一見これ、ハムカツか何かに思いますよね。
広島の人から教えてもらったんですが、「がんす」って食べものなんです。魚のすり身にパン粉をつけて揚げたもの、つまりはすり身フライですな。
フライパンやトースターであぶって食べると、いいつまみになるんですよ。マヨネーズや七味をつけてもウマい!
と、広島育ちの酒飲みの友人が教えてくれました。さっそく入手して試してみたら、たしかに酒のおともに……いいんだなあ。
魚のすり身に衣をつけて揚げることで、ちょっとジャンクな感じが生まれるんですね。ビールとの相性、グンと上がる感じ。
いやいや、広島ではつまみ以外でもよく使われてるんですよ。おやつ代わりによく食べたし、弁当のおかずにも入ってました。
とは、別の広島人の証言。
なるほど、弁当のおかず、さっそくやってみよう。
手間いらずでうれしいなあ。ウスターソースとの相性もいいもんですね。これ、けっこうごはん進みます!
その由来とは?
【歴史】さてこのがんす、広島でも海沿いの地域で愛されてきたものだそう。起源はハッキリと分からないのですが、おおよそ100年ぐらいの歴史はあるようです。
【値段】数社から手づくり品が販売されおり、だいたい1枚100円前後。 厚さや大きさは店によってそれぞれです。広島の居酒屋さんなどでは、つまみでオリジナルがんすを出すお店も。
【味わい】魚のすり身に、玉ねぎを混ぜて甘みをきかせたり、ニンニクを入れたり、七味をきかせてピリ辛にしたりと、作り手によって味わいもさまざま。
【名前の由来】がんす、という面白い名前は広島弁の「~でがんす=~です」という言葉遣いによるとのこと。
ハッキリはしないけど、特にネーミングもなかったものを「これ、うまいでがんすな」「そうでがんすなー」なんて言ってたのが、次第にそのもの自体を指すようになったんじゃないですかね?
なんて、地元のかたが推論を聞かせてくれました。
ちなみに『怪物くん』って漫画に出てくるオオカミ男がいつも「~でがんす」って話してましたね。彼は広島出身だったのかな(笑)?
がんす応用編
さてこのがんす、いろんな活用法を県人から聞きました。
まず良かったのが「うどんのせ」で、コクが出るんですよー。そばのせも良かったです。そばやうどん、さつま揚げをのせることもあれば、コロッケなんかをのせることもありますよね。その両方の良さがにじむ感じです。
そうそう、以前がんす売り場でうれしそうに3~4つ買い込んでる50歳ぐらいの男性がいたんです。どうやって食べるのかな……と興味をひかれ話しかけてみたら、いい話が聞けました。
転勤で広島に来たんですが、職場の女の子が昼休みによく食べてたんですよ。「何それ?」って聞いたら「おいしいんですよー」って教えてもらって。以来気に入って食べるようになりました。さらには「これ、玉子サラダとレタスと一緒にはさんで食べると最高なんですよ」って教えてくれて。これが確かにうまくて、家でよく作るんです。
とのこと。
何それ。
最高にうまそう。
やってみました。
結論:すばらしい
うまかったなーっ!
これなんか既視感ならぬ既食感あるな……と思ったら、タルタル海老フライサンドっぽいんですね。魚介すり身とフライ感とマヨの織りなすおいしさ。
ほかにも
- 焼きそばのトッピングにする
- おにぎらずの具にする
- ホットサンドにする
- 卵でとじて丼にする
- カレーに添えてがんすカツカレー
なんて利用法が広島人から聞かれました。
うーん、がんす……もっと全国で売られてほしい。ちなみに東京だと銀座にある「ひろしまブランドショップ tau」で買えるほか、広島のメーカーで通販をやっているところもあります。興味わいた人はぜひ、お試しを。
ちなみに魚のすり身をフライにする文化、瀬戸内の各地で見られます。徳島では「かつ天」とか「フィッシュカツ」の名前で定番ですし、愛媛では「じゃこカツ」なるものも。瀬戸内を旅してすり身フライに出会ったら、ビール片手に食べ比べしてみてはいかがでしょうか。