ソーセージが好きだ。
プリッとした食感、ジューシーにしたたる肉汁、かわいい造形美……。
なにをとっても文句のつけようがない。
朝飯に1本加わるだけで、どれほど多くの人を幸せにしたか。
ライフオブクオリティーの向上にかかせない幸福の聖棍(せいこん)、それがソーセージである。
▲自作ソーセージは憧れだ
既製品すら私の心の穴をぴったり埋めてくれるというのに、もしも、もしもである、自分の手で、自分好みのソーセージが生み出せたのなら……。
パリッ!! 興奮で小気味いい破裂音をあげた脳が真っ二つに折れそうだ。
▲小岩駅のイタリアンレストラン「ビリエット」
小岩駅のイタリアンの名店「ビリエット」。
そのシェフに「家でも簡単にできるおいしいソーセージの作り方」を指南してもらった。
▲シェフの松島望さん
手ほどきを受けたのはオーナーシェフの松島さん。
北イタリアの湖水地方で修行を積む。三越前「フェア・ドマ」、茅場町「コルヴィエラ」で7年間仕事をし、「麹町カフェ」でシェフを2年間、2014年に「ビリエット」を開店した。
「なにより保存食が好き!」と語るシェフの松島さん。
なかでも自家製生ハムが看板。「いずれ生ハム工場を作るのが目標!」と言うほどで、店内には何十個もの生ハムが熟成されている。
なんとも美しい断面の生ハムたち。
豚以外にもジビエの生ハムも作っている。
お肉と脂肪の甘味としょっぱさがクセになる!
ワインにもよく合うし(ソーセージ作りが控えてたので、今回は悔しくも飲めなかったが……)、バゲットにのせて食べてもおいしい。
保存食にこだわりがある松島さん。生ハムだけでなく、お店で出すソーセージもすべて手作りだ。
そんなプロ中のプロから伝授してもらった「おうちでも簡単! ソーセージ作り」をお伝えしよう。
腸を用意しよう
ソーセージに欠かせない食材は、なんといっても腸。
腸に詰めることで保存性が増し、独特の食感が出る。
ソーセージ用の腸は大型スーパーのほか、インターネットの食材屋さんでも注文可能。ちょっと検索をかければ、大量に候補が出てくる。
羊の腸もポピュラーだが、慣れてない人が家で作るなら豚腸のほうがオススメだそう。羊よりも太く、丈夫で破けにくい。
腸は塩漬けの状態で届く。水に浸して塩抜きしよう。
時間は10分程度。その間に肉の仕込みをおこなう。
豚肉、牛肉、鶏肉でソーセージを作ってみよう
今回は豚肉、牛肉、鶏肉の3種類でソーセージを作ることにした。
それぞれ大きめのウインナー7~8本、3~4人前を想定してる。
まずは定番の豚肉で、ソーセージ作りの基礎を習う。
豚肉の定番ソーセージ
豚ひき肉400gにナツメグとセージ、塩と黒コショウを少々混ぜる。
そもそもソーセージのセージは、ハーブのセージのこと。豚肉とよく合い、少量でもぐっと香りが良くなる。
ここでポイントになるのが卵白だ。
30gほどの卵白を混ぜるだけで、つなぎの役割を果たし、肉がプリッとジューシーになる。
あとは粘り気が出るまで練れば、ソーセージのタネの出来上がり。
よく練ると食べた時にぷりっとした食感を楽しめる。
もうひとこだわり出来るかたは、ボウルの下に氷をかませておくと、肉の温度が高くならずダレてしまわないとのこと。
味の確認をする場合、肉をひとつかみし、レンジで数十秒チンすれば可能だ。
鶏のパクチーソーセージ
「鶏肉は脂が少ないので、あまりソーセージには向かない」とのことだが、そこをあえてチャレンジしていただいた。
用意したのは鳥もも肉。余分な脂が出て、食感も悪くなるので皮ははいでおく。
鶏もも肉400gに塩5gとコショウとナツメグを少々かける。
パクチーと青トウガラシをお好みで投入する。
青トウガラシの種は辛すぎるので取り除いておこう。
卵白20gを加えて、フードプロセッサーにかければタネの完成だ。
牛のスパイシーソーセージ
最後は牛のソーセージ。
「安い食材を使うなら、素材の味を全面に出しすぎないほうがおいしいですよ」と、がっつりスパイシーなアレンジを教えてもらった。
ベースになるのは牛ひき肉400g。
ローズマリー、セージ、カレーパウダー、ターメリック、カイエン、クミン、パプリカパウダーといったスパイスをお好みで入れるだけ。
塩コショウで味をととのえ、握りつぶすように混ぜ合わせ、卵白を入れて粘りを出せば完成だ。
腸にタネを絞り出そう
タネが完成したら、お次は腸に詰めこむ作業だ。
ソーセージ用の絞り袋と口金はネットで1,000円程度から購入可能。
口金の先端に腸をかぶせて、口金に寄せ集める。
腸のはしっこは縛らなくても大丈夫。
絞り袋に肉タネを入れたら、力をこめて腸に詰めていきます。
これがかなり力のいる作業なので、平らな作業台のうえで押しつぶすように絞るとやりやすい。
肉タネが入ったら、お好きな長さで腸をねじって、指で形を整える。
パンパンに詰めこむと焼いたときに肉が膨らんで破裂するので、余裕がある程度にとどめておこう。
この際、ようじで穴をいくつか開けておこう。水分が抜けて味が凝縮されるし、焼いたとき肉汁がすこし逃げて破れにくくなる。
乾くと皮がパリッとして、味も凝縮されるので、1日寝かせるといい。
夏場の一般家庭だと温度調整が難しいので、肉が傷まないようクーラーを効かせた部屋で扇風機を数時間当てるだけでも効果はあるそうだ。ただし、鶏肉は傷みやすいのでやめておこう。
ちなみに、お店ではソーセージフィーラーという専用の機械を使っている。
レバーを回すと万力の要領で、肉が腸のなかに押し出される。
あっという間に大量のソーセージが完成。
ソーセージ作りにハマったら、ソーセージフィーラーの購入を考えてもいいかもしれない。
プリプリのソーセージを前におもわず満面の笑み。もう、この時点ですでにうまそうだ。
プリプリの自作ソーセージの完成だ!
さあ、あとは焼くだけ!
油をひいたフライパンを最初は強火で温めて、温度が上がってきたら弱火にする。
じっくり火をいれる。ソーセージが膨らんできたら、ひっくり返さずしばらくそのまま。
焼き目がついたらひっくり返し、弱火のままフタをして5分間待つ。
最後、ふたたび強火に戻し、焼き目をつけて完成。
おおっ、完全にソーセージしてるじゃないか!! ムチムチしててたまらない!
ナイフからも伝わるジューシーさ!
卵白を加えたからか豚ソーセージも牛ソーセージもプリップリだ。
鶏ソーセージはパクチーと青トウガラシでさっぱりながらもクセがあるし、スパイシーな牛ソーセージもいいアクセント。
自分で作った思い入れもあいまって、豚ソーセージ→牛ソーセージ→鶏ソーセージと永遠ループで食べ続けられる。
一度やり方を身につけてしまえば、多様なアレンジが可能な自作ソーセージ。
ぜひチャレンジされることをおすすめする。
達人が作るソーセージを食べたいなら、ぜひお店まで足を運んで欲しい。
お店情報
ビリエット
住所:東京都江戸川区南小岩7-28-16
電話番号:03-6806-9807
営業時間:ランチ12:00~14:00、ディナー18:00~22:00(21:00以降は要予約)
定休日:月曜日
Facebook:https://www.facebook.com/Biglietto/
Instagram:https://instagram.com/niyatta2000