本場台湾の味「牛肉麺(ニョーローメン)」の作り方を台湾料理のプロに教わったら味が限界を超えた

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以前ご紹介した、本場の味が楽しめる台湾家庭料理店「Kanoka」。

www.hotpepper.jp

小さなキッチンの中に小宇宙を見た、ママの料理の腕前が神がかっているあのお店です。

 

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こんなかわいらしい外観ですが、味は妥協なしの本格派。女性グループだって思わずがっつり食べすぎ、しかしお店を出るときはどの女性も「食べすぎた。だが悔いはない」という、すがすがしい顔をされています。女性にそう思わせるお店って「おいしいお店」か否かの大きな基準になると思います。

 

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相変わらず店内は清潔で居心地満点。

 

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ママこと劉 謙誠(リュウ チェンザン)さん。

 

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副店長の馬 仲(マー ツォン)さんも和みスマイルでお迎えしてくれます。

 

今回、「Kanoka」が秋冬の期間限定で提供しているメニュー「牛肉麺」のレシピをママから直々に教えていただけることになりました。

これ、「ぎゅうにくめん」ではなく「にょーろーめん」と読みます。麻婆を「あさばば」ではなく「まーぼー」と読むのと一緒です。

「牛肉麺」は日本ではあまりメジャーではありませんが、台湾では屋台も多く、家庭でもよく作られるソウルフード。

しょうゆ味ベースのスープに煮込んだ牛肉のだしとトマトのほのかな酸味が加わると、「うおっ、なんじゃこりゃ」というレベルの「うまい麺」が生まれるのです。

それにも関わらず作り方は鍋に材料を順番に入れていくというシンプルの極みとあって、「なぜこの味になる?」と思わずにはいられません。もはやイリュージョンですよ。

ゴッドハンドを持つママの手にかかれば、この味を出すことなど朝飯前なのはわかります。けれどこの料理に限っては、ママの言う通りに作れば誰もが自分の限界を超えた味を生み出してしまえるのです。なのでまずは一度、作ってみてください。心情的には命令形でいきたいくらいです。それほど簡単なのにおいしいんですよ!

 

【材料】

  • 牛肉麺(スープ4~5人前)
  • 牛バラブロック肉 500g ※牛すじ肉やシチュー用の牛肉なども可
  • トマト 大2個
  • ★生姜 大1かけ(50g程度)
  • ★長ネギ  大1本(200g程度)
  • ★八角 2個 (10g程度)
  • ★にんにく 2かけ(50g程度)
  • 醤油 80cc
  • 豆板醤 大さじ1~2(ピリ辛好きは大2に)
  • 紹興酒 15cc
  • 水(最初) 1000cc(最初に投入する分)+600㏄(煮込んでから追加する分)
  • 中太のうどん(生麺) 1人前100~150g(好みの量で)

 

以下、好みに応じて

  • 小松菜 適量
  • パクチー 適量
  • 高菜の漬物 適量

 

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牛バラブロック肉は煮込むので2cm幅に切ります。

 

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トマトはへたをとり、6等分にくし形切り。

にんにくはカットせず、薄皮をむいておきます。

しょうがは皮をむき、5mm程度に輪切り。とはいえ臭み取り用なので、ざっくりでOKです。

長ねぎは3等分に切ってタコひもで縛っておきます。面倒かもしれませんが、この手間を省くと煮込んだときにねぎがばらけ、スープがたいそう小汚い感じになります。味に変わりはないとしても、せっかくなら美しい仕上がり目指そうではありませんか。

八角はスーパーマーケットに小さなパックで小売りしているので、昔よりずっと入手しやすいです。今回の「牛肉麺」を本場の味にする超大事な調味料なので、これは絶対に入れてください! 八角抜きはダメ絶対!

 

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小松菜は緑色の食材を入れビジュアルを華やかにする目的で使うので、チンゲンサイなどでもOKです。さっと下ゆでし、飾り用にざく切りにしておきます。

パクチーが苦手な人は小ねぎで代用を。

高菜の漬物はマストではありませんが、台湾では愛されている味ですね。いろいろな料理にちょいちょい添えられています。高菜以外の漬物は「牛肉麺」と特に相性がいいわけではないので入れないほうがいいです。そこはチャレンジする必要なし。

 

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そして八角同様、本格的な「牛肉麺」の味に不可欠なのが紹興酒。日本酒やワインではだめです、紹興酒でなければなりません。絶対に! 紹興酒を! 使いましょう!

豆板醤の量はお好みで増減してください。辛いのが苦手な人でも、ほんの少しだけでも加えたほうが味に深みが出ておすすめです。

 

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うどんは中太の生うどんが一番本場台湾の麺に近いです。

「生麺がないときは、冷凍うどんやパックうどんじゃなくて乾麺のうどんを使ってね」とママ。したがいましょう。ママの言う通りにすれば間違いはありません。

 

ではいざ、作ります。

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1 大きめのお鍋に水1000ccを入れて中火にかけます。

2 沸騰したら牛バラブロック肉を入れ、煮立ってからは適宜あくを取ります。

お玉でうまくあくをすくえない人は、ふんわり丸めたアルミホイルを鍋の中で行き来させると、あら不思議! アルミホイルにあくがくっついてくれます。

 

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3 ★の材料を入れます。

4 再び沸騰したら●の材料を入れさらに煮込みます。

 

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5 トマトを投入!

トマトは煮崩れて最終的には形がなくなるので、もしも仕上がりの状態にしっかりトマトの触感が欲しい場合は、分量外のトマトを用意してください。

 

6 鍋にふたをして、とろ火で60分煮込みます。最終的には牛肉がほろほろに柔らかくなればOKです。牛肉はバラ肉のほかすじ肉やシチュー用のお肉でも代用できますが、その場合は煮込む時間が変わるので、柔らかくなるまで煮込んでください。

この煮込んでいる時間に水分がどんどん蒸発していくので、補充用の水600ccを適宜追加してください。ちょいちょいあくも取ってくださいね。吹きこぼれにも注意を。コンロの後片付けが面倒になりますから……。

 

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どうですかこのビジュアル。

ちょっともう、この段階でうまそうな空気がびしびし伝わってきませんか? おのずと期待が高まります。

 

7 牛肉が柔らかくなったのを確認し、スープの味見をして、必要ならばしょうゆや豆板醤を加え、最終的な好みの味に整えます。

 

8 八角、長ネギ、トマトの皮を取り除きます。

トマトの皮は気にならない人はそのままでもいいですが、加熱されたことで自然にぺろんとはがれているので、取ったほうが口当たりがいいかと。

八角はスープに入れっぱなしだと味がきつくなり主張しすぎてくるので、忘れずに取り出しましょう。

 

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9 うどんをゆでます。

ママ「煮込みうどんじゃないので、スープの中に投入するのではなく別の鍋でゆでてね」

 

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ゆで上がったうどんに……

 

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スープを加えてできあがり!!

 

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撮影を手伝ってくれたたかちゃん、最初に試食する名誉を賜る。

 

もう尋常じゃないおいしさです。

基本、味つけはしょうゆのみですよ。そこにトマト。

それがなぜこれほどまでに深みのある、飽きの来ない、慈愛に満ちた、とんでもないおいしさになるのでしょう。

ママいわく「紹興酒と八角ね」。特別な材料もプロ用の火力も調理道具もいらない、それでこの味!

 

ここでママから重大発言。

「作ってすぐに食べるんじゃなくて一晩置くと、味が落ち着いてもっとおいしくなるの」

なんですと!

作りたてだってそりゃあもう十分おいしかったのに、「翌日のカレーのほうがおいしい」法則が「牛肉麺」にも適用されるとは!

しかしそうとあれば、ここはママの言う通り一晩寝かせましょう。そして翌日、うどんをゆでて、待望の「牛肉麺」の完成です。

 

初めて「Kanoka」の「牛肉麺」を口にする感動、想像してみてください。はい、どうぞ!

 

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スープを大量に作って冷凍保存しておけば、いつでも麺をゆでるだけで「牛肉麺」が味わえます。

それにこれ、麺抜きのスープとして味わってもおいしいし、おそらく雑炊にしてもかなりのクオリティのはず。そこに卵を落としたら、きっとまた新しい美味との出会いがあることでしょう。

「牛肉麺」、全力で推薦します。自宅で気軽に作れる奇跡の味、1日も早くチャレンジしてみてください!

 

お店情報

Taiwan Kitchen Kanoka

住所:東京都北区中里1-4-4 横川ビルディング1F
電話:03-5809-0513
営業時間:11:30~14:00(LO 13:30)、17:00~22:00(LO 21:30)
定休日:日曜日・祝日、第1・第3月曜ランチ(夜は営業)
ウェブサイト:http://taiwankitchenkanoka.blog.fc2.com/


※この記事は2017年11月の情報です。

  

書いた人:椿あきら

椿あきら

猫の下僕をしているライターです。猫と暮らすようになってから、断然家飲み派になりました。著書に『オリンピックと自衛隊 1964-2020』(並木書房)。

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