これ単なる草じゃね? というルックス。漢方薬のような風味。パクチーが苦手な人は多いことでしょう。かくいう自分もそういうクチでした。だけど、エスニック料理には必ずといっていいほど付いてくるし、これさえ好きになれば、食の楽しみもグンと広がりそうです。
そんなパクチー嫌いにオススメのお店があると聞いて、東京・代々木上原へ。
お店の名前は「シラントロ」 。ズバリ、スペイン語で「パクチー」を意味する言葉だそうで、パクチーをふんだんに取り入れたスペイン料理やイタリア料理、メキシコ料理を出しているとのこと。ソッチ系の料理とパクチーって、ちょっと意外な組み合わせな気もするだけに、ひょっとすると克服できるかもしれません。というわけでさっそくお店へ。
ちょっとオシャレ寄りのスペインバルといったところでしょうか。
うう……。もうメニューからしてパク盛り状態。
さっそくお店のシェフにこんなリクエストを。
「あの、パクチーが苦手なんですけど、好きになるような料理ありませんか」
さわやかな笑みを浮かべながらシェフが出してきた料理がコレです。
▲ピンチョ・モルノ(2本580円)
チキンの串焼きに、たっぷりのパクチー。いきなりコレか…。意を決して口に運んでみると、かなりスパイシー。塩気も効いているので強めの味なんですが、それに対抗するパクチーもまったく譲ることなく主張をしてきます。
「モレノというのは、スペイン語でモロッコの意味なんですよ」とシェフ。どうりで、スペインでもアジアでもない、独特のスパイシーさが口に広がるわけです。
次に出てきたのが、豚バラ肉とパイナップルのタコス(2ピース960円)。
だ、だ、大好きなタコスにまでパクチー付けちゃうんですかぁ?
すると、シェフ曰く「本場メキシコのタコスは、トウモロコシ、ライム、そしてシラントロの風味が三位一体となって魅力を発揮するものなんです」
し、知りませんでした……。
というわけで、タコスの“三大要素”をきっちりひとまとめにしてガブリ!
なるほど。これまで自分がタコスだと思っていたものは、何か決定的に足りないものがあったんじゃないだろうか。そう思ってしまうほど、この三大要素が肉の旨みとパインの果実味を引き立てています。話によれば、シラントロでパクチーが苦手だったスタッフもこのメニューを食べて克服したのだとか。
うん、アリだな、コレは。
パクチーがないと、確かにこれは成り立たない。メキシコ人偉い!
そして、ラストは、冷製シラントロパスタ(1,300円)。
夏でもないのに冷製……。やや戸惑っていると、「温かいパスタだとどうしてもパクチーの風味が飛んでしまうんです」とシェフ。
わかりました。では食してみましょう。
濃厚なのに、実にさわやか。一見相反する要素が合わさってこそ、はじめて「美味い料理」が出来上がるんだなぁと再認識させられる味です。ルックス的にはジェノベーゼの兄弟みたいなんですが、こっちはアノ独特の“草っぽさ”が皆無。パクチー自体も思ったほど苦みがなく、ノドの奥へスルスル入っていくのです。
「ウチでこれを食べて、パクチーを克服した人、何人もいるんですよ。それどころか、すっかり固定ファンになった方も多くて、真冬だろうが全然関係なくオーダーしてくださいます」とシェフ。
確かに、あんなにあんなに苦手だったのに、ちょっと好きになっちゃってる自分がいる……。
ちなみに、メニューの中には「パクチーのペーストで炊きあげた緑色のパエリア」があるらしいので、今度トライしてみようかと思います。
おまけ。
偶然、お店にパクチーが入荷する現場をパチリ。この量、さすが専門店!
お店情報
シラントロ
住所:東京都渋谷区西原3-2-4 フロンティア代々木上原3F
※記事内の価格などは、全て公開時のものです。
※このお店は現在閉店しています。
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