【閉店】【業界激震】オープン3ヶ月で4,000人来店!日本酒を原価で飲める「日本酒原価酒蔵」がアツすぎる

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通常1合1,000円の日本酒が300円で飲める店がある――。これを聞いて日本酒好きのあなたは垂涎(すいぜん)せずにいられるだろうか。

JR新橋駅から徒歩5分、小規模の店が密集するエリア・新橋三丁目交差点近くに店を構える「日本酒原価酒蔵」がいま、アツイ。

少しばかり飲む方ならご存知だろうが、このあたりは魚と日本酒をウリにした和食屋が多い。そんな激戦区にありながら、2015年4月1日の開店から3ヶ月にして来店した客は4,000人を突破。まさにノリに乗っているといえるだろう。

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▲あの銘柄にこの銘柄。店頭で一升瓶がお出迎え

 

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▲50席の店内は、連日男女問わず20~60代まで幅広い層の客で埋まる

 

ほぼすべての銘柄が相場価格の3分の1

「蔵元のこだわりを感じていただけるよう、できるだけ純米吟醸以上を仕入れるようにしています」と、店長の奥村敬三さん。日ごと入れ替わる50の銘柄はすべて利き酒師の資格を有す奥村さんが厳選したものだ。

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そのラインアップには、白帯のビギナーでも知っているであろう定番ものから、蔵元がある地域、もしくは都内でも限られた店舗でしか飲めないようなツウをうならせるものまで全方位抜かりない。その中には、日本の“とりあえずビール”文化に対抗するかのような銘柄も。「菊姫 濃厚旨口 先一杯」(石川/1合250円)は「アルコール度数は約14度と低く、すいすい飲めちゃいますよ。名前のとおり1杯目にぴったりです」と奥村さんもオススメする。

さらに、国内外から高い評価を誇る「獺祭」や福島を代表する「飛露喜」といったプレミア銘柄が全体の25%を占める。いずれも1合200~400円台と仕入れ値の約1割、つまり原価で供されるものだから驚きだ。ほぼすべての銘柄が相場の3分の1ほどの値段で飲めてしまう。

 

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▲オリジナル一合瓶で提供(写真は獺祭50/308円)

 

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▲「十四代」と同じ高木酒造による「朝日鷹 本醸造 新酒生」。蔵元がある山形県内もしくは都内数店舗でしか飲めないレアさながら、1合227円と破格

 

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▲左から3本目は東大出身の八代目による「新政 No.6」(秋田)。「初めてこれを飲んだとき、日本酒の価値観が変わった」と奥村さんも思い入れがあるそう

 

なお、会計時に880円(税込)が加算されるが、これはいわば原価ワールドへの「参加費」のようなもの。それを含めても客単価は3,000~4,000円と大酒飲みにも優しい。

 

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▲「ガツンと重い系が好みだと思っていても案外フルーティーなのもいけたりする。知らないお酒を試す中でご自分の好みを再発見してもらえるのが一番嬉しいですね」(奥村さん)

 

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▲同店で売れ筋銘柄トップ3はこのとおり。「手取川 純米大吟醸 本流」(石川/1合410円)、「くどき上手 純米大吟醸 Jr. 山田錦」(山形/1合367円)、「貴 特別純米」(山口/1合270円)

 

多彩な料理で巷の飲み放題制の店と一線を画す

昨今、前金制で日本酒の飲み放題システムを取る店が増えつつある。筆者もこれまでに何軒か取材させていただいた。このタイプの店では、一部を除き基本的に食事は持ち込み制であることが多く、「好みのつまみを持っていける」ともいえるし、あえて意地の悪い言い方をすれば「出来合いのものしか持っていけない」ともいえる。

日本酒と同じくらい食事も楽しみたい人もいるだろう。ここで同店の登場だ。運営会社の「株式会社クリエイティブプレイス」は現在都内に6店の和食屋を擁している。

その強みを生かし、同店では板長考案のメニューを簡素化しつつも、日本酒とのバランスの取れた多彩なメニューを50種類200~900円台で用意しているのだ。その一部をご紹介すると……。

「日本酒に合う塩キムチ」(390円)、「合鴨の燻製炙り」(390円)、「ホタルイカの沖漬け」(490円)、「本日のカブト焼き」(590円)、「炙り〆鯖」(790円)、そしていちおしの「鯛のひつまぶし」(990円)……う~ん、そそる。

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▲奥村さんが強くおすすめする「モッツァレラの醤油漬け」(490円)。「ドッシリしたものにも、軽いものにも抜群に合います」

 

「売れ筋といえど、いまは『獺祭』や『十四代』くらい。日本酒をただのブームで終わらせたくない」。これは以前ある蔵元が奥村さんにこぼした思い煩いだそう。たしかに国酒、日本酒の売れ筋が短期間で消費されていく様はすこし寂しい。だからこそ、少しずつ間口を広げようとする同店の営業方針は蔵元にとってもひとつの希望なのだ。

「仕入れ値の3倍4倍で提供するなど、今の飲食業界は日本酒で利益を出しすぎている。本来、日本酒はもっと安く気軽に楽しむべきなんです」と奥村さん。ライトユーザーを巻き込み、日本酒ブームを絶やさずにいられるか。日本酒愛好家と蔵元、双方の期待を背負う同店の今後に注目したい。

 

お店情報

【閉店】日本酒原価酒蔵 新橋本店 ※他店舗の営業状況は以下のリンクからご確認ください

住所:東京都港区新橋3-8-5 さとぺんビルB1
電話番号:050-5571-6600

sake-genkabar.com

※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「Pouch」「SPA!」「nomooo」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」で執筆。

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