宇都宮みんみん~食材のルーツを辿る旅 其の4(前編)~産地を巡る冒険【タベアルキスト】

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みなさん、こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストTokuharaです。

 「料理」と「生産者」。両者を繋げる魅力ある「食材」。そのルーツを辿る旅も、今回で4回目となりました。

 

ビール片手に、餃子でも頬張りたいこの季節。

お届けする食材は、「お酢」

今回この「お酢」をテーマに、2つの老舗の「伝統」と「進化」の一端を垣間見ることができました。それを少しでも多くの方にお伝えすべく……。

 

では、さっそく今回の冒険の地栃木県宇都宮市」に舞台を移しましょう。

まずは、老舗餃子店の「料理」に会いに行きます!

 

餃子の街「宇都宮」へ

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「宇都宮」と聞いて一番に連想するのは……。やはり「餃子」でしょうか。

 

駅ナカの売店には、市内餃子店のお土産が多々並び、また駅を出ても、餃子店の大看板が目に飛び込んできます。毎年、餃子の消費量日本一の座を、静岡浜松市と争うのがニュースになるのは、もはや恒例ですね。

 

ちなみに、この人口約50万人の都市には、餃子専門店は30軒ほどあるそうです。県内外からの観光客が、餃子店の店先に行列を作ることも珍しくありません。

  

進化する老舗

餃子の街「宇都宮」。その中でも屈指の評判店 「宇都宮みんみん」

 

創業は、昭和33年。餃子と共に、間もなく60年を迎える老舗餃子店です。現在、栃木県に10店舗。おみやげ販売店まで含めると、計26店舗を展開しています。

 

(ちなみに、筆者も幼少の頃からお世話になっております)

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 この宇都宮餃子会の雄が、昨年10月、新たなコンセプトのお店をオープンさせました。

 

「宇都宮みんみん ステーションバル」と名付けられた新店舗のコンセプトは、

「餃子とお酒を心から楽しんでいただけるお店」

JR宇都宮駅(西口)駅ビル直結、ホテル直結という好立地です。

 

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本店との大きな違いは、店内の雰囲気も去ることながら、メニューの構成です。

 

本店のメニューは、餃子・ライス・ドリンク類のみ。 

 

一方、この新店舗には、餃子はもちろん、唐揚げやサラダ等のいわゆる一品料理も並びます。

ドリンク類も、ビールに焼酎、ワイン、そして日本酒(栃木県産が半数)。

餃子の価格とのバランスを考え、いずれもリーズナブルな価格帯でラインナップされています。

 

創業以来、ストイックに餃子を出してきた老舗の「すべてが新たなチャレンジ」と語るのは、「宇都宮みんみん」の伊藤太朗社長。

そして、この後いよいよ、伊藤社長から出される「お酢」を使った新メニューと対面します。

 

名脇役としての「お酢」

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栃木県名産かんぴょうの酢の物 464円

 

具は、胡瓜、タコ、そして、栃木県産のかんぴょう。

特に、このかんぴょうを使っているのが秀逸です。

ちなみに、栃木県はかんぴょうの生産量で全国1位。驚異の98%(*)を占めます。

(*)関東農政局 HPより

 

しっかりとした歯ごたえが楽しいかんぴょうは、「お酢」との相性が非常に良い。噛みしめる度ににじみ出てくる、酸味の奥でじんわりと広がるまろやかな甘味が、良い塩梅です。これは新発見!

 

なお、ここで使われている「お酢」は「もろみ酢」という銘柄。餃子のタレで使うものとは異なります。 

 

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▲チキン南蛮タルタルソース添え 648円

 

大ぶりなチキンは、問答無用にジューシー。

そして、ここでも先ほどの「もろみ酢」が、高いパフォーマンスを発揮します。

 

頬張った途端、あふれる脂と交わる「お酢」の酸味。「もろみ酢」のまろやか酸味が、鶏の旨味をより引き立て、全体をバランス良くまとめてくれます。

そして、食欲を掻き立ててくれるのは言わずもがな。ライスが欲しくなる一品です。

 

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▲ゴロッと野菜のおいしい冷奴 518円

 

こちらは開店当初からラインナップされている、いわゆる既存メニューなのですが、「ぜひ掛けてみて」と伊藤社長にうながされ、特別に「もろみ酢」掛けて頂きました。

(注:通常「もろみ酢」は付いておりません)

 

すると、新たな出会いは突然に!

大豆の風味を酸味が引き立てる、この組み合わせが絶妙。豆腐に「お酢」がこんなに合うものかと! きゅうりの食感もいいアクセントとなり、ますます夏にピッタリな逸品に変化します。

  

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▲焼餃子(1人前6個) 230円

 

そして、最後に頂いた定番メニュー。

これは、「宇都宮みんみん 餃子によく合う酢」で頂きます。

 

カリッとした焼き目。そして、ジュワァ~ッと口の中に拡散していく旨味汁……!!

餡は、7:3で野菜多め。かつ、野菜の6割は白菜だそう。日本の餃子は、キャベツを使うケースがほとんどで、その分甘味が強くなります。

 

しかし、「宇都宮みんみん」の餃子は白菜を使うことで、逆に甘味を抑えています。ほのかな甘味がありながらも、かなりニュートラルな味わい。

 

これは、1人でも多くのお客さんに楽しんで欲しいという思いから

創業以来、変わらないポリシー。

 

そしてお客さんは、タレを自分好みにアレンジします。ある意味、自分だけの色に染めることが出来る味。そこに「宇都宮みんみん」の真髄を感じます。

ますます「お酢」に興味が湧く!

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野菜、肉、豆……。いろいろな食材と共存し、酸味で各々の旨味を引き立て、まとめる調味料。

 

そして、今回出会った二種類のお酢。 

「もろみ酢」

「宇都宮みんみん 餃子によく合う酢」

 

これらは、「宇都宮みんみん」創業時からお付き合いのある、一軒の酢蔵が卸しているものとのこと。

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「中野嘉兵衛(なかの かへえ)商店」

 

聞けば、こちら創業230有余年、北関東唯一の酢蔵だそうです。

果たして、どんな方がこの「お酢」を作っているのか。

 

次回は、十二代目 中野嘉兵衛 “中野 浩行さん”とのお話をお届けします。

 

お店情報

宇都宮みんみん ステーションバル

住所:栃木県宇都宮市川向町1-23 JR宇都宮駅(西口)駅ビル3F
TEL:028-689-9177
営業時間:火曜日~土曜日 11:00~21:00(LO 20:00)、日曜日・祝日 11:00~20:30(LO 20:00)
定休日:月曜日
ウェブサイト:http://www.minmin.co.jp/

※金額はすべて消費税込です。※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

(取材日 2016年6月24日)

 

書いた人:Yamato Tokuhara

Yamato Tokuhara

特に、和食をリスペクトするタベアルキスト。幼少期より魚に囲まれ育った影響か、魚介料理には人一倍うるさい。ノンジャンルで年間350軒以上を食べ歩きながら、言葉の壁を超える“食”の素晴らしさを、海の向こうまで伝えることが、いまの生きがい。

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