【閉店】日本酒と猫、空前のブーム同士が融合した1本!タレ目猫のラベルがかわいい山形・米鶴酒造「カンタービレ」

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世は空前の猫ブームといっていい。2013年、秋田県がプーチン大統領に寄贈した秋田犬のお返しに、佐竹秋田県知事は、シベリア猫「ミーシャ君」を譲り受けたのだが、このことが切っ掛けで、昨年、秋田県立近代美術館で「ねこまみれ展」が開催された。

 

規模の違いこそあれど、こうした猫関連のイベントは、あちこちで開催されている。東京・入谷には「猫町ギャラリー」があるし、猫カフェもいたるところにある。吉祥寺も猫を町興しのキャラクターにするそうだ。

 

そんな猫ブームと、昨今の日本酒ブームが結びついて様々な「猫酒」が生まれている。たとえば、宮城県の萩野酒造は「萩の鶴純米吟醸別仕込み」で猫のイラストを使っているし、今注目を集める秋田県の新政酒造には「亜麻猫」という名前の日本酒がある。また、山梨県の笹一酒造が作る純米酒「猫芸者」は、着物を着た猫のラベルがキモかわいくて印象的だ。

 

“猫の宮”の言い伝えから生まれた「カンタービレ」

そんな“猫酒”の極めつけが、今年2015年の2月、山形県の米鶴酒造から発売された純米酒「カンタービレ」だろう。

 

もしかしたら安易にブームに乗っかったように思われるかもしれないが、しっかりした由来があってこそ。もともと米鶴酒造のある山形県東置賜郡高畠町には「猫の宮」なる神社があり、延暦年間(782年~806年)に信心深い庄屋夫婦の庄右衛門とおみねが猫に命を救われ、その猫を手厚く葬りお堂をたて供養した言い伝えが残っているのだ。現在では、猫などペットの健康祈願、供養のために訪れる人たちが年々増え、毎年7月の第4土曜日にはペットの供養祭も開催されている。

 

こうした背景を知ると、「カンタービレ」の誕生は必然とすら思えてくる。ラベルに描かれているのは、チェコ人画家、故ガブリエラ・ドゥプスカーの作品。この絵はチェコで出版されていた本の挿絵の一つで、「カンタービレ」発売に先行して開催されたアートの展示会「ねこ展」でも好評を博した。

 

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▲カンタービレは「ねこ展」でも紹介された

 

ちなみに、本は日本でも翻訳出版の準備が進められており「たれねこダミアン」というタイトルになる予定。日本でもたくさんの猫が描かれてきたが、タレ目の猫は珍しい。この愛らしさゆえか、このタレ目猫たちは社会主義時代から多くのひとたちに愛され続けている。

 

口当たりが良く、飲みやすいので日本酒ビギナーにピッタリ

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さて「カンタービレ」の中味は、ひとことでいうなら日本酒ビギナー向けといってもいいだろう。

 

まず、アルコール度数は12度とやや抑えめで、日本酒というよりはワイン並み。さらに、ラベルの裏側へ目をやると「やや甘口」と表示されてはいるものの、実際に飲んでみると甘さと酸味が実に絶妙のバランスで、口当たりが良く飲みやすい味に仕上がっている。

 

では、この「カンタービレ」、どこで手に入るのだろうか。ほぼ全店で取り扱っているのが「はせがわ酒店」だ。この酒店は日本酒業界の中では知らない者はいないほどの酒販店。東京駅構内のグランスタや、東京スカイツリー、表参道ヒルズなどにも店舗を構えている。また、埼玉県内屈指の観光地・川越にある「勢〆酒店」でも購入可能だ。

外食時に飲んでみたいというのであれば、東京浅草のオレンジ通りにある蕎麦居酒屋「高田屋浅草店」でぜひ。

 

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このお店では、2015年のゴールデンウィーク明けから「カンタービレ」がメニューに加わった。店長は利き酒師の資格を取得しているので、店長にセレクトしてもらった他のお酒と比べながら飲んでみるのも一興だろう。

 

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▲この竹筒のセットで提供中

 

お店情報

高田屋 浅草

住所:東京都台東区浅草1-16-11国立ビル1F
※本記事は2015年4月の情報です。

※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:小宮義宏

小宮義宏

1960年福岡県生まれ。愛称 flying penguin。2008年に、本業(映画&アート)の傍ら、日本酒の会を始める。その後、地域活性化の起爆剤として、日本酒と酒蔵が重要であると確信をもつようになり、2012年に日本酒文化の会を立ち上げ理事に就任。2013年から毎年開催されている「武蔵の國の酒祭り」を企画。国内外で日本酒を広めるプロジェクトを企画・プロデュースしている。

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