食体験ミッション「お取り寄せ商品を自分で送ってみたい!」~実際に作ったら、もっと好きになった!vol.3~【タベアルキスト】

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みなさん、こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストSudaです。食体験ミッションでは、私たちタベアルキストが様々な食の体験にチャレンジ、その体験レポートをみなさんにお届けしようという体当たり企画です。 体験内容はメンバーもジャンルも多岐に渡る予定ですので、楽しみにしていてくださいね。

 

お取り寄せ先を見てみたい

さて、第3回目のミッションは「お取り寄せ果物を自分で送ってみたい!」です。

事の発端は7月末。

桃のお取り寄せの予約をしていた「錦自然農園」より、「晩成(おくて)の桃が熱波の影響を受けて送れなくなった」とのお知らせが届きました。

注文先である「錦自然農園」は、熊本県の南部、球磨エリアにある農園で、徹底した減農薬と無肥料、そして完熟収穫にこだわった農園です。

一度食べた桃の美味しさが忘れられずに、再注文をした桃でしたが、今シーズン再び口にすることは残念ながらかないませんでした。

 

気温の上昇や雨量の増加などが顕著になる中、気象の影響を多分に受ける農業は、工夫を重ねてもなかなか思うような収穫量が上げられずご苦労されているようです。

こと、「錦自然農園」のような完熟での収穫をしている果物農家さんは、通常の未熟で収穫してから追熟するものと違って実がついている時間が長い分だけ、気象の影響も受けやすくなってしまいます。

桃はかなわなかったけれど、「錦自然農園」より、代替品としてぶどうはいかがでしょう? との提案をいただきました。

ならば、この手でそのぶどうを摘んで発送してこようではないか! とずいぶん飛躍した考えに至り、ちょうど夏休みに向けて発売された「ふっこう割」を使って熊本に飛んだのです。

 

ぶどう棚から箱詰めまで、の収穫体験!

熊本は連日の猛暑。38℃という気温を体験したのは初めてかも知れません。

昨年の南熊本の取材でもお世話になった熊本県のフードバレーの方々とともに、新八代から車で、人吉の先にある錦町に向かいます。

1時間半ほどで目的地の「錦自然農園」に到着しました。

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▲農園入り口。雨不足と猛暑でエントランスの木の葉も枯れてしまっています

 

さっそく農園へと案内していただきます。

地面には下草が生い茂っており、こうして草を生やしておくことで、猛暑が続いても土の中に水分を保つ機能を果たしています。

また刈り取った草をそのまま敷き詰めておいて土になじませることで、肥料をまかずともすむ肥沃な土壌作りに役立つのだとか。

自然と共生することで、果樹本来の持つ力を引き出しています。

草を踏みしめて道を作りながら進んでいくと、すぐにぶどう棚が現れました。

 

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▲これが良さそう、と袋がかかっているにもかかわらずわかってしまうのがすごい!

 

袋をかぶっていてわかりにくいですが、ぶどうは全部で10種類ほど。

品種ごとに少しずつ収穫時期がずれているので、収穫できるものから順に出荷しているとのこと。

どれが食べ頃に熟しているかの見極めは農園主の内布さんの経験による判断なんだそうです。

 

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▲袋の中から美しいぶどうが現れました。とてもよい香り!

 

食べ頃そうなぶどうを選んでいただき、いよいよ収穫です。

これは今年特にできが良いという「ハニービーナス」という品種。

名前の通り、ハチミツのような濃密な甘さが特徴です。

 

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▲軸をおさえて枝から切り離します

 

作業自体は難しくはないのですが、収穫した柔らかなぶどうを傷めないように扱うのは気を使う作業です。

 

 

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▲「藤稔」プリッと張った実がとても美味しそうです!

 

色の違うぶどうも収穫しました。

こちらは「藤稔」。大粒のぶどうです。

 

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▲収穫したぶどうを袋詰めしました

 

収穫したぶどうは専用の袋に詰めます。

完熟のぶどうは、品種によって粒が落ちやすいものもあるので、崩さないように慎重に作業します。

 

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▲包み込むようにネットをぶどうにかぶせます

 

箱詰めの前に、配送中に傷まないようにネットをかぶせます。

ぶどうの下になる部分にかぶせるように、と手慣れた様子で見本を見せてくださいます。

でもぶどうを潰さないように、さらに見栄えも良く、と思うと案外難しい!

 

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▲箱詰め作業はまるでパズルみたい!

 

ネットをかぶせたぶどうが箱にピッタリと収まるように箱詰めします。

最後に上からクッションシートをかぶせ、農園からのお便りを封入して完成です!

 

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▲人におすすめするときはこれ一枚渡せばいい、というお名刺代わりにもなるお便り

 

お便りには農園のこだわりなども書いてあって、作り手の姿が見えるような心配り。

どの品種が届いたのかがわかるように、箱詰めした種類に印をつけておきます。

あとは配送ラベルを貼って出荷するだけ! 到着が楽しみです!

 

ジャムや発酵食品なども! 素材の良さを生かした6次産業化への取り組み

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▲加工品にも力を入れはじめたそう。黒麹は自然の万能調味料として好評

 

現在、「錦自然農園」でも少しずつながら6次化産業を進めています。

自家農園の作物や地域の有機や無農薬栽培農家の作物を使って、ジャムや黒麹、キムチなどを作って2年前から販売を始めたそうです。

作り手である農家の目から見て、安心して美味しく食べられる素材を使った商品が好評で、最近は雑誌にも取り上げられるほど。

今秋からはさらに生産量をあげるために、今まで使っていた作業場を加工所へ建て替えようと、クラウドファンディングを利用して建設費を募っているそうです。(9/29で募集終了)

 

わーい! 届いたよ!

発送から2日後、自宅にぶどうが到着しました。

みずみずしいままの完熟ぶどう。

洗わずに軸枝から切り離し、密閉容器で保存すると、常温で1カ月、低温で2カ月も品質を保つことができるんだそうです。

そんな豆知識もお便りにしっかりと書かれていました。

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▲完熟でとても甘いぶどうです

 

「錦自然農園」のぶどうは無農薬栽培なので皮ごとそのまま食べられます。

しかも肥料を使っていないとは思えないくらい濃密で、それでいてスッキリとした甘さ。

一瞬にしてとりこになってしまうほど、美味しいぶどうでした!

 

今回の体験は、農家さんの行う作業の中でのほんの一部分だけでしたが、丹精込めて育ててきたぶどうを実際に一房一房手にとることで、栽培への思いを感じ、その畑にも愛着がわいてくるのが不思議でした。

ぶどうは品種を変えながら9月いっぱいまで収穫が続きます。 枝の感触や、生い茂る下草、虫食いの葉っぱなどを思い出しては、来年も美味しく育ってね、また注文するからね、などと思うのでした。

 

「錦自然農園」の内布さんは言います。

「信頼できる生産者を知っているということが大事なんです」

スーパーに置かれる野菜からも生産者の顔の見えるものが増えてきました。

どうやって作られているのか? 美味しさの秘密は? など知ろうとすることで、より食の楽しみは広がっていきます。

お気に入りの「マイ農家さん」を見つけるのも素敵ですね。

 

お店情報

錦自然農園

住所:熊本県球磨郡錦町西461-2
電話番号:0966-38-3990
ウェブサイト:http://www.fruitshop.jp (錦自然農園フルーツストア)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:Kae Suda

Kae Suda

徘徊系オープンゲッターのフードアナリスト。年間400軒以上の食べ歩きをするタベアルキストで、主にカフェ・スイーツ担当。ニューオープンや話題の店にいち早く足を運ぶのが趣味。

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