「内藤とうがらし」という、とうがらしと出合いました
内藤とうがらしとは、江戸時代に宿場町だった内藤新宿(現在の新宿区内藤町)で栽培され始め、近郊の農地でも盛んに栽培されていたというとうがらしです。
当時、江戸ではそばがはやっていたため、その薬味として評判になりました。やがて新宿から農地がなくなり、内藤とうがらしの栽培もなくなったのですが、2010年に有志により復活。2013年には「伝統の江戸東京野菜」に認定されたそうです。
内藤とうがらしについての詳細は、WEBなどで調べてみてくださいね。
とりあえず、私が言いたいのは、内藤とうがらしを買ってきてベランダで栽培していたらワサワサ育って、とうがらしがたくさん採れた、ということなのです。
新宿御苑で、内藤とうがらしと出合った
以前から新宿御苑に行く度に、内藤とうがらしのことは気になっていました。売店に、内藤とうがらしグッズやメニューがいろいろあるのです。実は内藤とうがらしの栽培が始められたのは、当時大名屋敷だった新宿御苑の菜園だったそうなのです。
そして、5月のある日……
内藤とうがらしの苗に出合ったのです。
まだとうがらしは生えていません。
各種、内藤とうがらし製品も売られていました。新宿区の各地で、内藤とうがらしの普及活動が行われているそうです。
内藤とうがらしを3株買ってみた
筆者は辛いものが大好きです。でも自分でとうがらしを育てたことはないのです。この出合いをきっかけに、自分で育てたとうがらしで辛くてうまい料理を作ってみようじゃないか、ということで、内藤とうがらしの苗を買うことにしました。
苗を買えるのは一人につき3株まで、ということだったので、3株買ってきました。
それぞれ、あり合わせのプランターに植え替えてみました。土は100円ショップで「野菜の培養土」というのを買ってきました。これから観察日記をつけてみようと思います。
栽培7日目
すくすくと育ち、
謎のきのこ? も生えてきました。
栽培29日目
早々とつぼみが出現。
こちらにも。もう一つの苗はまだでした。
栽培32日目
花が咲きました。予想以上に早い展開です。
そして、葉もワサワサ茂ってきました。
実はこの内藤とうがらし、普通のとうがらしよりも葉が大きく柔らかいので、葉も食べられるそうなんです。
栽培43日目
苗は3株ともすくすくと育ちました。ベランダのあまりの暑さに、毎日水をやるだけで、じっくり見たりはしなかった日々。
久しぶりに見てみると、すでにとうがらしが生えていました。
しかも、こんなに立派な大きさに。
青とうがらしを食べてみた
まだ食べられる大きさのものは1本しかありません。でも待ちきれないので、さっそく食べてみました。
美しい……。
苗を買った時にもらったパンフレットによると、内藤とうがらしの味の特徴は
- 辛みが優しい
- 香りとうま味がたっぷり
- 葉っぱも美味
だそうなので、そのまま食べても良さそうです。
輪切りにして、ざるそばの薬味に。かみ締めると、口の中にさわやかな香りと辛みが広がります。
うまい……。
辛すぎないのです。そのまま食べてもうま味を味わえるくらいのちょうど良い辛さなのです。このままどんどんとうがらしが生えれば、毎日生のうまいとうがらしが食べられます。
赤とうがらしも食べてみた
青とうがらしを時々食べながら、毎日水をやる日々。
栽培70日目
とうとう赤とうがらしが収穫できました。
こちらに1本。
こちらに2本。
最初に生えていたのとは違う感じの謎のきのこも生えていました。(注:きのこは食べません)
食べ比べをするべく、赤1本、青1本を収穫。
葉も。
こんな感じで刻んでみました。
そして、その日たまたま作っていたヤングコーン入りビリヤニにトッピング。
種も入れると、さすがに辛い!
でも、食べ比べると違いがよくわかります。
- 青は、やや苦味がある、さわやかな辛さ。
- 赤は、甘みがある、まろやかな辛さ。
葉は、ほとんどクセがありません。あまり苦くないし、意外なほど柔らかです。これ、ルッコラ? と思うくらいです。
次の日には焼肉のつけだれにも使ってみました。
こちらは「ごま油、塩、こしょう、青とうがらし」。
焼いた豚肉につけてレタスで巻いて、サムギョプサルです。一気に口に放り込んで、かみ締めると、青とうがらしのさわやかな風味が口いっぱいに広がり、豚の脂もすっきりといただけます。
「焼肉のたれ、赤とうがらし」です。
まずは野菜をつけてみます。甘めのたれに、赤とうがらしの風味が合います。種も入れたので辛みもちょうど良くなりました。
この後には、もちろん普通に焼肉につけてみました。辛めのたれが好きな方には超おすすめです。
葉も料理してみた
猛暑の中、内藤とうがらしたちはさらにスクスクと育っていきました。
栽培83日目
もっさり。
ワサワサ。
とうがらしもこんなに。
赤、青、とり混ぜてたくさん生えています。
今回は、葉をメインに食べてみようと思います。
立派な葉がたくさん生えています。
ざるに一杯採ってもまだまだあります。
赤とうがらし、青とうがらしも1本ずつ使います。
葉とうがらしの佃煮
【材料】
- 葉 50g
- 赤とうがらし 1本
- 青とうがらし 1本
- 麺つゆ(濃縮タイプをそばなどのつけ汁の濃さに薄めたもの) 60cc
- 砂糖 小さじ1
- 白ごま 小さじ1
【作り方】
麺つゆを使う簡単バージョンです。
①葉を洗います。無農薬なので、葉も安心して食べられます。
②鍋に湯を沸かし、沸騰したら葉ととうがらしを入れ、10秒だけゆでます。
③ざるに上げた②を冷水で冷やし、水気をよく絞ります。
絞るとこんなに小さくなってしまいました。
④葉はざっくりと切ります。
⑤とうがらしも刻みます。
⑥鍋に麺つゆと砂糖を入れ沸騰したら、葉ととうがらしを入れます。
⑦中火くらいで、焦げないように常に混ぜながら煮込んでいきます。
このくらいになると焦げやすくなるので弱火にします。
水分がほとんどなくなって、これくらいになったら火をとめます。
⑧仕上げに白ごまを振って、葉とうがらしの佃煮のでき上がりです。
さて、いただいてみましょう!
基本。白ごはんにのせます。
これはうまくないわけがないでしょう。
葉のわずかなほろ苦さととうがらしの辛みが甘辛さに包まれてますよ。そして、意外なほど葉が柔らかいです。生の時の感触から、もっと硬いと思っていたのです。今回はわりとしっかり火を通したのですが、もっと短時間の煮込みでも良さそうです。
それはそうと、これはごはんが進みすぎて困ります。
このとうがらしの量だと結構辛くなるので、辛さが苦手な人はとうがらしを1本にするか種を取り除いて使うと良いと思います。
次の日には、またごはんを炊きました。
これもうまくないわけがないですね。
ダイエット中の人は決してまねしてはいけません。ごはんが止まりません!
生ペペロンチーノも作ってみた
さて、もっといろいろ料理をしてみたくなったので、今度はパスタを作ってみました。
シンプルなにんにくととうがらしのパスタ、アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノです。長いので以下「ペペロンチーノ」で。
よく熟した赤とうがらしと葉を使います。作り方はごく普通のペペロンチーノなので、いつも作っている方は読むまでもないでしょう。
生ペペロンチーノ
【材料】(1人前)
- パスタ(スパゲッティーニなどの細めのもの) 100〜200gくらい(好きなだけ)
- 葉 好きなだけ
- 赤とうがらし 2本
- にんにく 1片
- オリーブオイル 大さじ2
- 塩 適量
【作り方】
①たっぷりのお湯に塩をひとつまみ入れ、パスタをゆで始めます。
②にんにくは包丁でつぶしておきます。
③フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火で加熱し、にんにくの香りが出てきたら赤とうがらしを加えます。
④パスタがゆで上がる1分前にゆで汁を少しフライパンに入れ、よく振ってオイルを乳化させます。
⑤フライパンにゆで上がったパスタと葉を入れ、強火にし、好みの量の塩を入れて手早く混ぜ合わせます。
⑥お好みで仕上げにこしょう、オリーブオイルを振りかけて出来上がり。
いい塩梅です。赤とうがらしはそのまま入れたので、辛みはそんなになく、甘さと鼻に抜けるようなとうがらしの風味が引き立っています。辛さが欲しくなったら赤とうがらしをかじれば、ピリっときます。葉は結構縮むし、クセがないので、もっと思い切ってたくさん入れた方が良いかもしれません。
赤と青の調味料も作ってみた
まだまだとうがらしはあるので、保存のきく調味料も2種類作ってみました。どちらも、保存用の瓶は煮沸消毒しておいてください。煮沸が面倒な場合は、よく洗ってキッチンペーパーで雑菌がつかないようによく拭いておきましょう。
まずは赤。
赤とうがらしビネガー
【材料】
- 赤とうがらし 好きなだけ
- 白ワインビネガー 好きなだけ
【作り方】
①赤とうがらしは洗って、キッチンペーパーで水気をしっかりとります。
②瓶に入れて、白ワインビネガーを注ぎます。
③1週間後くらいから使えます。雑菌が入らなければ1年くらいは保存できます。
今回は赤とうがらしが少なかったので、かなり控えめな辛さに。辛みよりも赤とうがらしの風味が楽しめます。辛くしたい場合は、赤とうがらしを輪切りにします。
使い方は、ドレッシングやマリネに使ったり、肉や魚にかけたり。辛すっぱいものが好きな人はいろいろなものにかけてみましょう。筆者のイチ押しは、フィッシュアンドチップスです。
お次は青。これは日常の色々な料理に便利に使えます!
青とうがらしとにんにくの醤油漬け
【材料】
- 青とうがらし 好きなだけ
- にんにく 好きなだけ
- 醤油 青とうがらしとにんにくが浸る量
- みりんまたは砂糖 少し
【作り方】
①青とうがらしは洗って、キッチンペーパーで水気をしっかりとります。
②青とうがらしを細かく輪切りにします。まな板で切ると、まな板に辛みがつくのでキッチンペーパーの上で切ると良いと思います。
③にんにくは薄切りにします。
④青とうがらしとにんにくを瓶に入れます。
⑤少し甘みがあった方がおいしいのでみりんか砂糖を少し(お好みで)入れ、醤油を青とうがらしとにんにくが浸るところまで注ぎます。
⑥1週間後くらいから使えます。雑菌が入らなければ1カ月くらいは保存できます。使うときは、にんにくや青とうがらしも少しずつ入れて使います。
使い方は、いろいろなもののつけだれとして。肉の炒め物の味付けはこれだけでオッケー。もやしもこれで炒めるだけでごちそうです。チャーハンにもおすすめです。これだけで料理の味がグレードアップするので、すぐに使い切ってしまうと思います。
とうがらしの栽培は拍子抜けするほど簡単だった
実際に内藤とうがらしを栽培してみたら、拍子抜けするほど簡単でした。隣で栽培しているバジルには虫がついてしまったけれども、内藤とうがらしには全然つかなかったし。
とはいえ、内藤とうがらしの苗は乾燥には弱いらしいので、酷暑の時には朝晩2回水やりをしたのがちょっと面倒でした。普通の気候ならそこまでしなくてもいいんでしょうけど。
うちの内藤とうがらしは、まだまだ元気です。