どシンプルなのにつゆが異常にウマい「ねぎま鍋」を試してほしい【魚屋三代目】

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皆さん、「ねぎま鍋」をご存じですか?

“ねぎま”というと焼き鳥を想像する方が多いと思うのですが、このねぎま鍋とは「葱(ネギ)」と「鮪(マグロ)」からきているもの。漢字で書くと「葱鮪鍋」、マグロの脂から出るうま味がつゆに溶け、そのうま味を吸ったネギを頬張る……。もう、とろけます。今回はめんつゆを使ってパパッと簡単に仕上げちゃいましょう。ご飯もお酒もすすみますよ~。

 

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マグロは手軽な刺身用のサク(またはぶつ切り)を使うのですが、選ぶ際のポイントは、「筋が多く脂がのっている」こと。筋が多い部分はかたくて刺身にしても食べづらく、お安くなることが多いんです。

でも、「かたいって言っているマグロの筋、鍋に使って食べる時には気にならないの?」と思いますよね。はい! マグロの筋、主成分はコラーゲンやタンパク質なので、熱を加えると溶けて甘みが増してうま味になります。「ねぎま鍋」に向いているのは筋が多い脂のあるマグロ、これに尽きるんです。

種類はメバチマグロあたりで(本マグロやインドマグロはお高いので)。あとタイムセール! 閉店間近に表示価格からさらにお値引き、ここも狙い目です。

 

ところで、この「ねぎま鍋」が誕生した背景には、江戸時代の食文化が影響しています。当時、マグロといえば脂がある「中トロ」「大トロ」よりも「赤身」が重宝され、今では高級な部位は保存も利かず捨てられていた、と聞きます。赤身は漬けなどにして日持ちしますもんね。そこから考え出されたのが、そのお安く手に入るトロとネギを使った「ねぎま鍋」。庶民から愛された、江戸時代の“コスパ鍋” ともいえちゃいますね。

 

魚屋三代目の「葱鮪鍋(ねぎま鍋)」

【材料】2人前

  • 刺身用マグロのサク(またはぶつ切り) 1サク(150~200gくらい)
  • 長ネギ 2本(できれば鍋用の太いもの、下仁田葱など最高!)

(A)

  • めんつゆ(市販品/三倍濃縮) 50ml
  • 醤油、酒 大さじ2
  • 水 300ml

 

作り方

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1. 長ネギを食べやすい大きさの筒切りにし、魚焼きグリルやフライパンに並べて、

 

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焼き色をつけましょう。香ばしく、ネギの甘さも引き立ちます。

 

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2. マグロは食べやすい大きさに切っておきます。(薄すぎると煮たときに崩れるので、厚目に2センチ以上がオススメ)

 

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3. 鍋に(A)を入れ、中火で一煮立ちさせます。

 

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4. 鍋に焼いたネギを加え、マグロをまず半量入れて食べ始めましょう。マグロがなくなったらもう半量加えます。

※一気にマグロを加えて煮てしまうと、最後の方でマグロがかたくなってしまうので注意です。

 

鍋のシメはおそばがオススメ!

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「ねぎま鍋」は、つゆを濃い目に仕上げるのがポイント。

 

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マグロはミディアムレアくらいで食べるとうま味全開です! 具は、今回はシンプルにマグロと長ネギのみですが、三つ葉やセリ、水菜なども合います。

 

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薬味には七味をパラっと! この食べ方が絶品です。柚子胡椒もおいしいですよ。

そしてシメ、この鍋に合うのがおそば。つゆが濃い目で甘みもあるのでそばが合うんです。さらにとろろを加えて山かけにしたら最高。ズズっといけば、たちまち幸せになれますよ。

 

作った人:魚屋三代目

魚屋三代目

本名・柳田昇(やなぎたのぼる)。神奈川県厚木市で60年以上続く鮮魚店の三代目。父と魚屋を営むかたわら、旬の魚介の簡単な料理や捌き方をブログ『魚屋三代目日記』にて紹介しています。レシピ本などの書籍やテレビなど幅広く活動。62種の魚介の詳しい捌き方と、それらの魚をおいしく食べる100を超えるレシピ、捌き方やおろし方の動画が見られるQRコードも掲載の最新刊『魚屋三代目の魚のおろし方と料理』(エイ出版社)が発売中。2023年4月、新鮮な魚介類を使ったお惣菜店「noboru 魚武商店」もオープン。

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