ニンニクとトマトのうま味、クミンの風味がやみつきの「シャクシューカ」はスパイシーで食欲そそりすぎる!

トマトソースと半熟卵、ピリッと香るスパイスがたまらないシャクシューカをご紹介します。北アフリカや中近東で朝ごはんとして親しまれるこちら。庭乃桃さん流のアレンジで、夏にピッタリな仕上がりです。

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。

夏の軽食にピッタリ! ピリリとスパイシー、うま味のあるトマトソースと半熟卵がからみあうシャクシューカという料理をご紹介します。

シャクシューカは北アフリカや中近東を中心とした地域で作られてきた料理です。スパイスを加えたトマトソースを煮込み、その上に卵を落としたものです。

使用するスパイスはこちら。

クミンパウダー(左)はカレー粉の香りのもと、パプリカパウダー(右)は、真っ赤な色合いとほのかな甘み、独特の風味を醸し出します。

とろ〜りとろける半熟の卵をスパイス香るピリ辛なトマトソースにからめると、全体がまろやかな味わいになって一気にごちそう感が高まります。半熟の卵にカリッと焼いたバゲットをディップし、ソースとからめて食べるのが最高です!

味の決め手となるトマトソースは作り置きもOK。奥深い味わいと濃厚なコクのあるソースに仕上がります。

まとめて作っておけば、食べたい時に卵を落とすだけでいつでもシャクシューカが食べられます。現地では、満足感のある手軽な朝食としても親しまれています。

そんなシャクシューカを、ベースのトマトソースの作り方から丁寧にお伝えしていきます。

シャクシューカ

材料(1~2人分)

  • 卵……2個

【トマトソース】

  • 完熟トマト……2個(350g前後) ※またはトマト缶1/2缶(約200g)でも代用可
  • 玉ねぎ……3/4個(150g)
  • ニンニク……3かけ
  • 赤唐辛子……1本
  • オリーブオイル……大さじ2
  • クミンパウダー……小さじ1
  • パプリカパウダー……小さじ1
  • 塩……適量

※旬の時期(5月下旬ごろ~8月ごろ)なら完熟トマトを用意するのがベスト。なければトマト缶でも代用できますが、その場合は酸味が残ることがあるので、仕上げにお好みで砂糖ひとつまみを加えてみましょう。

作り方① 材料の下ごしらえ

今回の材料は、とてもシンプル。特に具材は、ソースのベースとなるトマトに玉ねぎ、ニンニクの3つだけです。

トマトは角切りに、ニンニクは芽を取ってみじん切りに、玉ねぎもみじん切りにします。

赤唐辛子は種の部分が辛いので、スパイシーな風味がお好みならばそのまま、辛さ控えめなら種は外してから小口切りにします。いずれもキッチンばさみを使うときれいに切れます。

トマトソースはトマト缶でも手軽に作れますが、今の時期はちょうど生のトマトが旬を迎えます。完熟トマトを使うと甘みも風味も増して、格段においしくなるのでおすすめです!

そして、生のトマトを使うなら、ぜひ試してみてほしい裏ワザがひとつ。実は、トマトはあらかじめ冷凍しておくことで細胞壁が壊れて煮込み時間が短くなり、甘みもうま味も溶け出しやすくなるんです。

おいしく冷凍するためには、一工夫必要です。まずはトマトのヘタをペティナイフなどでくりぬきます。

あとはそれを食品用のビニール袋などに入れてから、丸ごと冷凍しましょう。

解凍する時は、凍ったトマトを水に浸ければ、あら不思議……!

わざわざ湯むきをしなくても、皮が自然にするりとむけてしまうんです。

あとはそれをシャーベット状になるまで解凍して、1cmの角切りにして使います。これで具材の準備ができました。次は主役となるトマトソースを作っていきましょう。

作り方② トマトソースを作る

ニンニクとオリーブオイルをフライパン(今回のレシピならば直径20cm程度)に入れて中弱火にかけます。ニンニクは焦げやすいので、冷たいフライパンから火にかけましょう。 

ニンニクの香りが立ったら、玉ねぎを投入。

赤唐辛子も加えて塩を振り、全体をざっと混ぜたら、玉ねぎをフライパンいっぱいに平らに広げて中弱火で7分程度、時折ヘラなどで全体を混ぜながら加熱します。あまり触らず、玉ねぎ自身の水分でじっくり炒め煮にすることがポイントです。

ここで塩を振っておくことで、玉ねぎの水分を飛ばし、うま味と甘みを引き出します。全体が黄色っぽくなり、玉ねぎにやや粘り気が出るくらいまで炒め煮にするのがおすすめ。あとから加えるトマトの酸味とのバランスが取れるよう、ここでしっかり玉ねぎのうま味と甘みを引き出しておきましょう。

玉ねぎにやや粘り気が出てきたら、クミンパウダーとパプリカパウダーを加えて炒め合わせます。

どちらもそれほど辛みはありませんが、トマトとの相性が良く、香り高い風味が食欲をかき立ててくれるスパイスです。仕上げに振ってもおいしいですが、今回はスパイシーな風味をトマトソース全体になじませたいのでこのタイミングで加えて一緒に煮込んでいきましょう。

スパイスをなじませたら、作り方①で準備したトマトも加えます。なおトマト缶を使う場合も、ここで加えてください(ホールタイプのトマト缶なら、あらかじめトマトをつぶしておくのがおすすめ)。

そうしたら、あとは時折全体を混ぜながら、中弱火で9分ほど(トマト缶使用の場合はもっと短くても良いので適宜調節)煮ていきます。

フライパンの底をヘラなどでなぞって、ゆっくりソースが戻ってくるくらいでOK。必要に応じて、塩で味を調えましょう(トマト缶で作る場合には、酸味が少し気になることがあるので砂糖をひとつまみ加えても)。

それではいよいよ仕上げの工程です!

作り方③ 卵を落とす

トマトソースを作り置きしている場合、弱火でふたをして時折かき混ぜながら2分ほど温めるだけで作ることができます。

トマトソースに2カ所、軽くくぼみを作ったら、そこに卵を割り入れます。

弱火でふたをして、お好みの加減に卵に火を入れたらできあがり。

さあ、できました!

お好みで彩りに刻んだパセリを散らし、カリッと焼いたバゲット(共に分量外)を添えて、早速いただいてみましょう。

卵黄の部分をバゲットですくって、トマトソースをからめます。

なんともおいしそう……!

しっかりした甘みとコク、トマトの香りが口いっぱいに広がるトマトソースは、スパイスの風味も効いていて極上の味わい。さらにそこにまろやかにとろける卵黄がからみ、えも言われぬおいしさです!

トマトと卵がメインのシンプルな料理ですが、ニンニクのとトマトのうま味がからみ合い、オリーブオイルのコクやスパイスの風味がしっかりと効いているので食べ飽きることはありません。

 

重たさはないのにこの満足感、まさに何度でも食べたくなるひと皿です。

フライパンに残ったソースに、ゆでたショートパスタやチーズ(共に分量外)とからめるのもおすすめ。

アイデア次第でアレンジも多種多様!

このシャクシューカ、応用が利く料理としてもおすすめです。たとえば、「煉獄のたまご」と呼ばれるアレンジレシピ。

グツグツ煮え立つトマトソースのイメージから名付けられた「煉獄のたまご」は、実際にイタリアの家庭料理にあるおなじみのメニュー。作り方は、ほぼシャクシューカと同じで、スパイスの代わりにハーブ(バジルやオレガノなど)を加え、チーズで風味をつけます。

実は、こうしたトマトソースに卵を割り入れた料理というのは世界各地にあり、チーズ入り、ひき肉入り、ソーセージ入り、生のパプリカ入りなど、それぞれの地域、家庭によってさまざまな作り方がされています。

つまり、今回のシャクシューカの作り方をマスターしていただければ、そんなアレンジも自由自在! 

ぜひこの夏は、お気に入りのアレンジメニューで楽しんでみてくださいね。

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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