弓削多醤油~食材のルーツを辿る旅 其ノ1(後編)~産地を巡る冒険【タベアルキスト】

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みなさんこんにちは。メシ通レポーター、タベアルキストのSudaです。

さっそくですが、前回は「麺や七彩 八丁堀店」を訪問し、打ちたて麺の存在感に寄り添うようなキリリとした醤油スープに心を動かされました。

 

その醤油スープの味のベースとなっている醤油が、

弓削多醤油の「吟醸純生しょうゆ」

とのことでした。

今回は、その「弓削多醤油」を訪問し、完全無化調スタイルのラーメンに使われる醤油が、いったいどのように作られているのか?を見学してきました。

 

さっそく、「食材のルーツを辿る旅 其ノ1」の後編のはじまりです!

※もし前編を見逃してしまった方は、こちらをぜひお読みください。

 

大正12年創業小さな醤油蔵

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「弓削多醤油」は埼玉県坂戸市にある醤油蔵。

今から200年程前に、初代当主が同じ埼玉県の入間市の醤油蔵をまるごと迎え入れたのが始まりで、大正12年に「弓削多醤油」として創業し、今に至っています。現在は4代目。小規模な醤油蔵故に、社長自ら杜氏として活躍されているそうです。

 

そんな「弓削多醤油」には、醤油を寄り身近に親しんでもらうために、醤油搾り体験や工場見学のできる「醤遊王国」という施設があり、今回はそちらにお邪魔して醤油工場を見学させていただきました。

 

場所は東武越生線の西大家駅から徒歩約25分。公共交通機関でも行けますが、車でのアクセスが便利です。

 

醤油の出来るまで

「麺や七彩」で使用している<吟醸純生しょうゆ>をはじめ、弓削多醤油では「丸大豆醤油」と呼ばれる、大豆を丸ごと使った醤油が作られています。

 

ここでまず、意外と知られていない醤油の出来るまでを紹介します。

醤油づくりは大きく分けて、

  1. 麹を作る
  2. 麹と塩水を混ぜ、もろみを造って発酵させる
  3. もろみを搾る

という3つの工程で作られます。

 

第1段階は、麹を作ります。

醤油を作るために必要な原材料は、大豆、小麦、種麹、塩、水の5つ。原料処理室という部屋で、醤油を作るために必要な原材料を加工し、発酵に必要な麹を作ります。

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ぐるぐると回る大きなタンクの中で大豆を蒸気を使って蒸し、別の機械では小麦を炒り、細かく砕きます。

 

蒸した大豆と炒った小麦を合わせ、麹室という部屋へ移し、種麹という麹菌の粉を加えます。

麹室の中は室温30度、湿度100%に保たれており、ここに3日間寝かせることで麹菌が大豆と小麦に繁殖し、醤油の元となる「醤油麹」が作られます。

 

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▲黄色がかった緑色に変化するのがしっかりと麹菌が繁殖した証です

 

ここからが第2段階。

醤油麹を取り出して、蔵にある大きな木桶へと移し、塩水を加えて「もろみ」という状態にします。

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このまま蔵の中で1年ほど寝かせます。蔵の中は空調管理はせず、夏は暑く冬は寒い自然環境の温度のまま。

 

季節と共に発酵や熟成という過程を経て、黄色がかった緑色だったもろみは少しずつ焦げ茶色に変化していきます。

 

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こうしてできあがったもろみを絞って醤油にするのが最後の第3段階。

機械を使い80トンもの圧力をかけてプレスし、出てきた液体が醤油となります。

 

このプレスの工程は見学できませんでしたが、「醤遊王国」では同じ原理の昔ながらの方法で醤油絞り体験が可能です(要事前予約)。

 

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絞りたての生醤油は品質検査を受けた後、冷蔵庫内でボトリングされ、無加熱・無濾過・無調整の「吟醸純生しょうゆ」として店内でのみ販売されます。これが「麺や七彩」でも使われている、酵母菌や乳酸菌の生きた状態の醤油です。

 

また、絞り出された生醤油のうち加熱処理で発酵菌の活動を止めたものは、常温保存できる醤油となります。

 

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厳選素材で作られる丸大豆醤油

 弓削多醤油では、醤油の原材料にもこだわり、高品質な醤油造りを目指しているそうです。

大豆はおもに青森県産の有機栽培大豆を使用。国内消費大豆のほとんどが輸入に頼っている環境の中、国産の有機栽培大豆というのはとても稀少で供給も不安定ですが、安心して口にできるという所にこだわって国産大豆を使用しているとのことです。

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また、小麦も青森県産の有機栽培のものを使用。埼玉県が無農薬栽培の小麦の産地ということもあり、県産小麦なども使っているそう。

 

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塩は天日塩、そして水は高麗川の綺麗な水。

こうして自然の恵みたっぷりのこだわりの醤油が作られているのです。

 

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寿命300年と言われる杉の樽を使って

少し余談になりますが……

醤油造りの工程の中で、長い期間を費やす木桶でのもろみの発酵・熟成。

昭和7年に作られたというこの木桶は杉の木でできていて、高さ/直径ともに2.3L、容量9000Lもある巨大な桶です。(これでもサイズとしてはまだ小さい方だとか。)

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困ったことに、このような巨大な木桶を作る桶職人というのが、現在日本に1人しかいないそうなのです。

 

桶自体の寿命は大切に使えば300年くらいといわれており、また現在の醤油造りはタンクを使うのが主流。桶を作る機会がなければ、後継者も育たず、伝統的な桶作りの技術がここで途絶えてしまいかねない!

 

事態を重く見た小豆島のヤマロク醤油が中心となり、木桶を作るプロジェクトを始めました。

たくさんの人が参加して一緒に木桶を作ることで技術の伝承をはかり、後世へと伝えていくという試みです。弓削多醤油も同じく木桶を使う醤油蔵として、小豆島へ足を運んでこのプロジェクトに参加しているそうです。

 

伝統的な調味料である醤油だからこそ、長い年月をかけて受け継がれてきた技術は大切に守られていって欲しいものです。

 

やわらかな丸大豆醤油を味わう

工場見学の最後に、絞りたての生醤油を味見しました。

少し赤味がかった絞りたての醤油は、口に含むと塩気はあるものの口当たりが柔らかく、後味に力強い旨味と香りが残ります。

 

瓶を置いておくと、上の方に大豆の油の層ができるのが絞りたての丸大豆醤油の証。この油分が口当たりをまろやかにしているそうです。

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「麺や七彩」にとって、この自然そのままのおいしさがたっぷり詰まった醤油はなくてはならないものでしょう。スープの輪郭を描き麺の美味しさを存分に引き立て、後味として鼻の奥に香るこの醤油を使うことで、あの印象的な1杯ができあがっているのですね。

 

ちなみに見学終了後は、2階の喫茶コーナーにて、弓削多醤油の醤油が堪能できる醤油ソフトや、たまごかけごはんなども楽しめます。

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▲たまごかけごはん 360円

 

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▲しょうゆソフト 300円

 

お店情報

弓削多醤油株式会社 醤遊王国本店

住所:埼玉県日高市田波目804ー1
電話番号:0120-417-059
営業時間:9:00~17:00
ウェブサイト:http://yugeta.com

 

書いた人:Kae Suda

Kae Suda

徘徊系オープンゲッターのフードアナリスト。年間400軒以上の食べ歩きをするタベアルキストで、主にカフェ・スイーツ担当。ニューオープンや話題の店にいち早く足を運ぶのが趣味。

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