【パリッコ】安さ&ボリュームに驚きの連続! 方南町の名物酒場『一心太助』の「茶づけラーメン」とは

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こんにちは、パリッコです。今回も調査という名の飲み歩き活動にいそしんでいきたいと思います。

 

本日おじゃまするのは、東京は方南町の「一心太助」という居酒屋さん。

メシ通の担当編集であるM氏の地元であり「方南町といったら一心太助ですよ! 一度来てくださいよ!」と以前からご提案頂いてまして、その言葉に素直にしたがってやって来ました。

 

なので僕は「安くて良いお店らしい」くらいのぼんやりした情報しか持っていなかったのですが、実際に行ってみてびっくり! そこには“味わいの極地”とでもいうような、驚愕のエンターテイメント空間が広がっていたのです!

 

2階に上がった瞬間、強烈に漂う「ひとん家」感

生まれて初めて来たかもしれない方南町の駅から歩くこと2、3分。お店が見えてきました。

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▲あまり見たことないテイストの外観

 

きちんと歴史もあるお店なんですが、建物の渋い味わいを活かそうというような意志は全く感じられず、サイバーな電飾に彩られた「TASUKE」のロゴが商店街において異彩を放っています。さらに路上の看板に目をやると、

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▲そっけなく「太助」

 

あ、知ってる。こういう、素人考えだと一番大事にも思える“店名”に無頓着なお店って、お店自体のグルーヴも強めなんですよね。いや~、これはおもしろくなってきたぞ。

 

というわけで入店。1階はテーブル席が中心で、常連さんたちがワイワイと楽しそうに飲んでおられます。M氏いわく「上の雰囲気がまたおもしろいんですよ」とのことで、我々は2階の座敷席へ。

 

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▲うお! なんかすごい

 

外観からは想像できないほど大きな広間に座卓がずらっと並び、なんだか人の家のような、しかし壁の大漁旗や浮世絵ののれん(?)などの存在感がカオスな雰囲気も生み出し、なんとも形容しがたい空間です。我々はその一番奥に通して頂いたんですが、

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▲背後のくまさんが……ちょっとこわい……

 

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▲見上げると、ひとんち感

 

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▲ていうか、電気多!

 

思わず目を疑う超激安メニューの数々

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▲お通しはポテトサラダ

 

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▲ホッピーセット(300円)

 

ポテサラとホッピーセットで一息つきまして、情報量で圧倒してくる店内にもだいぶ慣れてきました。となると次はメニューですよね。どれどれ……

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わ!

 

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安っ!

 

刺身に焼物、揚げ物、一品料理、サラダ、ご飯物等々、幅広く品数も膨大な料理が、表は300円均一! 裏はもうちょっとお手軽な料理でなんと200円均一! 100円均一ショップでプラスチックのケースを買ってきて、勝手に入れ直してあげたくなってしまうような使い込まれたメニュー表にずらりと並びます。ものすご~く悩みますが、加えて日替りもあって、

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▲味のある文字

 

どれも惹かれます。が、上から7つめだけがどうしても読めませんね。「……いくて辺?」そこで店員さんに「これは何と読むんですか?」と伺ってみると「いくら皿」だそうで「じゃあそれをお願いします」。

 

ちなみにこれ、ちょっとした居酒屋あるあるですよね。「これはどういうものですか?」と質問して店員さんに教えてもらうと流れで「じゃあそれを」とお願いしてしまうという。そんなことはまぁいいか。

 

日替りからは他に「くじらベーコン」を。そしてレギュラーメニューから、300円でどういうものが出てくるのか気になった「ロースカツ」を注文してみました。しばらくすると、

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くじらベーコン(300円)到着。 

うわ! すっごい量だ。思わず目を疑ってしまいました。これ、今まで居酒屋で頼んだどのくじらベーコンよりも量が多いかもしれません。しかも食べてみると、ちゃ~んとうまい。左側のベーコンっぽい身の独特の風味と適度な塩気も、右側の部位のたっぷりの脂も、臭みなんか全然なくてお酒が進みます。さらに、ひとつだけ隠されていたお宝こと、

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ハーフ部位

 

これがたまらない! M氏に気付かれないよう、スーッと無言で自分の皿に移動させ、きっちりと頂きました。次にやってきたのが、

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▲いくら皿(300円)

 

うお~! 名前からはどんなものか想像しにくかったんですが、白いご飯(酢飯ではない)の上にシソとたっぷりのいくらが盛られて、これもはや“ミニいくら丼”じゃないすか! うまいうまいとむさぼるようにかっこんでいると、さらに衝撃のブツが登場します。

 

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▲ロースカツ(300円)

 

 ……え!? ロースカツ? 300円? 一瞬頭が混乱しますが、店員のおばさまいわく「サービスよ」とのことで、大量の千切りキャベツの上にボリューミーなとんかつ。ジャガイモの素揚げ。そして、生まれて初めて食べた料理だったんですが、巨大な焼鳥「ももにんにく」をそのまま揚げた「焼鳥フライ」が2本、以上が乗ったこの大皿、全部で300円で間違いないようです。

 

これは、ちょっとすごすぎますよね。実際頂いてみても、ジューシーできちんと分厚いロースカツも、新感覚の焼鳥フライも肉々しくて食べ応え満点で、食べ進めるごとに頭の中の「?」マークが増えてゆきます。一体どうなってるんだこの店は!

 

謎メニュー「茶づけラーメン」の正体は……

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気を落ち着けるためにホッピーのナカ(値段不明)を注文。

さっきよりあきらかに量が多くなってる!

 

いや~、こんなとんでもないお店があったんですね。全然知らなかった。方南町おそるべし。まだまだ気になるメニューはありすぎるんですが、なにしろ一品の量が多く、こちらは中年男性ふたり。最後は何かしらご飯物も頼みたいと思っていたので、そろそろ締めの検討に入るしかなさそうです。

 

う~ん、どうしよう。大好物の「カレーライス」も気になるし、オーソドックスに「ラーメン」もいいな。しかしここはやはり300円という価格が常軌を逸している「うな丼」か? と思ったらうなぎだけは原価高騰で600円に値上げされていると聞いて振り出しに戻り……。なんてああだこうだと悩んでいたら、壁に貼ってあったメニューの中に気になるものを見つけました。

 

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▲左から5番目

 

しおらしい存在感で「茶づけラーメン」とあります。これだ!これにしよう! 聞いたことないメニューだからどんなものが来るかの楽しみもあるし、どう考えてもあっさりしてそう。200円という値段からも、他のご飯物よりは軽いに違いありません。締めにはぴったりだろうと注文してみることにしました。

 

はい、今みなさんの頭の中にあるイメージはずばり、これですよね?

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▲僕の考えた茶づけラーメン

 

わかります。誰だってこういうものを想像します。えぇ、この説明をしたいがためだけに自宅で作って写真撮りましたよ、茶づけラーメン。感想はというと、食べられないことは全然ないんだけど、何か一味足りないような、なんとなく一食損した気分になるような、そんな一杯でした。

 

まぁ、それはいいんです。とにかくそんな気持ちで茶づけラーメンを待っていた我々に対し、一心太助が突き付けた回答、それが……

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ドン!!!!!

 

これですよ! いやほんとにどうなってんの? ごく普通~にラーメン屋さんとかで使われるサイズのどんぶりに、たっぷりと醤油ラーメン。その上に、

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ハマグリ? 大アサリ? が5枚、エビが2尾、

 

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でっかい豚肉が2枚!

 

これが、確かに200円だそうなんです……。うん、もうね、参りました。降参です!

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▲酎ハイ(300円)

 

を追加し、

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無心でラーメンをすする。

 

ラーメンにはあまり詳しくなくて申し訳ないのですが、ベースはインスタントなのかな? しかしながら酒の後にはとても美味しくて、中太の麺もすすり心地が良く、もしこれがインスタントで、その銘柄を教えてもらえるんなら、進んで自宅に常備したい、そんなラーメンです。M氏とふたり、胃がはちきれんほど満腹になり、もうこれ以上何も入りません。

 

大将、ごちそうさまでした!

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ちょっとコワモテに見える大将ですが「料理おいしかったです」とお伝えすると、ニコッと人の良さそうな笑顔を見せてくださり一安心。

 

「どうしてこんなに安くできるんですか?」と伺ってみると、「私の人生は、甲子園もプロ野球も終わってもう消化試合だからね。儲けようなんて思ってないし、お客さんが喜んでくれたらそれでいいの!」とのこと。

 

か、かっこいい!!!!!

 

ちなみに「お茶づけラーメンの名前の由来は?」の質問には「毎日色々作りたいからさ~」と、わかるようなわからないようなご回答。間髪入れず隣にいたおばさま店員さんが「スピリチュアル!」と助け舟(?)を出してくださり、僕は思考を止め「なるほど、そうだったんですね」と言ってお店を後にしました。

 

というわけで、方南町の「一心太助」さん、サービス精神とエンターテイメント性に富んだ、本当に素晴らしいお店でした。最後に、あれだけの料理を頂き、男ふたりでたらふく飲み、どうしてもあのメニューの値段が信じられなかった僕はM氏に「お会計、いくらでした?」と聞いてみました。

すると……

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本当かよ!?

 

お店情報

一心太助

住所: 東京都杉並区方南2-12-27
電話番号:03-3316-9489
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜日

 

書いた人:パリッコ

パリッコ

DJ/トラックメイカー/漫画家/居酒屋ライター/他。FUNKY DANCE MUSIC LABEL「LBT」代表。酒好きが高じ、雑誌、Webなどの媒体で居酒屋に関する記事を多数執筆中。

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