おいしい魚の煮付けを作るには?魚のプロに聞く5つのポイント

海鮮居酒屋 羽田市場などを運営する野本良平さんに取材して、ナメタガレイの煮付けの作り方を教えてもらいました。魚の臭みを取る方法や奥深い味わいのタレの作り方などは必見です。

こんにちは、酒場案内人の塩見なゆです。

突然ですが、皆さんは魚の煮付けをうまく作れる自信はありますか?

私は何度か挑戦したことがあるのですが、どうにもお店のような魚の煮付けになったことがありません。魚の臭みが感じられたり、味に深みがなかったり、盛り付けたときにボロボロになってしまったこともあります。一体、プロはどのように魚の煮付けを作っているのでしょうか?

ということで、今回は魚料理の専門家においしい魚の煮付けの作り方を取材してきました。教えてくださったのは、魚の卸売事業と海鮮居酒屋、回転寿司店などを運営している羽田市場株式会社の社長、野本良平さんです。

塩見なゆ(以下、塩見):野本さんに魚の煮付けの作り方を伺えるのは楽しみです! よろしくお願いいたします。

野本良平さん(以下、野本さん):こちらこそ、よろしくお願いいたします。

塩見:早速ですが、どのような魚が煮付けに適しているのか教えてください。

野本さん:脂がのった魚が向いていますね。カレイやヒラメ、カサゴ、メバル、マダイやキンメダイなどが定番です。今回は、冬が旬の脂がのったナメタガレイを北海道の根室から取り寄せました。子持ちのナメタガレイは、卵が金色であることから、縁起物として重宝されています。

塩見:カレイはスーパーでも手に入れやすいので、作り方を教えていただけるのはありがたいです! ちなみにカレイは、スーパーなどでは切り身で売られていることが多いと思うのですが、どのように選ぶといいでしょうか?

野本さん:どの魚も部位としては真ん中より、やや頭側がおすすめです。頭側のほうが脂がのっているので、魚の煮付けには向いていると思います。ナメタガレイの場合は卵がおいしいので、頭側で多く卵が詰まっているものがいいです。

塩見:なるほど! 卵が詰まっていて頭側の部分を選ぶといいんですね。

野本さん:それでは、下処理から始めましょう。カレイのような海底に生息する魚はぬめりを丁寧に取り除くことが重要です。このときに役立つのが金たわしです。

塩見:金たわしですか。どんなメリットがあるんですか?

野本さん:魚の身に負担がかかりにくく、ぬめりと鱗(うろこ)がよく取り除けると思います。また、ヒレや頭部に臭みの原因となるぬめりなどがあるんですが、それらも取り除きやすいです。

塩見:確かにきれいになっていますね。これはカレイやヒラメだけに使えるテクニックですか?

野本さん:家庭で調理する程度の鱗が小さな魚ならこの方法で処理できます。

塩見:金たわし、いいですね。購入してみようと思います!

野本さん:魚の両面がきれいになったら、内臓を取り除きます。

塩見:内臓を取り除くと、背骨が見えてきますね。

野本さん:そうですね。ここで魚の臭みが出ないようにするポイントなのですが、背骨の血合いは丁寧に取り除きましょう。少しでも残っていると臭みが出てきます。

塩見:なるほど! ちなみにぬめりを取り除くために熱湯をかける霜降り(湯引き)はやらないのですか?

野本さん:私はやらないですね。霜降りをすると、せっかくおいしいナメタガレイの皮が取れてしまう可能性や、身が崩れてしまうことがあります。金たわしを使って丁寧にぬめりや鱗を取り除けば、霜降りをしなくても大丈夫です。

野本さん:次にたっぷりの塩をナメタガレイの皮の部分につけていきます。このとき、身の部分には塩がつかないように注意してください。15分ほどこの状態で置いておきます。

塩見:塩を皮の部分のみに、たっぷりつけることにはどのような効果があるんですか?

野本さん:先ほど、ぬめりや鱗は取り除きましたが、皮の部分に臭みの原因がしみ込んでいます。なので、塩の浸透圧でナメタガレイの皮に含まれる臭みのもとを取り除いていく効果があります。

塩見:魚の皮に臭みの原因が残っているんですね。これは知りませんでした。市販のカレイの切り身や他の魚でもこのひと手間は有効ですか?

野本さん:はい、有効です。サンマやアジなど一般的な家庭で食される魚であれば、たっぷりの塩を皮の部分につけて、15分ほど置いて流すだけで味がよくなります。魚の煮付けだけではなく、焼き魚を作るときにも有効ですよ。

塩見:塩で魚の臭みを取るテクニックは便利ですね。

野本さん:ナメタガレイに塩をつけて置いておく間に、タレを作っていきます。ナメタガレイ2切れ分の分量になります。魚のサイズや分量に応じて調節してみてください。

タレの分量は、水200ml、日本酒(無塩の料理酒)200ml、本みりん70ml、濃口醤油35ml(ない場合はお持ちの醤油でも可)、たまり醤油20ml(ない場合はお持ちの醤油でも可)、ザラメ(ない場合はお持ちの砂糖でも可)25g、生姜の薄切り4枚程度です。

一緒に煮る食材は、ごぼう、長ねぎ、焼き豆腐です。分量はお好みで構いません。それぞれ食べやすい大きさに切っておきましょう。

 

野本さん:さて、ナメタガレイの皮に塩を振って15分が経過しました。写真ではわかりにくいかもしれませんが、かなり水分が出ています。

野本さん:ナメタガレイを水で洗い、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。

野本さん:それでは加熱していきます。魚の煮付けを作るときのポイントは、タレが冷たい状態から加熱することです。こうすることで、徐々に魚に火が入っていき、やわらかく煮崩れしにくくなります。

塩見:私はタレを沸騰させてから魚を入れていました。だから煮崩れしていたのかもしれません。

野本さん:鍋に水、日本酒、本みりん、濃口醤油、たまり醤油、ザラメ、生姜の薄切り、ナメタガレイを入れます。

野本さん:さらに、ごぼう、長ねぎ、焼き豆腐を加えて、強火にかけます。

野本さん:このとき、ふたはしないで大丈夫です。すぐにアクが浮いてきますので、しっかり取り除きます。魚の煮付けを作るときに出てくるアクは、臭みや雑味の原因になるので、丁寧に取り除きましょう。

野本さん:アクを取り除いたら、アルミホイルで落としぶたをして弱火にして、15分ほど煮ていきます。

野本さん:15分ほど経過したら火を止めて10分ほど置いておきます。魚の煮付けは温度が下がるタイミングで味がしみていくので、一度冷ましてから、再度弱火で5分ほど温めて完成です。

塩見:一度冷ますという工程が大事なのですね。

野本さん:最後に湯通しした菜の花と白髪ねぎ、木の芽(分量外)を添えたら完成です。できたてを食べてみてください!

ナメタガレイの煮付けの味わいはいかに!?

塩見:ナメタガレイは煮崩れしておらず、付け合わせも鮮やかで食欲をそそりますね。これはおいしそうです!

塩見:それでは温かいうちにいただきます。

自宅で魚の煮付けを作ったときには臭みを感じたのですが、さすがプロです。臭みが一切感じられません。皮の部分はトロトロで、中はふっくらとした食感で、しっかり味がしみています。甘さ、醤油のバランスが最高です。

野本さん:おいしそうに食べていただけてうれしいです。濃口醤油とたまり醤油とザラメを使っているので、味に深みが出ていると思います。これらは家庭にあるような醤油や砂糖でも代用できるのですが、こだわりたい方はぜひ使ってみてください。

塩見:確かに味の深みを感じます。醤油や砂糖にこだわることで味わいもかなり変わってくるんですね。非常に勉強になりました。

野本さん:それはよかったです。改めてポイントをまとめると、①金たわしで丁寧にぬめりや鱗を取り除くこと。②血合いを丁寧に取り除くこと。③皮の部分のみに塩をつけて臭いの原因を取り除くこと。④冷たい状態から加熱すること。⑤一度冷ますこと。これらを守ると、格段においしい魚の煮付けが作れると思いますよ!

野本さん:ちなみに、余ったタレは冷やしておくと煮こごりになります。これを温かいご飯にのせて、ほぐしたナメタガレイの煮付け、卵黄、刻みねぎを添えれば最高の〆になります。魚の煮付けを作ったときには、余ったタレを使ってこちらも試してみてください。

塩見:すてきな〆を教えていただきました。野本さんご丁寧にありがとうございました。

野本さん:こちらこそです。またお店に来てください。店舗では新鮮な海鮮料理を楽しめますので。

5つのポイントを守ることで魚の煮付けは格段においしくなる

今回は、羽田市場の野本さんにナメタガレイの煮付けの作り方を教えていただきました。

臭みの原因がどこにあり、どのように対処することで抑えられるのか、非常に勉強になりました。しっかりマスターしておきたいと思います。皆さんもご家庭でぜひ挑戦してみてください。それでは。

お店情報

羽田市場 銀座直売店

住所:東京都中央区銀座8-15-6 クリスタルスクエア銀座 1F
電話番号:03-4582-2394
営業時間:営業時間 11:00〜20:00 (月〜金 ※祝日も営業)
定休日:土日

hanedaichiba.com

書いた人:塩見なゆ

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酒場案内人(飲食・酒類専門ライター)。東京都杉並区・荻窪生まれ。 得意分野は街と酒。 新宿ゴールデン街に通ったお酒好きの両親を持つ。両親が飲んでいた瓶ビールに憧れて成長する。趣味からはじまった酒場めぐりは、次第に仕事になっていく。

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