1玉約15円。粉から40分「手打ちうどん」は自作ハードルが意外と低かった【ツジメシの付箋レシピ】

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こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。

僕のまわりには、日常的に自家製麺を作る人たちが意外とたくさんいます。そんな製麺好きによると、最低限かたちになるまでの自家製麺の難易度は、

簡単← うどん < 中華麺 <<(超えられない壁)<< そば(十割) →難しい

こんな感じだそうです。

もちろん極めようとすると“うどん道”も果てしないのですが、実はうどん、意外と自作のハードルは低いのです。気軽にうどん作りにチャレンジしてもらうために、簡単な方法をご紹介します。寝かし時間10分でもちゃんとうどんになりました。

 

1kg130円の薄力粉で作れます

市販の小麦粉の違いはタンパク質の含有量の差です。強力粉、中力粉、そして薄力粉に分けられ、うどんには中力粉を使うのが一般的です。でも、うちの近所のスーパーには中力粉は売っていませんし、実は、どこにでも売っている薄力粉でもうどんは作れます。

そういえば、パッケージに「うどん」って書いてありますよね。(薄力粉の中でも、タンパク質の量だけでなく他の成分の配合加減もあるので、「うどん用」と書いてあるものがおすすめです)

 

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ちなみに僕の近所のスーパーでは、この薄力粉1kgで税込み130円ほど。うどん1玉を作るのに100g使うので、この値段で薄力粉が買えれば1食なんと13円で作れます! スーパーで5食入りの冷凍うどん(1玉約40円)買うより安上がりですよ。

ではやってみましょう。

 

ツジメシの「手打ちうどん」

【材料】(1玉分)

  • 薄力粉 100g+打ち粉用に小さじ1
  • 熱湯 45ml
  • 塩 1g(指3本でつまんだくらい)

 

必要な道具はこれだけ。

 

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  • はかり(1g単位で計れるデジタルスケールが便利)
  • ボウル(30cm)
  • 泡立て器
  • まな板(30cm×20cm程度)
  • 麺棒(30cm、ワインやビールの瓶でも代用可能)
  • 包丁

 

作り方

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1. ボウルに薄力粉、塩を入れ、ダマがないよう泡立て器で混ぜておく。

 

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2. お湯が沸いたら器に入れて45gを計り、

 

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1の粉のボウルにまずは30ml程度、細く回しかけます。泡立て器でぐるぐる混ぜたり縦横に動かしたり、かたまっているところは上から切るように押し付けて水分を粉に均一に行き渡らせる。

 

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2分ほど混ぜ、全体が細かいそぼろ状になったら、泡立て器の出番は終了(この先使うと粉がくっついて大変)

 

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3. 残りのお湯も回しかけたら今度は手で混ぜ、まとまってきたら写真のようにひとかたまりにする。

 

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4. かたまりを、拳に体重をかけてぐいぐいと押しつぶして、

 

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細長くのばしては二つに折る。これを縦横交互に5回繰り返す。

 

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5. 玉にしてラップをかけたら、常温で10分寝かせる。

ここでうどんを茹でるためのお湯(後半のかけうどんレシピの工程1です)を沸かし始めます。

 

6.ラップをはずし、「拳で伸ばしてたたむ」をもう5回繰り返す。

 

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7. 生地を2つにちぎり、打ち粉用の薄力粉小さじ1も用意する。

 

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8.ちぎった一片ずつ、まな板の上で、のし棒で伸ばす。

きっちり四角くする必要はなく、ナンみたいないびつな形になってもまったく問題なし。いびつになりそうなら手で伸ばして整えてもOKです。

 

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1枚がおおよそ10cm×25cmくらい、厚さ3mmほどに。内側になる面に軽く打ち粉をはたいて二つ折りにしてボウルに戻す。もう1つも同様に伸ばす。

 

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9. 二つ折りの生地をまな板に戻し、打ち粉をまぶして包丁で3~5mmを目安に切る。

 

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10. 切った麺はボウルの粉をまぶしておく。もう1枚も同様に切り、粉をまぶす。

端のほうは無理に切って短くするより、ワンタンのようにひらひらしたままでいいでしょう。食感に変化もついて楽しいです。(茹で具合がバラつかないよう、切ったうどんより若干薄めにのすか、引っ張るかしておきましょう)

 

これで「手打ちうどん」ができました。慣れればここまで20分くらいです。さっそく茹でてシンプルなかけうどんにしてみましょう。麺を茹でたお湯を使ってスープを作るので、鍋ひとつでできて洗い物も減りますよ。

 

鍋ひとつでシンプルに「かけうどん」

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【材料】

  • 上記の作り方で打ったうどん 1玉
  • めんつゆ(3倍濃縮) 小さじ2(2倍濃縮なら大さじ1)
  • しょうゆ 大さじ1
  • お好みの薬味、具(おろしショウガ、青ネギ、かまぼこ、天かす、油揚げ、カイワレ、七味唐辛子、温泉卵など) 適量

 

作り方

1. うどんを打つ工程の5、10分寝かしているときにお湯を沸かし始める。うどんを食べる丼に8分目まで水(500ml程度)を入れ、鍋に注ぐ。これがスープの仕上がりの水位なので、菜箸を立てるなどしてこの辺りまで、と分量を覚えておく。そこに水を1~1.5リットル追加し、沸かす。

 

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2. 麺は打ち粉をできるだけ落として、ほぐしながら1の湯に入れ、中火で8分を目安に茹でる。くっつかないよう、切れないようにやさしく混ぜる。

 

3. 麺を茹でている間に、青ネギや油揚げなどを食べやすい大きさに刻んでおく。

 

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4. 1本食べてみて好みの茹で加減になったら、最初に入れた水位(500ml程度)まで茹で湯を捨てる。めんつゆ、しょうゆで味付けする。油揚げを入れる場合はここで。

 

5. ひと煮立ちしたら丼に移し、好みの薬味を盛り付ける。

 

麺はできるだけたっぷりのお湯で茹で始めて、茹で上がったら多い分を捨てるようにしました。これですっきりしたスープに仕上がり、打ち立てのうどんの美味しさが引き立ちます。

ちなみに、手打ちうどんの打ち粉には片栗粉やコーンスターチがよく使われるのですが、今回は薄力粉を使い、また、打ち粉自体の量も最小限にしました。これも、汁の濁りやとろみがつきすぎないようにするためです。

 

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冷たいのがお好きなら、「冷やしぶっかけうどん」にしても美味しいです。

その場合は、水で締めるため麺の茹で時間は10分が目安。茹だったら湯を切り、冷水で洗って水気をよく切ったら、上記のかけうどんと同量のめんつゆとしょうゆを水(50ml程度、分量外)で溶いてかけ、温泉卵などお好みの薬味をそえていただきます。

 

最後に、うどんを打ってみてわかったことまとめ

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薄力粉でいい

うどんのコシは、タンパク質の一種であるグルテンによるものです。今回使った薄力粉は、タンパク質が少なくグルテンによるコシが出にくいです。そこで、水ではなくお湯で粉をこねる「湯捏ね」をしました。これにより粉のでんぷんがα化(糊状になる)されます。グルテンの代わりにα化したでんぷんに頼ってうどんにしようという作戦です。湯捏ねだと水分量のわりに生地がやわらかく、こねたり伸ばしたりするのが楽なのもいいところです。

ちなみに、そばの世界でも、白さを求めそばの中心部のみを使うため、グルテンによるコシが期待できない更科(さらしな)そばも、湯捏ねによるでんぷんで繋いで麺にするそうです。

 

踏まなくていい

うどんはよくこねたり踏んだりした方がコシがでます。でもこれがけっこう大変で面倒。実は、最初の水回し(粉と水をこねる前に、粉に対して水を均一に行き渡らせる作業)ができていれば、何度かたたんでもむだけで、踏まなくてもちゃんとうどんになりました。今回は泡立て器を使って、簡単に水回しをしました。

 

均一でなくてもいい

うどんは、形や太さがそろっているほうが茹でたときの仕上がりが均一になります。でも、家庭ではそんなに神経質になる必要もないと思います。というか、ばらつきがあるほうが自作感が出てむしろ楽しいです。

 

麺好きな方、コスパ重視な方、そして夏休みの思い出を作りたい方、意外とハードルが低いので、ぜひ一度打ってみてください。

 

作った人:ツジメシ

ツジメシ

本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。

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