
一杯目はそのまま。二杯目は薬味をのせて食べて、お茶漬けで締める「ひつまぶし」。
その発祥は明治末期。当時は出前の注文が多く、出前持ちが丼を割ってしまうことがたびたびあったそうで、人数分のご飯と鰻を大きなお櫃に入れて客へ届けることにした。ところが、鰻の枚数をめぐって客の間でトラブルに。そこで鰻を細かく刻んだのがひつまぶしのはじまりだ。
薬味やだし汁で食べるようになったのは戦後からだという。
今年6月、マルハニチロが発表した「食べたい日本の郷土料理」のインターネットリサーチで、愛知県のひつまぶしが香川県の讃岐うどん(2位)や静岡県のうなぎの蒲焼き(3位)を抑えて1位になった。
愛知県民としてはウレシイところだが、ひつまぶしは地元でも食べる機会が激減している。かく言う私も、もう何年も食べていない。鰻の価格高騰が続き、ひと昔前は2,000円前後だったのが、今では3,000円以上の店も少なくはないのだ。
このリサーチで「ひつまぶしが食べたい!」と答えたのは、他ならぬ愛知県民ではないか(笑)。
しかし、“モノ作り王国”と呼ばれる愛知県では、ひつまぶしを独自にアレンジしたメニューが続々誕生している。そんなわけで、今回は新名古屋めしの極北をひた走る「ニュータイプ=進化形ひつまぶし」を紹介しよう。
炭火で焼いた香ばしい名古屋コーチンが絶品!

まずは名古屋市内・伏見のビジネス街にある『焼鳥 とりっぱ 伏見店』。伏見界隈は焼鳥店が多く、ここは純系名古屋コーチンを使ったメニューがウリだ。ここで見つけた進化形ひつまぶしはというと……。

「純系名古屋コーチンのひつまぶし」(1,620円、昼は1,540円)。そのまんまのメニュー名だが、お櫃の蓋を取ると、ご飯一面に細かく刻んだコーチンの肉がぎっしり!

「旨みが濃厚なモモ肉を150グラム使っています。炭火で焼き上げるので香ばしいですよ」と、店長。
味付けは焼き鳥にも使用するタレだが、噛むごとにジューシーな肉汁がほとばしり、濃厚な旨みがじわ~っと広がる。焦げた皮目も香ばしい。

もちろん、シメは和風ダシをかけてお茶漬けに。薬味は鰻のひつまぶしと同様に、ワサビとネギ。これらも口当たりをさっぱりとさせるだけではなく、コーチンの旨みをさらに引き立てる。さまざまな味が楽しめるのがひつまぶしの魅力だ。

お店情報
焼鳥 とりっぱ 伏見店
住所:愛知県名古屋市中区栄2-1-15 DCC伏見ビル2F
TEL:052-204-1222
営業時間:11:30~14:00(土はランチ休)、17:00~24:00(23:30L.O.)
定休日:日曜日
ボリューム満点「かつまぶし」は昆布茶でシメ

続いて、名神高速道路一宮インターから車で約5分のとんかつ専門店『とんかつ たる蔵』。そう、ここにはとんかつを使ったひつまぶしがあるのだ。その名も「かつまぶし」(1,362円)。まったく味の想像がつかないが、いざ実食!

蓋を開けると、小さなひれかつがご飯の上を覆っていた。ソースかつ丼かと思いきや、口に入れてみると、醤油ベースのタレであることがわかった。新潟のご当地カツ丼、タレカツ丼のようなクセになる味だ。
うん、ひれかつにベストマッチ!
「とんかつ茶漬けがあるなら、ひつまぶしもできるはずと思ったのですが、タレの味付けやひれかつとのバランスの調整に試行錯誤しました。とんかつソースや醤油、鰻のタレと、色々試した結果、今の味にたどり着きました」と、店長。

さらに驚いたのは、薬味。刻み海苔とワサビは定番だが、特筆すべきは塩昆布。これがタレとひれかつをむちゃくちゃ旨くさせるのだ。この組み合わせはまさにアイデア賞モノ!

だし汁には昆布茶を使用。お茶漬けにすると、肉の旨みが相まって本当に旨い。通常の盛りでも十分にボリュームはあるが、ほかのとんかつメニューと同様に、キャベツのおかわりとご飯の大盛りは無料というのもウレシイ。

お店情報
とんかつ たる蔵
住所:愛知県一宮市丹陽町伝法寺字北海道1710
TEL:0586-81-0010
営業時間:11:00~22:00(21:30L.O.)
定休日:無休
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は2015年7月のものです。



