千尋のお父さんがむさぼってたブヨブヨの謎料理?「肉圓(バーワン)」を食べてみた【別視点ガイド】

 

『千と千尋の神隠し』が好きだ。

ノスタルジックな世界観もグッとくるし、ストーリーも当然いい。カオナシやくされ神なんかのキャラクターたちも、見ていてクセになる。

 

なかでも強烈に記憶に残っているシーンがある。
映画冒頭、千尋の両親が豚になるシーンだ。

 

半露天のメシ屋さんに、山積みにされた料理の数々。
ソーセージに骨付き肉。お父さんが貪り食らう物の1つに、プルプルとした謎の料理があった。 

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これがムチムチで最高にウマそうなのだ。
パズーとシータが食べた目玉焼きトースト、ルパンが食べたミートボールパスタ……。ジブリ映画はご飯をウマそうに描くけれど、この謎料理がとりわけ食べてみたかった。

 

調べてみると、台湾料理「肉圓(バーワン)」がモデルらしい。

 

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というわけで、台湾に飛んだ。

 

肉圓(バーワン)、日本ではまったく目にしない料理だが、台湾ではメジャーなよう。食べられるお店はそこかしこにあった。

半露天の立地が、千と千尋のシチュエーションにも近かったので、台北駅すぐ近くの「阿鑫麺線」でいただくことにした。

 

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▲肉圓(45元)

 

メニュー表を指さしながら、たどたどしく「バーワン! プリーズ」と注文した。

お値段は45元。日本円にしておおよそ180円ぐらい。はじめての急接近でどんな食べ物なのかまるっきり想像もつかず、安いのか高いのかすら判断できない。

 

店主はもくもくと湯気が立ちこめる大鍋から、うすい茶色の物体を何切かすくった。茶色のタレをかけ、パクチーをふりかける。

バーワンは揚げるか蒸すのがおもな調理法。このお店ではホカホカに蒸しているようだ。

 

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うーむ。
いままで食べたことがある料理のどれにも似ていない。匂いもそれほどしない。薬味のパクチーが香るだけ。味を推理する手掛かりがない。

 

串に刺すとプルプルしているが、劇中の謎料理ほど、くたっとトロけてはいない。本物は張りがある。

 

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えいやと口にふくむと、これがもう、予想を超えるムチムチ食感!

むっちんむっちんのぷりっぷり。お肉のようなものを想像していたのだけれど、むしろお餅。すごく食べ応えのあるわらび餅といえば、どんな食感なのか想像していただけるだろうか。

 

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▲これは下北半島のいもすり餅

 

バーワンの主な材料は、サツマイモの粉と片栗粉。

 

青森の下北半島で「いもすり餅」という郷土料理を食べたことがある。
じゃが芋のデンプンと、すりおろしたじゃが芋を混ぜて、魚ダシの汁で煮る。デンプン効果でムチムチ食感の料理になるのだ。
所変われど、芋の粉はムチムチを生み出すようだ。

 

ムチムチのお餅自体はそれほど味がしないので、味つけはタレ頼り。
甘じょっぱいタレには、ひき肉やタケノコなどの具がたっぷり入っている。こりゃあクセになる!
千尋のお父さんのように、気づけばひとカップ、ペロリと食べ尽くしていた。

 

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▲「豬血糕」(45元)

 

ムチムチした台湾料理にはこんなのもある。「豬血糕(ジューシエガオ)」。
字面を見れば、なんとなくどんな料理か察しがつくだろう。

そう、モチ米に豚の血を混ぜて、蒸しあげた料理なのだ。
こちらも台湾ではメジャー料理。同じお店で45元で売られていた。

 

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豚の血を混ぜる、なんて聞くといかにも独特の匂いがしそうなものだが、意外なことにまったく生臭さはなく、味のクセもない。

黒くてロックな見た目だが、付き合ってみたら大人しくって優しい奴。そんな食べ物。台湾おでんのポピュラーな具材でもあるそうだ。

じゃあ、なんでわざわざ豚の血を混ぜるといえば、滋養強壮の効果を狙っているからだとか。

 

ピーナッツの粉やパクチーを振りかけていただく。
もち米の食感とあいまって、主食というよりスイーツとして成立している。優しい甘さ。
しょっぱいタレがたっぷりかかったバーワンの後にぴったりだ!

 

お店情報

阿鑫麺線

住所:台湾台北市中正區南陽街13號
営業時間:7:00~23:00
定休日:無休

 

書いた人:松澤茂信

松澤茂信

観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」を書いてます。

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