岩牡蠣って最高にロックだと思う、岩的に。
みなさんこんにちは、ライターの鷲谷です。
私はいま東北は秋田県と山形県の県境に近い、秋田県にかほ市象潟(きさかた)に来ております。
ここは、松尾芭蕉が『奥の細道ジャパンツアー1689』でやってきた最北端、つまりいちばん奥の奥の細道です。
道の駅にはご当地名産品の販売所があるものですが、ここ、道の駅象潟ねむの丘では、夏場に旬の岩牡蠣をどっさり食べられるプレイスが併設されています。手のひらサイズの岩牡蠣をライブで食べられる道の駅なんすよ。
これがハンパねえ。
道の駅を正面に見て左側にある長屋っぽい作りの場所がそれです。
中に入るとすごい混雑。
ここの特産品である岩牡蠣を剥いてすぐに食べられるサービスを目当てに、行列ができるのです。
岩牡蠣がマジで山積みです。
このフレッシュな岩牡蠣をその場でむいてもらって、つるんと食べることができる即売所なのです。
気になるお値段は大きさによって変わり、おおむね450円から850円くらいまで。
にかほ市象潟でおいしい岩牡蠣がどっさり獲れるのは、海水に理由があるらしいです。
牡蠣は一度岩にくっついてしまうと動けません。泳ぎまわる魚などと違って、牡蠣は海域の水質の影響が強く出やすいわけです。
秋田と山形の県境には鳥海山という2,336mの活火山があります。高い山から流れる雪解け水が伏流水となり、象潟沖で湧き水として出ています。海域の水がきれいなので岩牡蠣がおいしく育つという寸法なのです。
見た目が最高にロックな岩牡蠣はバカでかく、もちろん身も大きいです。
この販売所で岩牡蠣を扱っているのは土田水産と佐々木鮮魚店。購入システムは両方一緒です。いまここで食べたい岩牡蠣を「これとこれ」と指差して購入、引換券を渡され、殻をむいて渡してもらう流れです。
岩牡蠣がむかれるのを待っている人々。熱い視線がお店に注がれます。
岩牡蠣を待つ間にヨソ様の食卓を拝見。岩牡蠣のお店の隣には串焼きもののお店もあって、ちょっとした宴会気分を楽しめます。
この道の駅、やべえ。
下戸のドライバーを同行すれば岩牡蠣をぷりぷりと食べつつ、ルービーをワッショイすることも可能。このときの運転手は私だったので白昼堂々ビールアンド岩牡蠣をキメることができません。
もうね、このテーブルの人たちが奥歯がすり減るほどうらやましかったです。
私が購入した岩牡蠣がやってまいりました。夏の味覚、海の恵み。
レモンを絞ってですね。
竹串で持ち上げる。
ほら、でかいでしょう。ぷりぷりでしょう。
ロックンロールの始まりです。
ずるり。
海の塩味が効いた牡蠣の旨味。
すこしでも画を面白くしようと用意してきた「北の海女」手ぬぐいですが、やんぬるかな、ぜんぜん面白くありません。
むはー、うめー。つるんと口に入ってすぐに飲み込んじゃうからまるきりもったいねー。もっと食べたくなるわけよ。
しかし手ぬぐいが鬼スベっています。このときの自分の判断を許すわけにはいきませんな。
焼き牡蠣のサイコーにごきげんなソロ
この販売所で食べられるのは採れたてむきたての生岩牡蠣だけじゃありません。
焼いてくれるのです。
焼き牡蠣は一種類、650円です。焼き上がりを待つ間に、牡蠣むきの様子を見学しましょう。
牡蠣ナイフを的確に殻のすき間に差し込み、手際よく貝の蝶番を外します。
身をぶりんとはがします。
おそろしく手際がいいのでまともに写真が撮れません。
このナイフの使い込まれた感じがすばらしいです。
一日に800個の岩牡蠣をむくと手のひらがこうなります。ナイフの柄が当たる部分がかちかちで、すげえかっこいい。逆にアイアンマンみたい。
さて待望の焼き牡蠣です。
醤油を軽く流してあります。
「岩牡蠣を焼くなんて邪道」という生牡蠣原理主義の意見もありますが、火を通したアミノ酸がおいしくないわけがありません。
これより焼き牡蠣をいただきます。
口に入れた瞬間、香ばしい醤油の風味が!
生牡蠣とはぜんぜん違う濃い旨味が一気に口の中を占領します。小躍りしたくなるおいしみ。マジか、これマジか。
ああ汁がもったいない。
少しでも長く味わいたいので口の中でしばしストック。
貝殻の中に残った醤油味の貝の汁をこう。
うめえええええ。焼き牡蠣すげえ。
「生」も「焼き」もうめええ。
両方食べるのおすすめです。生、焼きの順番がいいかもしれません。
日本海を目の前にして岩牡蠣を吸う
ところで道の駅を歩きまわっていると気になるものがありました。
秋田県にはババヘラアイスというロードサイド系アイス文化がありますが、これはアイスクリーン。四国のアイスクリンとは違いますな。
食感はちょっと独特でうまく説明できませんが、甘い味のついた粉状の氷にお好みのシロップをかけて食べます。氷がふわっとしてる。素朴ですごくおいしい。道の駅ねむの丘で夏場に食べられるみたいです。象潟海水浴場やお店でもオッケーなのかな。
岩牡蠣をどんどん食べてしょっぱくなった口によろしいアイスです。サーファーがガラムを吸うみたいなアレ。
アイスクリーンで口がさっぱりしたところで、アンコールの生牡蠣をいただき。
道の駅ねむの丘は日本海ギリギリに位置しております。裏手がすぐに海なんすよ。
海の恵み、岩牡蠣を海辺で食べる。
これが正しいスタイルなんじゃないかしら。
帰る前にもう1個食べておきたいんです。また1年待たないといけないのです。
私の顔を基準に岩牡蠣のサイズを推し量っていただきたいです。
どうだい、大きいだろう。
この生牡蠣をぷりっとつるっとすれば口の中に夏の快感が満ち溢れるわけです。
岩牡蠣の旬は初夏から8月あたりまで。
ここ、象潟の道の駅ねむの丘は8月いっぱいを目安に岩牡蠣のシーズンはオフになります。つまり今年はもう終わっちゃってます。
いまから来夏のスケジュールに入れといてください。
販売所の食堂にはカキフライカレーもありました。
お店情報
道の駅象潟「ねむの丘」