「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい」で12年。「パンチョ」の魅力に改めて迫った

ナポリタン専門店「スパゲッティーのパンチョ」の魅力は、速さやボリュームだけじゃない。すべては「改めてナポリタンは、うまい」と言わせるために。美味しいナポリタンへのあくなき探究心を、「パンチョ大王」こと野尻圭介さんに聞いてみました。

エリア道玄坂(渋谷)

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 ※当記事の取材は、2021年4月に実施しました。また、取材に際して感染対策を十分に配慮した上でおこなっています。

 

東京近郊に住むナポリタン好きであれば、食欲を掻き立てる暖色系をふんだんに用いたあの看板と、「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい」のキャッチコピーに吸い込まれた者は少なくないだろう。私もその一人である。

 

スパゲッティーのパンチョ」。2009年に渋谷・道玄坂で第1号店※をオープンして12年。今や首都圏を中心に全国20店舗以上を展開する、ナポリタン専門チェーンに成長した。

※ 2021年7月22日のリニューアルオープンに向けて、6月15日より一時休業中

 

f:id:exw_mesi:20210425202616j:plain▲パンチョのロゴ(画像提供:B級グルメ研究所)

 

そもそもパンチョが生まれる2009年以前、ナポリタンはロメスパ(「路面スパゲッティー」の略。立ち食いそば的なスパゲッティー屋のこと)文化が根付いていた東京の一部地域を除けば、全国的にみると喫茶店や洋食店などのメニューの一部でしかなかったはずだ。

 

しかしながら、私はナポリタンを「国民食」のひとつだと考えている。日本で定着した最古のスパゲッティー料理であり、毎日食べても飽きないナポリタンは、その要件を満たしているのではないのだろうか。

 

一方で、国民食の筆頭であるカレーやラーメンの専門店に、ご飯や麺の量を調整できたり、何かトッピングを加えたりする楽しみがあることを羨ましく思っていた。

パンチョは、それらを叶えてくれたのだ

 

「パンチョ大王」登場

パンチョの最大の特徴は、ナポリタンをクイックに、ガッツリ食べられること。ゆえに“デカ盛り”のイメージがあるが、その味と調理方法にはこだわりが感じられ「唯一無二のナポリタン」と言っても過言ではない。

 

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ナポリタンにカスタマイズの自由を与え、ついリピートしたくなる美味しさを突き詰めたパンチョは、一体どんな思想のもと生まれ、現在にいたるのか。今回はそれを突き止めてみたい。

 

株式会社B級グルメ研究所・パンチョ本部長である野尻圭介氏に、詳しく聞いてみることにした。

 

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──唐突ですが、野尻さんは「パンチョ大王」という異名をお持ちで。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻さん(以下、敬称略)はい。自らが“中の人”として広告塔になって、公式とはまた異なる角度からパンチョの魅力を発信したり、次の世代へのナポリタンの普及に努めています。

 

twitter.com

 

──顔も出されて。プライベートなプロフィールも包み隠さずに。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:はい、新店オープンなどで店へ行くとお客さまから「大王ですか?」などとお声がけいただいたりします。SNSでも「大王に会えた!」なんて投稿いただいたりして、そういうコミュニケーションができることを楽しんでいます。

 

逆境から始まった、“ナポリタン専門店”への長い道のり

f:id:Meshi2_IB:20210426201148j:plain渋谷・道玄坂にある「スパゲッティーのパンチョ」1号店

 

──そもそも、なぜ“ナポリタン専門店”を2009年に始めたのでしょうか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:当社はもともと「吉祥寺どんぶり」というB級グルメ専門店からスタートしたのですが、2009年当時はあまりうまくいかず、会社として厳しい状況に陥っておりました。
「最後に何かチャレンジしてやめよう」、そういうところまで追いつめられていたんです

※店舗は2021年2月に閉店。現在は「スパゲッティーのパンチョ 吉祥寺店」でテイクアウト&デリバリー限定で営業中

 

──会社のピンチから生まれた業態だったのですね。そこで、“ナポリタン専門店”が面白いじゃないかと?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:いえ、当初は“スパゲッティー専門店”にしようとしていたんです。

 

──スパゲッティー専門店となると、おしゃれなイメージですよね。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:そうですよね。カフェ的なイメージが先行し、男性は食べたくても入店を躊躇してしまう。一方で、コンビニのスパゲッティー類は男性にも売れていました。
だとしたら「忙しい男性がクイックにスパゲッティーを食べられる店」をコンセプトにすると、勝ちパターンが見えてくるかなと。

 

──具体的には、どんなメニューを考えていたのですか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:それこそ「たらこスパ」とか「明太子スパ」とか、いろいろとメニュー案のアイデアは出てきたのですが、種類が多くなると管理が煩雑になり、短い時間で提供するということが難しくなってきます。
そこで出てきたのが、「ひとつのメニューに特化してしまおう」というアイデアでした。

 

f:id:yokohamanapo:20210419001634j:plain▲毎日食べたくなるパンチョのナポリタン。2.2mmの極太スパゲッティーが懐かしさを誘う。(大サイズ/600g/720円)

 

──たらこスパや明太子スパは、なぜボツになったのですか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:たらこや明太子は原価が高いのです。加えて、“驚きを与える”が当社のメニュー開発のテーマなので、吉祥寺どんぶりでも提案してきた“コスパ良く・大盛・ガッツリ”のようなインパクトを持たせないと意味がない。
かと言って、原価を抑えてペペロンチーノのようなオイル系のスパゲッティーに特化しても、定期的に食べたくなるような“常習性”には繋がらないと思ったんです。

 

──常習性! ナポリタンが持つ魅力はそれですよね!

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:そうなんです。いろいろなメニューを見送った結果、たまたま開発の者が「ナポリタンだったら美味しいものが作れるよ」と試作してくれたところ、みんなが「すごく美味しい! 毎日でも食べたい!」となって、“ナポリタン専門店”という方向性が決まりました。

 

f:id:yokohamanapo:20210421003613j:plain▲「オムナポ」「海鮮ナポリタン」など、ナポリタン好きにはたまらない豊富なメニュー構成

 

あの名コピーは、一人の“お爺ちゃん”の言葉から生まれた

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▲パンチョのどの店にも掲げられている「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい」 のキャッチコピー

 

──「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい」というコピーは、今やパンチョの代名詞になっていると思いますが、創業当時からあったものなのですか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:実は最初からこの言葉があったわけではないんですよ。渋谷1号店をオープンしてからしばらく経って、パンチョを利用されたあるお爺ちゃんが「こんなに美味しいナポリタンを作ってくれてありがとう」と言ってくださったんですね。
その言葉をきっかけに“ナポリタン専門店”としてのパンチョの存在意義が見えて、生まれたコピーだったんです。

 

f:id:Meshi2_IB:20210426201736j:plain▲女性スタッフも背中で物語る

 

──確かに、美味しいナポリタンを食べられる古き良き喫茶店や洋食店は減ってきていますよね。「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい」のコピーは、年配の方々に対してはもちろん、若い世代にも語りかけているように感じる言葉だと思います。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:パンチョの店舗でも、上司が部下を連れてきて「ナポリタンはこんなにうまい料理なんだ」から始まって、「昔はこうだった」とか「今はこういうものを出す喫茶店が減って……」といった会話が生まれる場面をよくお見かけします。
年配の人々には懐かしんでもらえる、お弁当の付け合わせ程度でしかナポリタンを食べたことがなかったであろう人々には新鮮に感じてもらえる店にしていきたい。そのような社会的使命を持った言葉ですね。

 

──次世代へ向けてナポリタンが好きな“ナポリスト”を一人でも多く増やしていきたい。それがパンチョの狙いであるということですね。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:私が公式とは別に「パンチョ大王」を名乗って発信しているのも、その使命に沿って行っているのです。

 

f:id:yokohamanapo:20210423222529j:plain▲ロードサイドの相模原店。ファミリー層向けのブランド「キッチンパンチョ」という立ち位置のため、価格帯も従来型のパンチョとは若干異なる

 

──近年、「スパゲッティーのパンチョ」とは別に「キッチンパンチョ」というブランドが増えつつありますが、こちらは女性でも入りやすい感じですね。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:今までのパンチョは男性向けの要素が強かったのですが、ロードサイドやショッピングモールのフードコートにある「キッチンパンチョ」は、ファミリー層をターゲットにしています。
従来の駅前やビル地下にある店舗の券売機システムはやめてレジ方式にすることで、ファミレスに近い感覚で使っていただけるようにしていますし、そういう意味では、女性でも入りやすい店づくりになっています。大盛りメニューを食べたいと思う女性のお客さまも結構多いですしね。

 

たった3人しかレシピを知らない“パンチョの味”

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──パンチョのナポリタンはトマトケチャップだけではない、奥行きのある味わいがありますね。ソースにはどんなものを使用しているのですか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:企業秘密です。とは言っても、誰も知らないような特別なものが入っているわけではありませんが。当社の業態が全般的に“にんにく”を多く使用することもあって、ナポリタンのソースもにんにくを利かせたものとなっています。

 

──にんにくは先におっしゃっていた“常習性”がありますね。レシピ管理も厳重になされているのでしょうか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:当社でも3人しか知らないものとなっています。

 

──たった3人!

 

f:id:yokohamanapo:20210421034333j:plain▲以前コンビニで限定販売していたパンチョの「ナポリタンドッグ」

 

──そういえば、以前某コンビニにて販売されていたパンチョ監修の「ナポリタンドッグ」も、シンプルでありながら見事に“パンチョの味”が再現されていましたね。店舗以外で食べたことで、パンチョの味はオリジナリティーが高いのだと気づかされました。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:ありがとうございます。この味は創業当時からほとんど変わっていませんし、これからも大事にしていきます。
コンビニとのコラボについては、店舗がないエリアにもパンチョを知ってもらういい機会になっているので、話があれば今後もやっていきたいですね。

 

最大15人前のナポリタンを同時調理! 炒めは職人技の領域だ

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──ナポリタンの美味しさはソースだけでなく、香ばしく仕上げるためにも炒めが大事です。渋谷店ではコンロが5台あって、ピーク時にはフル稼働させると聞きました。皆さん手際よく豪快にやっていますが、フライパン5つを一気に振ると何人前になりますか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:1つのフライパンで2、3人前は炒められるので、15人前くらいですね。

 

──すごい量ですね。暑いでしょうし、やっぱり重いでしょうし。厨房の方々に敬意を表します。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:昔ながらの店では鉄のフライパンや中華鍋でやっているケースが多いですが、使いこなすにはそれなりの時間を要しますので、パンチョ各店ではテフロンのフライパンを使用しています。
やみくもにフライパンを振るのではなく、ソースの絡め方など重要な部分はコツをしっかり教えて、出来るだけ手首に負担のないよう心がけていますが、やっぱり大変な作業ですね。

 

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──大手チェーン店のチャーハンなどは調理が機械化されていますが、パンチョにも導入される日が来るのでしょうか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:それは試したことはありますし、将来的にはありうると思います。フランチャイズもやっているので、しっかり利益が取れる体制を構築することも大事ですから。
ただ、全部が全部機械化されたり、合理化によって肝心の味が変わってしまってはいけないと思います。
乾麺を茹でたり炒める作業は、スタッフの技術も問われますし手間のかかることですが、今の味を維持するためにはその手間を省くことはできません。

 

──そんな厨房の方々の技が、愛される“パンチョの味”につながっていると感じます。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:職人気質な部分も強くある仕事ですし、味の担保ができるよう、社内資格制度の運用も検討しています。どの店でも均一にベストな茹で方・炒め方ができることは、今後店舗を増やすうえでの重要課題ですね。

 

パンチョの味を更に高める秘密兵器「香味ダレ」

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──パンチョのナポリタンを最後まで美味しくいただくうえで欠かせないのは、味変用の「香味ダレ」ですね。洋風でも中華風でもない、どちらかと言えば和のテイストに近いようにも思えるこのアイテムも、創業当時からあったものですか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:そうです。パンチョのメニューは量が多いので飽きずに食べてもらえるように味変アイテムを置いています。
ナポリタンの味変と言えばタバスコが代表的で、もちろんパンチョでも置いていますが、辛くもなく酸味もなくマイルドな、パンチョとしてのオリジナルなものを開発したかったんです。

 

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──やはりこちらも原料は企業秘密で?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:唐辛子ベースのタレに一手間加えております。どう手を加えているのかは、これも企業秘密です。すみません(笑)。

 

麺の量やトッピング増減で、ナポリタン界のフロンティアを切り開く

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──そもそも“ナポリタン専門店”ってパンチョ創業以前にはなかったと思うのですが、ナポリタンの麺の量を調整できたり、トッピングを自由に選べる店も今までにはなかったですよね。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:ラーメン店やセルフうどん店、カレー店などが導入していたアイデアをナポリタンで引用してみただけなのですが、それが定着しているのはナポリタンがトッピングなどのカスタマイズに適した料理であるということなのでしょう。

 

──お客さまは一食平均何gを注文されますか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:500gが平均ですね。全店平均で一日200~300人のお客さまが来店されますので、単純計算すると一店舗につき100〜150kg/一日くらいの量の麺が消費されます。

 

──ものすごい量ですね! 茹で置きしておくとなると、冷蔵庫でストックするにも大変そうです。ソースも当然、かなりの量でしょうね。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:6、7割のオーダーがナポリタンなので、ソースは半寸胴鍋を4つ使います。重量で言うと60㎏ですね。

 

f:id:exw_mesi:20210424005728j:plain▲「ナポリタン贅沢セット(並サイズ/1,300円)」はこれでもかと言うほどトッピング山盛り(ポテトサラダ、目玉焼き、ハンバーグ、ベーコン、焼きチーズ)。目玉焼きに隠れているがハンバーグものっている

f:id:yokohamanapo:20210421050830j:plain▲ハンバーグの様子がわかるよう、別角度から撮影してみた

f:id:yokohamanapo:20210421050930j:plain▲頂上の目玉焼きまで、どれだけ勾配があって険しい道のりなのかお分かりになるだろうか

 

──渋谷店では、トッピング全部のせの「ナポリタン贅沢セット」をいただきました。あれだけパンチのあるトッピングをのっけても、ナポリタンの味は負けてないのが印象的です。
何かをプラスするというより、もはやひとつの料理として成り立っている。それくらいまとまりのあるメニューに感じました。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:ありがとうございます。基本的には、トッピングはナポリタンに合うものばかりなので、そう感じていただけるのかもしれません。ちょっとした追加料金で、かつわかりやすいものを選んでいます。

 

f:id:yokohamanapo:20210421050700j:plain▲スタッフの賄いから生まれたという「白ナポ」。(並サイズ/400g/820円)

 

──「白ナポ」もいただきました。カルボナーラかと思いきや「いや、そんなオシャレなものではないぞ」と言わんばかりに紅しょうがが添えられていて。それがまたうまくマッチした、独創的な一品でした。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:スタッフの賄いメシから生まれたものなんですよ。こちらもにんにくを利かせていますから、香味ダレはよく合うと思います。

 

f:id:yokohamanapo:20210421051138j:plain▲やはりこの白ナポにも香味ダレは絶妙に合う

 

──賄いから生まれたというのも、ストーリー性があって面白いですね。ほかにもいろいろなナポリタンがありますが、新作はどのくらいのペースで出されているのですか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:2カ月に1回のペースで期間限定メニューを出しています。本当は月ごとに出していきたいのですが、今の会社規模としても開発になかなか時間をかけづらい部分もあり、まだそこまでメニューのストックがありません。
とはいえ、次の新作も準備はできていますし、どんどん話題性は提供していきたいです。

 

f:id:exw_mesi:20210424190614j:plain▲2021年4月の取材時には、期間限定メニューとして「バジルナポリタン」と「スタミナナポリタン」が展開されていた(画像提供:B級グルメ研究所)

 

“パンチョ100店構想”の先にあるもの

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──ナポリタン専門店として躍進を続ける「スパゲッティーのパンチョ」、コロナ禍で飲食業界は特に大変な状況ですが、現状はいかがでしょうか?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:居酒屋などに比べるとコロナ禍の影響はそんなに大きくはありませんが、パンチョは地下店舗が多く店内も狭いので「密になりやすい」というイメージから敬遠される方も増えてしまったと思います。
ただパンチョはリピーターのお客さまに支えられてきた背景もあるので、コロナ禍でも助けられていますね。

 

f:id:Meshi2_IB:20210426202141j:plain渋谷店では席ごとにビニールカーテンを設置、テーブルの中央に仕切りを設けるなど、感染対策を徹底しながら営業している

 

──そうした状況の中でも店舗は増えていますよね?

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:パンチョ100店構想”のもと、2021年3月にはナポリタンの発祥地である横浜市内にオープンしましたし(キッチンパンチョ モザイクモール港北店)、福岡広島大阪などでも新規オープンを予定しています。
事業の規模が大きくなれば、いろいろな可能性も出てくると思いますしね。

 

──社会還元のような取り組みも可能になってきます。

 

f:id:exw_mesi:20210424010141p:plain野尻:そうですね。ナポリタンを普及させる活動もそうですが、今すでに取り組んでいるのは「子ども食堂(地域の子ども達や保護者などを対象に食事を提供するコミュニティー)」でパンチョのナポリタンを提供していることですね。

 

──子どもたちにナポリタンを知ってもらうことは、次世代へつながる素晴らしい取り組みですね!

 

ナポリタンを次世代へ伝えることがパンチョの使命

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かくして、ナポリタン専門店として全国的なチェーンとなった「スパゲッティーのパンチョ」。

 

麺の量やトッピング、好みの調整など、飲食チェーンの先人が培ってきたものの“いいとこ取り”をしながら、味変をはじめナポリタン好きの心をくすぐるシステムを躊躇いなく取り入れ、「ナポリタンを真の国民食にしていこう」という気概を感じた。

 

飲食業界はレッドオーシャンではあるが、ナポリタン専門店としてはパンチョに匹敵するチェーン店は今のところはなく、ブルーオーシャンである。だが、それまでの道のりは決して楽ではなかったし、チェーン店でナポリタンを提供することは、簡単なようでいて仕込みにも調理にもそれなりの時間と体力が必要だと、改めて思い知らされた。

 

それでもパンチョがフランチャイズ展開もしながら“100店構想”を掲げているのは、やはり「日本で生まれ、長い歴史を刻んできたナポリタンを次世代へ伝える」という社会的・文化的使命を背負っているからなのだ。

 

最後に言わせてもらおう。

「改めてナポリタンは、うまい!」

 

お店情報

スパゲッティーのパンチョ 渋谷

住所:東京渋谷区道玄坂2-6-2 藤山恒産道玄坂ビル地下1階
電話:03-5489-2522
営業時間:月曜日~金曜日11:00 – 23:00、土・日・祝日11:00 – 22:00
定休日:なし

www.hotpepper.jp

書いた人:田中健介

田中健介

横浜発祥と言われるスパゲッティナポリタンを愛し、2009年より「日本ナポリタン学会」会長として、横浜を中心にナポリタンの面白さを発信する。著書に「麺食力-めんくいりょく-」(2010年、ビズ・アップロード)、連載に「はま太郎」(星羊社)の「ナポリタンボウ」(2017年〜)など。

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