ラクして痩せる――それは、全人類の夢。食事制限に筋トレと、ストイックに自分を追い込めれば痩せられるのはわかってる。
でもさ、続かないのよ。
付き合いや誘惑でつい食べちゃうし、筋トレだってしんどいし、3日坊主も「3日も続いて素晴らしい!」って思えるくらい、継続は困難なり。とりあえず手軽にできて、ちゃんと続けられて、そこそこきれいなボディラインが手に入る方法ってないものですかね? そんなズボラ精神全開のまま、「筋肉食堂 六本木店」に、ラク痩せマッチョへの奥の手がないか聞きに行ってみました。
ボディメイクに特化したメニューがそろう、筋肉をつくる食堂
キャッチーな店名に「マッチョがウリの食堂か?」とイメージしてしまうけれど、実はここ、カラダづくりを志すすべての人に向けて本格メニューを提供する、“高タンパク・低カロリー料理”の専門食堂。本格的なボディビルダーからダイエッターまで、それぞれの「理想とするカラダづくり」に近づけるメニューを提供しています。
店長の谷川さんはかつて、食事療法と筋トレで数多の迷えるダイエッターたちを美ボディに変えてきた、元パーソナルトレーナー。
谷川:10年に渡り指導してきたなかで、食事が筋トレの効果に大きく影響すると気づいたんです。でも、理想的な食事がそろっているお店はあまりない。そこで、自ら立ち上げることにしました。
摂取カロリーを抑えれば痩せるのは当たり前。ちまたにあふれる「マイナスの食事療法」ではなく、おいしくおなかいっぱい食事を楽しみながら、正しい食事内容でボディメイクを実現する「プラスの食事」を提案したいと言う谷川さん。これは、食べるの大好きな万年ダイエッターにも希望の光が見えそうな予感!
そこで、さっそく谷川さんに「ズボラ男性でも痩せやすくなる、かんたんダイエット5カ条」を教えてもらうことにしました。
第1条:目の前の数字に踊らされるべからず! 気にする数字は「体脂肪率」だけでいい
── 正直に申しまして、「ダイエットが続かない」んです。体重計に乗っては一喜一憂する日々。どうしたらいいでしょうか?
谷川:体重に踊らされないことが大切です。同じ重量でも筋肉と脂肪では見た目が全然違うので、「体重増=太った」ではないんですよ。鉄1キロと綿1キロの比較でイメージするとわかりやすいかと思います。
── なるほど! 体重が増えても、脂肪が減って筋肉が増えていれば問題ないってことですね。
谷川:そのとおり。スーツをきれいに着こなせるようなボディラインを手にしたいなら、体重よりも体脂肪率を意識したほうがいいですよ。
第2条:いつもの食事を「カロリー減・タンパク質増」へ変えるべし
── とはいえ、筋肉を増やすには筋トレが必要ですよね。そこであきらめモードが発動してしまいます。
谷川:それなら、食事内容を意識してみたらどうですか? まずは今ついている脂肪を落とすことから始めるんです。1日3食、1週間で21回食事をしているので、ちょっとの意識改革が大きな結果につながりやすいですよ!
── 食事なら、筋トレみたいにプラスアルファの努力がいらないですね! ただ、厳しい食事制限だと挫折してしまうんです……。
谷川:いつもどおりのメニューを、少し変えるだけで大丈夫。例えば、
- 野菜は糖質の多い根菜より葉ものを多くする
- 白米を玄米に変える
- 調理方法を揚げから蒸しにする
……だけでも違います。同じ量を食べても、総カロリーが減ってタンパク質量が増えれば、おのずと脂肪は減っていきますから。
第3条:「代替法でおいしくする」のが継続のカギ
── そのくらいならできそうな気がします……でも、おいしくないと続かないんですよね。なにか得策はありませんか?
谷川:代替法がいいと思います。ダイエットではNGとされる「油」も、料理によっては使ったほうがおいしくなりますよね。そんなときは、リセッターのように脂肪のつきにくいものにすれば罪悪感が減らせます。ちなみに当店では、グレープシードオイルを使用していますよ。
── ちょっとしたひと工夫で、我慢しないでおいしく食べられるってことですね。
谷川:本格的なカラダづくりを目指すなら別ですが、適度なダイエットと筋肉増量くらいなら、ムリのない範囲で日常に取り入れることが継続につながります。結果が緩やかでもよければ、「お昼だけ」とか「週に1日だけ」とかでもいいと思います。やらないよりはやる方が絶対いいですから!
第4条:「血糖値」を意識すべし
── 食事を意識するなかで、注意したほうがいいことってありますか?
谷川:三大栄養素で考えると、「タンパク質>脂質>糖質」のバランスを意識することです。あとは、血糖値が下がりすぎるとタンパク質が削られて太りやすくなるので、こまめに食べるなど、空腹を避けることも大切です。
── でも、間食は脂肪のもとじゃないですか? それに、仕事の合間とかになると、なかなか食べられないんですよね。
谷川:甘いものや高カロリーのものは確かに逆効果ですね。仕事中の口にしやすさも考えると、飲むだけでタンパク質を効率よく摂取できるプロテインはいかがでしょう? 朝食を抜きがちなかたであれば、朝食代わりに飲むのもおすすめです。
第5条:筋肉増量の近道は「男性ホルモン」にあり
▲牛ヒレ赤身肉のステーキ(3,348円/200g~)
── 筋肉を増やすための効率的な食事ってあるのでしょうか?
谷川:筋量アップに欠かせないのは男性ホルモンです。どんなに頑張って筋トレしても、男性ホルモンの分泌量が上がらないと効果が得にくくなってしまうんですよ。「マッチョ=鶏ムネ肉」みたいなイメージがあると思いますが、牛肉や魚、ピーナッツなど、男性ホルモンの分泌を促す食材も積極的に摂取してください!
── 牛肉を食べてもいいってことなら、焼肉やステーキを我慢する必要もないってことですしね。
谷川:はい! ただ、付け合わせや味付けで糖質やカロリーがアップしては意味がないので、そのあたりは気をつけてくださいね。
▲岩塩やノンオイル系、ワサビしょうゆやおろしポン酢など、ヘルシーな味付けでおいしい食事を
今うかがった5カ条なら、3日未満坊主や大食家でもすぐに実行できそうなものばかり……なのだが、人生には回避不能な困難や悪魔のささやきがつきもの。結局そこで、志半ばに挫折するのも世の常です。
そんなとき、ラクに乗り越えられるダイエットのTIPSがもしあるなら知っておきたいですよね。というわけで、さらに谷川さんに聞いてみました。
我慢禁物!? 「夜中の食事やスイーツ欲求」を満たせる秘策
▲お通しのプロテイン(無料)。国産で飲みやすく、効果も実感できるなど、谷川さんが自信を持っておすすめできるプロテインだそう
── ダイエット中の自覚があっても、無性に甘いものや深夜のラーメンが食べたくなることあるんですよ。そんな時、どうやって乗り越えたらいいのでしょう?
谷川:我慢できればいちばんですが、どうしても……となってしまったときは「プロテインを飲む」。これは、深夜や寝る前に食べたい衝動に駆られたときにも使えます。
── ゼロカロリーのおやつはダメですかね?
谷川:人工甘味料自体、あまりおすすめできるものではありません。ただ、我慢やストレスでダイエットを断念するよりはマシなので、ときどきならいいかな、とは思いますけど(笑)。
── プロテインって、甘いどころかまずいイメージでちょっと抵抗が……。
谷川:最近は、甘みがあったり、フルーツなどの味付きだったりするプロテインも増えているんですよ! うちでお通しとしてお出ししているものはバニラやストロベリーの味がついていて、ジュース感覚で飲めると好評です。
メニューにさえ気をつければ、居酒屋さんだって問題なし!
▲馬刺し(842円) ハイボール(540円)
── アルコールはダイエットの敵といわれますが、付き合いや接待で断れない飲みの席もありますよね。そんなときはどうすればいいでしょうか?
谷川:アルコールは、代謝を下げたり満腹中枢を麻痺させて暴食を招いたりするのでよくないと言われますが、アルコール自体で急激に太るわけではありません。それに、適度なお付き合いも大切ですよね。メニューにさえ気をつければ、ダイエット中のお酒もアリだと思います。
── おお! それは朗報! 具体的に、どんなメニューを選べばいいですか?
谷川:うちもお酒を置いていますが、イチ押しは糖質とカロリーの低いハイボール。あと、焼酎もいいと思います。フードなら、馬刺しや魚の刺身、枝豆などですね。焼鳥も、砂肝なら糖質やカロリーの心配なく食べられます。
── どれも居酒屋さんで食べられますね。
谷川:このあたりなら、場の雰囲気に水を差すことなく食べられますしね。飲みの席に限らず、外食やコンビニ食でも、メニュー選びのちょっとした意識ひとつでダイエットにつながりますよ!
「食の執行猶予」で、食べ過ぎもなかったことに……!?
── ちなみにおいしいものが目の前にあると、ついつい食べ過ぎちゃうことも多いのですが……さすがに、「なかったことに」はできないですよね?
谷川:それができるんですよ!
── !!!!! どうすれば!?
谷川:食べ過ぎても、翌日すぐ脂肪として身につくわけでありませんよね。なので、食べ過ぎた翌日の食事をヘルシーに抑えて、総カロリーの帳尻合わせを行うんです。完全に「なかったことに」はできませんが、被害を最小限に抑えることはできます。称して、食の執行猶予です。
── 食の執行猶予! 最高の響きですね。
谷川:……。だからって乱用したらダメですよ。基本はバランスの取れた食生活です。ただ、ときどきはそんな日があってもいいかな? というご褒美のようなものですからね。
継続を生むのは「小さな達成感」の積み重ね
最後に救世主のような話も飛び出した谷川さんのお話。もちろん、食事管理に筋トレを組み込んだほうがダイエット率もマッチョ率も高くなるけれど、苦節ウン十年のダイエッターには、「日常に取り入れやすく、とにかく続けやすい」ことが先決とのこと。なかなか断ち切れないメタボへの悪習慣も、これで少しは改善できるかも?
最後に、なぜマッチョたちは食事制限や筋トレをストイックに継続できるのか聞いてみた。
谷川:「大会で優勝したい」とか、「マッチョになってモテたい」とか、最終目標があるからだと思います。もしダイエットや筋トレを習慣化したいなら、実現しやすい小さな目標を設定すること。小さな達成感が継続につながるし、積み重なれば大きな結果になって、いつの間にか習慣になっているはずですよ!
- まずは毎食1品、ヘルシーメニューにする
- 食べ過ぎた次の日はセーブする
- かなえやすい目標を持つ
そんな「小さな努力」からなら、始められそうな気がしませんか?
お店情報
筋肉食堂
住所:東京都港区六本木7‐8‐5
電話番号:03‐6434‐0293
営業時間:平日11:00~15:00、17:00~23:00 土曜日11:30~22:00、日曜日・祝日11:30~20:30
定休日:無休
書いた人:千葉こころ
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するフリーライター。旺盛な食欲と好奇心を武器に、人生を楽しむことに全力を注いで滑走中。