JRと京浜急行の川崎駅界隈に、ひしめくように軒を連ねる飲み屋さんの数々。趣き深い酒場もあれど、若さを自負する年代には足を踏み入れる勇気がなかなかもてないお店も多い。誰からともなく“裏川崎”と呼ぶようになったディープなエリアだけに、「俺、裏川崎でよく飲むんだぜ」なんて、ちょっとカッコつけて言ってもみたい。
そんなツウっぽさを演じてみたい若者諸君! 創業46年、50代以上の常連客が連日列をなす「元祖立ち飲み屋」の別館「立ち呑み酒場 フルミチ」で、まずは“裏川崎のイロハ”を身に着けてみてはいかがだろう?
幻の銘酒が破格で飲める!? 地酒のラインアップがスゴイ
▲どちらもいい雰囲気
両駅から徒歩5分足らずに位置する「立ち呑み酒場 フルミチ」は、隣り合う「元祖立ち飲み屋」の別館として5年前にオープン。
▲広々とした店内も、開店後はすぐにすし詰め状態になるほどの好評ぶり
「元祖」がひとり飲みを楽しむシルバーグレイ世代を中心に賑わいをみせるのに対し、同店は若者でもグループでも入りやすい雰囲気。ここなら臆することなく入れそう。
▲どれも美味しそうでなかなか決まらない
店内に入ってまず目につくのは、冷蔵庫にずらりと並べられた一升瓶。実は同店、地酒の品ぞろえが豊富なことでも知られている。常に20種以上の銘柄がそろい、春は生酒、秋の始まりはひやおろしなど、季節を感じる日本酒も顔をそろえる。
▲獺祭が1合なんと530円。田酒に至っては500円という最強コスパ
中には、日本酒好きに評判の「田酒」や「獺祭」「十四代」の姿も。飲兵衛らしく日本酒を語るならまずはこの3大銘柄を押さえておきたいところだが、入手困難といわれるだけあって1合800円以上で提供するお店も多い。ところが、同店ではなんと500円台で味わうことができるのだ。これなら銘酒を味わいながらせんべろだって夢じゃない!
ハムカツも角煮もフレンチ店修行の店長による最強コスパメニューに
地酒に強いお店だけあって、メニューのラインアップもアルコールとのバランスを考えられて構成されている。それらすべてを考案し手掛けるのは、店長の松本敬司さん。
▲(左から)修行中の未来の料理人、店長の松本さん、ホールスタッフの看板お嬢さん
子どものころから料理人になることを夢みていた松本さんは、フランス料理店や有名ホテルなどで修業を積んだのち独立。「決められたものを作るより、オリジナルの味でお客さんの笑顔を見たい」と、「元祖」の店長と相談しながら日々ぬくもりあるメニューを生みだしている。そんな自慢のメニューは50種以上。2カ月に1回入れ替わる季節の味をいかした限定メニューも15種ほどある。
▲定番メニュー厚切りハムカツ(左)と特製! 牛の煮込み(右手前)、シーズンメニューの塩角煮(右奥)は外せない3品
「それぞれ味覚や好みが違うからすべての人を満足させる料理はできないけれど、ひとりでも多くの人に受け入れられる味を」と、長年の経験とこだわりを持って作り出す料理はどれも好評だが、中でも「厚切りハムカツ」(2カット 200円/4カット 380円)と「特製! 牛の煮込み」(330円)はオープンから不動の定番メニュー。
2センチ近い厚みのあるボリューミーなハムカツは、しっとりとしたハムの食感とサクサクの衣が絶妙なバランス。ひとりなら2カット、グループなら4カットと、人数に合わせて選べるのもうれしい。
▲さりげなくセットで頼めば、ツウっぽいかも?
味噌から手づくりの「特製! 牛の煮込み」は、牛のうま味がたっぷり染み出た汁に濃厚な味噌の風味が香り立ち、ほのかな辛さが味を引き締め、あとを引く。柔らかな牛肉を味わうのはもちろんだが、常連客のあいだで話題となっているのが「つけパン(80円)を浸して食べる」という方法。
牛煮込みとして食したときはしみ込んだ味噌がコクを感じさせるが、パンにつけるとマイルド感が際立ち、まるでビーフシチューのように。牛煮込み1杯で2つの楽しみ方ができるこの食べ方は、ぜひお試しあれ。
▲夏には食べられない限定メニュー
秋から春先にかけて好評なのは、ホロホロの食感がたまらない「塩角煮」(380円)。1日かけて下ゆでした角煮を8時間以上じっくり煮込み、繊維の奥まで味をしみ込ませた逸品。豚の甘みを引き立てるさっぱりとした塩の風味に、ついつい酒が進む。
このほか、松本さんが毎朝市場まで赴いて仕入れてくる鮮魚の刺身が味わえる「本日の日替わり」や、2日間かけて煮込んだチャーシューなど、どれをとっても手間を惜しまない丁寧な仕事ぶりを感じさせる本格派の味わいばかり。それなのにほとんどのメニューが200~300円台で味わえるから、財布の心配なく料理を堪能できるのだ。
ハイボールだってひと味違う!
豊富な地酒に本格料理がリーズナブルに味わえるお店だけあって、定番のアルコールメニューにも注目の品々が。
▲これだけ頼んでも1,420円!
最近若者のあいだでもすっかりおなじみとなった「ハイボール」は、サントリーが認めたお店でしか扱えない“強炭酸”を使用。顔を近づけただけで弾ける炭酸を感じ、刺激の強いのど越しもウィスキーの味を際立たせる。
そんな強炭酸ハイボールにクエン酸を合わせ、ちょっぴり酸味を効かせた「川崎さんハイボール」(330円)は、メーカーと行政がタッグを組んで開発した“川崎市民を応援するハイボール”。3年前からスタートした取り組みで、同店が第1号だったそうだ。もちろん川崎市民以外でもオーダー可能。疲れが吹き飛ぶ爽快感だ。
▲サワーのような口あたりの「温州みかんボール」。ハイボールの新たな魅力を感じさせる
ハイボールにみかんシロップを合わせた「温州みかんボール」(380円)は、みかんをそのまま絞ったような濃いめの風味が女性を中心に好評の一杯だ。
居酒屋激戦区、通称“裏川崎”の雰囲気を味わいつつ、本格派の酒と料理に舌鼓を打てる「立ち呑み酒場 フルミチ」。たっぷり飲んでお腹いっぱい食べたって1,000円程度。せんべろできちゃう同店は、これからの忘年会シーズンにも見逃せないだろう。
お店情報
立ち呑み酒場 フルミチ
住所:神奈川県川崎市川崎区駅前本町15-5 十五番館ビル1階
電話番号:044-246-5857
営業時間:月曜日~金曜日 17:00~23:30(LO.23:00)、土曜日17:00~23:00(LO.22:30)、祝祭日 16:30~22:30(LO 22:00)
定休日:日曜日(月曜日が祝日の場合は、日曜に祝日タイムで営業、月曜休み)
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