にんにくと豚肉、野菜マシの「スタミナ豚汁」がっつり系の一汁メシが満足度高すぎる

こんにちは、料理・食文化研究家の庭乃桃です。

寒くなってくると、根菜たっぷり、具だくさんな汁物が食べたくなりますよね。そこで、今回紹介するのは、肉も野菜もたっぷり入った豚汁。しかもガツンとパンチのきいた、ホクホクのにんにく入りバージョンでお届けします。

▲粒のまま加熱したにんにくが、甘くてホクホク……!

にんにくは、皮付きのまま粒ごと加熱するのでホクホクしていて甘く、にんにくの風味が全体に回るため、食欲をかき立てる味わいに仕上がります。

今回は具材をたっぷり入れても水っぽくならず、出汁なしでもしっかりと味が決まるポイントも詳しく紹介していきます。また記事の後半では、多めに作った豚汁のアレンジレシピとして、おいしい「味噌ラーメン風」の食べ方もお伝えします。

これひとつで大満足の豚汁、早速作っていきましょう!

「スタミナ豚汁」

材料(6人分)

※翌日以降も味がしみておいしくなり、アレンジも楽しめるので、多めの分量で記載しています。多すぎる場合は半量でお試しください。

  • 豚バラ肉(薄切り)……200g
  • 大根……5cm(230g)
  • 厚揚げ……1/2枚(100g)
  • こんにゃく……1/2枚(100g)
  • しめじ……1/2パック(85g)
  • にんじん……1/3本(70g)
  • 小松菜……1株(70g)
  • 玉ねぎ……1/4個(50g)
  • ごぼう……1/4本(50g)
  • にんにく……5~6片(50g)
  • ごま油……小さじ2
  • 味噌……大さじ4と1/2~大さじ5(※半量は炒め用、残りは仕上げ用)
  • 水……1L

※豚バラ肉とにんにく以外の具材はお好みのものでも大丈夫です(味の濃さは仕上げの味噌の量で調整可能)。

 

作り方① 具材を準備する

▲(左下から時計回りに)玉ねぎ、しめじ、キッチンペーパーで油を取った厚揚げ、大根、にんじん

1. 具材を切ります。基本的には食べやすい大きさに切ればOK。大根はおいしい季節なので、皮を厚めにむいて、やや大きめに切るのがおすすめです(5mm程度)。

なお、厚揚げや油揚げなどを加える場合には、あらかじめキッチンペーパーで表面を押さえて余分な油を取っておきましょう。このひと手間で、仕上がりが油っこくならずに味のしみこみも良くなります。

こちらは、小松菜とごぼう。

葉物が入ると緑黄色野菜が取れるほか、シャキシャキした歯ごたえや緑の色合いが入るのでアクセントとしても楽しめます。5cm程度の食べやすい大きさに切りましょう。

ごぼうは、よく洗って泥を落とし、香りをいかすために皮付きのまま(太ければ縦半分に切ってから)斜め薄切りに。アク抜きはさっと水にくぐらせる程度で十分です。

ひと手間かけるとおいしくなる、こんにゃく。

食べやすい大きさの細切りにしてから、塩(分量外・小さじ1/2程度)でもんで水で洗い流し、独特の臭みを取ります。袋に「アク抜き不要」と書いてあるこんにゃくの場合でも、この工程をやっておくとスッキリした味に仕上がるので、余裕があればお試しくださいね。

▲電子レンジで加熱するにんにくは、皮がラップ代わりになります

2. おいしさのポイントとなるにんにくを加熱していきます。にんにくはやわらかくなるまで煮ようとするとけっこう時間がかかるので、あらかじめ1粒ずつにばらして皮ごと電子レンジにかけておきます。

これくらいの量であれば、600Wで約1分。外から押してみてやわらかいと感じられればOKです。あら熱が取れたら皮をむいて、大きいものは半分に切っておきましょう。

3. メインの豚バラ肉を3~4cm幅に切ります。煮ると縮むので大きめに切るのがコツです。

さあ、これで具材の準備はすべて整いました。

作り方② 炒めて、煮る

1. こんにゃくを鍋に入れます。メリハリのある味わいの豚汁にしたいので、水分の多いこんにゃくは先に乾煎りしておくことで、味がしみこみやすく、食感もプリプリに。鍋も水っぽくなりません。

油を引いていない鍋に広げ入れて強めの中火にかけたら、キューキュー音がするくらいまで水分を飛ばして一度取り出します。

※上の写真のようなアルミ製の雪平鍋でこんにゃくを調理すると、こんにゃくのアルカリ性に反応して鍋底の黒ずみや色むらの原因になります。使用後にクエン酸を入れた水を煮立たせると取れますが、気になる場合はステンレス製やほうろう、フッ素樹脂加工の鍋をご使用ください。

2. 野菜を炒めます。火加減は中火~強火です。

ごま油を入れて、まずは大根の両面に焼き色をつけます。

次に小松菜とにんにく以外の残りの野菜(しめじ、にんじん、玉ねぎ、ごぼう)を加えて、さらに炒めます。

野菜がしんなりしてきたら、一番火の通りやすい小松菜とにんにくを加え、さらに味噌の半量を入れて、野菜の水分で味噌をほぐしながら炒め合わせましょう。

味噌は先に半量を加え、具材(特に根菜類)になじませておくと、中まで味がしみこみます。また、強めの火で味噌の香ばしさが出るくらい炒めることで、にんにくの風味も立ち、出汁ナシでもしっかりと味が決まります。

3. 野菜に火が通ってきたら、豚バラ肉をていねいに広げ入れます。

▲味噌の味を具材にしっかり含ませるように炒め合わせます

そしてこんにゃくを戻し、厚揚げも加えて、豚バラ肉の色が8割程度に変わるくらいまで全体をしっかりと炒め合わせます。このように具材を先に炒めておくことも、鍋が水っぽくならないようにするためのポイントです。

4. 水を注ぎ、煮立ったらアクをすくいましょう。ふたをして、弱火で野菜がやわらかくなるまで10~15分煮ます。

5. ふたを開け、大根やにんじんの硬さをチェック。やわらかく煮えているようなら一度火を止めます。

そして残りの味噌を溶き入れたら再び火をつけて弱火で加熱し、今度は味噌の香りが飛ばないよう煮立つ直前で火を止めます。

先に炒めた味噌が、具材に味を含ませたり香ばしさを加えたりするためのものだったのに対して、後から入れた味噌は風味を引き立たせるためのもの。このように二度に分けて加えるようにすると、ふくよかで繊細な香りが引き立ちます。

さあ、できました。湯気の立つ熱々の豚汁を、たっぷりおわんによそいましょう。

▲お好みで七味唐辛子やすりごまを振っても◎

焼き付けたジューシーな野菜の甘みと、食べごたえのある豚バラ肉の濃厚なうま味。プリプリのこんにゃく、じゅわっとやわらかな厚揚げ。

具材それぞれの味わいが、香ばしい味噌のうま味や鼻に抜けるにんにくの風味と見事に溶け合っています。これぞまさしく、ごちそう豚汁……!

▲ホクホク甘いにんにくがアクセントに

中華麺で「味噌ラーメン風」

さまざまな具材のうま味が重なり合っているので、ご飯はもちろん、うどんや中華麺と合わせてもおいしくいただけます。

おすすめは、中華麺を使った「味噌ラーメン風」のアレンジ。

作り方はとても簡単。袋の表示通りにゆでた中華麺を湯切りしてどんぶりに入れたら、上から豚汁をたっぷりとまわしかけます。

仕上げにバターとすりごまをのせて、お好みで刻みねぎを添えましょう。すると、あら不思議……。濃厚で満足感のある味噌バターラーメンがあっという間に完成!

濃厚な味わいの豚汁なのでパンチがありますが、野菜もたっぷりなのでそこまで重たくない絶妙なバランスに仕上がっています。

バターで程よくコクが加わり、香りの良いすりごまが食欲をそそります。もちもちの中華麺に具材がよくからんで、こちらも箸が止まらぬおいしさです。

まとめ

ホクホクにんにく入りの具だくさん豚汁は、スープにふくよかさや奥深さが加わり、ご飯や麺類などさまざまなものによく合います。味にメリハリがあり、それだけで満足感があるので、たっぷり作り置きしておくと忙しい時期にも毎食さまざまな楽しみ方ができますよ。

具材はお好みのものでかまわないので、芋類や油揚げ、豆腐などを入れるのも◎。ぜひこの冬は、自分だけのお好みの具材を組み合わせて、おいしい豚汁を堪能してくださいね!

※調理後、あら熱をとってからできるだけ早く保存容器などに移し、冷蔵庫に入れてください。保存期間は冷蔵で2〜3日です。

書いた人:庭乃桃

niwanomomo

料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士。「おいしい」を取り巻くさまざまな食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発や、執筆、講演など多方面で活動中。著書『おいしく世界史』(柏書房、2017年)。

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