老舗魚屋店主が教える「初めてでもできるイワシの手開き」の方法。自分でさばくと割安、美味しい【魚屋三代目】

こんにちは! 鮮魚魚武の三代目、料理家の魚屋三代目です。

少しずつですが涼しくなって、魚介がますます美味しい季節になりました。今、旬でお値段的にも買いやすいのはイワシ(種類でいうとマイワシ)。身が太って脂がのり美味しいですよ。

今回はそのイワシを丸々1尾買ってきて、自分でさばく方法をご紹介します。

 

魚は頭も内臓も付いたものを買ってきて、自分でさばく方が割安。新鮮なのはもちろん、時間をかけた分、美味しさもひとしおです! とくに、イワシは初めての方でもやりやすい「手開き」がしやすくて、自分でさばくのにおすすめの魚。頭を落とすのと内臓を取り除くのには包丁を使い、あとは手(というか指)を使ってさばきましょう。

ちなみに、スーパーなどに並ぶイワシは生食用、刺身用と書いてあるものがほとんどだと思います。ただし、手開きに慣れていないうちは時間がかかって体温が移り、身が温まって、刺身で食べるには鮮度が落ちる可能性も……。そこで、ここではさばいたイワシをシンプルなパスタにして美味しくいただくレシピもご紹介します。

 

魚屋三代目の「初めてでもできるイワシの手開き」

【用意するもの】

  • イワシ 10cm程度のイワシ1尾程度が1人分の目安
  • 包丁、まな板(あればまな板シートも)
  • 使い捨て調理用手袋
  • アラ処分用のポリ袋、新聞紙

 

さばき方

【準備 その1】手に魚の臭いがつかないよう使い捨て手袋をしてさばきました。粉の付いていない、手にピタッとするタイプの手袋がおすすめです。

 

【準備 その2】まな板には、こちらも使い捨てのまな板シートを敷くと汚れが気になりませんよ。

 

1. それでは、イワシをさばいていきましょう。ウロコがついている場合は包丁でこそげとってから、頭を左側にして置き、写真のように頭の付け根の部分に包丁を入れ、

 

頭を切り落とします。

 

2. 次にイワシを縦に置き、腹の部分を肛門(腹側、尾の方に空いている小さな穴)のあたりまで包丁で切り落とし、

 

包丁や指で内臓を取り除きます。

 

内臓を取り除いたら流水でよく洗い、キッチンペーパーなどで水気を拭き取っておきましょう。

 

3. イワシの頭側を右に、腹を手前にして、写真のように左手で持ちます。

左手の親指を腹からギュッと差し込み、指の腹を中骨に押し付けるようにしながら、

 

中骨に沿って尾の方へ動かし、

 

尾まで一気に開きます。

 

4. 次に右手に持ち替え、親指を同じように腹から差し込み、

 

中骨に押し付けるようにしながら頭の方へ動かして、頭があった所まで開きます。

 

こんな感じで中骨と上身がはがれました。

こうして中心から左手と右手を交互にスライドさせて骨と身をはがすのが、私が長年やっている手開きの方法。イワシを支えやすく、初めてでもやりやすいと思います。

 

5. 続いて中骨を外します。今度は尾を右側にして置き、中骨の(左右の)中心あたりを右手の親指と人差し指でつまんで浮かせたら、

 

中骨を親指と人差し指ではさみ、尾の方へスライドさせて身から右半分の骨を外していきます。この時、最後まで外さずに一番端、尾の部分の骨はつなげておくのがポイント。骨が動かず、残った半分を外しやすいです。

 

次に、左手の親指と人差し指で中骨をはさみ、頭の方にスライドさせて左半分の骨を外します。こちら側は残さずに外してOKです。

 

6. 最後に、尾の方でつながったままの中骨をポキッと折って外します。

 

これでイワシの手開きは完成です。

 

仕上げに、左右にある腹骨を写真のように包丁で削いで取り除けば、

 

食べた時に口に細かい骨が残らず、より食べやすくなりますよ。

ちなみに、ここから刺身にする場合は、包丁で尾びれを切り落とし、半身に分けて皮を頭の方から指でむきます。機会があれば刺身で食べるコツもくわしくご紹介したいです。

 

頭、中骨など魚のアラは、ビニール袋を二重にするか、新聞紙でくるんでからビニール袋に入れて処分すると臭いを抑えられます。

 

さばいたイワシは、今回はシンプルなトマトソースのパスタにしました。にんにくと一緒にソテーしてうま味を引き出したイワシが、トマトの酸味によく合いますよ。

 

魚屋三代目の「手開きイワシのガーリックトマトパスタ」

【材料】(2人分)

  • 開いたイワシ 2尾分
  • スパゲッティ 200g
  • にんにく(みじん切りにする) 1かけ
  • トマト缶(カット) 200g
  • オリーブオイル 大さじ2
  • 塩 適量
  • 輪切り赤唐辛子 ひとつまみ
  • ブラックオリーブ(スライス済みのもの。あれば) 適量

 

作り方

1. 開いたイワシの身は縦半分に切り、尾びれと背びれ(背中側、中央に付いている黒っぽいひれ)を切り取ります。

 

2. フライパンにオリーブオイルを熱し、にんにくを炒めます。にんにくの香りが立ったらイワシを皮を上にして入れます。

同時にスパゲッティも茹でるとすぐに食べられておすすめです。

 

3. イワシに粗びき黒こしょうと塩適量を振り、身に焼き色がつくよう中火で2分ほど焼きます。裏返してさらに焼き、皮目にパリッと香ばしく焼き色がついたら一度取り出します。

 

4. イワシを焼いたフライパンにトマト、

 

輪切り赤唐辛子を入れます。中火でフツフツとするまで温め、塩適量で味付けしてトマトソースは完成です。

 

5. スパゲッティが茹だったら4のフライパンに入れ、あればブラックオリーブも加え、トマトソースと和えます。

 

6. 皿に盛り付け、取り出しておいたイワシを盛り付けたら完成です。

 

イワシ1尾のせパスタは食べごたえあり!

トマト、にんにく、そしてフレッシュなイワシとうま味のある食材の組み合わせで美味しいパスタになりました! 炒めたにんにく、焼いたイワシの香ばしい香りも食欲をそそります。

パリッと焼いたイワシは1人分で1尾食べられるので、食べごたえもありますよ。

イワシは、パスタ以外にも、チリソースと合わせてエビチリならぬ「イワシチリ」にしたり、以前ご紹介したレシピで甘辛~いたれを絡めて「蒲焼き」にしたり、

www.hotpepper.jp

和洋中いろいろなレシピで楽しめます。白ご飯にもお酒にもよく合いますよ。

 

手開きで意外と簡単にさばけるイワシ。今度のお休みは丸々1尾買って、旬の味を楽しんでみてくださいね!

 

作った人:魚屋三代目

魚屋三代目

本名・柳田昇(やなぎたのぼる)。神奈川県厚木市で60年以上続く鮮魚店の三代目。父と魚屋を営むかたわら、旬の魚介の簡単な料理や捌き方をブログ『魚屋三代目日記』にて紹介しています。レシピ本などの書籍やテレビなど幅広く活動。62種の魚介の詳しい捌き方と、それらの魚をおいしく食べる100を超えるレシピ、捌き方やおろし方の動画が見られるQRコードも掲載の最新刊『魚屋三代目の魚のおろし方と料理』(エイ出版社)が発売中。2023年4月、新鮮な魚介類を使ったお惣菜店「noboru 魚武商店」もオープン。

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