サバ専門店の作る「サバ鍋」が絶品なんです
いよいよ本格的に気温も下がり、鍋の恋しい季節になりました。
外食はもちろん、自宅でも鍋をする機会が増えると思いますが、ついつい同じ味付けばかりで飽きてしまう……そんなお悩みはありませんか?
今回はそんな方におすすめしたい、SABAR監修「サバ鍋」のレシピをご紹介します。
SABARは「サバー」と発音し、その名の通り、サバ(とろサバ)の専門店です。
都内を中心に国内外あわせて現在23店舗。全店舗・全メニューにサバが溢れている、「ひたすらサバに熱いお店」です。
2014年に初出店して以降、根強いファンがどんどん増え、ここ数年のサバブームの後押しもあって注目が集まっています。
そんなSABARでも12月から忘年会に向けて4種のサバ鍋をスタートするということで、ひと足先にそちらの試食もさせていただきつつ、ご家庭でも簡単につくれるレシピを教えていただきに行ってきました。
ところでSABARってどんなお店?
▲入り口からサバ感が溢れるSABAR
銀座と新橋の間に位置するビルの地下1階に、SABAR銀座店はあります。
まず入り口から、わかりやすくサバ推し。看板も、営業中の札も、とにかくサバです。
▲サバの目が「38=サバ」になっているのに注目
そして地下1階まで降りる階段にもサバ、サバ、サバ。たくさんのサバ達に導かれるように階段を降りていきます。
▲突っ込みポイントの多すぎる、サバまみれな店内
辿り着いた先にも、やっぱりサバ。どこを見渡しても、とにかくサバが溢れています。
▲照明が良い感じに神秘さを醸し出している
サバの神棚まで飾ってあり、「これは……」と驚愕していると、「お疲れサバです」と声がかかりました。
サバの伝道師
▲サバの申し子・サバの伝道師である右田さん
右田さん:こんにちは。SABAR代表の右田です。今日はわざわざ足を運んでいただき、お疲れサバです。
──お、おつかれサバです。こちらこそ今日はありがとうございます。あの、その懐から覗いているのは……。
右田さん:サバですね。
──……で、ですよね(やばい。さかなクンのサバ特化ver.みたいな人だ。深く突っ込むのはやめておこう)。
右田さん:今日はうちの新作サバ鍋の試食と、ご家庭でも作れるサバ鍋レシピを教えてほしいとのお話を伺っていますが。
──そうなんです。鍋といえば肉が中心で、海鮮となると蟹や貝。魚ではせいぜい、鮭やタラかなと思っていたところ、まさかの「サバ鍋」があると伺い、気になってお邪魔してしまいました。
右田さん:たしかにサバの鍋は、まだまだ知名度が低いですよね。うちでは数年前から忘年会の時期になるといろいろなオリジナルサバ鍋を出していますが、すごくポテンシャルに溢れたメニューだと思っています。
──毎年出されているんですね。サバ鍋がこんなにもバラエティに富んでいるなんて驚きです。ちなみに今年は、どんな鍋を?
右田さん:全部で4種類出すのですが、今日ご用意したのは「腸活! 発酵ねばねばサバつみれ鍋(この年末を乗り切るネバーギブアップ鍋)」です。
──え?
右田さん:「腸活! 発酵ねばねばサバつみれ鍋(この年末を乗り切るネバーギブアップ鍋)」です。
──思いがけないワードが詰め込まれ過ぎていて、ちょっと頭がショートしました。思い切ったメニュー名ですね。
右田さん:私がサバにのめり込み、商売をはじめたのは約10年前です。当時のサバは「痛みやすい、アレルギー、アニサキス怖い」などネガティブな印象が強かった。しかしこの10年でサバファンは驚くほど増え、恐縮ながら私たちは、そのマーケットリーダーだと自負しています。こうした半歩先をいく提案は、私たちの使命のひとつなのです。
──なるほど。半歩どころか、1歩、2歩も先な気もします。たしかにサバの新たな可能性が見えてきそうな発想ですね。
右田さん:サバのポテンシャルは本当にすごいんですよ。まずは、この鍋を食べてみてください。
3つのねばねば成分「とろろ」「なめこ」「納豆」を入れた鍋
▲「腸活! 発酵ねばねばサバつみれ鍋(この年末を乗り切るネバーギブアップ鍋)」1,580円。ネーミングの点でも「半歩先を行く」材料が並ぶ
右田さん:醤油味噌ベースのサバつみれ鍋に、3つのねばねば成分「とろろ」「なめこ」「納豆」を入れていただきます。
──ちょっと待ってください。「とろろ」「なめこ」までは、ふむふむと思いましたが、「納豆」はやばいのでは……鍋に納豆。しかもサバに納豆。なんだか危険な香りがします。
▲容赦なく納豆をすべてぶち込む右田さん
右田さん:大丈夫、大丈夫。はい、いれますよー。
──うわわ、全部いった。
右田さん:これで火にかけ、完全に煮立ったら完成です。
──美味しそうなような、危険なような……。
▲5分ほど煮たところ。人参まで魚(サバ)の形になっているのにも注目
──グツグツ煮立ちましたね。思ったよりも臭くない……というか、食欲をそそる見た目と香りが。
▲率先して鍋を食べ、おかわりもする右田さん
右田さん:美味しいんで、食べてみてくださいよ。私も食べちゃおう。うん、うまーい。
──こんなに嬉しそうに自社のメニューを食されるオーナーさん、初めて見ました。
右田さん:だって本当に美味しいんですよ。さあ、中川さんもぜひ。
▲サバつみれに納豆という、パンチのありすぎる組み合わせ
──そ、それでは……。もぐもぐもぐ。
▲驚きのおいしさに、しゃくれる筆者
──お……? おいしい……。要素が多すぎてどうなっちゃうのかと思いましたが、なぜかしっかりまとまっています。納豆もサバも風味はあるけれど、まったく臭くないです。
▲とろろが少し焦げたところも、個人的に好き
──サバの旨味が滲み出した出汁は、パンチのあるイケメン的なしょっぱさ。それを、たくさんの野菜、なめこ、何よりとろろが優しく包み込んで、まろやかな味わいに昇華しています。バターもほんのりと豊かさを出して、良い仕事してくれてます。
右田さん:気に入っていただけて良かったです。
──このサバつみれが、なめらかでふわふわ。それなのにずっしりとボリュームもあって。納豆をはじめ強烈な具材が多いけれど、しっかりサバの旨味が残っています。
右田さん:私たちがメニューを開発する際、大切にしているポイントに「適度なサバ感を残す」があります。サバの臭みは決して出しませんが、美味しさはしっかり伝えたいんです。
──白身魚で代用してもまわりの出汁を吸ってくれて美味しそうですが、サバは適度に出汁を吸いつつ、さらに自身の旨味を周りに与える底力があるんですね。本当に美味しいです。他3種の鍋も、お客さんとして食べに伺いたいです。
自宅で作れる! SABAR監修「サバ生姜鍋」のレシピ
右田さん:それでは、ご自宅で簡単につくれる「サバ鍋」の紹介にうつりましょう。SABARに来ていただくのも大歓迎ですが、お家でもサバを楽しむ習慣が広がってくれたら嬉しいです。
▲SABARで使われている脂たっぷりの「トロサバ」
右田さん:まず、新鮮なサバを用意します。今日はSABARで使っている大きなサバなので半身ですが、通常のスーパーに売っているサバなら、2人前で一尾くらいが、ちょうど良いと思います。ご自身で3枚におろせる方はご自宅で。苦手な方はスーパーなどで「3枚におろして」とお願いすれば、やってもらえるところが多いです。
──ふむふむ。
▲すごいスピードでサバを薄切りにしていく
右田さん:ではこのサバを、適当に薄めに切っていきます。
▲綺麗に切ろうとする必要はなし
右田さん:そして、さらに適当に叩いて、荒いミンチにする。
──細かい部分、荒い部分ができちゃって良いんですか?
右田さん:そこがまた味わいになるんで大丈夫です。ゴロッと食べ応えのある部分が残っていた方が美味しいんです。
──フードプロセッサーを使うのはいかがですか?
右田さん:もちろんそれでもOKです。その場合でも、少しゴロゴロ感が残るくらいで止めるのが個人的にはおすすめです。
▲粘りが出て、まとまるまで練る
右田さん:そうしたらミンチをボウルに移して、つなぎの片栗粉、塩、生姜汁を加えて練ります。これでサバの下準備は完了です。
──これならご家庭でも簡単に再現できそう。
▲好きな野菜、なんでもOK
右田さん:あとは好きな野菜を用意。きのこをたっぷり使うと、旨味も出るし、風邪予防にも良いですよ。出汁も適当で大丈夫です。私のおすすめは昆布出汁。鍋に水と昆布を入れて中火にかけ、沸騰直前にかつお節を加えて火を止めます。で、昆布・かつお節を取り出せば完成。もちろん市販のつゆを使ってもかまいません。
──この辺は普通の鍋と一緒ですね。
大量の生姜を使う
▲大量さを伝えたくて、10円玉と比較してみた
右田さん:最後にこれ。大量の生姜が今回のポイントです。
──すごい量ですね。
右田さん:こちらも生姜をすりおろしても良いし、チューブを使っても良いです。今回だとチューブに例えたら2本分くらいですね。辛いのが好きなら、もっと多くても良いくらいです。
──チューブ2本分の生姜を1回で使うのは、初めてです。
▲スプーンとボウルの側面を使って丸める
右田さん:それでは全ての下準備が完了したので、煮込んでいきましょう。サバつみれを丸めていきます。手でもいいし、スプーンを使って適当なサイズに。
▲これだけで、もう美味しそうなサバつみれ
右田さん:全部丸めたら、沸騰した出汁の中へサバつみれを全部入れちゃいます。
▲サバつみれを覆うように、野菜をたっぷり入れる
右田さん:あとは上から野菜と、味を整えるために塩も入れる。
▲ここでも容赦なく生姜をぶち込む右田さん
右田さん:最後に生姜をドドドーッと。あとはグツグツ煮立ったら、完成です。
──生姜の良い香りが、食欲をそそりますね。それにしても簡単。
右田さん:簡単で美味しい。これが家庭料理では1番ですよ。
▲5分経過。生姜と出汁の混ざり合った香りがたまらない
右田さん:よし、できた。SABAR監修「サバ生姜鍋」です。
──うわー、美味しそう。生姜に混じって出汁の良い香りがして、さっき「ねばねばサバつみれ鍋」をいただいたばかりなのに、またお腹が空いてきました。
右田さん:熱いうちに、さあ。
▲この出汁は、お米やうどんを入れても、ぜったい美味しいはず
──まずはお出汁……。ふわわわ、いいお味。生姜の味はしますが、思ったより攻撃的じゃないです。サバの旨味がしっかり溶け出して、シンプルなのに深くてまろやかな出汁。後味も爽やかな辛みが締めてくれます。
右田さん:つみれが、また美味しいんですよ。
▲ゴロッとした身が、また美味しい
──本当ですね。さっきの滑らかなつみれと、また違う魅力。ほどよく身の食感が残っていて、「サバを食べてる」って感じがします。ほとんど味付けしていないのに、しっかりと旨味があります。そして生臭さは全然ない。生姜パワーですね。
右田さん:サバ好きにも、ちょっと苦手な方にも、みんなで囲んでいただける鍋を目指しました。
▲鍋2つ目と思えない食欲を発揮する筆者
──ねばねばサバつみれ鍋もそうでしたが、サバってこんなに出汁をだしても、まだまだ旨味が残るんですね。すごい底力です。
右田さん:そう、サバってすごいんですよ。では、作り方をおさらいしておきましょう。
SABAR監修「サバ生姜鍋」の作り方をおさらい
▲SABAR監修「サバ生姜鍋」
【材料(2人前)】
サバつみれ
- サバ 一尾
- 片栗粉 10g
- 塩 少々
- 生姜汁 少々
野菜・キノコ類
- 白菜、長ネギ、ぶなしめじ、舞茸、エノキダケ (好きなものを好きなだけ。キノコ類多めが特におすすめ)
出汁(市販のつゆなどで代用しても可)
- 水 1リットル
- 昆布 10cm
- かつお節 10g
- 塩 5g
- 生姜チューブ 2本分(すりおろし生姜でも可)
【作り方】
- サバを三枚におろし、包丁で軽く叩く(皮が気になる人は、取り除いてから)
- 叩いた身をボウルに移し、片栗粉、塩、生姜汁を加えて混ぜ、団子状にする
- 好きな野菜を食べやすい大きさに切る
- 出汁をとる(鍋に水、昆布を入れて中火にかけ、沸騰直前にかつお節を加え火を止め、昆布・かつお節を取り出す)
- 鍋に出汁をいれて沸騰させ、サバつみれ、野菜、塩、生姜を入れて煮込む
- 煮立って具材に火が通ったら完成
【その他】
サバの代わりにサバ缶を代用していいか質問したところ、「卵・片栗粉・山芋などを加えて丸め、油で揚げてからなら代用は可能。ただし、生より食感・味ともに劣るため、おすすめはしない」とのことでした。
サバを「魚界のトップアイドル」にしたい
──今日はありがとうございました。どちらのサバ鍋も本当に美味しかったです。自宅でも作りますし、残り3種のサバ鍋を食べに、また伺いますね。
右田さん:ぜひぜひ、お待ちしてます。
▲サバとチーズをコラボさせる発想はなかった
──それにしてもSABARさんは、おもしろいお店ですね。今回のレシピもそうですが、このメニューに載っている「チーズフェア」なんかも、まさかすぎる組み合わせ。
▲サバ缶の「缶」を使うなど、デザートまでサバ推し
──デザート含めて全メニュー、サバを追求しているところも凄いし、どうしてこんなに愛情を注げるんですか?
右田さん:私はもともと飲食系の仕事をしていたんですが、そのなかで、自分ならではな新たなマーケットをつくりたいと思うようになりました。それで何の魚にフォーカスしようかなと考えたら、マグロやサーモン、鯛など、メジャーな魚達はすでに面白いことをしているプレイヤーがたくさんいたんです。
──たしかにそれぞれ、おもしろいメニュー開発や、新たな養殖など、話題性がありますね。
右田さん:それに比べて当時(10年以上前)のサバは、どちらかというとネガティブにとらえられることが多くて。日本近郊でたくさん獲れるし、古くから郷土料理などでも食べられてきた魚なのに、もったいないなと思ったんです。もしサバに、魚界の秋元康がついたら、きっとトップスターになれるのに……と。
──魚界のAKB48……。
▲右田さんの考える、サバの活用法
右田さん:私自身がサバ好きだったこともあって、こうなったら私がプロデューサーになってやると思い立ち、この10年、飲食店の経営だけでなく、サバサンバチームをつくったり、オリジナルの養殖サバ「お嬢サバ」「よっぱらいサバ」を共同開発したりと、いろいろなチャレンジをしてきました。
※お嬢サバ……JR西日本や鳥取栽培漁業センターと共同開発
※よっぱらいサバ……小浜市や福井県立大学、漁協、漁業者と共同開発
──すごいですね。
右田さん:私たちだからできる研究を突き詰めていって、もっと本物の、もっと想像以上の、サバ史上最高のサバをお届けしていきたいんです。サバで地域を元気にすることも、本気でできると思っています。
──サバがそんなにポテンシャルを秘めた魚だなんて、知らなかったです。でも、今日の鍋の美味しさや、右田さんはじめスタッフの皆さんの情熱に触れると、その通りなんだなと思いました(取材中、スタッフさんたちもニコニコ「美味しいでしょう」「サバって凄いんですよ」とたくさん話にきてくださいました)。
▲熱い想いを綴った、サバジャン
右田さん:私たちの挑戦はまだまだこれからです。ぜひサバとSABARをよろしくお願いします。今日はお疲れサバでした。
──お、お疲れサバでした(そうだ、このフレーズだった)。
サバ専門店のサバが食べたくなったら
▲よっぱらいサバの姿造り(要予約、¥11/g・税別)
SABARさんからは今回、美味しいレシピはもちろん、サバ自体の魅力・ポテンシャルをたくさん教えていただけました。
鍋以外にも魅力的なサバ料理でいっぱいのSABARさん。
彼らの発信するサバ料理のおかげで、いつかSKN48(サ(S)カ(K)ナ(N))がデビューするときには、サバがセンターに立っているかもしれません。
まずはご自宅でできるサバ鍋をヘビーローテーションして、サバの魅力の一端を味わってみてください。
もちろんSABARさんで作られたサバ鍋も、絶対に試してみてくださいね。
店舗情報
とろさば料理専門店 SABAR 銀座店 (サバー)
住所:東京都中央区銀座8-3-1 GINZA TOKIDENビル B1F
電話:050-5349-9570
営業時間:月曜日〜金曜日17:00~23:38(L.O.22:38)、土曜日・日曜日・祝日15:00〜23:38(L.O.22:38)。日曜営業
定休日:不定休あり