
こんにちは。野菜と豆腐の料理家・江戸野陽子です。
牛肉の中でも比較的安価で手に入りやすい牛薄切り肉。鶏肉や豚肉より若干値段は張りますが、ひと手間をかけることで、お店にもひけをとらないほどの味に仕上がります。
そこで作りたいのが、「パンチのきいた甘辛風味がたまらない! 肉も野菜もたっぷりとれるプルコギ」。
プルコギは定番の韓国料理の一つですが、実は複数のうま味を組み合わせることで、グッとおいしくなるように計算されている料理です。
今回は、おいしさの鍵を握る漬けダレを中心に、家庭でも本格的なプルコギを作るポイントを紹介します! 牛肉が驚くほど柔らかくなる方法も必見です。
作り方自体はいたってシンプルで、牛薄切り肉に甘辛いタレで下味をつけ、切った野菜とともにフライパンで炒めるだけ。
また、お酒が進みすぎるおつまみや、ランチにもぴったりなバゲットサンドなど、プルコギを楽しみ尽くすためのアレンジメニューもご用意しました! それではどうぞ!
プルコギの材料(2人分)

- 牛薄切り肉……200g
- 長ねぎ……1本
- にんじん……1/3本
- 緑ピーマン……1個
- 赤ピーマン……1/3個
- しめじ……1/2株
- ニラ……3〜4本
- 白ごま……適宜
- ごま油……大さじ1

【漬けダレ】
- りんご……1/4個
- 玉ねぎ……1/6個
- 醤油……大さじ2
- 砂糖……大さじ1
- コチュジャン……大さじ1
- 酒……大さじ1
- すりおろしにんにく……小さじ1
- すりおろし生姜……小さじ1
※りんごがない場合は玉ねぎを1/4個にして、砂糖を大さじ2にします。
プルコギの作り方
1.牛薄切り肉に下味をつける

ボウルに、りんごと玉ねぎをすりおろします。
玉ねぎに含まれるプロテアーゼという酵素、そしてりんごに含まれるリンゴ酸はタンパク質を分解する働きがあるため、肉がしっかりと柔らかくなります。また、素材本来の自然な甘みをプラスしてくれます。

残りの漬けダレの材料を入れて混ぜます。

一口大に切った牛薄切り肉を加え、全体をしっかりもみこみ、20分置きます。
このとき、牛肉などに含まれるイノシン酸と玉ねぎ、醤油などに含まれるグルタミン酸がかけ合わさることで、うま味が強くなります。イノシン酸とグルタミン酸は三大うま味成分のうちの二つなのですが、異なる成分を組み合わせることで相乗効果が生まれ、うま味が格段に強くなるのです。
今回はボウル内で材料を合わせましたが、ポリ袋を使うのもおすすめです。ポリ袋の中に漬けダレと牛薄切り肉を入れてもみこめば、洗い物をする手間が省けますよ。
2.野菜を切る

にんじんは千切りに、ピーマン(緑、赤)は5〜6㎝の長さの細切りにします。食べごたえを出したいときは、太めに切るのがよいでしょう。

しめじは株元を切り落としてバラバラに、ニラは3㎝の長さに切り、長ねぎは斜め切りにします。
3.炒める

フライパンにごま油を熱し、火の通りにくい素材から炒めます。
最初は長ねぎ、にんじん、ピーマン(緑、赤)です。強火で1〜2分炒めます。

次に牛肉を漬けダレごと加え、強火で肉に火が通るまで3〜5分炒めます。

次にしめじとニラを加え、強火のまま1分ほど炒めます。

火を止め、仕上げにごまを散らして完成。
炒める時間が長すぎると、野菜の歯ごたえがなくなってしまうので、材料はあらかじめ全て用意して、一気に炒めるようにしましょう。
4.盛り付ける

皿に盛り付けたら、お供には山盛りの白いご飯とサンチュ(それぞれ分量外)をぜひ!
※サンチュはサニーレタスなどその他のレタス類でも可。画像はサニーレタスを使用(画像左上)。
いただきます!

しっかりと味の染み込んだ牛肉は、なんともジューシー。漬けダレに入っている玉ねぎとりんごのすりおろしにより、ほろほろと柔らかな食感になっています。そこにシャキシャキのピーマンやむっちりとしたしめじなど、食感の違う食材が合わさり、食べごたえは抜群! 香ばしいごま油の風味も食欲をそそります。濃いめの味付けはお酒にも合いますね。
そして欠かせないのが白いご飯。ほかほかのご飯の上に、甘辛のタレをたっぷり絡めたコクうまプルコギをのせれば、ご飯がどんどん進むこと間違いなし!

サンチュなどのレタス類に包んで食べるのもおすすめ。うま味の強いプルコギの味わいとみずみずしい葉の食感が相まって、ヘルシーながらついついいくらでも食べてしまいそう……。
チョイ足しアレンジ2連発
プルコギにちょっと手を加えると、また違う食べ方が楽しめます。
プルコギ厚揚げのせ

材料:厚揚げ、プルコギ
厚揚げを用意し、トースターでこんがり焼きます。そこへアツアツのプルコギを思い切ってたっぷりオン!

厚揚げの魅力は、焼くと表面はカリカリで香ばしいのに、汁気をしっかりと吸って味わい深くなるところです。また、低糖質ながら大豆由来のタンパク質もしっかりとれるのがうれしい!
こんがりカリカリの厚揚げの上に甘辛ダレが滴るプルコギをのせれば、あっという間にボリューミーな一品が完成。簡単なのにお酒が進みすぎるおつまみになりますよ!
プルコギサンド

材料:バゲット(1人前の目安として10〜15㎝)、バター、プルコギ、サンチュなどのレタス類(画像右はサニーレタス)
バゲットに横から切り込みを入れて間にバターを塗り、プルコギとサンチュを挟みます。
すぐに食べない場合は、サンドをラップでぴっちりと包み、なじませておくとよいでしょう。

噛みごたえのあるバゲットに、柔らかくてジューシーな牛肉のプルコギを挟めば、あっという間に満足度の高いサンドの出来上がり!
塩気のあるバゲットと甘辛いプルコギの組み合わせは食欲をそそり、ほどよいボリューム感があるので朝ごはんやランチにもぴったりです。
今回は牛薄切り肉と野菜で作りましたが、本場韓国では春雨を一緒に入れることもあるようです。牛肉と野菜から出たエキスを吸った春雨の味わいもまた格別なので、ぜひお試しあれ。
また、この漬けダレに豚肉や鶏肉を漬けこむのも◎。牛肉同様、柔らかくジューシーに仕上がります。さまざまな具材を使って色んなアレンジを楽しんでみてください!
書いた人:江戸野陽子

野菜と豆腐の料理家。豆腐・油揚げ・おから・豆乳などの使い方や選び方を伝えるべく日々活動中。レシピやコラム執筆のほか、料理教室も開催。倉敷在住の2児の母で、大学在学時に野菜ソムリエ、母になってから豆腐マイスターの資格を取得。著書「すごい豆腐の最高においしい食べ方」(笠倉出版社)
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