鍋のいい季節になってきました!
この時期、うちでよーく登場するのが「ハリハリ鍋」です。大阪の友人に教えてもらったんですが、
- 財布にやさしい
- 手間いらず(材料が少ない・作る手順も少ない)
- 野菜がいっぱいとれる
という点が実に気に入ったんですよ。
なにせ基本、必要なものといえば……
たっぷりの水菜と、
しゃぶしゃぶ用の豚肉。そしておつゆの、3つだけ!
たったこれだけなんですが、飽きがこない良い鍋なんです。
実際に作ってみますね!
ハリハリ鍋の作り方
まずおつゆなんですが、今回は3パターンご紹介。
1:簡単にやるなら、白だしを使うのが一番。
白だしは、すごくざっくり説明すると「色の薄いめんつゆ」的なもの、というか。
カツオや昆布などのだしに塩気や甘味を加えて作られており、各社からいろいろなものが発売されています。昆布の味わいが強調されていたり、鶏だしを加えたものがあったり、個性もいろいろ。個人的にはかつお風味しっかりの「特選 料亭白だし」(七福醸造)が気に入っています。
色が薄い分、素材の色合いを生かすことができるんですな。「ハリハリ鍋」だと水菜の緑色が際立ちますよ!
もちろん、
2:めんつゆでもOK。
そして、
3:調味料でイチから作る場合。
- カツオと昆布のだし 1リットル
- 酒、みりん 各大さじ2
- 醤油 大さじ3と1/2
- 塩 小さじ1/3
カツオと昆布のだしは濃いめにするのがポイントだと思います。素材が少ない分、おつゆでうまみしっかりと! 甘めが好みでしたらみりんを大さじ1足してください。
水菜と豚肉の分量なんですが、鍋だけにどちらも好きなだけでOK。一応の目安としては2人前で豚肉なら300g、水菜は2束ぐらい用意してください。
おいしく作るコツ
何度も作ってるうち、「これはポイント」と感じたことがありました。
〇まずはじめに水菜を冷水に漬けておく。
冬場なら水道水そのままでOK。暖房の当たらないところで、可能なら30分ぐらい漬けるといいですよ。こうすることでみずみずしく、よりシャッキリした食感が楽しめます。単純な鍋だけに、水菜の食感がかなり肝でした。
この間に、つゆづくりや食器の準備をしています。
漬け終わったら、下のところ1cmぐらいを切って、5〜6cm幅に切っておきます。
大阪の友人いわく、「こんもりと大皿に盛るのがハリハリ風」なのだそう。ちなみに「ハリハリ」というネーミングは水菜のシャキシャキした食感からきているそうですよ。
あっという間に完成
鍋におつゆの材料をすべて入れて沸かしたら、あとは材料を入れるだけ!
この手軽さがハリハリ鍋の醍醐味(だいごみ)。水菜は本当にすぐ火が通ります、どんどん食べましょう。ちょっと七味や山椒ふって味わい変えつつ楽しんでいます。
豚肉はピンク色のところがなくなるまで湯通ししてください! 念のため。
豚肉ですが、個人的なおすすめはしゃぶしゃぶ用肩ロース。うま味しっかり、それでいて食べやすい部位ですねえ。あ、しっかり食べたい場合は豚バラ肉薄切りでも全然かまいません。その日安いほうで私、選んでます。
そしてこの鍋、肉を切らなくていいのもうれしいんだ……。水菜と豚肉だけ、買い物が楽なのもいいですよねえ。夕飯の支度が面倒なとき、「ハリハリ鍋」すばらしいよホント。
その他に、エノキ、ネギ、油揚げなんかもよく入れてます。大阪のかたからは「多くても具材は3種類ぐらい。あまりいろいろ入れるとハリハリ鍋っぽくなくなる」とも聞きました。まあそこは、お好みで。
もともとはクジラ肉でやった鍋
「ハリハリ鍋」は、大阪や京都を中心に関西で広く食べられています。もともとはクジラの尾の肉やコロ(皮)と水菜で作られていたそう。
「昔はクジラ肉が安かったからね。手頃で手軽な『ハリハリ鍋』は、冬場によくやったもんだよ。水菜は霜があたる頃からおいしくなる」
今年で75歳になる大阪の方から、こんな話を聞きました。大昔はミナミのあたりも畑があって、水菜が採れたそうですよ。
捕鯨が難しくなってしまってからは、豚肉でやる人が増えたのだとか。また「うちは鶏肉でやる」という人も結構いました。牛肉でやる、という人も。
ちょっとこれは余談なんですが、私は水菜の代わりにエンダイブという野菜でも「ハリハリ鍋」を楽しみます。苦みがあって食感もしっかり、豚しゃぶとよーく合うんです。
ともかくも冬場にぴったりな「ハリハリ鍋」、ぜひお試しを!
企画・文・撮影:白央篤司(はくおう あつし)
「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と土日の洗濯、猫2匹の世話を担当。