町中華ファンから絶賛される「ミッキー飯店」
今回はこちらの「まかないメシ」をいただきにやってきました。
1969年創業の老舗町中華の「ミッキー飯店」。東京メトロ丸の内線の中野坂上駅から歩いて7分。住宅街のなかにあります。
ミッキー飯店といえば、ミッキーライス、ミッキーメンというお店の名前を冠した、町中華マニアには有名なメニューがあります。
こちらが名物のミッキーライス(750円)です。
レバー、豚肉、野菜などが入ったピリ辛のあんかけをライスにかければ、ミッキーライス、ラーメンの上にのせればミッキーメン(750円)です。また、かた焼きそばの上にかければミッキーかたやきそば(750円)。
迎えてくれたのは2代目の高橋進さん。
うかがったのは、昼の休憩に入った午後2時。
──いつも、まかないメシは何時ごろ食べるのですか?
高橋さん:だいたい午後2時時半ぐらいですね。
──きょうのメニューはなんでしょう。
高橋さん:レバー丼にします。
──おっ、ミッキーライスの簡易版ですか?
高橋さん:いえ、ちょっと違うんです。むしろミッキーライスよりもちょっとだけ時間がかかります。
そうですか。それでは、まず今回のレシピでメインとして使用する材料を見せてもらえますか?
タマネギが1/2個くらい。細めのくし切りにされています。
豚レバーは400g。これで、4人分だそうです。
──豚レバーはひとりあたり100gということですね。
高橋さん:お店にあるものでまかないをつくるときは、たいていレバー丼にしていますね。
──僕はレバーがそんなに得意じゃないのですが、ミッキ―ライスのレバーはおいしくいただけますね。
高橋さん:それ、よく言われます。よくレバーの臭みを取るために牛乳で洗うという人もいますが、それをやるとたしかに臭みはとれますが、うま味もなくなってしまうんです。臭みはレバーのまわりについているだけなので、レバーをひと口大に切ったら、簡単に水で洗うだけでいいんですよ。
それでは材料を紹介しましょう。
まずは、下準備から。レバー400gに下味をつけておきます。
【下準備】
- おろし生姜 小さじ1
- おろしにんにく 小さじ1
- 片栗粉 小さじ2
- 醤油 小さじ2
レバーと上記の材料をボウルなどで混ぜ合わせて下味をつけ、この状態で30分以上置いてください。
【材料・A】(4人分)
- 玉ねぎ 1/2個
- 下味をつけたレバー 400g
【タレ・B】※混ぜておく
- 醤油 45cc
- 砂糖 20cc
- 日本酒 30cc
- 酢 20cc
- ガラスープ 35cc
【その他の材料】
- 白絞油(天ぷら油)※サラダ油で代用可 適量
- ネギ油 ※サラダ油で代用可 大さじ1
- ラー油 大さじ1.5
- 豆板醤 大さじ1/2
- ごま油 小さじ1
- ご飯 適量
──揚げ物用の油として中華鍋に油を入れてますね。それはどんな油なんでしょう?
高橋さん:白絞油(しらしめゆ)ですね。いわゆる天ぷら油です。ご自宅にないときは、もちろんサラダ油で代用できますよ。
油の温度が上がる間に、あえた材料Aに、さらに大さじ4の片栗粉をまぶします。
──また、片栗粉ですか。
高橋さん:もう一度、ここで片栗粉を絡めたほうが味が染み込みやすいのです。
揚げていくようです。油の温度は170度。
──どれくらいの時間、揚げればいいのですか?
高橋さん:最初はレバーが沈んでいるのですが、火が通ると浮いてきますので、それを目安にしてみてください。
レバーが浮いてきたので取り出します。
豪快ですね。
カリッと揚がっていますね。おいしそうです。
高橋さん:ネギ油大さじ1を中華鍋に入れて、炒めます。
──ネギ油? それは、市販のものですか?
高橋さん:いえ、自家製のものです。なければ、普通のサラダ油でもかまいません。でも簡単なので、ぜひつくってみてください。サラダ油でいいので、ネギの青い部分やショウガの皮をみじん切りにしたものを入れて揚げればいいのです。それをこせばできあがりです。
チャーハンや野菜炒めなどにネギ油を使うと、格段とおいしくなるのだそうです。
高橋さん:さらにラー油大さじ1.5。豆板醤大さじ1/2を入れます。この豆板醤には生姜とニンニクを入れてあります。ご家庭では普通に豆板醤で大丈夫です。
タマネギを入れて炒めます。
揚げたレバーも投入。
そして、混ぜ合わせたタレ(タレ・B)を投入します。
最後はごま油を小さじ1をかけまわして出来上がり。
お皿に移します。
めちゃくちゃおいしそうです。
というわけで、実食。
ミッキー飯店の絶品まかないメシ「レバー丼」完成
丼とはいっても、自分でご飯に掛けて食べるスタイルです。
これが、リアルな町中華のまかない風景。手前は初代の高橋通博さん、お母様の由美子さん。
ご飯の量は、それぞれ好きな量をよそっています。それから、テーブルにはお母様がつくった昨晩の残りの肉じゃがも並んでいます。
さて、私もいただいてみましょう。
……おお、これは初めて食べる味です。臭みもなくて、こりゃめちゃくちゃウマい!
「ピリ辛なんですけど、酸味がきいているので、食欲がないときでもおいしくいただけます」とお母様。
そう、そのとおりです。とろりとしたレバーの食感が最高なんです。
──これってメニューにならないんですか?
高橋さん:うーん、さっきも言ったように手間がかかるのでお昼はちょっと無理ですね。夜、手が空いているときなら作れるかも……。
──その場合、お値段はいくらでしょう。
高橋さん:780円ですかね。
では、『メシ通』の読者だけの裏メニューということでお願いします。
あくまでも個人の意見ですけど、僕はミッキーライスよりもこのレバー丼のほうが好きですね。調理の腕もありますから、自宅でまったく同じものをつくるのは無理でも、近いものなら自分でもできそうです。
さっそくチャレンジしてみますね。
お店情報
ミッキー飯店
住所:東京都中野区本町2-17-4
営業時間:11:30~14:00、17:00~21:00
定休日:日曜日
書いた人:下関マグロ
1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)、『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、に『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)など著書多数。