していた。

 

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▲妖怪さくら餅(200円)

 

夏季限定の「水大福」など妖怪ファミリーは徐々に増えている。

一番最近仲間入りしたのが「妖怪さくら餅」。ほっかむりをした生活感が渋い。

 

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現在は「妖怪みかん大福」を試作中。

大福用に栽培された小さなみかんがまるごと1つ入っている。

あんこは白あんとこしあんだ。

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頭上に乗っかるみかんは、脳みそなのか、鼻なのか。

「いまだ迷走段階」とのことで、来シーズンの販売を見越して、もっか開発中だ。

 

和菓子にオジサンをくわえよう!

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▲黄身しぐれ(260円)

 

さて、本題のこのお菓子である。

 

ベースとなっている黄色く割れた和菓子は「黄身しぐれ」という。

黄身あんにお米の粉を混ぜて蒸しあげたもの。甘くてしっとりしてて、卵の香りが香ばしい昔ながらの和菓子だ。うまい。

 

「『黄身しぐれ』はおいしいけれど、若い人に『なにそれ』と流されてしまいそう。なにかが足りない」と感じた横尾店長。

そこで一計を案じた。

 

「そうだ、洋菓子みたいに、小さなオジサンをくわえよう」

「黄身しぐれ」を鉱山にみたて、金の採掘をしてるイメージだ。

 

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そうして出来上がったのがこの商品。

 

このオジサン、名前を「パピオ」と言う。

 ポッキー、プリッツ、ピノ、ポリンキー。売れてるお菓子はパ行が多い。

「パピコのように有名になってほしい」との願いをこめて、パピオと命名された。

 


案の定、和菓子の職人さんからは「ふーん」と軽くあしらわれたとか。

「唯一、今年入った新入社員の子が、社交辞令で笑ってくれました」

 

パピオの前途は、なかなかに険しい。

 

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「フィギュアケースに入ってるガンダムとか、ああいう世界観を目指しているので、フィギュア和菓子、カプセル和菓子がネーミング候補です」とのこと。

 

ノコギリやおのを持って、せっせと働いてるので「伝統和菓子の破壊者」という名前を提案したが「和菓子を作ってる皆さんから怒られちゃう!」と却下された。

そりゃ、そうか。

 

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▲美尻(260円)

 

こちらは芸者さんのお尻をイメージしたお菓子「美尻」。ぷりっとした食感の上生菓子。

あのファビュラスでおなじみ叶姉妹がブログで紹介したそうだ。

 

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尻型の和菓子というだけでけっこうな情報量だが、さらにパピオが加わったバージョンも誕生している。

「ただでさえ割れ目があるのに、さらに割っちゃうんですよ」だそうだ。

 

どんどん横展開されていくオジサン和菓子。

いったい全体どんなネーミングがされるのか、要注目である。

 

お店情報

江戸うさぎ

住所:東京都荒川区西日暮里2丁目14-11
電話番号:03-3891-1432
営業時間:9:00~18:00(冬季17:30)
定休日:日曜日
ウェブサイト:http://shop.omiyage-daito.com/

www.hotpepper.jp

 

書いた人:松澤茂信

松澤茂信

観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」を書いてます。

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