脱サラしてパンケーキ店を開業!整理券が配られるお店「茶香」は男性店主の熱い想いがあった

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都内でも有数のふわふわパンケーキが食べられる

今、住みたい街として注目を集めているエリア・北千住に、連日行列が絶えないパンケーキ専門店があるのをご存知ですか?ふわふわの生地になめらかなクリームをトッピングしたパンケーキがスイーツ好きに好評なんです。しかも男性1人で来店する方も多いのだとか。今回はそんなとっておきのパンケーキが味わえる「茶香」に潜入。男性店主に、パンケーキに込められた想いを聞いてきました。

 

パンケーキ好きで知らない人はいない北千住にある有名店

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お店は北千住駅から徒歩約10分。飲食店や惣菜店など、約100軒以上のお店が並ぶ「千住ほんちょう商店街」の通り沿いにあります。

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「茶香」の代名詞ともいえるメニューが、こちらの「星(あかり)パンケーキ」1,480円。生地の上にカットしたバナナをのせ、北海道産の生クリームとキャラメルソース、さらにクラッシュパイを散りばめた一品です。

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一口食べてみると、生クリームのコクにキャラメルソースの甘さとクラッシュパイの程よい塩気が好相性。そして何より、口の中でとろける生地の絶妙な食感がたまりません!生地は、牛乳やバタークリームをはじめとした乳製品を混ぜ合わせ、さらにメレンゲを多く使用することで、分厚いながらもふわふわとした食感に仕上がるのだそう。このふわふわでコクのある味わいは、このひと手間によって生み出されているんです。そんなパンケーキに対する想いを知りたくて、店主の中村誠さんにお話を伺いました。

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脱サラしてカフェ業界へ

 

──お店をはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?

 

中村さん(以下敬称略):元々はサラリーマンだったのですが、行きつけの珈琲屋さんが閉店することになり、そのお店のオーナーから「この場所でカフェをやってみませんか?」と言われたのがきっかけです。結局その場所ではやらなかったのですが、自分自身、珈琲やホットケーキが好きだったこともあり、この場所でオープンすることにしたんです。友人には反対されましたが、妻だけは賛成してくれました。妻が反対していたら、サラリーマンを続けていたと思います。

 

──カフェをオープンしてからお客さんの反応はどうだったのでしょうか?

 

中村:当時は個人経営の喫茶店が多かったんです。北千住という場所柄、下町の文化といいますか。お店ではホットケーキを提供していたのですが、他のお店ではメニューに無かったようで沢山の注文をいただいたんです。当時はホットケーキが珍しかったのでしょう。脱サラしてはじめたので、試行錯誤の毎日でした。

 

──そこからパンケーキ専門店に変更した理由はなんだったのでしょうか?

 

中村:元々ホットケーキはメニューの中の1つだったんです。当時は14時からのメニューとして提供していたのですが、ある時お客さんに「なぜモーニングやランチで食べられないの?」と言われたんです。そこで終日ホットケーキの注文を受けることにしたのですが、モーニングやランチにホットケーキの注文が殺到して、他のメニューが作れなくなってしまって。それがきっかけで他のメニューを辞めて、ホットケーキ1本にしたんです。ところが今度は「絵に書いたような分厚いホットケーキを作ってほしい」というお客さんの要望があり、どんどん厚みを増していったんです。ただ、厚みを出すには限界があり、試行錯誤を重ねた結果、パンケーキにたどり着きました。私にとってパンケーキ専門店にするというのは、もはや冒険でしたね。

 

──パンケーキ専門店で修業しようとは思わなかったのですか?

 

中村:その当時はパンケーキ専門店が無かったんです。しかもお店はオープンしているので休むわけにはいかなったですし。自分で試行錯誤するしかないと思いましたね。

 

──パンケーキ専門店にするうえで苦労したことはありますか?

 

中村:日によって湿度や卵の状態も変わってくるので、同じパンケーキを提供するというのは今でも苦労していますね。お客さんのイメージを崩さないよう、毎日必死になってパンケーキを焼いています。

 

──パンケーキメニューはどうやって決めているのですか?

 

中村:数年前までは私1人で決めていましたが、今は従業員にお題を与えて試作を作ってもらっています。若い世代の感性って私には無いものですから。ちなみに男性と女性では、同じ材料を使っても全く違うものができるんです。そこは面白いですね。

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生地本来の味わいを楽しめる「太陽(たいよう)パンケーキ」1,390円

 

──他のパンケーキ店との違いを教えてください。

 

中村:お店では、生地にバターミルクを加えて焼き上げています。バターミルクを入れると厚みが出にくいのですが、混ぜ方や焼き方が他店とは違うオリジナルなので、そこが他店との違いでしょうか。誰でも作れるパンケーキでは無いですね。

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メレンゲを加えてやさしく混ぜ合わせるのがポイント

──数年前まではすんなり入店できていましたが、いつ頃から整理券を配布するようになったのでしょうか?

 

中村:整理券で対応するようになったのは2014年の約5年前からです。私は毎朝8時から仕込みをはじめるのですが、その時間帯に並んでいるお客さんがいたんです。それが日に日に増していき、隣のお店まで行列ができてしまい、最終的に警察の方に注意されました。それがきっかけで整理券制にしたんです。今では当日の8時30分からオンラインで予約を受け付けて、店頭での整理券は10時30分から配布しています。以前のような行列は無くなり安心しています。

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店頭には整理券についての詳しい説明が記されている

地域に根付いたお店を目指す「茶香」

 

──今年の3月で10周年を迎えるそうですが、そもそも何故この街でお店を開こうと思ったのですか?

 

中村:特に北千住という街にこだわりはなかったんです。たまたま用事があって北千住に行った際、知り合いの不動産屋さんに声を掛けられたのがきっかけなんです。そこからいろんな人とのご縁があり、北千住でお店をオープンすることにしました。

 

──ご縁って大切ですよね。ちなみに2号店を出す予定はあるのでしょうか?

 

中村:今のところ考えていないですね。2号店よりも、ここでしか食べられないパンケーキの方が魅力はあると思います。

 

──これからどのようなお店にしていきたいですか?

 

中村:「茶香」では、メニュー表の写真もお客さんが撮影してくれたり、いろんな方がお店を支えてくれているんです。その方々の為にも、末永く美味しいパンケーキを作っていきたいと考えています。

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店内にはファンの方が撮影したというパンケーキの写真がずらり

 

──ファンの方に大事にされているお店って本当に素敵ですよね。本日はどうも有難うございました。

 

脱サラしてはじめたカフェがパンケーキ専門店になり、今では毎日整理券を配るほどの有名店になった「茶香」。1つ1つ丁寧に焼き上げるパンケーキは、美味しさ以上に、店主の熱い想いが込められていました。これからパンケーキを食べる度に「茶香」の店主の顔が頭に浮かびそうです。

 

お店紹介

自家製パンケーキのお店 茶香

住所:東京都足立区千住1-24-8

電話番号:03-3870-2626

営業時間:整理券制(オンライン整理券は8時30分から。店頭配布は10時30分頃)

定休日:月曜・火曜

coffee-chaka.jimdo.com

書いた人:はなとも

はなとも

日本スイーツ協会認定のスイーツコンシェルジュ。 スイーツ専門のライターとして様々なweb媒体で記事を連載中! 著書「スイーツ男子はなとものi love パンケーキ」を2017年11月、株式会社KADOKAWAより出版。

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