あの頃、ナポリタンはご馳走だった
まいど、下関マグロです。
とにかく昔ながらの喫茶店の味・ナポリタンが大好きです。個人的な趣味でナポリタンを食べ歩いていたら、本を書くことになりました。
『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)という本です。
小さい頃はお子様ランチに入っていたナポリタンが大好きで、それは当時の自分にとって本当にご馳走でした。
あの頃からほぼ半世紀の間、僕が食べてきたナポリタンや、最近になって通うようになったお店まで、いろいろと紹介しています。
この本での僕の肩書きは「食べ歩き評論家」。
この肩書き、僕が自分でつけたわけではなくて、出版社がつけたのですが、初めて聞くような肩書きですね。けっこう気に入ってます。
さて、本稿はこの本で紹介した僕のオススメのお店を8つほどピックアップしてみようと思います。
選出のポイントは「どこか懐かしい、下町ナポリタンのお店」。
お店のある場所というよりは、そのテイストが下町っぽいかどうかということで選びました。
①僕がイチオシする「カウンター洋食店」のナポリタン
まずは、その代表的なお店に行ってみましょう。
目的のお店はJR新橋駅から歩いてすぐの銀座ナインという商業施設にあります。この商業施設の屋上には首都高速道路が走っているんですよ。
前の東京オリンピックが行われた1964年(昭和39年)に、当時は川だった場所を埋め立てて高速道路にしました。
お店はその高速道路の高架下にあるんですね。
目的の「れすとらん はと屋」は銀座ナイン2号館の地下1階にあります。
店頭ののれんと食品サンプルがいいですね。
ナポリタンのメニューにはいろいろなセットがありますよ。では、お店に入ってみましょう。
カウンターだけのお店ですね。休憩時間である14時にうかがいました。
お昼時は行列のできる人気店なんですよ。
2代目の荻山一夫(おぎやま・かずお)さんが迎えてくれました。
僕は80年代の半ばくらいからこのお店に通っていました。
そのころは、まだ初代がお店を切り盛りされていましたが、味はそのころとまったく変わっていないんですよ。注文したのはナポリタン単品。
さっそくこのお店の名物のナポリタンを作ってもらいます。
あっという間に出来上がります。いきなりステーキならぬ、いきなりナポリタン!
▲ナポリタン(サラダ付き・850円)
とにかくやわらかい麺。ケチャップだけではなく、ドミグラスソースも一緒に絡めているので旨みがあるのですよ。
萩山さん:ウチで使っているスパゲティは、「コルノ」の2.1ミリです。茹で時間の表示は14分ですが、ウチでは30~40分かけて茹でてますね。茹でたら、水でシメて、ひと晩ほど寝かせてから使います。
実は、ナポリタンの単品を注文したのは今回が初めて。僕がいつもこのお店に来て注文しているのは、ハンバーグナポリタンセットなんです。
▲ハンバーグナポリタンセット(1,000円)
ナポリタン+ハンバーグ+キャベツの千切り+ちょっとだけのご飯+味噌汁
この、黄金の組み合わせが最高なんです。
ほら、お皿の上にある「ちょっとだけついているご飯」が完璧なバランスでしょ。ナポリタンファンのツボを心得ています。
萩山さん:これはお客さんがちょっとだけでいいからご飯がほしいというので、つけたのが最初だそうです。
そうそう、ちょっとだけほしいんですよね。
ハンバーグには特製のドミグラスソースがかかっていますが、これがナポリタンにも入っていて、実にいいコンビネーションなんですよね。
80年代、初めて食べたときは本当に感動して、それから何度もいただいているのですが、味がまったく変わらないんですよ。それも素敵ですね。
撮影:平山訓生
お店情報
れすとらん はと屋
住所:東京都中央区銀座8-5 銀座ナイン2号館 B1F
電話番号:03-3572-1928
営業時間:[月~金]11:30~14:00 17:00~20:15(L.O.20:00) [土・祝]11:30~14:00
定休日:日曜日
さて、今回書いた本では、この「はと屋」さん以外にも皆さんに本当に行ってほしいナポリタンのお店について紹介しています。
詳しくは本を読んでほしいけど、今回はその中から個人的にオススメしたい「どこか懐かしい、下町ナポリタンのお店」をさらにご紹介しますよ。
【閉店】②立ち食いそば感覚で立ち寄りたい「ロメスパ」のナポリタン
アメ横のビルの地下にお店はあります。ナポリタンの並盛りが650円。
こちらのお店、ナポリタン愛好家の間ではロメスパといわれているお店ですね。ロメスパとは、「路面のスパゲッティ」という意味で、立ち食いそばのように気軽に立ち寄れて、サクッと食べられるというお店です。
こちらのナポリタンの特徴は小松菜が入っているところですね。麺の太さは2.1ミリ。ひと晩寝かせてあるので、モチモチです。しかも、味が麺によく染みていますね。
お店情報
焼きスパゲッティ専門店 ロメスパ バルボア 御徒町アメ横店【閉店】
住所:東京都台東区上野4-2-1 江戸っ子ビル地下1階
電話番号:050-5352-5315
営業時間:11:00~22:00 (料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:00)
定休日:年中無休
※このお店は現在閉店しています。
※飲食店の掲載情報について。
③どこかやさしくてホッとする下町のナポリタンの味
鶯谷駅からすぐ、言問通り沿いのビルの2階にお店はあります。
下町の洋食屋さんですね。日替わりメニューや人気メニューをセットにできるなどバリエーションも豊富です。
女性店主ひとりで切り盛りされているお店で出されるナポリタン(900円)は、どこかやさしくてホッとする味に仕上がっています。ちなみにQはqualityのQだそうですよ。
お店情報
下町の味 レストランQ
住所:東京都台東区根岸3-6-3 エビハラビル2F
電話番号:03-3873-7890
営業時間:月曜日~日曜日、祝日、祝前日: 11:30~23:00 (料理L.O. 22:30 ドリンクL.O. 22:30)月曜日~土曜日 11:30~23:00(L.O22:30)
定休日:不定休
④八王子のご当地グルメ「ハチナポ」の代表格
八王子の新・ご当地グルメと言えばナポリタン(通称・ハチナポ)なんです。
八王子駅周辺にはハチナポを提供しているお店がいくつかありますが、なかでもこちらはメディアでもよく取り上げられている有名店です。
刻み玉ねぎと八王子ベーコンをのせたナポリタン「ロッコのハチナポ(870円)」は、新しいけれど、どこか懐かしさもあるひと皿に仕上がっています。
お店情報
Kitchen Rocco (キッチン ロッコ)
住所:東京都八王子市子安町3‐8‐10
電話番号:050-5257-7831
営業時間:火曜日~日曜日、祝日、祝前日: 11:30~15:00 (料理L.O. 14:30 ドリンクL.O. 14:30)17:00~22:30 (料理L.O. 22:00 ドリンクL.O. 22:00)
定休日:月曜日 ※年末年始は12/30~1/3までお休みとなります
【閉店】⑤自家製生パスタのもちもちした食感が最高なナポリタン
東京メトロ銀座線稲荷町駅から歩いて3分。
自家製の生パスタを使っているのに、レギュラーサイズのナポリタンなら490円(税抜き)という安さが魅力です。
デフォルトは300gですが、ダブル盛の「Wナポリタン」も+200円で可能になります。お腹いっぱい食べられますよ。
お店情報
グランパスタホテルエミット上野店【閉店】
住所:東京都台東区東上野4-1-1
電話番号:050-5368-2260
営業時間:月曜日~日曜日、祝日、祝前日 06:30~22:00 (料理L.O. 21:30 ドリンクL.O. 21:30)
定休日:不定休
※このお店は現在閉店しています。
※飲食店の掲載情報について。
⑦浅草の名洋食店のナポリタンはやっぱり絶品でした
浅草の有名洋食店と言えば、ヨシカミさん。表の看板には「うますぎて申し訳けないス!」と書かれています。
できれば、カウンターの真ん中あたりに座りたいところです。目の前でナポリタンをつくっているところが見られるのですね。具材を入れて、麺を投入。
ケチャップの容器が脇で準備中。けっこう炒める。あまりさわらず、ときどきあおる程度。ケチャップやらいろんなものが投入されたスパゲッティーナポリタン(1,200円)の出来上がり。
もちろん、うますぎですよ。
お店情報
洋食屋 ヨシカミ
住所:東京都台東区浅草1‐41‐4
電話番号:050-5287-3393
営業時間:月曜日~水曜日、金曜日~日曜日、祝日、祝前日11:45~22:00
定休日:木曜日
⑧定番の味「目玉焼きのせ」が素晴らしい
都内のあちらこちらで展開しているチェーン店です。
ここ渋谷店は最初にオープンしたお店ですね。人気は定番の目玉焼きののった「ナポリタン 目玉焼き(800円)」。よく炒められた麺がたまらなく旨いんですよ。
さらに大盛以上のメニューとして「ナポリタン 番長」は麺が1600g、「ナポリタン 聖人」だと麺が2300gなんてメニューもある。
たくさん食べられる人はぜひ挑戦してみてほしいですね。
お店情報
スパゲッティーのパンチョ 渋谷店
住所:東京都渋谷区道玄坂2-6-2 藤山恒産道玄坂ビル地下1階
電話番号:03-5489-2522
営業時間:月曜日~日曜日、祝日、祝前日 11:30~23:00
定休日:なし
ここで紹介したお店は、僕の書いた本で取り上げたどこか懐かしい味のナポリタンばかり。
実際にここで紹介したお店へ行ってみるのもよし、あなたの住む町にあるナポリタンを探して食べに行ってみるのもよし。
ぜひ下町の味を楽しんで欲しいですね。
書いた人:下関マグロ
1958年生まれ。山口県出身。出版社、編集プロダクションを経てフリーライターへ。『東京アンダーグラウンドパーティー』(二見書房)、『歩考力』(ナショナル出版)、『まな板の上のマグロ』(幻冬舎)、に『ぶらナポ 究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)など著書多数。