【検証】「ごはんが炊けるお弁当箱」で炊いたごはんはウマいのか

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真空断熱ケータイマグや真空保温調理器のシャトルシェフで知られるサーモスが、2017年の9月に発売した新製品「ごはんが炊けるお弁当箱 JBS-360」(以降、JBS-360)をご存じか?

「レンジでチンで簡単に炊ける」

「通勤時間中にごはんができる」

「昼休みになってもホカホカでおいしい」

など、某ECサイトのレビューでの評判は上々。

 

はたして、このお弁当箱で炊いたごはんは本当にホカホカでウマいのか?

 

「ごはんが炊けるお弁当箱」はシンプルな構成だった

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サーモスのオフィスで出迎えてくださったのは、マーケティング部広告宣伝課の笹渕真由美さん。

 

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JBS-360(6,480円)は3種類の主要なユニットで構成されている。

右からステンレス製魔法びん構造の保温ケースとご飯容器、専用保温ポーチ、そして炊飯パーツだ。

 

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おのおのをさらにバラすと6つのパーツでできていた。お弁当箱ゆえにシンプルな構造だ。

 

炊飯プロセスを見る

笹渕さんにJBS-360でごはんを炊く流れをデモンストレーションしてもらった。

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まずはごはん容器本体の目盛りを目安にお米を入れる。時間短縮のために今回は無洗米を使用したが、といだ状態のお米でも大丈夫で浸水は不要。量は0.7合。成人男性の平均的な1食分だ。

 

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ごはん容器本体の上の目盛りまで水を注いで……

 

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炊飯パーツを装着し……

 

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電子レンジに入れて、500Wで8分に設定する。

 

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スタートボタンを押せば炊飯開始。

 

簡単じゃないか。

 

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加熱が終わったら電子レンジから取り出して、保温ケースに入れ、炊飯パーツを外す。

 

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ごはん容器にフタをして保温ケースに入れ、専用ポーチに収めれば、調理工程は終了。ここまでの所用時間はおおむね10分。そのまま30分間待つと、ホカホカごはんできあがっている、というわけだ。出勤前にササっと準備してレンジでチン。オフィスに着く頃には炊きあがっているイメージ。試食が楽しみになってきた。

このプロセスをまとめたムービーが、サーモスのホームページで公開されている。チェックしてみよう。

 

www.thermos.jp

 

JBS-360の開発秘話を開発担当者に聞く

炊き上がりを待つ間に、開発担当者のかたにお話を伺うことにした。

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JBS-360の設計を担当したマーケティング部商品戦略室の矢口博之さん。大学の工学部で材料力学を学び、サーモスに入社した技術者だ。メーカーの開発担当者というから、メガネをかけ白衣を着た偏屈なオヤジ風だと勝手に想像していたので、全然違ってビックリ。

 

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── そもそも「ご飯が炊けるお弁当箱」のプロジェクトは、どのような経緯で立ち上がったのですか? 

 

f:id:Meshi2_IB:20171029113808p:plain矢口:シャトルシェフを使ってご飯を炊く社員が多く、美味しくできることが評判になったんですね。「コンパクトにすれば温かい状態で持ち運びできる。これは面白い」というところから始まったんです。

 

── 社員の方が勝手にやっていたことが新規プロジェクトのきっかけになったと。そんなことってあるんですね。開発のポイントは何でしょう?

 

f:id:Meshi2_IB:20171029113808p:plain矢口:スープジャーのように電子レンジで温めたものを移し替えて持ち歩ける製品はすでにあったんですが、製品そのもので電子レンジ調理をする製品は初めてでした。炊飯の場合、加熱時にあふれる「おねば」を含んだ沸騰水にいかに対処するかが課題でしたね。

 

── そのために作られたのがこの炊飯パーツなわけですね。

 

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── 設計するうえで苦心した点はありますか?

 

f:id:Meshi2_IB:20171029113808p:plain矢口:穴の位置とサイズです。ごはん容器に沸騰水を還流させつつ蒸気を逃がしながら、膨張するおねばが容器の外にあふれないようにしなければならないし、洗いにくいのもダメ。日本国内で流通している電子レンジのサイズを調べ、それに収まる大きさにしないといけない。試作品を10パターン以上作りました。

 

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この穴1つ取ってもこまごまとした計算があるわけですね。いくつもの制約を1つ1つクリアするのは大変だなあ。

 

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── ところで、コンパクトで持ち運び可能なミニ炊飯器、いわば「お弁当箱にもなる炊飯機」が売られていますよね。JBS-360は「ごはんが炊けるお弁当箱」なわけですが比較しての強みは何でしょう?

 

f:id:Meshi2_IB:20171029113808p:plain矢口:魔法びんメーカーならではの保温ケースを活用した点です。電子レンジで8分加熱したのち、ステンレス製魔法びん構造の高い保温力で蒸らすので、浸水なしでも炊くことができ、そのまま保温もできるため、ランチの時間までホカホカな状態をキープできます。また、開発拠点が新潟の燕にあるのですが、米どころだけに、開発スタッフがごはんの味にこだわりがあり、そこは妥協せずにできました。炊飯前に30分程度浸水させると、さらにおいしく炊けますよ。

 

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お弁当箱で炊いたご飯を食す

電子レンジから出しておおよそ30分。ごはんが炊きあがった。

お味の方はいかに?

フタを開けると……

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お米がビン立ち!

土鍋と同様のカニ穴ができているのを確認した。これ、おいしく炊けた時のサインですよね。少なくとも、僕が家で使っている某社製の炊飯器よりよく炊けている印象。

 

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お箸でつまみ上げると、ごはんの立ちがはっきりとわかる。つやつやと光っておいしそう。

口の中に入れたら……

あぢぢぢっ! 

ホカホカを超えて、ぶっちゃけ熱い。

お弁当箱ということもあって油断してたけど、これぞ炊きたてのごはん。ふた箸めはふうふうしてから口に入れる。ひとかみ、ふたかみ。うん、お米のひと粒ひと粒が「俺はここにいる」「俺だってここにいるわ」とおのれの存在を主張しているようだ。

ちょうどいい固さで絶妙な炊き上がりで、梅干しでもおかずにしてシンプルにキメたら自然と口もとがゆるんでしまいそう。

 

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炊きたてに続き、あらかじめ用意しておいてもらった保温状態で時間の経ったごはんを試食。炊き上がったのが午前10時で試食が14時半過ぎだから、レンジチンしてから5時間弱。12時のランチタイムに食べると仮定すると朝7時頃に炊き始めたのと同じ状態ということになる。

口に入れると、表面部分のごはんは程よくほかほかの状態。食べ進むにつれて熱さが増し、底のほうは炊きたて状態とほぼ変わらない。自宅で使っている某社製炊飯電子ジャーで保温したものよりも全然おいしい……って、大事なことなので2度言ってみました。

 

JBS-360総括しつつ、応用方法を勝手に考えてみた

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本日の結論。

「ごはんの炊けるお弁当箱 JBS-360」で炊いたごはんはシンプルにウマかった。他に何も言うことがない。

が、これで記事を終えるのも手抜きっぽいので「僕ならこう使ってみたい」と取材中に考えたこと最後に紹介してお茶を濁したい。

 

①真空断熱スープジャーと組み合わせて職場で熱々カレーライス

同じくサーモスの真空断熱スープジャーと組み合わせて、オフィスで熱々カレーを楽しんでみる。JBI-273(4,320円)ならサイズ的にもちょうどいい。

 

②ごはんを炊くのが面倒な時にレンチンでサクッと

夜遅くに帰宅して小腹が空いた時に通常の炊飯器でごはんを炊くのは正直面倒。無洗米を使えばレンチン一発で終了。パックご飯より安くておいしいのもいい。

そういえば、笹渕さんが「ちょっとした空き時間に用意できて保温が効くので、子育てで忙しい奥様の夕食の準備にも活用できます」とおっしゃっていた。この味ならダンナも文句は言えませんな。

  

製品情報

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ごはんが炊けるお弁当箱 JBS-360

www.thermos.jp

 

写真:新納翔

 

書いた人:渡邊浩行

渡邊浩行

編集者、ライター。アキバ系ストリートマガジン編集長を経て独立。日本中のヤバい人やモノ、面白い現象を取材するため東へ西へ。メシ通で知ったトリの胸肉スープを毎日飲んでるおかげで、私は今日も元気です。でも、やっぱりママンの唐揚げが世界一だと思ってる。

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