親の作ったご飯、いつ食べましたか?
「晩ごはん、なに食べたい?」
帰省する時、親から必ず聞かれるヤツですね。
イラスト:©︎ディスク百合おん
我がお母さん。
ハンバーグ、カレーライス、etc……
思い浮かぶのは好物が基本でしょう。
ですが私はこういう時、メイン料理に隠れつつ実はけっこう食卓に登板していた、地味めなおかずをリクエストしちゃうんですよね。
例えばこういうの。
「箸休め系」または、大人になった今「これでお米かっこみたい系」……でしょうか?
こういうおかずって、ひとり暮らしだと「ご飯・汁・メイン」を準備するだけで力尽きてしまい作ることができず、お店でも小鉢で偶然出合えるか、くらいなんですよね。
そもそも「親の手料理」に代わりはきかないし!
そもそも!
親の手料理に!
代わりは!
きかないし!
(大切なことなので2回言いました)
というわけで、そんなかけがえのない「実家のおかずたち」に思いをはせていこうと思います。
ありがとう、妹よ
今回の企画のため、「実家のガチおかず」を写真で送ってもらうことにしました。
ただ、お母さんに直接依頼すると、いつも以上に張り切って夕食を作ってしまうことが予想されるため、私が求めている「おかんのおかず」の良さが失われる可能性があります。
なので、実家に住んでいる妹にこっそり写真を撮って送ってくれとお願いしました。
突然の不可解な兄からの依頼にもかかわらず飲み込みが早い妹。
頼もしい。
無事了承をもらい、後日バシバシ写真が送られてきました。
これがもう、そそられるんですよ!
こんな写真を毎日かかさず送ってくれました。
どれもうまそうだし、テーブルの木目調の模様、食器の質感。
どこをどう切り取っても実家の温もりを感じます。
1品ごとにも送ってもらったので、送ってもらった写真のなかでグッときたおかずを紹介していきたいと思います。
実家のおかずコレクション2018
【ミョウガとなすの煮浸し】
あの頃はあまり手をつけなかったけど、年齢を経て、ぐいぐい順位が上がってくる食材のツートップですね。
しかも、それの「煮浸し」。なんて滋味深いんでしょう。
調理により癖がマイルドになったミョウガ、しっとりと柔らかくなったナスの相性は抜群。
窓開けて涼しい風を感じて虫の音色を聞きつつ、これをチビチビつまみ秋限定ビールを流し込みて~。
【ウインナーとピーマンを炒めたなにか】
食べかけ丸出しですみません……!
さっきのLINEでちょっとバレちゃいましたけど、帰る度にリクエストしているおかずです。
あの頃はそこまで好きでもなかったのに、実家を出たら妙に食べたくなった代表格のおかずですね。
炒めたピーマンもウインナーも食感が小気味よく、うま味のなかに苦味とスモーキーさが加わり良いアクセントに。
お米の甘さが感じられて本当におかずとして有能なんです。
味つけにさっと醤油をかけているのもポイントなのかと!
【練りものの煮もの】
練りものも煮ものも「実家」って感じがしませんか?
テーブルにあるだけでホッとする存在ですよね。
他に余計なものを加えず、ストイックに練りものだけ、というシンプルさもうれしい。
というか、私も父親も野菜が嫌いだったから削ぎ落とされていったのかも……。
ごめんよ、お母さん……。今はなんでも食えるよ……。
糸こんにゃくも良いよね(しみじみ)。
【ツルムラサキのおひたし】
実はこれ、実家で食べたことがなかったんですが、よくお母さんが「珍しい食材取り入れました」系のおかずを作っていたな~と思い、載せました。
一度きりで二度と食卓に登場しなくなったり、そこから我が家の定番料理になったものもあり……。
妹に聞いたところ「おいしかったよ」とのことだったので、引き続き食卓に登場し、活躍していくのでしょう。
このメニューは、気に入ったら腹いっぱい食べれられる、お母さん的サービス盛りつけなのもうれしいですね。ふくろうの食器も味わい深いです。
【ニンジンのサラダ】
これも私が実家にいた頃に食卓に出なかった、なじみのない料理です。
何回か妹が写真で送ってきてくれたので、どうやら最近の実家では定番おかずになっている様子。
どんな味なんだろう。味がまったく想像出来ません。
く、食ってみて~。
……。
ああ……。
もうダメだ……。
「実家へ……帰ろう」
ディスク百合おん、実家へ帰る
帰ってきました。
くたびれたTシャツが物語る実家っぽさ。
(実家にあった私の服はほとんど処分されておりました)
さあ、夕食の時間ですよ!
ナイスビュー……。
こっそり送ってもらった写真から食べたいものをリクエストしていたので、ベスト版と言っても過言ではありません。
「え、なんでニンジンのサラダ知ってるの?」と、完全にお母さんから怪しまれましたが、たぶん企画とはバレていないはず……。
それでは一品ずつ紹介させていただきます!
【豚ロースのソテー】
これはメインおかずではありますが、食べたくてついリクエストしました。
あまりにもよく食卓に登場していたため、実家にいた頃は食べ飽きてしまっていて、出てきたら正直「ハズレ」とさえ思っていました。
んで、久々に食べたらこれがめちゃくちゃおいしい。
ジューシーな肉とぷりぷりの脂身を、ひと口食べるたびに目を閉じて丁寧に味わってしまいました。
これを「ハズレ」と思っていたなんて……親不孝な男だよ。
【ウインナーとピーマンを炒めたなにか】
やっぱりこれだな!
帰省のした際に初めてこれをリスエストした時、お母さんは「そんなの作ったっけ?」と話していて、そもそもこの料理を覚えていませんでした。
そういえば、父親が食卓の品数に厳しかったんですよね。
もしかしたら、それをクリアするために、忙しいなか懸命に捻出した一品だったのかなと思ったり……。
毎日大変だったろうな……。
当時はそんなことを考えもしなかったけど、なんとなく心に残っていて、たまに無性に食べたくなる「実家のおかず」。
味わうたびになんだか不思議な気持ちになります。
【回鍋肉風 野菜炒め】
これは事前にリクエストしてなかったのですが、用意してくれました。
頼んだ料理たちが地味め過ぎたから、追加で作ってくれたのかも。
いろんな種類の野菜がたっぷり入ってて、栄養をしっかり取って欲しいという思いも感じられて泣かせますね……(妹も僕も育ちきってますが)。
そして来ました、念願の【ニンジンのサラダ】!
ニンジンを細めに切って、イタリアンドレッシングであえたもの。
コショウも効いてて箸が止まりません!
細すぎず太すぎずという、こだわりのバランスで切っていると教えてくれました。
たしかにニンジンとドレッシングが絶妙になじんでいます。
これはまた作ってもらおう。
いや~、良かった良かったと思っていたら……。
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食後のフルーツまで出してくれました。
毎年、福島の親戚が送ってくれる桃です。
固めなのにしっかり甘くて、おいしいんです。
いや〜、幸せな時間でした。大満足!
こんな素敵なものを毎日作ってくれていたお母さんの苦労に思いをはせ、存分に堪能いたしました。
実家のおかず、あと何回、食べられるのかな。
当時は当たり前のように毎日食べていた、お母さんの手料理。
だけど、これが当たり前じゃないことは一人暮らしをしてみるとよくわかります。
しっかり感謝して、かみ締めるように食べなきゃいけないと思いました。
あ! 皆さんにも思い入れのある「実家のおかず」って、いろいろあるんじゃないでしょうか? 良かったら教えてくださいね。
書いた人:ディスク百合おん
ナードコアという特別なテクノを得意とするミュージシャン。コンビニで手に入る食品を合わせて新しい料理を作りあげる「コンビニかけ合わせグルメ」を紹介する人として様々な媒体に取り上げられ、同名の初書籍が2017年11月2日(木)に発売。山本さほ「岡崎に捧ぐ」に登場する杉ちゃんのモデルという棚ぼた知名度も獲得している。