第8回:元グラビアアイドルが迎えてくれるお店・代官山「楚々」成子(せいこ)ママ
前回の恵比寿に続いて、今回は代官山。このあたりは高そうなお店ばかりのイメージだけど、今日の取材、予算は大丈夫かな?
ってことでまいりましょうか。
東急東横線の代官山駅正面口をスタート。
左に曲がって、さらに左。今回、美人ママがいるのはこちらのお店!
なんと駅から徒歩30秒だ!
あれが「楚々」さん。うーん、なんだかとってもオシャレな店構え。
オジさんでも楽しめるお店だといいなあ。
「大丈夫ですよ。アポも入れてますし、とりあえず入りましょう」と編集担当Mくん。
手前にカウンター、奥はこんなテーブル席。
落ち着いた雰囲気だねぇ。
こんばんはぁ、と声をかければ、「いらっしゃい」と美人ママ登場。
おお!
本当に美人だ。
あの、あたくし、ライターの下関マグロと申します。
「はい、安藤成子です」
と、いただいた名刺に驚いた。
だって肩書が……
「美人女将」。
いやもう、この記事にぴったりの方じゃないですか。
成子は「せいこ」と読むのですね。
ママ、とりあえず、乾杯したいので、うーん、僕はビールもらおうかな。ママはなに飲みます? 「っじゃ、私もビール」と美人女将。
▲キリン一番搾り生(680円)
「はい、どうぞ!」
あ、ありがとうございます。
それじゃ、かんぱーい!
成子ママは、いい飲みっぷり。
おやっ……あれ?
平山カメラマンが「撮られ慣れていらっしゃいますね、なにかやっていらっしゃったんですか」と訊くと、「ええ、タレントとか、グラビアとか女優やってましたね」と成子ママ。
たしかに、表情がさっと定まり、止まる。普通の人ではない感じだ。
しかし、グラビアアイドルが、なぜこういうお店を? しかも安藤さんがオーナーさんなんですよね。
「ええ、そうです。まあ、もともと飲食店でアルバイトなんかしてて、お客さんに接するのも好きだったんで、お店をやりたいなって、ずっと思ってたんですよ。でも、グラビアとかいろいろお仕事があったんで、なかなかできなくて。でも、3年ほど前に、骨折して入院したんですね。全治8カ月で仕事ができない状態になったんです」
えっ、なんで骨折?
「あー、スノーボードやってて、骨折したんですよ。で、母がお見舞いに来てくれたときに、ちょうど母も仕事を辞めたタイミングだったので、なにかお店をっていうことで。それで2年前にお店を出したんですよ……あ、どうぞ、お通しです」
おっ、このお通しは?
「きょうは、汲み上げ湯葉ですね」
▲お通し(350円)
うーん、上品な味わい。京都っぽい、というか、京料理ですね。お通しは、おいくらなんですか? 「えーっと、350円ですね」とスマホを確認するママ。聞けば、スマホで伝票をつけているのだそう。それがレジとつながっているシステムなのだとか。
「なにスマホいじってんだって言われることもたまにあるんですが、注文を打ち込んでいるんですね(笑)」
それにしても、けっこうリーズナブルですね。お店の雰囲気がオシャレだから、もっとお高いのかと思ってましたよ。「お通しは夜だけなんですが、だいたいこの値段です。こういう外観なので、ちょっと心配される方もいらっしゃいますが、そんなにお高くはないんですよ」
おや、そこに和菓子がありますね。
▲季節の和菓子 うぐいす餅 桜餅 黄身しぐれ(各450円)
「ああ、これは夜もお出ししているんですが、お昼は和カフェなんですよ。もともと、おばあちゃんの実家が和菓子店をやっていたんですが、お店をたたんでしまったので、私と母が、和菓子店をやりたいねって言ってたんですよ。でも、和菓子店っていっても大変なんで、和カフェにしようっていうことになったんですが、それじゃ、和食も出して、お酒もっていうことで、いまの形になったんです」
この小さいのも和菓子なんですか?
「ああ、これはSUAMA。四角い“すあま”で、キューブ状なんですよ。いろいろな味が少しずつ食べられるんです」
▲SUAMA(2個 250円 4個 450円 6個 550円)
「カフェタイムは、季節の和菓子が付いた“お点前セット(1,100円)”というのがあって、自分で抹茶をたてるんですけど、けっこう珍しいとかで、外国人の方にも喜んでいただいてますね」
ところで、この「楚々」という店名の由来は?
「私が考えました。お店のコンセプトが“四季を五感で感じる”なんですが、それに合う素敵な日本語ということで楚々にしました」
お店のロゴというか、この書も素敵ですねぇ。お店のいたるところにあるんですが。
「これは、圭春さんという書道家の方にお願いしたんですよ」
お知り合い?
「ずいぶん前なんですが、クラブイベントで女体に書道している女性がいて、かっこいいいなぁって思って、それ以来の知り合いです」
女体書道か、それは素敵!
「和のお店をやろうって思ったときに、圭春先生のことがパッと浮かんだんですよ」
オリジナルのボトルラベルにもなっているんですね。
「これは、梅酒が入っているんですけど」
そこで、平山カメラマンが「持ってもらっていいですか?」
なんだか、ママが持つと、なにかのCMみたいですね(笑)。
それじゃ、お料理いただきましょうか。カウンターの前にいろいろとお料理がありますね。
目移りしちゃうなぁ。
おすすめは?
「そうですねぇ、“黄金のポテトサラダ”なんていかがでしょう」
おお、黄金っていうと?
「見ていただければ、わかりますよ」
いいですねぇ、じゃ、それをお願いします。
▲黄金のポテトサラダ(780円)
おお、黄金というのは、黄身のことだね。あ、あとお皿も金色だね。
見た目も素敵。味も素敵!
あの、これ、取材するときの決まりなんですが(ウソだけど)、あーんするので、私にちょっと食べさせてください。
「こうですか(笑)」
うーん、幸せ!
黄金、いただきました! んまぁーい!
たしかに、ゆで卵が混ぜこまれているポテトサラダってあるけど、こういうスタイルは初めてだなぁ。どこをどう食べるかで、味が違ってくるのも楽しい! ビールが進むね。ママ、おかわり!
ポテトサラダ、けっこうボリュームありますね。これともう一品でお腹にはちょうどいい感じかな。
あとなにか、おすすめはあるんですか?
「そうですね、“孤高のだしオムレツ”ですかね」
おっ、メニュー名もおもしろいですねぇ。それをもらいましょうか。
「ソースが明太クリーム、つぶ磯バター、きのこあんかけがありますが」
おお、それじゃ明太クリームでお願いします。
▲孤高のだしオムレツ(明太クリーム or つぶ磯バタ or きのこあんかけ)1,100円
ああ。見た目もいいねぇ。
すぐに食べちゃうのはもったいない。でも食べちゃうけど。
ふわトロで、しっかりダシがきいているね。これもまたビールが進むお料理だ。
多くのスタッフが働いているが、みなオシャレだ。そして、お手洗いも清潔でオシャレ。
さきほど、お手洗いを借りたんですが、これもこだわってますね。
「ははは、そうでしょ。こだわって造りましたね。私、お手洗いフェチなんですよ。私もね、飲み歩くのが好きなんで、いろいろなところへ飲みに行くんですけど、いいお店でも、お手洗いでがっかりすることがあるんですよね」
ああ、わかるなぁ。僕もお手洗いフェチですが、ここへ来たら必ずお手洗いを見てほしいですね。
「お手洗いだけというのは困りますけど(笑)、そう言っていただけるとうれしいです。とにかく落ち着ける場所にしたかったんですよ」
写真は撮ったけど、ここはぜひ足を運んでみていただきたい。
ところで、グラビア時代はどんな名前だったんですか?
「あ、そのままですよ」
そっか、安藤成子さんか。
えっ、じゃあ、ネットでお名前を検索すれば、グラビア時代の動画や画像がネット上にはあるんですね。
「うふふ、そうですよ」
グラビアアイドルはどれくらいやっていらっしゃったんですか?
「かれこれ11年ほどやってましたね。1年前に事務所を辞めたので、今はこちらのお店を本気でやろうと思ってます」
しかし、ファンだった人は、お客さんとして来られるからうれしいでしょう。
「そうなんですよ、お店に来てもらったり、2周年でお花をいただいたりしています。ありがたいです。ただ、私は毎日お店にいるわけじゃないんですよ」
えっ、どのくらいの頻度でいらっしゃるの?
「けっこう不定期なんです。実は、もうひとつ会社をやってまして。ALOPARTYというケータリングやパーティプランニングの会社なんですが、でも、すぐこの裏に事務所があって、そこで作業しているので、呼んでいただければ顔は出せますよ」
ちょい飲みにも利用できそうなお店だし、成子ママの顔を見て飲むだけでも楽しそうだ。そうそう、お話もお上手で、とても楽しい時間をありがとう、成子ママ。
また来るね!
美人ママFile #008
代官山「楚々」成子ママ
お店のモットーを教えてください。
「みんなが笑顔になれるお店です。スタッフも笑顔で、来ていただいたお客さんも笑顔になる、そんなお店です」
ママさんの好きな男性のタイプは?
「ひさしぶりですね、こういう質問。えっと、今は、やさしくて、頼りがいのある人。昔はやさしくて、面白い人って答えてましたけど(笑)」
自分の性格をひとことで言うと?
「細かい! 小姑のようにスタッフにも注意してしまいます。お客さんが快適に過ごしてもらうようになんですけどね」
いちばんの得意料理はなんですか?
「豚の生姜焼きです。コマ切れ肉に片栗粉をまぶして、玉ねぎと一緒に炒めます」
どんな言葉で口説かれたらドキッとしますか?
「一生幸せにします、とかですかね(笑)」
『メシ通』の読者にひとことお願いします!
「ぜひぜひみなさん、一度足を運んでいただいて、美味しいお酒とご飯と会話を楽しんでください。美人女将名刺もお渡ししますよ」
写真:平山訓生
お店情報
楚々
住所: 東京都渋谷区恵比寿西1-34-28代官山ファーストビル1F
電話番号:03-6416-9827
営業時間:Lunch 11:30~14:30 Cafe 14:30~17:00 Dinner 18:00~24:00
定休日:無休(年末年始を除く)
ウェブサイト:http://soso-tokyo.com/
※ 金額はすべて消費税込です。