みなさんは、お気づきだろうか? 食べものに関するさまざまな記事を取りそろえるこの『メシ通』にも、ほぼ未到の領域があることを。
そう……
それは……
大食い。
かの『TVチャンピオン』で人気に火がついて以降、テレビバラエティではすっかりおなじみのアレです、アレ。
とはいえ、同じことをやるにしても、汗だくマッチョメンの豪快な食べっぷりは、このクソ暑いさなかにはできれば見たくないですよね。
そんなわけで、探してきました。
意外性があって、涼しげで、ポテンシャルの高そうな女の子。
初っ端すぎて方向性が定まらないわれわれの「ちょっと儚げにたたずんで」という謎のオーダーにもノリノリで応えてくれた彼女は、中澤莉佳子さん。弱冠20歳。
『今夜はナゾトレ』(フジ系)などで人気の謎解きサークル『AnotherVision(通称:アナビ/※)』の一員「リカ子」としてテレビ出演もこなす現役の東大生にして、目下、開催中の『ミス東大コンテスト2019』のファイナリストにも選ばれている才色兼備の逸材です。
※アナビ……イベントの企画・運営も自ら行う謎解き制作集団。2代目代表の松丸亮吾氏を中心に『今夜はナゾトレ』をはじめさまざまなメディアで活躍している
中澤莉佳子さん(以下、敬称略):やったことないけど、実は以前からやってみたかったんです。
ホントに?
莉佳子:たぶん、できると思います。
そんな彼女の言葉を信じて、われわれは、実はアイドルオタクでもあるという彼女自身も足繁く通う街・秋葉原で待つ“メガ盛り”と対峙しに向かったのでした。
いざ決戦の地・アキバへ
決戦の場所に選んだのは、ご存じ『カラオケパセラ 秋葉原昭和通り館』。
ラーメンマニアな前店長が自ら開発した本格派の“二郎インスパイア系”ラーメン、その名も“パ郎”でもひそかに人気のお店です。
そして、このお店の名物でもあるチャレンジメニュー“3倍ラーメンパ郎”に挑むというのが、本日のミッション。
こだわりの極太麺は茹で前でなんと750g。チャーシューは超分厚いのを6枚乗せ。そこにもやしやらキャベツやらをドカッと積んだ、総重量3kgにもなる逸品を、制限時間30分以内に完飲完食できれば、お代無料&3,000円分のお食事券がその場でもらえます。
(ちなみに、仮に失敗した場合は代金2,300円をお支払い)
▲さっそくルール説明。なにげにかなり緊張している様子
メガ盛り“3倍パ郎”と緊張の初対面
事前にトイレを済ませ(ズル防止のため途中でトイレには行けないルール)、緊張の面持ちのまま席で待つこと10分弱。
店員さんの「お待たせしました〜」の声とともに、いよいよブツが運ばれてきました。
▲さてはちょっと引いてる?
▲でもとりあえずSNS用に自撮りはしてみる(ラーメンが顔よりデカイ)
▲こ、これが3倍パ郎……。いや、でもコレ、さすがに無理くない?
▲しばし思案はしてみたものの……
▲店長さんとタイマーを合わせて、いざ、実食!!
秘めたポテンシャルが開花
食べはじめるまでは、正直われわれも「たぶん、できる」という彼女の言葉は半信半疑。チャレンジ失敗だったときはどうやって企画を成立させようかしら、などと考えてもいたのです。
がっ!!!
アツアツの麺をどんぶりに移しかえて冷ましながら、休むことなく箸と口を動かしつづける彼女は、そんな心配もどこ吹く風。
どうやらわれわれは、とんでもないモンスターを目覚めさせてしまったようです。
▲アツアツすぎる麺をまず別のどんぶりに避難
▲口のなかの水分を奪うチャーシューをやっつける
▲序盤戦はひたすらチャーシューを攻める
▲お水で適度に流し込みつつ
▲その後も黙々&淡々と食べつづけ……
魅せた怒濤の追い込み
そして、前半の15分が経過。
▲まったくペースの落ちない彼女は、いよいよスパート。
▲麺とチャーシューをあらかた平らげ、涼しい顔で“敵”を仕留めにかかります
▲やっと“底”という名のゴールが見えてきた
▲ルールは“完飲”。おっさんには見ているだけで塩分がツラい
▲そしてついに
▲ついについに……
▲いともあっさりと!
かくして……。
今年2019年4月の同店赴任以来、「チャレンジ成功を初めて生で見た」という店長の藁谷さんが「スゴすぎる!!」とテンションMAXで見守るなか、初めての大食いは、制限時間を7分以上も残して、見事ミッションコンプリート。
通算39人目の達成者となったのでした。
▲残り時間、7分20秒も余っていた。余裕すぎ……
▲アッパレな食べっぷり!
子どもの頃から大食いだった
さて、ここからは同店のカラオケルームに場所を移して、勝利者インタビュー。類まれなる大食いの秘密に迫ります。
▲緊張感から解き放たれて満面の笑み
──やりましたね。いまの心境は?
莉佳子:咀嚼するのにちょっと疲れちゃいましたけど、すごいうれしいです。なんて言うか、達成感がヤバいですね(笑)。
──自分のポテンシャルに気づいたのはいつ頃?
莉佳子:家の食卓はごくごく普通だったんですけど、子どもの頃からよく食べる子ではあったみたいです。保育園であった“バイキング給食”みたいな行事のときにひとりでめちゃくちゃ食べて、先生をドン引きさせたこともあったらしく。
でも、基本的に友達とかと一緒のときはまわりに合わせますし、食べなきゃ食べないで全然平気。気づいたらビスケットとコーヒーしか食べてない、みたいなときもわりと普通にあるんです。あと、女の子が食べてる姿を見るのも好きだから、「食べな、食べな」って譲っちゃうこともありますね(笑)。
──これまでのMAXはどれぐらいでした?
莉佳子:高校生のときに友達4人で回転寿司屋さんに行って「何皿食べられるか」みたいな勝負をしたことがあるんですけど、他の子はすぐメロンとかに逃げたなか、私だけはガッツリ食べて、25皿とか。それでも「もう無理」ってほどじゃなかったんです。
──だからこそ、チャレンジをして限界を知りたかったと。ちなみに、死ぬほど食べてみたいものとかってあります?
莉佳子:だし巻きたまごを、ひたすら食べるとかはやってみたいですね。しっかりお出汁のきいた高級なやつをたくさん食べて、やさしい(味の)お腹にしてみたい(笑)。
──逆に食べられないものもあったり?
莉佳子:マヨネーズとパクチーは味が受けつけないので無理ですね。とくにマヨネーズは、わりとなんにでも入ってるのでクセもので……。大学生にとってはコンビニでサンドイッチが買えないのはけっこうツラいです。チキン南蛮を食べたいときは、水切りしたお豆腐とレモンを使って、マヨネーズ抜きのタルタルを自作したりもしてますね。
東大女子のリアルライフとは
とか、なんとか言っていたら、ノリで頼んだパセラ名物“ハニトー”が到着。
「画的に欲しかっただけだから、無理はしないでいいよ」と言おうと思ったら、まだまだ全然イケるらしいので、フォークとナイフはもう本人に託します。
▲フレンチメープルトースト Ver.2.0(税込880円)
▲笑みが不敵すぎ
▲いや、さっきラーメン3kg食べたばかりですけど……
──自炊はけっこうするほう?
莉佳子:基本的に大学があるときは、ほとんど毎日自分でお弁当を作って行ってます。なので、学食にはあんまり行かないです。人が多いところ怖いんで(笑)。
▲本人のInstagramより。“映える”お弁当の数々。人は見かけによらない(失礼)
──とか言いつつ、テレビに出たり、学祭で踊ったり(※)、ミス東大にもエントリーして、自ら人前に出て行ってますよね?(笑)
莉佳子:アナビの活動でテレビにまで出るようになったのは、ホントなりゆきでしかなくて(苦笑)。でも、せっかく少しは知ってもらえるようになったし、どうせなら、いましかできないことにもっと能動的になってもいいのかなって。まぁ、だからと言って、「こうなりたい」みたいな具体的なビジョンがあるわけでもないんですけど……。
※彼女自身は、学内のアイドルダンスコピー集団『東大娘。'19』のメンバーとしても活動している。多才!
──ってことは、東大を選んだのも、とくに理由はなく?
莉佳子:こだわりは全然なかったんです。ただ、もともと理系ではあったので、がんばって勉強してたら偏差値が追いついてきて。お父さんが東大出身っていうのも大きいかな。
──それで受かるんだからハンパないです。ちなみに東大は、ただでさえ女子が少ないことで有名な大学。キャラ的に学内では浮いちゃいません?
莉佳子:わりと浮いてると思います(笑)。でも、いろんなタイプの頭いい人がいるので、そういう人としゃべるのは好きだし、楽しい。(まわりの)頭がよすぎて、たまにバカにされたりもしますけど、そこはなんとなくキャラで乗りきってますね。
──まだまだ大食いのポテンシャルはありそうですけど、とりあえず、こうなったら行けるとこまで行っちゃいますか!
莉佳子:そうですね。YouTuberの木下ゆうかちゃんとかの動画を好きでよく観てて、いっぱい食べてるのに痩せてるのってかっこいいなとずっと思ってたので、これを機に私も胃袋を鍛えていきたいと思います。大好きなカレーとかなら、ラーメンと同じぐらいは食べられそうな気がします。
▲インタビュー中もパクパクと口に運ぶ。あたかも、さっきの偉業がリセットされたかのよう
▲ホイップ&アイスてんこ盛りのハニトー1斤も難なく完食。……怖い
取材中、われわれの脳裏に浮かんでいたのは、ドラマ『フードファイト』でフードファイターを演じた草彅剛さんの決めゼリフ「俺の胃袋は宇宙だ」。
常軌を逸したその気持ちいい食べっぷりは、まさに宇宙のようでした。
ちなみに、『フードファイト』が放送されたのは00年。
当の中澤さんは98年生まれだったりもするので、期せずして自分が昔ほど食べられなくなったそのワケを思い知らされた気もします。
▲大食いチャレンジの成功特典「お食事券3,000円分」をいただいてしまった。「アキバにはよく来るので、また挑戦します!」
撮影:熊代紀章
店舗情報
カラオケパセラ 秋葉原昭和通り店
住所:東京都千代田区神田佐久間町2-10
電話番号:0120-706-738(携帯可)
営業時間:月~木 12 : 00~翌5 : 00 、金・祝前日 12 : 00~翌7 : 00、土 11 : 00~翌7 : 00 、日・祝日 11 : 00~翌5 : 00
書いた人:鈴木長月
1979年、大阪府生まれ。関西学院大学卒。実話誌の編集を経て、ライターとして独立。現在は、スポーツや映画をはじめ、サブカルチャー的なあらゆる分野で雑文・駄文を書き散らす日々。野球は大の千葉ロッテファン。
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