これが牛丼のルーツ!? 岡むら屋の「肉めし」のビジュアルに驚愕(きょうがく)した

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こんにちは。メシ通レポーターの鷺ノ宮やよいです。

吉野家、すき家、松屋……牛丼が食べたくなったら気軽に行くことができる大手チェーン店がちまたにはたくさんあります。

けれど、「牛丼の原型」を名乗りながら、こうしたお店とは一線を画した独自の牛丼を出すお店があるのを皆さんはご存じでしょうか?

 

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それが秋葉原と新橋に店舗をかまえる「岡むら屋」

これを見てください。知ってる牛丼じゃないでしょ? どこが牛丼なんだ、と。

でも、そもそも「牛丼の定義」って……なに?

「牛丼」を辞書で調べてみたら

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牛丼の定義」ってなんなのか、ということでまずは辞書で調べてみました。

三省堂大辞林によると、牛丼は「『牛飯(ぎゅうめし)』に同じ」とあり、続いて牛飯を見てみると「牛肉をネギなどと煮て、汁とともにどんぶり飯にかけたもの。牛丼」と書いてあります。

そのほか調べた情報を合わせてみると、

  • 使うのは牛肉とタマネギなど
  • 味つけは甘辛く
  • 調理方法は煮込む

といった点も「牛丼の定義」といえそう。

果たして「岡むら屋」の「肉めし」はこれらの条件を満たしているんでしょうか?

ビジュアルがスゴい! 「岡むら屋」の「肉めし」

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こちらが「岡むら屋」の「肉めし」(490円)。

牛肉とタマネギが使われているのはわかりますが、私たちが抱いている牛丼のイメージとはずいぶんかけ離れていますよね。

 

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続いてこちらがお店で一番好評という「デラ肉めし」(590円)。

ノーマルな「肉めし」に大根と煮卵が追加でトッピングされています。

 

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そしてさらに豪華になったこちらが「ねぎ玉デラ肉めし」(710円)。

「デラ肉めし」にねぎと生卵をトッピングしています。

使ってるのが角切り肉……? 牛丼に大根!?

薄茶色した長方形の物体はなんなのか?

千鳥のノブなら「クセがすごい!」とツッコんでそう。

なんというか、ビジュアルのインパクトがありすぎる。

とりあえず「ねぎ玉デラ肉めし」をいただきながら見ていきましょう。

味つけのポイントは「味噌」!?

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まず味つけについて。食べてみると、甘辛いんだけどふだん私たちが口にしている牛丼の味つけとは根本的に違うことがわかります。

具材にしっかりと味が染み込んでいて濃厚な感じ。

 

ここで「岡むら屋」秋葉原店・店長の早川さんにお話を聞いてみました。

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「味つけは砂糖やしょう油などすき焼きの割下に似たベースではあるんですが、合わせ味噌を加えているんです。さらに肉の臭みを消すために生姜やニンニクも入れてますね。なので意外とさっぱりと食べられると思います。」

 

なるほど。

味噌が入っていることで「どて煮」っぽい濃厚さがあるものの、こってり脂っこくなりすぎないのは生姜やニンニクが効いているからなんですね!

牛肉はあの希少部位を使用

次に気になるのが使われている牛肉。牛丼でよく使われるのは薄切りのバラ肉ですが、このお肉はいったい……?

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 「カッパという部位ですね。バラの一部です。牛の前腹の皮と脂身の間にあるスジ肉で、飲食店であつかっているのは珍しいかもしれません。それを角切りにしてます」

 

カッパ。調べてみたところ、一頭から少量しか取れない希少部位なよう。口の中でかむと、スジ肉特有のしっかりとした歯応えとうま味を楽しめます。

 

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「かなり固いので、店の外輪鍋で5時間近く煮込むんですよ」とのこと。5時間じっくりと煮込んで、このホロホロ具合が実現しているわけですね。 

 

インスピレーションはすき焼きやおでん

そしてもうひとつインパクトあるのがトッピング!

見るからに味が染み込んだぶっとい大根、どんぶりの半分はあるかと思われる豆腐、さらに「ねぎ玉デラ肉めし」にいたっては生卵とゆで卵がかぶっているという「Wたまご」状態。ここに山盛りのねぎが乗っているという……。

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正直、カオス!!!

しかし、B級グルメならではのあらがえない魅力があるのも事実。

 

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これをね、こうしてぐっちゃぐちゃにかき混ぜて……レンゲに乗せて口に入れれば……ほらやっぱりおいしい!! どんぶりの醍醐味(だいごみ)はこうでなくちゃ!

 

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大根も中まで味が染み込んでいるし……

 

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豆腐はこんなに分厚い!

でも、牛丼に大根や豆腐ってどういう発想なんでしょうか?

 

「豆腐はすき焼きから、大根はおでんからですね。どちらも肉めしと同じ“煮込み”という共通点があるので……。」

と早川さん。

……なるほど! そう考えるとむしろマッチするのも自然なのかもしれません。

豆腐も大根も合う!

「牛丼の原型」はこのスタイルだった!?

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というわけで、私たちがよく知る牛丼とはいろいろと違いますが、「牛肉やタマネギを甘辛い味つけで煮込んだどんぶり」という定義を間違いなく満たしている「岡むら屋」の「肉めし」。

しかしこの「肉めし」は決して異端なものではなく、「『牛丼の原型』を踏襲しながらも、古くて新しい『肉めし』を目指した」早川さんは話します。

では、最初の牛丼はこういったものだったんですか? と尋ねると、

「諸説ありますが、私たちはこれを原型としてやっています」とのこと。

 

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ここで牛丼のルーツについても調べてみたところ……。

牛丼は幕末に誕生した牛鍋に端を発しており、明治時代の牛丼はすじ肉やこま切れ肉をネギと煮込み、ご飯にぶっかけたものだったそう。

また、日本人は当時まだ牛肉を食べ慣れていなかったため、匂いをおさえるべく味噌を使っていたという説もあります。

 

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そう考えると、すじ肉であるカッパを使い、味噌も加えた味つけをしている「岡むら屋」の「肉めし」を「牛丼の原型」というのもあながち間違ってはいない……どころか、むしろ異端ではなく正統だとすら考えられるかも。

牛丼のルーツを思わせる昔懐かしさとガツンとしたパンチ力とが合わさった「岡むら屋」の「肉めし」、皆さんもぜひ味わってみてください。

また、この「肉めし」を参考に、家でいつもとはひと味ちがう牛丼づくりにチャレンジしてみるのも面白そうですね!

 

お店情報

【閉店】肉めし「岡むら屋」秋葉原店 ※新橋店は営業中

住所:東京都千代田区外神田4-2-6 AKIBA426ビル1F
電話番号:03-5298-5311
営業時間:10:00~23:00(LO 22:30)
定休日:無休(1月1日のみ休み)

www.arcdining.co.jp

※この記事の情報は2017年7月の情報です。
※金額はすべて消費税込みです。

 

書いた人:鷺ノ宮やよい

鷺ノ宮やよい

三重県出身。旅行代理店、編集プロダクションを経て2009年よりフリーライターとして活動中。学生時代に池波正太郎の小説やエッセイを読んで、食べ物の魅力を文章で伝えることに惹かれる。これまで雑誌やウェブサイトなどで携わったグルメ関係の記事は100本以上。三度の飯より食べることが好き。激辛ジャンキー。慢性眼精疲労。

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