紹興酒 ワイン 椎茸 メイラード反応 複雑なうま味の中華風鶏料理「貴妃鶏」が簡単なのにうますぎる【美窪たえ】

鶏の手羽先を使った、コラーゲンたっぷりの中華風煮込み「貴妃鶏翅」をご紹介します。とろとろになった上品な鶏の手羽先を堪能できます。

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写真提供:美窪たえ

こんにちは! 料理家の美窪たえです。

本日は、鶏の手羽先を使った中華料理「貴妃鶏(きひち)」をご紹介していきます。

この貴妃鶏は、隠し味に赤ワインを使うことで、鶏の手羽先が気品溢れる味わいに。鶏のうま味と紹興酒などの調味料を、赤ワインでまとめ上げた複雑な味わいを楽しんでいただければと思っています。

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中華風の味つけに赤ワインを合わせた上品な味わいです

また、複雑な調理技術は必要なく、フライパンで30分ほど煮込むだけで手軽に作れてしまうのも貴妃鶏の魅力です。

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写真提供:美窪たえ

そして、貴妃鶏を存分に楽しんだ後は、ぜひ炊きたてのご飯と卵黄の醤油漬けを合わせてみてください。

貴妃鶏の芳醇なうま味が滲み出たタレと、卵黄の醤油漬けを一緒にかきこめば、ご飯が止まらなくなってしまう……。そんな中華風の絶品おかずをご紹介していきます。

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ご飯が止まらなくなるやつです

貴妃鶏の作り方

材料(2〜3人前)

  • 手羽先……10本
  • 干し椎茸……6〜8個
  • たけのこ水煮……100g
  • 長ネギ……1本(白い部分のみ使用)
  • チンゲンサイ……1束
  • サラダ油……10g
  • 醤油……65g(下味用10g/煮込用40g/卵黄の醤油漬け用5g)
  • 紹興酒……30g(下味用10g/煮込用20g)
  • 砂糖……15g
  • 水……400ml
  • 片栗粉……15g
  • 赤ワイン……30g
  • ごま油……10g
  • 卵黄……1個
    ※紹興酒がない場合は、同量の料理酒や日本酒でも代用することが可能です。

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貴妃鶏の作り方「下準備編」

1.まずは、干し椎茸をサッと水洗いしてから、容器に椎茸と椎茸がギリギリ浸る程度の水(分量外)を入れて冷蔵庫においておきます。

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少ない水で干し椎茸を戻すことで、凝縮したうま味と食感を演出できます

干し椎茸は、できれば半日〜1日ほどを目安に時間をかけて戻してみてください。少なめの水でじっくり戻した干し椎茸の食感は別格ですよ。

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落とし蓋の要領で干し椎茸の上に直接ラップをのせておくとムラが少なくなりますよ

ちなみに、「長時間干し椎茸を戻すのは面倒!」「もっと手軽に作りたい!」という場合は、生の椎茸でも代用可能です。

生の椎茸は干し椎茸に比べてうま味がかなり控えめですが、具材を煮込む際に顆粒中華だし 3g(分量外)を入れると、うま味が補強され、物足りなさは感じないのでご安心くださいね。

2.続いて、鶏の手羽先の準備をしていきます。

鶏の手羽先は、関節の間に包丁を入れて切り分けておきます。こうすることでコンパクトになり、調理する時も食べる時も扱いやすくなります。

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関節の間に包丁を入れて切り分けましょう

3.カットした鶏の手羽先をボウルに入れ、下味用の醤油・紹興酒を加えて全体に馴染ませます。鶏の手羽先の先端部分は可食部が少ないですが、うま味はしっかり出るので、捨てずに一緒に煮込んでいきましょう。

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調味料を全体に馴染ませていきます

4.次に、鶏の手羽先以外の具材をカットしていきます。

たけのこ水煮は、部位に応じて切り方を変えるとより食感を楽しめるため、穂先部分は形を生かしたくし切り、歯ごたえのある根元部分は薄切りにします。

水で戻した干し椎茸は、軽く絞って軸を取り除いてから半分〜3等分に切ります。長ネギは2cm幅程度の斜め切りにすれば、材料の下準備は完了です。

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生の椎茸を使用する場合は、干し椎茸と同様にカットしてください

貴妃鶏の作り方「調理編」

1.下準備が完了したところで、早速調理に入っていきましょう。

フライパンにサラダ油を引き、やや強めの中火で鶏の手羽先の皮目から焼いていきます。一度並べたらあまり触らずに、5分ほどしっかり焼き色をつけて香ばしさを出すのがポイントです。

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鶏の手羽先は皮目から焼いていきましょう

ちなみに、お肉などを煮込む際にしっかりと焼き目をつけておくことで、味の深みを増幅させることができます。

加熱することで、食材に含まれる糖とアミノ酸が反応し、具材に焼き目がついていきます(メイラード反応)。この焼き目が煮汁に溶け込むことで、味の深みをグッと増幅させることができるんです。

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味に深みを持たせるためにしっかりと焼き目をつけていきましょう

2.鶏の手羽先の両面をこんがりと焼いたら、カットしておいた具材と砂糖、醤油、紹興酒を加えて混ぜ合わせます。

紹興酒は料理酒や日本酒でも代用が可能ですが、中華風の料理に紹興酒を使うと本格的な味になります。普段からよく中華を作る方は、ぜひ紹興酒を購入してみてください。

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料理酒や日本酒を使用する場合は、紹興酒と同じ量を使用してください

3.調味料がいき渡ったら水を加え、蓋をして30分ほど煮込んでいきましょう。火加減は変わらず強めの中火で大丈夫です。

焼き目がついた鶏の手羽先と干し椎茸のうま味を全体に溶け込ませながら煮ていきます。

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生の椎茸を使用する場合は、ここで顆粒中華だし(分量外)を投入してください

4.さて、具材をじっくりと煮込んでいる間に、つけ合わせのチンゲンサイを調理していきます。沸騰したお湯500ml(分量外)に、1/6程度にカットしたチンゲンサイを茎の部分から投入していきます。

この時、お湯に塩3g(分量外)とサラダ油5ml(分量外)を加えて茹でます。このひと工夫を加えるだけで、チンゲンサイにツヤが出ます。中華料理のトッピングにチンゲンサイなどの青菜を使用する際は、ぜひやってみてください。

5.チンゲンサイをお湯に沈めて1分ほど茹でたら、ザルにあげてしっかり水気を切って盛りつけます。

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チンゲンサイ等の青菜を茹でる時は、お湯に塩とサラダ油を加えてみてください

貴妃鶏の作り方「仕上げ編」

1.30分ほど具材を煮込んだら、最後の仕上げに取り掛かりましょう。

鶏の手羽先が柔らかく煮込めているか不安な方は、鶏の手羽先の端に注目してみてください。骨の部分が少し飛び出していれば、柔らかく調理できている目安です。

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鶏の手羽先の端に注目すると、柔らかく調理できているかわかりますよ

鶏の手羽先が柔らかく煮込めていることが確認できたら、片栗粉と水30ml(分量外)を小皿などで混ぜ合わせ、水溶き片栗粉を作りましょう。そして、一度火を止めてから水溶き片栗粉を投入してとろみをつけていきます。

ここで水溶き片栗粉についての解説です。

水溶き片栗粉を投入してとろみをつける時に、ダマやムラができてしまう方がいらっしゃいます。この現象は、水溶き片栗粉が熱で固まるスピードに具材をかき混ぜるスピードが負けていることが原因です。

そのため、一度火を消して水溶き片栗粉を全体にしっかりと馴染ませてから、中火で具材を混ぜ合わせることで、うまくとろみがつけられます。ぜひ試してみてくださいね。

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水溶き片栗粉は火を止めてから投入しましょう

2.水溶き片栗粉を入れて、具材にツヤととろみが出てきたら、最後に赤ワインとごま油を加え、全体に馴染ませていきます。

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今回の味の決め手の赤ワインを投入していきます

3.ワインのアルコールを飛ばすために、30秒ほど中火で煮立たせれば、貴妃鶏の完成です!

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赤ワイン×中華味の上品なお味をお楽しみください

貴妃鶏の楽しみ方

まずは貴妃鶏に豪快にかぶりついて、とろとろになった鶏の手羽先と、赤ワインの芳醇なうま味が滲み出た味つけを楽しんでみてください。

合間合間に干し椎茸のムッチリとした歯ごたえや、たけのこのシャキシャキ食感も楽しむことができるので、最後まで食べ進めていただけると思います。

ちなみに、じっくり煮込んだ鶏の手羽先の骨は、軽く引っ張るだけで簡単に取り除くことができますよ。

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柔らかく煮込んだ鶏の手羽先は簡単に骨が抜けます

そして、お好みのお酒などと貴妃鶏を存分に楽しんだ後は、うま味の滲み出たタレとお好みの具材をご飯の上にのせてみてください!

さらにその上に卵黄の醤油漬けをのせれば、貴妃鶏丼の完成です。

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うま味の滲み出たタレまで存分に楽しみましょう

柔らかく煮込んだ鶏の手羽先のとろとろした食感に、卵黄の醤油漬けのねっとり感がまとわりつき、ご飯が進みます!!

卵黄は醤油漬けにするだけで、具材の味と馴染みやすくなるのでおすすめです。

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普通の卵黄で食べていただいてもおいしいですよ

ちなみに卵黄の醤油漬けは、小さな器に卵黄と醤油を入れて、冷蔵庫で1時間ほどおいておくだけで作ることができますよ。

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使用しなかった卵白の部分は、チャーハンや卵スープなどにご利用ください

まとめ

鶏の手羽先を使った中華料理、貴妃鶏はいかがでしたか? 中華風の味つけに赤ワインを加えたこの料理は、上品なのに食べやすい味わいで、多くの方に楽しんでいただけるのではないかと思っています。

難しい調理工程もなく、簡単に作ることができますので、スーパーで鶏の手羽先が手に入った際には、ぜひ貴妃鶏を思い出して作ってみてください。

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書いた人:美窪たえ

料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。

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