【鉄道メシ】創業100年を超える駅弁の名店カフェで“押す前の”鯵の押寿しを味わう「茶のみ処 大船軒」

みなさん、”鉄分”足りてますか? 今回は観音さまでおなじみの神奈川・大船に行ってきました。東海道本線・大船駅の西口近くのレトロな建造物は、1世紀以上も駅弁の製造販売を行い「大船軒」の本社社屋。この2階で営業されている「茶のみ処 大船軒」で、大船軒名物「鯵の押し寿司」の特別Ver.が味わえるのです。

エリア大船 (神奈川)

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東海道本線・大船駅に大きなカーブを描いて入ってきたのは、特急「踊り子」号。

中でも伊豆下田行と修善寺行を併結した列車は、在来線の特急では最長の15両編成で、東海道本線を下っていきます。

 

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▲185系電車・特急「踊り子」

 

グリーンストライプの車体が印象的な185系電車は、昭和56年(1981年)のデビュー。

1980年代のカジュアルな雰囲気が、今となっては懐かしく感じますね。

 

老舗駅弁屋さんが作ったカフェ

観音さまでおなじみの大船駅西口。

表通りから1本裏に入った通りに、レトロな雰囲気を漂わせる建物があります。

それがここ。

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▲駅弁で有名な「大船軒」の本社社屋

 

この建物こそ、明治時代からこの地で1世紀以上にもわたり駅弁の製造販売を手掛ける「大船軒」の本社社屋。

大船軒のお弁当は「踊り子」号の車内販売にもよく積み込まれていますよね。

建物は昭和6年(1931年)築ということで、185系「踊り子」号より50年先輩!

重厚な造りとおしゃれさを兼ね備えた、“昭和モダン”の建築美を今に伝えています。

 

築86年を迎えたレトロな建物の趣きある階段を上がって2階へ……。

本社社屋の一角で、平成23年(2011年)から営業しているのが、「茶のみ処 大船軒」です。

 

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▲茶のみ処 大船軒

 

ココは建物が持つ昭和初期の雰囲気をそのままいかした、駅弁屋さんの“カフェ”。

入口で靴を脱いでスリッパに履き替えることもあって、まるで誰かのお宅にお邪魔したような気分になります。

 

さあ、一歩足を踏み入れますと……?

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▲趣きたっぷりの「茶のみ処 大船軒」店内

 

実にアンティークな雰囲気。

 

テーブルは2人掛けが8つと、4人掛け1つの計20席。

そこには、ごく“わざわざ訪れた人だけ”のための空間が広がっていました。

大きめの窓から差し込む陽光が、程よい明るさを生み出していて、まるで、戦前の上流階級の人たちの社交場のような空気すら感じられます。

 

“押す前の”寿司が堪能できる

そんな“特別な空気”を感じながら、ココじゃないと味わえない“特別な料理”があるんです!

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それが「鯵(アジ)の押寿し」!(五貫、600円)

 

エッ、これって、大船駅で売っている駅弁と同じじゃないの?

分かった、折詰じゃなくて、皿盛りになってる??

あと、お吸い物が付いてるとか???

そうそう、弁当の時より寿司の個数が少なめで食べやすくなってるってこと????

 

み~んな、当たっていますが、もっともっと大事なコトが違うんです!

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実はコレ、「鯵の押寿し」の“押す前の”寿司なんです!!

 

「押寿し」の押す前のものが食べられるのは「茶のみ処 大船軒」が製造工場と併設しているから。

つまりは、出来たての「鯵の押寿し」という訳なんですね。

大船軒名物の「鯵の押寿し」は、江戸風に「にぎり」、大阪風に「押して」、出来上がります。

 

ただこちらは、“押していない”わけですから、当然、駅弁とは少し違う食感が楽しめます。

つまり「茶のみ処 大船軒」だから味わえる、特別な寿司なんですね!

 

押し寿司を食べ比べるぜいたく

せっかく「茶のみ処 大船軒」を訪ねたのなら、「鯵の押寿し」の食べ比べを楽しみたいもの。

コチラは、「伝承鯵の押寿し」。

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▲伝承 鯵の押寿し(五貫、800円)

 

普通の「鯵の押寿し」は脂がのった中くらいの大きさの鯵を使っているのに対し、「伝承鯵の押寿し」は小鯵を使っているのが特徴。小鯵1匹からは2貫分の身しか取れないために、少し高めの価格設定になっているのです。

 

鯵の“味”の違いを一言で言えば「鯵の〜」はこってり、「伝承〜」はあっさり。

創業以来100年以上続く味だけに、それぞれの味に多くのファンが付いているそうです。

駅ではそれぞれ違う折詰で売られているので、どちらにしようか迷うところ。

でも、ココに仲間同士でお邪魔すれば、ちょっとリーズナブルに食べ比べも楽しめますよね!

 

意外に好評なのは下の「鯵と小鯛(コダイ)の押寿し」。

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▲鯵と小鯛の押寿し(鯵三貫、小鯛二貫、650円)

 

やはり、2つの魚の寿司が味わえるのは魅力的ということでしょうか。

なお、「茶のみ処 大船軒」オリジナルのかわいらしいランチョンマットは季節ごとに変わるそう。

レトロな落ち着いた空間で、“お酢”の匂いに食欲をそそられて、“押す”前の押寿しを味わえば、近場でたっぷり旅気分が味わえますよね!

 

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▲E217系電車、横須賀線・北鎌倉鎌倉

 

東海道線と横須賀線の分岐駅として、明治時代から発展を遂げてきた大船。

「鯵の押寿し」は、鎌倉と湘南の海が近いこの地だからこそ育まれてきた食文化です。

松竹大船撮影所があった時代には、映画関係者にも愛されたといいます。

これから気候がよくなってくれば、秋の鎌倉散策が楽しい季節。

ふと思い立って大船駅で途中下車して、“昭和モダン”の風を感じながら、100年以上続く「大船の鯵と味」を楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

お店情報

茶のみ処 大船軒

住所:神奈川鎌倉市岡本2-3-3
電話番号:0467-44-2005
営業時間:11:00〜15:00
定休日:不定休(要問い合わせ)
ウェブサイト:http://www.ofunaken.co.jp/

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年7月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。

 

書いた人:望月崇史

望月崇史

1975年静岡県生まれ。放送作家。 ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。

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