こんにちは! 料理家の美窪たえです。
今回は冷たいビールのお供に最適な辛酸っぱさが後を引く、手羽元のバッファローウイングを紹介します。
いきなりですが、なぜ鶏肉を使った料理なのにバッファローという名前がついているかご存じですか?
実はニューヨーク州にあるバッファローという都市で、辛さと酸味が効いた鶏肉料理が作られていたことが、バッファローウイングという名前の由来になっているそうです。
そんなアメリカ発祥の辛さと酸味が特徴的なインパクトのある赤いソースをたっぷり絡めた味付けは、ビールが進むこと間違いなしの一品です。
一般的に油で揚げて作ることが多いバッファローウイングですが、今回のレシピでは、下味をつけた手羽元をフライパンで蒸し焼きにします。適度なジャンク感を備えつつも、揚げるより手軽でヘルシーに作っていきます。
辛酸っぱさが特徴の赤いソースや、付け合わせの定番チーズソース&セロリスティックの作り方も紹介しますので、手軽かつヘルシーに本場風の味わいを楽しんでいただけるのではないかと思います。ビールを冷蔵庫に入れてキンキンに冷やしつつ、調理を開始していきましょう。
材料(2〜3人前)
- 手羽元……10本(550gほど)
- 塩……小さじ1強(5〜6g)
- こしょう……適量
- 酢……大さじ1
- オリーブオイル……大さじ2
- セロリ……1/2本
〈バッファローウイングソース〉
- ケチャップ……大さじ3と1/3(50g)
- 酢……大さじ3と1/3(50ml)
- ホットソース……大さじ1(辛口にする場合の分量)
- おろしニンニク……小さじ2
- 醤油……小さじ1
- 有塩バター……12g
〈チーズソース〉
- プロセスチーズ(あればブルーチーズ風味)……50g
- 牛乳……大さじ1
- マヨネーズ……大さじ1
- おろしニンニク……小さじ1
バッファローウイングの作り方
1.手羽元に縦方向に切り込みを入れて、骨が見えるように身を開きます。
今回はボリュームがあって手頃な手羽元を使いますが、お肉と骨がしっかりくっついていて、きれいに食べにくいのが悩みどころです。
なので、切り込みを入れておくとお肉が骨から離れやすくなり、格段に食べやすくなります。
骨に当たるように縦方向に切り込みを入れ、包丁の刃先や手で身をぐっと開けば、簡単に骨が見えてきます。切り込みを入れる時は特に、骨と強くつながっている両端の筋を意識して切っておくと、より食べやすくなります。
赤いソースをたっぷり絡めるバッファローウイングにとって、食べやすさはかなり重要なポイントです。少し手間ですが、切り込みを入れてみてくださいね。
2.手羽元をバットに並べて、塩、こしょう、酢、オリーブオイル(大さじ1のみ)を全体にかけて、15分以上置いて下味をつけます。やや多めの塩でしっかり下味をつけておくと、パンチのある辛酸っぱいソースとのバランスが取れます。
3.手羽元に下味をなじませている間に、チーズソースを作ります。
耐熱容器にプロセスチーズと牛乳を入れてラップをして、電子レンジ(600W)で20秒ほど加熱します。
本格的なチーズソースはゴルゴンゾーラなどブルーチーズを使って作られることが多いのですが、クセの強いブルーチーズは好みが分かれるところ。そこで今回は、ブルーチーズ風味のプロセスチーズを使って、お値段も味もマイルドで食べやすいソースにしています。
使用するチーズの種類は、本格的なブルーチーズ、プレーンのプロセスチーズ、粉チーズなど、お好みのもので大丈夫です。冷蔵庫にあるもので作ってみてください。
電子レンジで加熱してプロセスチーズが柔らかくなったら、まず牛乳とよく練り合わせます。
プロセスチーズは加熱しても溶けにくいので、ある程度柔らかくなり、つぶすことができれば十分です。マヨネーズ、おろしニンニクも加えてよく混ぜ合わせればチーズソースの出来上がりです。
野菜とバッファローウイングにしっかりディップできるやや硬めの仕上がりですが、チーズの種類によっても変わるので、少量の牛乳(分量外)を加えてお好みの硬さに調整してください。
4.バッファローウイングソースを作ります。バター以外の材料をボウルに入れて混ぜ合わせます。
バッファローウイングの味付けの特徴は、甘みが強いBBQソースやケチャップとは全く方向性の違う、インパクトの強い辛さと酸っぱさにあります。
その辛さの素になるのがホットソースです。よくピザやスパゲティを食べる時に使うあの調味料ですが、銘柄は普段使っているお好みのもので構いません。辛さレベルはこのホットソースの量で調整することができます。
今回使用したホットソースの場合は、スパイシー(中辛)=小さじ2(約10g)、ホット(辛口)=大さじ1(約15g)、スーパーホット(大辛)=大さじ1と1/3(約20g)が目安です。
辛さは後から足すこともできますので、初めて作る場合はいったん控えめにしておいて、様子を見ながらお好みの辛さを探るのが安心かもしれません。
5.フライパンにオリーブオイル(大さじ1)を入れて中火で温め、切り込みを入れた手羽元の皮目を下にして並べ、ふたをして15分ほど蒸し焼きにします。
日本では鶏肉の揚げ物というと、衣をつけることがほとんどですが、アメリカ流のバッファローウイングでは、衣をつけずにそのまま素揚げにしたものが多いのも特徴。
とはいえ、家で作る場合はお店のようにたっぷり油を使って揚げるのは大変なので、オイルと酢を使った下味をつけてからまず蒸し焼きにすることで、お肉はジューシーに、揚げるよりもぐっとヘルシーに仕上がります。
ふたの隙間から蒸気が漏れてきたら弱火〜弱中火に弱めてください。
6.手羽元を蒸し焼きにしている間に、付け合わせのセロリをカットしておきます。セロリは、表面の太い筋をすっと引っ張って取り除いておくと、筋っぽさが和らいでおいしく食べられます。
表面の筋を取ったら6〜7cmの棒状に切ります。
香りの強いセロリとチーズソースの組み合わせは、イメージしにくいかもしれませんが相性バッチリです。セロリの爽やかな香りとみずみずしさ、チーズの塩気がスパイシーなバッファローウイングの味わいをリセットしてくれるので、お口直しに最適ですよ。
7.手羽元を15分ほど加熱したらふたを取り、中火に強めて5分ほど加熱して水分を飛ばします。
水分が蒸発してくるとフライパンの底に油が残り、その油で徐々に揚げ焼きの状態に変わっていきます。焼き色が付いてきたら手羽元を返して、裏面も30秒ほど軽く焼けば加熱終了です。
8.手羽元を一度皿に取り出し、フライパンに残った油を除きます。
この油には手羽元のうま味がたっぷり溶け出していますので、パスタや野菜炒めなどに使うと無駄なくおいしく使い切れます。
9.油を取り除いたフライパンに、合わせておいたバッファローウイングソースを入れて中火にかけ、沸いたら手羽元を入れて、ソースを煮詰めながら絡めていきます。
水分が減ってソースがお肉に絡み始めたら、バターを加え、全体に行き渡らせるように軽く混ぜればバッファローウイングの完成です!
最後に投入したバターの風味もバッファローウイングをおいしくするポイントです。最後の最後にバターを加えることで、少量でもバターのコクと豊かな香りをしっかり残すことができます。
バッファローウイングの楽しみ方
まずはできたてをそのままかぶりついてみてください!
手と口の周りがかなり汚れますが、そういうものだと割り切って、お手拭きを用意してから食べ始めてください。
おそらく一口目の印象は、「酸っぱい!」かもしれません。そして次に「辛い!」がやってくるはずです。初めは驚くかと思いますが、次第にクセになっていくのです。
そして、辛酸っぱいバッファローウイングの合間に、チーズソースをつけたセロリを挟むと、生野菜のフレッシュ感とチーズの塩味で口がリセットされて、また新たな気持ちでバッファローウイングに戻ることができます。
チーズソースはセロリだけでなく、ぜひバッファローウイングにもつけてみてください。刺激的な辛酸っぱさにチーズのマイルドなコクと塩気が加わって見事に味変され、手が止まらなくなりますよ。
まとめ
今回はアメリカ発祥のバッファローウイングを紹介しました。
辛さと酸味が特徴的で斬新な味わいのお料理なので、いつもと気分を変えたい時にぴったりの一品です。キンキンに冷やしたビールと合わせて、試してみてくださいね。
書いた人:美窪たえ
料理する人、食べる人。J.S.A.認定ソムリエ、SAKE DIPLOMA。OLからバーテンダー⇒日本料理人⇒フレンチコック⇒アメリカンデリという、異色の経歴を持つ料理家。料理のおいしさと酒への思いを発信するユニット[おとな料理制作室]としても活動。著書『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス)が好評発売中。