冷蔵庫の常備品「ベーコン」。
これが、じつは簡単に手づくりできてしまいます。自分でつくれば塩気も調整できるし、そして何より燻製の風味が段違い! スライスされた既成品と違って、分厚く切ってムシャムシャと豪快に食べる……なんてことも可能になります。
簡単ではあってもけっこう時間はかかるので、そこは「燻製をつくるという優雅な時間を過ごす」と逆に楽しんでしまいましょう。
というわけで買ってきました。豚バラ肉2キロ!
豚バラ肉を仕込む
まずは半分に切ります。
冷蔵庫のスペース的な事情もありますし、2キロの肉は重くて扱うのが大変ですから。せっかくなので2つの味を変えてみましょうかね。
塩がなじむように、フォークでぶすぶすと穴を開けます。
表面にまんべんなく塩をすり込んでいきます。
塩の量は「肉の重さの2%」が目安です。1キロの場合は20gというわけですが、ちょっと辛めにしたい場合は多めにすり込んでしまいます。
塩以外にコショウやハーブなんかを加えてもよさそうですね。
ラップを巻いて、フリーザーパックに入れて冷蔵庫へ。塩を多めにすり込んだ方には付箋を貼っておきました。
冷蔵庫のなかで1週間ほど寝かせます。ときどきひっくり返すといいそうですが、筆者は面倒くさくて1週間の間に一度しかひっくり返しませんでした。
塩を抜いて乾燥させる
1週間後、冷蔵庫から取り出しました。血の混ざった水が出ています。
流水で表面を洗います。塩気の薄い方はこれでOK。「OK」とか言ってしまいましたが、これは簡略化したスタイルです。
たっぷりと塩をすり込んだ方は、半日ほど水に漬けて塩抜きしました。
この「塩を多めに → 水に漬けて塩抜き」が王道のようです。その方が塩が肉の内部に均等にまわるのだとか。
ペーパータオルで水気を吸い取ります。
本当はハダカで冷蔵庫に入れて乾燥させた方がいいそうですが、家庭の事情でミイラにしました。
再び冷蔵庫へ。明日、いよいよ燻製します。
さあ、燻製しよう
燻製前に1時間ほど、扇風機で乾燥させました。ハダカにして冷蔵庫で乾燥させることができなかったので、念のための処置です。
この燻製器を使います。「え、こんな大掛かりな装置が必要なの!?」と思われるかもしれませんが、もっと小さいものもあり、それは記事の最後の方で登場します。
チップはさまざまなものが売られています。まさにチップ状のものから、固めて棒状にしたものもあります。香りもさまざまで、いろんなものを試すことができます。
バーベキューがてら燻製しましょう。優雅な休日になりそうです。
燻製器のいちばん下に炭を起こします。着火剤、廃材を利用しました。
真ん中あたりの鉄皿には火をつけたチップを。燻製器の内側に、鉄皿を固定できる突起があるのです。
そして一番上に仕込んできた肉を。もちろん燻製するときはフタをします。
ちなみにいつの間にか肉の量が増えていますが、これは参加者がそれぞれマイ肉を持ち寄ったからです。
上から、
- 肉
- チップ
- 炭火
の順で配置されています。
チップは香りをつけてコーティングする、つまり燻製する役割を担当し、炭火は燻製器内の温度を高温(65~70℃)に保つためのものです。
ベーコンのできあがりを待つ優雅なひととき
ビールでも飲みながら優雅に待ちましょう。
温度計が搭載されているので、内部の温度がわかります。「IDEAL」の範囲に針があればいいんですが…おや、グングンと温度が上昇しているような…。
ぬお~! チップに脂が落ちて引火してました! 失敗です!
気を取り直して再チャレンジ。
今度は炭の上にアルミ皿を置いて、そこにチップを。
さっきチップを置いた鉄皿には水を貼りました。落ちる脂を受け止め、チップを守る役割を担ってもらいます。
今度はほどよい温度で燻製が進んでいるようです。
まったく、バタバタしてしまってちっとも優雅なひとときにはなりませんでした。
手づくりベーコン、完成!
2~3時間は燻製したでしょうか。 いい色、いい香りです。
表面が煙でコーティングされることで腐りにくくなります。それが燻製するそもそもの目的ですね。塩漬けにしたのも腐りにくくするためですし、もともと燻製とは、保存食をつくる手法ということです。
このビジュアル、肉好きにはたまりません。
冷蔵庫で一晩落ち着かせ、見事にできあがりました。素晴らしい風味で、感動的ですらあります。1週間かけた、という大河感も感動の要因でしょう。
ベタではありますがベーコンエッグに。
かなり厚めに切り、贅沢なベーコンエッグとなりました。……いや本当に、ものすごい食いごたえでした。
ベランダでもイケる小型燻製器も試してみた
カセットコンロで使えるような小型の燻製器もあります。こっちの方が手軽ですし、安いですし、正直、このタイプを推奨します。
肉は吊るして固定します。アミに置くよりもこの方が「らしい」ですね。
肉はこんなふうに固定されます。
煙突状の部分と底の部分は固定されておらず、持ち上げれば切り離すことができます。
底の部分に火をつけたチップを置いて……
上から覗くとこんな感じです。
コンロに火をつけ、燻製器内部の温度に気をつけながら燻製します(70℃ほどがベスト)。フタに開いている穴に温度計を差し込むことができるので、それを見ながらコンロの火力を調節します。
フタを開ける瞬間はドキドキです。さあどんなベーコンちゃんが……?
なかなかの出来栄えです。肉を吊るす場合、下の方が焦げてしまうのは仕方ありません。(焦がさずに上手にできる方法があるかもしれません。調査中)
というわけで以上、ベーコンを手づくりしてみました。
下準備の期間は1週間と長いですが、難しい作業もありませんし、燻製している時間のワクワクは「休日の男の趣味」って感じがしました。なにより完成したベーコンのおいしさったらないですしね。
手づくりベーコン、どうですか?