うまくて応用がきく広島の「がんす」をもっと全国に広めたい【フカボリ】

「ホットペッパー」&「ホットペッパービューティー」本誌との連動企画、「フカボリ! 美味なるご当地グルメ」。第10回は、広島の名物料理「がんす」です!

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一見これ、ハムカツか何かに思いますよね。

広島の人から教えてもらったんですが、「がんす」って食べものなんです。魚のすり身にパン粉をつけて揚げたもの、つまりはすり身フライですな。

 

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フライパンやトースターであぶって食べると、いいつまみになるんですよ。マヨネーズや七味をつけてもウマい!

 

と、広島育ちの酒飲みの友人が教えてくれました。さっそく入手して試してみたら、たしかに酒のおともに……いいんだなあ。

魚のすり身に衣をつけて揚げることで、ちょっとジャンクな感じが生まれるんですね。ビールとの相性、グンと上がる感じ。

 

いやいや、広島ではつまみ以外でもよく使われてるんですよ。おやつ代わりによく食べたし、弁当のおかずにも入ってました

 

とは、別の広島人の証言。

なるほど、弁当のおかず、さっそくやってみよう。

 

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手間いらずでうれしいなあ。ウスターソースとの相性もいいもんですね。これ、けっこうごはん進みます!

 

その由来とは?

【歴史】さてこのがんす、広島でも海沿いの地域で愛されてきたものだそう。起源はハッキリと分からないのですが、おおよそ100年ぐらいの歴史はあるようです。

【値段】数社から手づくり品が販売されおり、だいたい1枚100円前後。 厚さや大きさは店によってそれぞれです。広島の居酒屋さんなどでは、つまみでオリジナルがんすを出すお店も。

【味わい】魚のすり身に、玉ねぎを混ぜて甘みをきかせたり、ニンニクを入れたり、七味をきかせてピリ辛にしたりと、作り手によって味わいもさまざま。

【名前の由来】がんす、という面白い名前は広島弁の「~でがんす=~です」という言葉遣いによるとのこと。

 

ハッキリはしないけど、特にネーミングもなかったものを「これ、うまいでがんすな」「そうでがんすなー」なんて言ってたのが、次第にそのもの自体を指すようになったんじゃないですかね?

 

なんて、地元のかたが推論を聞かせてくれました。

ちなみに『怪物くん』って漫画に出てくるオオカミ男がいつも「~でがんす」って話してましたね。彼は広島出身だったのかな(笑)?

 

がんす応用編

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さてこのがんす、いろんな活用法を県人から聞きました。

まず良かったのが「うどんのせ」で、コクが出るんですよー。そばのせも良かったです。そばやうどん、さつま揚げをのせることもあれば、コロッケなんかをのせることもありますよね。その両方の良さがにじむ感じです。

 

そうそう、以前がんす売り場でうれしそうに3~4つ買い込んでる50歳ぐらいの男性がいたんです。どうやって食べるのかな……と興味をひかれ話しかけてみたら、いい話が聞けました。

 

転勤で広島に来たんですが、職場の女の子が昼休みによく食べてたんですよ。「何それ?」って聞いたら「おいしいんですよー」って教えてもらって。以来気に入って食べるようになりました。さらには「これ、玉子サラダとレタスと一緒にはさんで食べると最高なんですよ」って教えてくれて。これが確かにうまくて、家でよく作るんです。

 

とのこと。

 

何それ。

最高にうまそう。

 

 

やってみました。

 

 

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結論:すばらしい

 

うまかったなーっ!

これなんか既視感ならぬ既食感あるな……と思ったら、タルタル海老フライサンドっぽいんですね。魚介すり身とフライ感とマヨの織りなすおいしさ。

 

ほかにも

  • 焼きそばのトッピングにする
  • おにぎらずの具にする
  • ホットサンドにする
  • 卵でとじて丼にする
  • カレーに添えてがんすカツカレー

なんて利用法が広島人から聞かれました。

 

うーん、がんす……もっと全国で売られてほしい。ちなみに東京だと銀座にある「ひろしまブランドショップ tau」で買えるほか、広島のメーカーで通販をやっているところもあります。興味わいた人はぜひ、お試しを。

 

ちなみに魚のすり身をフライにする文化、瀬戸内の各地で見られます。徳島では「かつ天」とか「フィッシュカツ」の名前で定番ですし、愛媛では「じゃこカツ」なるものも。瀬戸内を旅してすり身フライに出会ったら、ビール片手に食べ比べしてみてはいかがでしょうか。

 

企画・文・撮影:白央篤司

白央篤司

郷土料理がメインテーマのフードライター。雑誌『栄養と料理』『ホットペッパー』農水省広報誌などで執筆。著書に「にっぽんのおにぎり」(理論社)「ジャパめし。」(集英社)など。

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